中華ゲーム機「KT R1 プロトタイプ」レビュー|少量生産された試作モデル

中華ゲーム機「KT R1 プロトタイプ」は、KTPocketブランドの第一弾として発表された KT R1 の試作機です。システムに Android 12 を採用し、エミュレーター性能に優れた MediaTek Helio G99 を搭載した Androidゲーム機です。

KT R1 プロトタイプのスペックや特徴、操作性、システム、エミュレーター性能についてご紹介します。また、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。

KT R1 の価格・販売ストア

KT R1 は、KTPocket 公式ストアを販売しています。
カラーバリエーションの全7色(ブラック、ホワイト、イエロー、ピンク、グリーン、レッド、グレー、パープル)に加え、左アナログスティックの位置と筐体素材の異なるモデルも用意されています。

・4GB / 64GBモデル
 販売価格 199ドル~249ドル(送料別途)
 割引価格 169ドル~219ドル(送料別途)

・6GB / 128GBモデル
 販売価格 229ドル~279ドル(送料別途)
 販売価格 199ドル~249ドル(送料別途)

・8GB / 256GBモデル
 販売価格 259ドル~309ドル(送料別途)
 販売価格 229ドル~279ドル(送料別途)

現在は注文を受け付けていません。
リンク切れになる可能性あるため、URL のみお知らせします。
・https://ktpocket.com/
・https://ktr.la/

  • 初回生産分:2023年4月末~5月10日出荷予定
  • 2回目の生産分:2023年5月末~6月中旬に出荷予定

PayPal決済をした場合、自動的にキャンセルされている可能性があります。
2023年3月16日以降に初回生産分を PayPal決済で支払った場合は、自動的にキャンセルされている可能性があるようです。その場合は、改めて注文をするようにしてください。

プレセールを既に注文をしている人は、公式サイトに掲載されているメールアドレスに連絡することでカラー変更できることがアナウンスされています。

出荷予定時期は、部品の供給問題などがあり延期を繰り返しています。
あくまでも参考としてください。

KT R1 プロトタイプのスペック

KT R1 プロトタイプのスペックを詳しく見ていきます。

  • システム:Android 12
  • ディスプレイ:4.5インチ IPS液晶ディスプレイ、タッチスクリーン
  • 解像度:1620 × 1080(3:2)、画素密度 432ppi
  • SoC:MediaTek Helio G99 2.0-2.2GHz
  • GPU:Mail G57 MC2 1068MHz
  • RAM:6GB LPDDR4
  • ストレージ:128GB UFS2.2
  • 外部ストレージ:microSD(最大2TB)
  • 大きさ:169.8 × 79.5 × 18.3mm
  • 重さ:260g
  • バッテリー容量:7000mAh
  • ワイヤレス通信:Wi-Fi(2.4G / 5G)、Bluetooth 5.2
  • インターフェース:USB Type-C、イヤホンジャック、マイク、
    microSDカードスロット、デュアルステレオスピーカー、
    バイブレーション、6軸ジャイロセンサー
  • 素材:ABS樹脂素材

免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。

KT R1 プロトタイプのレビュー

メーカー提供を受けた KT R1 プロトタイプをレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。(2023年5月12日追記)

全9台の試作機の1台を使用しています。
製品版とは仕様が異なる可能性がありますので、参考程度にご覧ください。

付属品

試作機のため、パッケージや付属品はありません。
製品版では以下の付属品を用意しています。

1. USB Type-Cケーブル
2. SIMピン
3. ドライバー
4. スクリーンプロテクター

大きさ・重さ

本体の大きさは 169.8 × 79.5 × 18.3mm で、重さは 258g(実測値)です。
ABS樹脂素材の筐体を採用しているため、サイズに比べてやや軽量に感じます。

中華ゲーム機としては大きめな画面サイズでありながら、縦・横幅は抑えられています。
初代 PS Vita(PCH-1000)とほぼ変わらない厚みや重さはポイントです。

似たような形状の製品と比較します。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。

製品名 画面サイズ 大きさ 重さ
PS Vita(PCH-2000) 5インチ 183.6 × 85.1 × 15mm 219g
KT R1(ABS樹脂) 4.5インチ 169.8 × 79.5 × 18.3mm 260g
Nintendo Switch Lite 5.5インチ 208 × 91.1 × 13.9mm 275g

試作機ということもあり、射出成形された外装シェルはところどころ傷があり、質感もイマイチです。製品版では後処理として研磨・表面加工が施されるため、ビルドクオリティは向上すると期待されます。

ちなみに、7000mAh のバッテリーを搭載することで本体の厚さは 18.3mm ですが、バッテリー容量を最適化して 16mm に薄くすることを計画しています。

インターフェース

インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタンを備え、下部に SIMスロット兼microSDカードスロット、イヤホンジャック、USB Type-Cポートがあります。左右にデュアルステレオスピーカーも搭載しています。

また、バイブレーション機能やマイクに加えて、6軸ジャイロスコープセンサーを内蔵しています。スピーカーは高音質で、バイブレーションの強さも注目すべき点です。

ただし、バイブレーション機能については、試作機ではエミュレーターで動作せず、次回の OTAアップデートで実装(ドライバー更新)される予定です。

ワイヤレス通信機能は Wi-Fi 2.4GHz / 5GHz、Bluetooth 5.2 に対応しています。
ただし、ABS樹脂素材の筐体では電波感度の影響を受けにくいですが、金属筐体では影響が出る可能性があるため、注意が必要です。

また、SIMスロットの1つは microSDカードと排他的に使用する構造となっていますが、2枚の SIMカードを認識することはできず、SIMカードと microSDカードの組み合わせで使用することができます。

試作機はアンテナは未搭載で、SIMスロットは非動作です。
「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用したうえで公開しています。

ヒートシンクが実装されており、十分な冷却能力を有していると評価します。
ただし、金属筐体を採用した場合でもそのままの冷却能力を維持できるかは不明です。

ABS樹脂筐体とは異なり、熱伝導率が高まるため、何かしらの対策が必要となる可能性があります。パフォーマンスはそれほど期待できませんが、内蔵ファンをオプションとして販売する計画があるとのことで、今後の動向に注目が必要です。

画面

ロゴなし・狭ベゼルのマルチタッチスクリーンを搭載しています。
4.5インチ IPS液晶ディスプレイ(3:2)で、解像度は 1620 × 1080、画素密度 432ppi です。

タッチスクリーン操作の感度、発色や最大輝度の明るさも十分です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。

ただし、アスペクト比は 3:2 であるため、4:3 の画面比率を重視している人にはデメリットかもしれません。しかし、レトロゲームからゲームアプリまでの幅広い画面比率に対応できるのはメリットです。

また、SELECTボタン辺りを強く押すと画面に干渉することが確認できました。
この問題については、スクリーンケーブルの位置を見直すことで、製品版では解決済みです。

操作性

操作性・押し心地については、製品版で変更となる可能性があります。
ABXYボタンサイズは 7.0mm、ストロークは 1.5mm となっており、これは Retroid Pocket 3シリーズより少し大きなボタンサイズで、ANBERNIC製品と変わらないストロークです。

ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
ANBERNIC製品と同等の高品質なアナログスティック(Hall Joystick)を採用しており、ABXYボタンの押し心地はやや柔らかめです。

デザインとボタンレイアウトは ANBERNIC RG405M に似ており、L1 / R1ボタンと L2 / R2ボタンが横並びに配置されています。背面側にグリップやスリットなどがなく、滑りやすい点は残念ですが、全体的に良好な操作性と押し心地を実現しています。

PS Vita や Nintendo Switchなどの携帯型ゲーム機では、音量ボタンは右側がプラス、左側がマイナスになっていますが、KT R1では逆の配置になっているため、慣れが必要です。

アナログスティックにはレッドゾーンがあり、アルゴリズムが最適化されていませんが、製品版では最適化された状態で出荷される予定です。ボタンマッピング機能は未搭載ですが、6月の OTAアップデートで機能が追加される予定です。

コントローラーは、『ジョイスティックを主体とした配置』と『十字キーを主体とした配置』から選択でき、ゲームスタイルに合わせてコントローラー選択できるのは評価ポイントと言えます。

システム

システムは Android 12 を搭載し、Google Playストアに対応しています。
また、OTAアップデートにも対応しており、日本語ロケールも選択できます。

製品版では独自システム KOS を実装する予定(5月末)です。
試作機には、Magisk、PerfMon+、Lanthanum system toolboxなど、動作検証を目的としたアプリが導入されています。

製品版では最適化された設定済みの各種エミュレーターアプリ、ゲーム設定や APKなどを含むファイル共有システム、ボタンマッピング機能を実装する予定です。

エミュレーターを中心に遊ぶという人は、フロントエンドの導入をおすすめします。
詳しい導入手順については、こちらの記事を参考に進めてください。

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エミュレーター性能

MediaTek Helio G99 を搭載した『初』の中華ゲーム機です。
エミュレーター性能は ANBERNIC RG353シリーズ、RG505 や RG405M、Retroid Pocket 3+ / Flip よりも優れています。実測したところ、Antutuベンチマークスコアは 37万点台です。

動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、プレイステーション、ニンテンドーDS、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンが快適に動作します。ゲームキューブ、Wii がやや快適に動作し、PS Vita、3DS、PS2 については一部ゲームタイトルが動作するといった感じです。

Unisoc Tiger T618搭載機と比べると、内部解像度の乗数を高めることで、より鮮明な画面表示で遊べるゲームタイトルが増えているのも特徴です。

PS2 の動作に関しては Unisoc Tiger T618 よりも改善が見られましたが、推奨環境である Snapdragon 845 以上ではないため、一部のゲームタイトルが遊べるようになったと評価します。また、PS Vita のエミュレーターは最新版(Release 4)以外であれば動作します。

ゲームキューブや Wii のエミュレーターが、期待値以上に動作するゲームタイトルがありました。一方で 3DS の2画面表示に関しては、アスペクト比の関係もあり、縦画面で遊ぶことが前提となります。1画面を画面切り替えして遊ぶのであれば問題はありません。

Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実や出来が良いという利点はあるものの、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。

ゲームアプリ

ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「最低~低」で動作します。
若干のカクつきや画面の粗さが見られますが、ゲームプレイ自体は可能です。

試作機では、ボタンマッピング機能が未搭載であったため、コントローラー操作ができませんでした。また、原神などの重いスマホゲームを遊ぶことをおすすめしません。

一方で、Steam Link や Xbox Game Pass を使ったリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)もプレイ可能ですが、通信環境や回線速度が十分であることが前提条件となります。

ただし、画面サイズが小さいため、視認性が悪く、コントローラー操作もうまく動作しないことがあるため、遊べるゲームタイトルを選ぶ必要があります。

OTAアップデートにより、ボタンマッピング機能が実装予定です。
また、クラウドゲームでのコントローラー操作も改善される予定です。

まとめ

KT R1 プロトタイプは、KTPocketブランドの第一弾として発表された KT R1 の試作機です。システムに Android 12 を採用し、エミュレーター性能に優れた MediaTek Helio G99 を搭載した Androidゲーム機です。

総合評価としては「製品版に期待できる」と評価します。
中華ゲーム機としては、初めて MediaTek Helio G99 を搭載したモデルであり、バッテリー容量も GPD XP Plus に並ぶ 7000mAhとなっています。また、ロゴなし・狭ベゼルの画面は 4.5インチと大きく、高品質なアナログスティック、スピーカーが搭載されているのは評価ポイントです。

メリット
デメリット
  • 豊富なバリエーション
  • 画面サイズ
  • 操作性・持ちやすさ
  • 冷却能力
  • Google Playストア対応
  • サウンドクオリティ
  • バッテリー持ち
  • ファームウェア(OTA)
  • ビルドクオリティ
  • 解像度・アスペクト比
  • システム(未実装)
  • 背面デザイン
  • HDMI出力なし
  • Widevine L3
  • 技適未取得機器

Androidゲーム機のカテゴリでは、GPD XP Plus や Odin Pro(Lite)のようなフラッグシップ製品には及びませんが、ゲームキューブや Wii などでもやや快適に動作するゲームタイトルがありました。PS2 に関しては、推奨環境である Snapdragon に比べて正常動作するゲームタイトルは限定的です。

試作機ということで、筐体品質はややチープであり、洗練されたデザインとはいえません。
START、SELECT、BACK、HOMEなどのボタンには刻印や印字を加えて識別しやすくしたり、背面側にはグリップやスリットなどを用意して持ちやすくするなどの工夫が必要です。

製品版では、試作機では評価できなかった最適化されたシステム改善や機能の実装、全体的な品質の向上が予定されています。発売時期に加え、出荷時期も遅れ気味なので、アナウンスどおりに製品版が進捗できることを期待します。

商品ページリンク

現在は注文を受け付けていません。
リンク切れになる可能性あるため、URL のみお知らせします。
・https://ktpocket.com/
・https://ktr.la/

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