Androidゲーム機「AYN Odin Pro」は、AYN Technologies の注目すべき新製品です。
Android10、Snapdragon 845、5.98インチ液晶ディスプレイ、解像度 1080 × 1920 を搭載。スマホゲームアプリやエミュレーター、Steam Link などのクラウドゲーミングを遊ぶのに適したゲームデバイスです。
AYN Odin Pro の価格、スペック、特徴・機能、エミュレーター性能、初期設定・使い方をご紹介します。評価すべきところ、欠点についても詳しくチェックします。
AYN Odin Pro の価格・販売ストア
AYN Odin Pro は、公式ストア専売商品です。
Odinシリーズはスペックが異なる3モデルを用意しています。
Lite が 268ドル、Base が 279ドル、Pro が 324~365ドルです。
条件や目的に応じてモデルを選べるのがポイントです。
AYN Odin Pro のスペック
AYN Odin Pro のスペックを詳しく見ていきます。
AYN Odin Base よりも RAM、ストレージ容量に優れたモデルです。
- システム:Android 10
- ディスプレイ:5.98インチ液晶ディスプレイ、16:9、タッチ対応
解像度:1080 × 1920(369ppi) - CPU:Qualcomm Snapdragon 845
- GPU:Adreno 630
- RAM:8GB LPDDR4x
- ストレージ容量:128GB / 256GB UFS 2.1
- 大きさ:224 × 95.2 × 15mm(突起部除く)
- 重さ:362g(実測値)
- バッテリー容量:6600mAh
- ワイヤレス通信:Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0
- インターフェース:USB 3.1 Type-C、イヤホンジャック、
micro HDMI、microSDカードスロット - その他:ステレオスピーカー、バイブレーション機能、マイク
冷却ファン(3段階切り替え) - 素材:ABS樹脂素材
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はできかねます。
AYN Odin Pro レビュー
AYN Odin Pro をしっかりレビューします。
付属品から基本的な特徴・機能、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能、初期設定・使い方にいたるまでを徹底解説します。
付属品
マニュアル(中国語、英語)、USB Type-Cケーブルが付属します。
ACアダプターは付属していないので別途用意が必要です。
大きさ・重さ
本体の大きさは 224 × 95.2 × 15mm、重さは 362g です。
Nintendo Switch と Nintendo Switch Lite の中間のサイズ感。
筐体素材は ABS樹脂素材(プラスチック)です。
比較してみると、大きさ・重さ・画面サイズのバランス良いモデルです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
AYN Odin Pro | 5.98インチ | 224 × 95.2 × 15mm | 362g |
Nintendo Switch Lite | 5.5インチ | 208 × 91.1 × 13.9mm | 275g |
ビルドクオリティについても負けず劣らず、とても良くできていると評価します。
カラーバリエーションも豊富なのも嬉しいポイントです。
インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタン、microSDカードスロット、micro HDMIポート。下部に 3.5mmイヤホンジャック、USB 3.1 Type-Cポート、左右にステレオスピーカーを用意。
左右サイドには、LEDイルミネーションが用意しています。
ワイヤレス通信(Wi-Fi、Bluetooth 5.0)、バイブレーション機能、ジャイロセンサーを搭載。
左側コントローラー上部にマイク、背面右側には内蔵ファンの吸気口を用意。
冷却能力にも優れており、放熱対策は十分であると評価します。
画面
液晶ディスプレイは鮮明です。
5.98インチ液晶ディスプレイ、解像度 1080 × 1920、画素密度 369PPIです。
画面の大きさは Nintendo Switch(6.2インチ) とほぼ同等サイズですが、解像度や画素密度は AYN Odin Pro の方が優れています。
タッチスクリーン操作・感度も良好、液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しており、反射面が少なく高コントラストでクリアな映像を実現しています。
ただし、製造時期・ロット関係なしにゴーストタッチ(画面に触れていないに動作してしまう現象)が発生します。このあたりについては注意する必要がありそうです。
LEDイルミネーション
左右アナログスティック、サイドに LEDイルミネーションを搭載。
LEDは単色発光の ON/OFF のみで、RGB 切り替え、イルミネーション変化といった機能は非搭載です。
設定画面から簡単に ON/OFF できるだけでなく、どちらか片方のみを有効化することも可能です。Androidゲーム機で LEDイルミネーション機能を搭載したモデルは珍しく、視覚的にもゲーミングシーンを演出してくれます。
操作性・持ちやすさ
操作性・持ちやすさは優れています。
ABXYボタンサイズは 7.5mm、ストロークは 1.5mm で誘導性ゴム、十字キーにはドームスイッチ。L1/R1ボタンにはタクトスイッチ、L2/R2ボタンはアナログトリガーを採用し、押し心地にこだわりが見られます。
操作性は好みが分かれるところですが、万人受けするコントローラーが採用されています。
背面グリップは持ちやすく、左右には M1ボタン、M2ボタンを搭載、多用する HOMEボタンも右側上部にありアクセスしやすいのもポイントです。がたつき、ぐらつきもなくビルドクオリティも文句なしです。
ただし、L1/R1ボタンについては、ボタンが効かなくなる・クリック感がなくなるといった初期不良が確認されています。現在、次ロット製造・出荷を含めて改善を進めています。
システム
Android 10 を搭載しており、HOMEアプリは一般的な Androidベースな AOSP Launcher と 独自の Odin Launcher の2つを用意。Google Playストアにも対応しており、お好みのアプリをインストールできます。
パフォーマンスモード、内蔵ファン、画面回転などの主要機能については、クイック設定パネルから簡単にアクセスできるのもポイントです。総合的に判断してシステムの使いやすさは洗練されていると評価します。
さらに設定の Odin settings では、Video出力モード(HDMI@1080p、Display Port over TypeC@ 4Kp60)、バーチャルマウスモード、コントローラーモードなどさらに細やかな設定ができるように工夫されています。
パフォーマンスモードは3段階(Standerd、Performance、High Peformance)用意されており、瞬時にその効果を体感できます。オンラインバージョンアップにも対応しているので、将来的なファームウェアのバージョンアップも期待できます。
専用アクセサリー
一緒に出資していた専用アクセサリーをチェックします。
NINTENDO64 のエミュレーターを遊ぶことに特化したドッキングステーション「Super Dock」には出資をしていないため、今回のレビューでは評価していません。ACアダプター、保護ガラスフィルムは汎用品です。
専用ハードケースは開閉式で、内蔵ファンの吸気口・排気口、ボタン穴が正確にあけられています。収納ケースを使わないで持ち運ぶ「裸派」におすすめです。
それぞれの出資価格は、保護ガラスフィルムが 40HKD(600円)、専用ハードケースが 78HKD(1200円)、ACアダプターが 78HKD(1200円)でした。
エミュレーター性能・所感
エミュレーター性能は優れており満足できます。
主要スペックは、Android 10、Qualcomm Snapdragon 845、RAM 8GB LPDDR4x という構成です。2022年12月時点で発売された中華ゲーム機の中でも高いエミュレーター性能です。
実測したところ Antutuベンチマークスコアは 43万点台で、ANBERNIC 552(21万点台)、Retroid Pocket 3+(23万点台)よりも大幅に優れたパフォーマンスを発揮します。
NINTENDO64、ドリームキャスト、PSP、セガサターン、ゲームキューブまでが快適動作(~60FPS)、Wii、3DS、PS2 が遊べるレベルで動作(~40FPS)します。ただし、スペックやエミュレーターアプリの設定、対応ゲームタイトルありきの性能です。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレータアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、システムレベルで物理ボタンの入力遅延がある点については注意が必要です。また、冷却能力は優れていますが、最大パフォーマンスにすると風切り音がかなり気になります。
重めのスマホゲームアプリ『原神』も、30FPS~60FPS(画質:最低~低、パフォーマンスモード:High Peformance)で動作します。汎用性の高いリマッピング機能、操作性・持ちやすさでストレスを感じさせません。
その他にも通信環境・回線速度ありきで画面は Nintendo Switch相当ですが、Steam Link などによるクラウドゲーミングを遊ぶゲームデバイスとして楽しめるのも魅力の一つと言えそうです。結構快適に遊べます。
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初期設定・使い方
初期設定・使い方を解説します。
Androidスマホを使ったことがある人であれば、直感的に操作ができるはずです。
最低限の知識として Googleストアで提供されているエミュレータアプリの使い方・基本を覚える努力が必要です。
はじめに
初回の電源ON時に、セットアップウィザードが立ち上がります。
言語設定、ネットワーク設定、タイムゾーン、ランチャー選択、ナビゲーションバーの表示種類を選択していけば完了です。
セットアップウィザードは、設定→ Odin settings → Enter setup wizard を選択でやり直しできるので安心です。
リマッピング機能
リマッピング機能は充実しています。
下記の手順を参考に進めてください。
- クイック設定パネルを表示(画面上部から中央へスワイプ)
- Floating icon を「ON」
- ゲームアプリ起動
- Odin設定画面を表示(画面左側から中央へスワイプ)
- Screen mapping を「ON」
- Key adapter をタッチ
- 画面に config が表示される
- リマッピングして完了
詳しい設定方法については、Odin設定画面の「Guide」を見ると学習できます。
言語は英語のみですが、アニメーション表示されているので簡単に理解できるでしょう。
ゲームランチャー
レトロゲームのエミュレーターを中心に遊ぶのであれば、個人的にはフロントエンド「Pegasus Frontend」の導入をおすすめします。詳しい導入手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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まとめ
AYN Technologies の Androidゲーム機 AYN Odin Pro は、Nintendo Switchライクな大きさ・重さ、快適な操作性・持ちやすさ、優れた冷却能力にパフォーマンスモードを搭載した洗練されたゲームデバイスです。
総合評価は「非常に満足度が高い」と評価します。
これまでに様々な中華ゲーム機、Androidゲーム機をコレクションしてきましたが、その中でも非の打ち所がないゲームデバイスと評価します。専用アクセサリーのドッキングステーション「Super Dock」にも期待できそうです。
スペックありきではありますが、エミュレーター性能やスマホゲームアプリは快適動作、操作性・持ちやすさ、システム面での使いやすさ、かゆい所に手が届く機能(FPS、温度、CPU使用率、メモリ使用量など)も充実しています。
PCゲームに特化した GPD WIN3、AYANEO、ONEXPLAYER といったポータブルゲーミングPC は 500g超で重たいので、スマホゲームアプリやエミュレーターがメイン、PCゲームは Steam Link などのクラウドゲーミングで遊べれば良いという人向けのゲームデバイスとして活躍できます。
何といっても Nintendo Switch とほとんど変わらない大きさ・重さ、画面サイズで快適なゲーム体験が楽しめるのはポイント高いです。
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