海外クラウドファンディング Indiegogo でキャンペーンを実施していたモバイルゲーミングPC「AYA NEO」が、支援者へ向けた本格的な出荷がはじまりました。
AMD Ryzen 5 4500Uを搭載していることが特徴で、中国本国を中心に先行して出荷されていたのが創業版 AYA NEO Founder Edition に対して、AYA NEO は基板レベルから問題解決・改良を行った実力モデルです。
超早期出資枠(Super Early Bird)の AYA NEO と一緒に、支援者限定特典(ギフトボックス)が到着したので、創業版 AYA NEO Founder Edition との違いを含めてご紹介していきます。
「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用したうえで公開しています。
AYA NEO の価格・国内販売
モバイルゲーミングPC「AYA NEO」は、正規輸入品の国内販売を開始しています。
ざっくりとした販売価格は 500GBモデルが 11万円~、1TBモデルが 12万円~で、CPU や ストレージ容量の組み合わせ、限定モデルによって価格が異なります。
適宜価格改定を実施予定で 2021年10月中旬に発送予定です。
この価格はクラウドファンディング価格とそれほど大きな差がなく、海外通販価格よりも安いうえに、国内1年保証が付いているのでお得です。
モバイルゲーミングPC「AYA NEO」の国内先行予約を開始、販売価格は 99,980円(税込)で 2021年7月末~8月初旬に出荷を予定しています。一定台数の受付後は、適宜価格改定を実施していくことをアナウンスしています。[…]
AYA NEO のスペック
AYA NEO のスペックは、次のとおりです。
基本スペックは、創業版である AYA NEO Founder Edition と変わりません。
- ディスプレイ:7インチ(1280×800)、IPS(215PPI)、5点マルチタッチ対応
- OS:Windows 10 Home
- CPU:AMD Ryzen5 4500U / 6スレッド
- GPU:AMD Radeon Vega 6
- RAM:16GB DDR4-4266 LPDDR4X
- ストレージ:512GB or 1TB PCIe NVMe(M.2 2280)
- バッテリー:12300mAh、47Wh、65W PD
- I/Oポート:USB Type-C×3、イヤホンジャック
- 無線:Wi-Fi6、Bluetooth 5.0
- その他:ステレオスピーカー、ジャイロスコープ、重力センサー
- 大きさ:255 × 106 × 20mm
- 重量:650g
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はできかねます。
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クラウドファンディング支援者限定特典
クラウドファンディング支援者には特別な『ギフトボックス』が贈られました。
パッケージには 2,000名以上の支援者名が印字されており、支援者の心をつかむ対応は “素晴らしい” の一言です。
現時点での状況報告のほか、Discord を活用したリアルタイムの情報共有など、ライバル企業よりも AYA DEVICE社のユーザーへの対応は優れているように感じました。
ギフトボックスには、各種サイズのステッカー、強化スクリーンプロテクター、クリーニングクロス、ケーブル収納、ストラップ、コネクタカバー、フォンフォルダー、USB Type-C/Lightningケーブル(ストレッチゴール)、CEOである Arthur Zhang氏からの手紙が付属します。
有料オプションで強化スクリーンプロテクターを追加した場合は、計2枚が付属します。
AYA NEO専用アクセサリーについては、後ほど詳しくご紹介していきます。
AYA NEO をしっかりチェックしていく
AYA NEO をしっかりチェックしていきます。
私が出資したのは、SEB(Super Early Bird)の本体(500GBモデル・ダークスター)とすべての有料オプションです。本体、付属品、有料アクセサリーなどを含めてご紹介していきます。
クラウドファンディング早期出資者向けの AYA NEO のほか、創業版である AYA NEO Founder Edition、製品版 AYA NEO 2021、AYANEO 2021 Pro レトロパワー のレビューも公開しています。こちらも併せて参考にしてみてください。
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付属品をチェックする
付属品は世界各国のユーザーが使えるよう配慮されています。
USB Type-Cケーブル、USB Type-C変換アダプタ×2、ACアダプタ、変換アダプタ(3種類)が付属します。
AYA NEO Founder Edition 付属したユーザーマニュアルカードはなくなりました。
ケーブルや変換アダプタなど付属品は、AYA NEO Founder Edition より品質が良いモノに変更されています。
AYA NEO のサイズ感(大きさ・重さ)を比較
AYA NEO の本体サイズは 255 × 106 × 22mm、重さは 641g(実測値)です。
大きさはほぼ Nintendo Switch サイズですが、重さは 1.6倍ほどの違いがあります。
本体カラーバリエーションは、ダークスター、ライトムーンの2色です。
将来的には限定カラーの発売を予告していましたが、CEO交代に伴う改革が進められいるため実現するかは未定です。
普段から Nintendo Switch を使い慣れていれば、AYA NEO は違和感なく操作できます。
ただし、本体サイズは思った以上に重たく感じられるはずなので、長時間のゲームプレイには向いていません。1~2時間程度のライトユースに使うのが最適です。
これまでに任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。AYA NEO はそれよりも重たいので、ぎりぎり持ち運べるサイズ といった感じです。
ライバル機である GPD WIN3 と ONEXPLAYER の中間サイズが AYA NEO です。
Nintendo Switch のサイズ感を含めて整理すると、次のようになります。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ONEXPLAYER | 8.4インチ | 288 × 131 × 21~44 mm | 820g |
AYA NEO | 7インチ | 255 × 106 × 20mm | 650g |
GPD WIN3 | 5.5インチ | 198 × 92 × 27mm | 560g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
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冷却能力は大きく改良された
創業版である AYA NEO Founder Edition よりも冷却能力は向上しています。
ユーザーフィードバックを受けて大型内蔵ファン、ヒートパイプを刷新したほか、本体裏面からの圧迫による内蔵ファンの干渉をなくすために基板・金型を改良しています。
それに併せて吸気口・排気口のサイズも大きくなっていることもポイントです。
本体裏面の封印シールをはがして分解すれば、内蔵SSD を換装することも可能です。
封印シールをはがしたとしても保証がなくなるわけではないとアナウンスされています。
入出力ポートがわかりやすくなった
AYA NEO の入出力ポートは必要最低限に抑えられています。
USB Type-Cポート3つ(内、2つは映像出力、PD対応)、イヤホンジャックだけです。
本体上部には 電源ボタン、音量調整ボタン(+、ー)が横並びとなっています。
意識して操作しないと、音量ボタンを押すつもりが誤って電源ボタンを押してしまうことも。
本体下部の USB Type-Cポートは、AYA NEO専用ドッキングステーション用に用意されているもので、eGPU には対応していません。専用品でなくても市販されているドッキングステーションやハブに接続することも可能です。
クリアカラーの AYA NEO Founder Edition では、入出力ポートの表示がなくユーザーフレンドリーではありませんでしたが AYA NEO では改善されています。
ケーブル1本で周辺機器を一括管理できるドッキングステーションが注目を集めています。在宅勤務などでノートパソコンを持ち運ぶ際に、ケーブルの抜き差しって大変ですよね。ドッキングステーションを使えば、そのようなわずらわしさから解放されま[…]
操作性良好、質感にこだわりあり
CEOである Arthur Zhang氏が試行錯誤しただけあり、AYA NEO の質感は良好です。
個人的には GPD WIN3、ONEXPLAYER よりも所有欲を満たせるデバイスだと感じています。
非光沢なマット塗装がされており、擦り付けテストにも合格したものを採用しています。
左側には LEDイルミネーションボタン、Xboxボタンと同等機能を持つHボタン、ビューボタン、メニューボタンを配置しています。残念ながら AYA NEO Founder Edition のように LEDイルミネーションは搭載されておらず、十字キー左と同時押しすることでバイブレーションの ON/OFF機能が割り当てられています。
右側には Windowsキーの WINボタン、ESCキーの ETSボタン、Ctrl+Alt+Delete の TMボタン、Windows10標準のソフトウェアキーボードが ON/OFF 可能な KBボタンを配置しています。
個人的な感想としては、GPD WIN3、ONEXPLAYER よりもゲーミングでのボタンの押し心地・操作性は好みですが、一般的な基本操作はタッチ操作と Windows10標準のソフトウェアキーボードに依存するので操作性は劣ります。
GPD WIN3 や ONEXPLAYER のような指紋認証機能はなく、マウスモード/ジョイスティックモードの切り替えボタンもありません。マウスモードは現時点では実装されておらず、Controller Companion などの外部アプリを使うことで問題解決できます。
専用アクセサリーをチェック
AYA NEO専用アクセサリーは、AYA NEO × Skull&Coとのコラボアイテムです。
Nintendo Switch 専用アクセサリーとして評価が高いアイテムを、AYA NEO にマッチさせた専用アクセサリーとして製作しています。
現時点で完成している専用アクセサリーは、強化スクリーンプロテクター、キャリングケース、アナログスティック用キャップ、ハンドルグリップ(接着シート6枚付)です。ドッキングステーションは製作中で現時点では完成していないため後送予定です。
AYA NEO本体に強化スクリーンプロテクター、アナログスティック用キャップ、ハンドルグリップを装着してみました。強化スクリーンプロテクターは画面サイズよりも、やや小さめな作りです。ハンドルグリップは着脱可能ですが何度も繰り返し使えるような耐久性はありません。
本体が大きくなり、かさばるので持ち運びには向かなくなりますが、実際に装着してゲーミングしてみると、重さが軽減されて操作性が向上します。
7インチの液晶ディスプレイはちょうど良い
実は AYA NEO の7インチ液晶ディスプレイサイズはちょうど良いです。
5.5インチの GPD WIN3 では画面が小さすぎる、8インチの ONEXPLAYER では大きすぎるという人は、Nintendo Switch サイズに近い AYA NEO の画面サイズがしっくりきそうです。
AYA NEO Founder Edition と同じように全体的な画面の黄ばみが気になります。
必要に応じてソフトウェアによる色調整が必要です。
品質管理は徹底しており、ドット抜けがない液晶ディスプレイ、最適なパフォーマンスを発揮できる解像度 1280 × 800 を採用しています。
初期ストレージ状態を確認
AYA NEO のストレージ容量は 500GBモデル、1TBモデルの2つです。
ストレージ容量はパーティション分割はされておらず、無駄なアプリもプリインストールされていません。
搭載されている OS は「Windows 10 Home」です。
AYA NEO Founder Edition では英語・中国語の言語パックしか用意されていませんでしたが、AYA NEO ではきちんと追加されています。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
すんなり動作できるゲームタイトルが多い
GPD WIN3 や ONEXPLAYER では、Intelグラフィックドライバー共通の問題を抱えており、ゲームタイトルに応じた設定の見直し、ドライバーの更新での対策待ちといった問題があります。
その点、AMD Ryzen 5 4500U を搭載した AYA NEO では、そのような問題を抱えていないので、意外とすんなり動作できてしまうゲームタイトルが多いです。試したかぎりでは、GPD WIN3 や ONEXPLAYER で感じられたカクツキ・プチフリーズといった現象もなく快適です。
初期状態の Radeonドライバ 20.12.1 で、問題なしに最新版にアップデートできました。
独自ソフトウェア AYA Space の一般公開もはじまりました。
AYA NEO のベンチマーク
AYA NEO のベンチマーク結果を簡単に確認していきます。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力をチェック
ベンチマークテストで負荷をかけた状態で温度を計測しました。
最大温度は 80度近くまで上昇したものの、一定時間経過後には 40度台で安定します。
内蔵ファンの音は平常時ではまったく気にならず、負荷がかかる際には一時的に大きくなりますが許容範囲といった感じです。電源接続のまま2~3時間のゲームプレイでも体感的に熱いと感じることはありませんでした。
ストレージ速度をチェック
AYA NEO に標準搭載されているのは SanDisk Western Digital製の SDBPNPZ-512GB です。
GPD WIN3 に標準搭載されている SSD よりワンランク上の速度を実感できます。
バッテリー状態を確認
AYA NEO のバッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。
ベンチマークテスト結果
AYA NEO のベンチマークテスト結果はご覧のとおりです。
GPD WIN3 の最上位 Ultimate版(Corei7-1165G7、高性能モード(PL1=25W、PL2=28W))と AYA NEO のベンチマークスコアを比較しています。
AYA NEO は、ドラゴンクエストX ベンチマークのフルスクリーン表示(1280 × 720)では動作しないので、仮想フルスクリーン表示での結果を記載しています。
ベンチマークテスト | GPD WIN3 | AYA NEO |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン | 15602 | 12580 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン | 14330 | 11825 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 ウィンドウ | 14817 | 13670 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 ウィンドウ | 13378 | 12433 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 標準品質 | 10989 | 6847 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 標準品質 ノートPC | 10812 | 6852 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 高品質 | 8068 | 4838 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 高品質 ノートPC | 9589 | 5752 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 最高品質 | 7560 | 4499 |
PCMARK 10 | 4923 | 4895 |
3DMARK Time SPY | 1786 | 1113 |
3DMARK Fire Strike | 5128 | 2979 |
3DMARK Night Raid | 16854 | 11669 |
CINEBENCH Release20 | 2049 | 1928 |
CINEBENCH Release20(Single Core) | 578 | 434 |
ゲーミング性能についてはスペックありきなので、遊ぶゲームタイトルによっては画面設定のテクスチャクオリティ、低設定などに変更する必要がありそうです。
連続稼働時間を測定
AYA NEO の連続稼働時間を測定してみました。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プランは「バランス」
上記の測定条件で、強制休止までの時間を測定たところ、測定結果は2時間50分でした。
ゲーミング使用に限定した、バッテリー持続時間は1時間程度といった感じです。
製品名 | バッテリー持ち結果 |
GPD WIN3 Ultimate版(高性能モード) | 2時間30分 |
ONEXPLAYER(Turboモード) | 2時間30分 |
AYA NEO | 2時間50分 |
コスパと質感・デザインに満足度高し!の AYA NEO
海外クラウドファンディング Indiegogo のキャンペーン終了後に、AYA DEVICE社内で創業者の退任、チーム再編成などのごたごたが続きましたが、新生AYA NEO として誕生したモバイルゲーミングPC は非常に満足度が高い実力モデルです。
ライバル機である GPD WIN3 や ONEXPLYAER と比べると総合的な性能では見劣りするものの、大きな負荷がかかるようなゲームタイトルでなければ、体感的にはそれほど大きな差は感じられませんでした。
ただし、Windowsデバイスとしてフォーカスしてみると、指紋認証機能はなく、一般的なキーボード・マウス操作といった操作性でライバル機よりも見劣りする部分があります。
何よりも際立つのは、こだわり抜いた『ゲーミングデバイスらしさ』です。
創業版 AYA NEO Founder Edition のような LEDイルミネーション機能はないものの、ゲーミングデバイスらしいパッケージデザインに加え、本体の質感良好、ユーザーフィードバックを受けての問題改善・品質向上が確認できました。
クラウドファンディング支援者に対しては、新たに会社を引き継いだ Arthur Zhang氏のブランドへの強い思い、支援者へ対しての感謝の気持ちを『ギフトボックス』で伝えています。
これまでの対応を含め、多くの支援者から AYA NEO は支持・評価されています。
AYA NEOブランドの認知度はライバル機に比べて高くはありませんが、これから日本国内での一般販売がはじまり、コストパフォーマンスの高さ・使いやすさで注目を集めるデバイスとして期待できそうです。
モバイルゲーミングPC「AYA NEO」の国内先行予約を開始、販売価格は 99,980円(税込)で 2021年7月末~8月初旬に出荷を予定しています。一定台数の受付後は、適宜価格改定を実施していくことをアナウンスしています。[…]