AMD Ryzen 5 4500U搭載の携帯型ゲーミングPC「AYA NEO Founder Edition」は、中国国内限定モデルとして先行リリースされたモデルです。その後、世界向けモデルとして同スペックの AYA NEO が INDIEGOGO でクラウドファンディングを開始、無事に資金調達を達成しました。
一足早く AYA NEO Founder Edition をお借りしたので、Nintendo Switch Liteライクな見た目、AMD Ryzen 5 4500U搭載、7インチ液晶ディスプレイというポテンシャルを秘めたゲーミングデバイスをご紹介していきます。
「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用したうえで公開しています。
AMD Ryzen 5 4500U搭載「AYA NEO」という選択肢
2020年11月に開催された WePlay Expo 2020 でお披露目された AYA NEO は、初めて AMD Ryzen 5 を搭載した携帯型ゲーミングPC ということで大きな注目・反響を獲得しました。
開発当初に発表された試作機は、おもちゃブロックを組み立てた筐体だったため、中国フォーラムなどでもフェイクであると指摘されていました。数々の苦難を乗り越え 完成された AYA NEO は、今では中国ユーザーや大手メディアなどから高評価を得ているデバイスです。
GPD WIN3 でも OneXplayer でもない、新たな選択肢になりえるデバイスです。
モバイルゲーミングPC「AYA NEO」は、正規輸入品の国内販売を開始しています。
ざっくりとした販売価格は 500GBモデルが 11万円~、1TBモデルが 12万円~で、CPU や ストレージ容量の組み合わせ、限定モデルによって価格が異なります。
適宜価格改定を実施予定で 2021年10月中旬に発送予定です。
この価格はクラウドファンディング価格とそれほど大きな差がなく、海外通販価格よりも安いうえに、国内1年保証が付いているのでお得です。
モバイルゲーミングPC「AYA NEO」の国内先行予約を開始、販売価格は 99,980円(税込)で 2021年7月末~8月初旬に出荷を予定しています。一定台数の受付後は、適宜価格改定を実施していくことをアナウンスしています。[…]
AYA NEO のスペック
はじめに AYA NEO のスペックを詳しく見ていきます。
AYA NEO Founder Edition と AYA NEO の基本スペックは同じです。
- ディスプレイ:7インチ(1280×800)、IPS(215PPI)、5点マルチタッチ対応
- OS:Windows 10 Home 64bit版
- CPU:AMD Ryzen5 4500U / 6スレッド
- GPU:AMD Radeon Vega 6
- RAM:16GB DDR4-4266 LPDDR4X
- ストレージ:512GB or 1TB PCIe NVMe(M.2 2280)
- バッテリー:12300mAh、47Wh、65W PD
- I/Oポート:USB Type-C×3、イヤホンジャック
- 無線:Wi-Fi6、Bluetooth 5.0
- その他:ステレオスピーカー、ジャイロスコープ、重力センサー
- 大きさ:255 × 106 × 20mm
- 重量:650g
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はできかねます。
AYA NEO Founder Edition をしっかりチェックしていく
AYA NEO Founder Edition をしっかりチェックしていきます。
中国国内限定モデルなので、世界向けモデル AYA NEO では仕様・動作などは大きく変更される可能性があります。
AYA NEO Founder Edition 以降に登場した、早期出資者向け AYA NEO、製品版 AYA NEO 2021 のレビューも公開しています。こちらも併せて参考にしてみてください。
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付属品をチェック
60W充電ACアダプター(一部製造ロットはなし)、ユーザーマニュアルカード、USB Type-Cケーブル、USB Type-C変換アダプタ2つが付属します。
ユーザーマニュアルカードの QRコードは、公式サイトのマニュアルページにリンクされています。必要なアプリ、ドライバー類の最新版をダウンロードできます。裏面にはシリアルNo.、プロダクトキーなどが記載されています。
サイズは大きく・重さもある
AYA NEO Founder Edition の大きさは 255 × 106 × 20mm、重さは 643g(実測値)です。
これまでに発売されている一般的な携帯ゲーム機と比べると、かなり重たく感じます。
Nintendo Switch Lite と比べてみると、大きさの差は歴然です。
このサイズ感を受け入れられるかが、AYA NEO を選択する上でのポイントとなりそうです。
GPD WIN3 と比べてみてと、厚みはないものの一回り大きく・幅広であることがわかります。
体感的な重さは GPD WIN3 と AYA NEO では、それほど大きな差はないように感じました。
ただ、任天堂製品をはじめとした携帯型ゲーム機の重さは、ほとんどが 500g ほどに抑えられています。それを超える重さなので、人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さかもしれません。
また、専用アクセサリーとしてグリップが販売されているようにフィット感はそれほど良くありません。滑りやすいプラスチック素材なので、手汗をかきやすい人は本体右上のストラップホールを利用するのが安心です。
製品名 | 大きさ | 重さ |
GPD WIN3 | 198 × 92 × 27mm | 555g |
AYA NEO Founder Edition | 255 × 106 × 20mm | 643g |
冷却能力は高く、放熱対策は十分
AYA NEO Founder Edition の冷却能力、放熱対策は十分です。
AMD Ryzen 5 4500U搭載、初リリース製品なので心配していましたが問題ありません。
本体裏面を見てもわかるように大きな冷却ファン・吸気口が備えています。
また、本体上部の右半分に大きな排気口を用意しています。
ただ、GPD WIN3 と同じように平置きするとスキマがほとんどありません。
柔らかな床面に平置きすると吸気口をふさいでしまい、冷却能力に支障が出てくる恐れがあるので注意が必要です。
ゲーミングに特化した操作性
AYA NEO Founder Edition はゲーミングに特化した操作性を実現しています。
そのため、当たり前のことですがキーボード・マウスの操作性は期待できません。
また、マウスモードとジョイスティックモードを切り替えるスイッチはありません。
マウス操作は Controller Companion などの外部アプリを利用すれば問題ありませんが、キーボード入力は Windows10標準のソフトウェアキーボード依存します。
Nintendo Switch Liteライクな左右に分けれたコントローラーは、Xboxボタンレイアウト・機能を採用しています。6軸のジャイロセンサー、振動機能も搭載しています。
ゲームコントローラーとしての操作性は良く、ボタンの押し心地はクリック感あり、沈み込みは浅めです。ボタンの大きさは Nintendo Switch Lite の ABXYボタンよりもやや大きめです。
左側には LEDイルミネーションボタン、Xboxボタンと同等機能を持つHボタン、ビューボタン、メニューボタンを配置しています。電源OFF の状態であっても、給電・充電中であればイルミネーションボタンは機能します。
右側には Windowsキーの WINボタン、ESCキーの ETSボタン、Ctrl+Alt+Delete の TMボタン、Windows10標準のソフトウェアキーボードが ON/OFF 可能な KBボタンを配置しています。
AYA NEO Founder Edition だけのカラー、LEDイルミネーション
AYA NEO Founder Edition の本体カラーは、限定カラー「クリア」です。
世界向けモデルの AYA NEO の本体カラーバリエーション(ライトムーン、ダークスター)と異なり、限定カラーの再販はないと公式アナウンスされています。
クリアカラーということで、ゲーミングデバイスらしい LEDイルミネーションが目立ちます。
LEDライトは本体背面に4つ設置されており、イルミネーションパターンは全15パターン(常時点灯8色、呼吸点灯7色)用意されています。
世界向けモデル AYA NEO にも LEDイルミネーションボタンは存在するので、どのようなイルミネーションになるのか注目されています。また、将来的にはコラボモデルを発売することもアナウンスされています。
最低限の入出力ポートを搭載
AYA NEO Founder Edition に備えられている入出力ポートは少なめです。
USB Type-Cポート3つ(内、2つは映像出力、PD対応)、イヤホンジャックだけです。
そのほかに、電源ボタン、音量調整ボタンがあるのみです。
ちょっとしたセットアップ作業には問題ありませんが、それ以上を求めるのであれば、マウス・キーボード、拡張性に優れたドッキングステーションやハブを別途接続することをおすすめします。
別売りの専用アクセサリーとして、ドッキングステーションが用意されています。
USBポート(USB 3.2 Type-A)×2、USB Type-C ×2、HDMIポート、RJ45ネットワークポート(有線LAN)、SDカードスロット、microSDカードスロットを拡張できる予定です。
ケーブル1本で周辺機器を一括管理できるドッキングステーションが注目を集めています。在宅勤務などでノートパソコンを持ち運ぶ際に、ケーブルの抜き差しって大変ですよね。ドッキングステーションを使えば、そのようなわずらわしさから解放されま[…]
7インチ液晶ディスプレイ、解像度は低め
AYA NEO Founder Edition の液晶ディスプレイは 7インチ、解像度は 1280 × 800 です。
GPD WIN3 と同じように評価は分かれるところですが、液晶ディスプレイサイズに合わせた最適なパフォーマンスを発揮できる選択となっています。
液晶ディスプレイの発色は、画面全体が黄ばんでいるように見えます。
この部分については個体差、製造段階の品質のバラつきもあることから、AYA NEO 全体の問題とはいえません。
左右のベゼル幅は 14.5mm、上下は 4.5mm ほどで、左右のベゼル幅の広さが少し目立ちます。
画面の大きさ・見やすさについては、GPD WIN3 よりも AYA NEO Founder Edition の方にアドバンテージがあります。
初期ストレージ状態を確認
AYA NEO Founder Edition のストレージ容量はモデルによって異なります。
今回のレビュー品は 1TBモデルで、パーティション分割はされておらず無駄なアプリもプリインストールされていません。上画像は、すでに初期設定・アプリ導入後の状態なので参考としてください。
搭載されている OS は「Windows 10 Home」です。
言語パックは英語・中国語の2つだけで、世界向けモデルの AYA NEO では追加するようです。もちろん、言語パックを追加・設定変更することで日本語化は可能です。
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専用アクセサリーは充実
AYA NEO 専用アクセサリは充実しています。
ドッキングステーション、液晶ディスプレイの強化スクリーンプロテクター、キャリングケース、左右のアナログスティック用キャップ、ハンドルグリップなどの販売準備を進めています。
キャリングケースは、カバンに収納して持ち運ぶというよりも、単体で持ち運ぶような大きなサイズです。専用品だけあって、AYA NEO の付属品をすべて収納できるよう作られています。
左右のアナログスティックキャップは高さの異なる3種類を用意しています。
カラーバリエーションも3色(ブラック、ブルー、グリーン)で、自分好みに変更できます。
専用アクセサリーのほとんどは、Skull&Co製 で AYA NEOモデルとして発売予定です。
もしかしたら、今後も専用アクセサリーが充実していくかもしれません。
AYA NEO専用アクセサリが海外通販サイト:AliExpress で販売しています。販売しているのは、スクリーンプロテクター、キャリングケースの2つです。価格は 50%OFF となっていますが、INDIEGOGO価格とほ[…]
AYA NEO Founder Edition のベンチマーク
AYA NEO Founder Edition のベンチマーク結果を簡単に確認していきます。
中国国内限定モデルなので、これから出荷される AYA NEO とのベンチマークテスト結果と相違があるかもしれません。あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力をチェック
ベンチマークテストで負荷をかけた状態で温度を計測しました。
最大温度は 77度まで上昇したものの、一定時間経過後には 40度台で安定しています。
内蔵ファンの音は平常時ではまったく気にならず、負荷がかかる際には一時的に大きくなるもののゲームプレイ時に気になることはありません。
一番熱を帯びている排気口部分を赤外線温度計で計測したところ、最高表面温度は 45度でした。持ち手となる部分には熱は伝わらないように設計されているので心配はいりません。
ストレージ速度をチェック
AYA NEO Founder に標準搭載されているのは SanDisk Western Digital製の SDBPNPZ-1T00 です。GPD WIN3 に標準搭載されている SSD よりワンランク上の速度を実感できます。
バッテリー状態を確認
AYA NEO Founder のバッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。
ベンチマークテスト結果
AYA NEO Founder のベンチマークテスト結果はご覧のとおりです。
GPD WIN3 試作機(Corei5-1135G7、高性能モード(PL1=25W、PL2=28W))と AYA NEO Founder Edition のベンチマークスコアを比較しています。
AYA NEO Founder は、ドラゴンクエストX ベンチマークのフルスクリーン表示(1280 × 720)では動作しないので、仮想フルスクリーン表示での結果を記載しています。
ベンチマークテスト | GPD WIN3 | AYA NEO |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン | 12043 | 14351 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン | 11400 | 12832 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 ウィンドウ | 15168 | 14329 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 ウィンドウ | 15038 | 13050 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 標準品質 デスクトップPC | 10783 | 6757 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 標準品質 ノートPC | 10762 | 6930 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 高品質 デスクトップPC | 7650 | 4861 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 高品質 ノートPC | 9206 | 5546 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ 最高品質 | 7176 | 4359 |
PCMARK 10 | 4691 | 4917 |
3DMARK Time SPY | 1558 | 1120 |
3DMARK Fire Strike | 4429 | 2945 |
3DMARK Night Raid | 16007 | 11722 |
CINEBENCH Release20 | 1333 | 1897 |
CINEBENCH Release20(Single Core) | 486 | 453 |
ゲーミング性能についてはスペックありきなので、遊ぶゲームタイトルによっては画面設定のテクスチャクオリティ、低設定などに変更する必要がありそうです。
連続稼働時間はどれくらい持つか
AYA NEO Founder の連続稼働時間を測定してみました。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プランは「バランス」
- LEDイルミネーション:OFF
上記の測定条件で、強制休止までの時間を測定たところ、測定結果は2時間50分でした。
ゲーミング使用に限定した、バッテリー持続時間は1時間程度といった感じです。
製品名 | バッテリー持ち測定結果 | ゲーミング使用限定 |
GPD WIN3 | 3時間48分 | 1時間40分ほど |
AYA NEO Founder Edition | 2時間50分 | 1時間ほど |
ゲーミングデバイスに特化した AYA NEO Founder Edition
AYA NEO Founder Edition は、AMD Ryzen 5 4500U を搭載した初の携帯型ゲーミングPCです。
中国国内限定モデル として先行リリースされたモデルをレビューしていきましたが、これまでにない「ゲーミングデバイスらしい見せ方」を実感できるモデルです。
ベンチマークテスト結果を見比べると、GPD WIN3 の Core i5-1135G7 を搭載したスタンダードモデル(試作機)には劣りますが、大きな負荷がかかるようなゲームタイトルでなければ、体感的にはそれほど大きな差は感じられませんでした。
また、GPD WIN3 で発生した Unreal Engine 4 のクラッシュ問題なども発生しませんでした。
そのため、ネット検索をしながら原因を特定したり、対策をする必要もないので手間もなくゲームプレイが楽しめました。
これから一般販売される GPD WIN3 や OneXplayer には性能面では勝てないものの、販売価格の安さ・ゲーミングデバイスとしての見せ方、デザイン性の高さは他社よりも一歩リードしている印象を持ちます。世界向けモデル AYA NEO では、さらにシステム面のチューニング・ユーザーフィードバックを生かしたモデルになるようなので期待したいです。
ちなみに日本国内からも複数社が AYA NEO の一般販売に向けて動いているようです。
今回、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」申請・開設届出をしたうえでレビューを進めてきましたが、そういった心配もなく普通に使える製品がリリースされそうです。
GPD WINシリーズの最新作「GPD WIN3」は、新たに第11世代TigerLake-Uシリーズ、スライド式キーボードを採用したモデルです。これまでのシリーズ以上にゲーミングにフォーカスされただけでなく、デスクトップPC のよ[…]