中華ゲーム機「ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition」は、限定カラー採用、主要スペック(メモリー・SSD)をアップグレードした低価格・軽量な Windows携帯ゲーム機です。Windows 10 / SteamOS / Batocera.linux をサポートしています。
主要スペックは、Windows 10、5.94インチ(1280 × 720、16:9、10点マルチタッチ)、AMD Athlon Silver 3050eプロセッサー、メモリー 16GB DDR4 3200MHz、ストレージ容量は 1TB(M.2 SATA 2242 SSD)を搭載しています。
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition 価格・販売ストア
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
カラーバリエーションは、限定色のブルーのみです。
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition(16GB / 1TB)
割引販売価格 59,999円
ANBERNIC公式ストアにおける販売価格が最安値です。
通常モデルであれば、4万円台から購入できる『低価格Windows携帯ゲーム機』です。
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のスペック
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のスペックを詳しく見ていきます。
通常モデルとの違いは、搭載されているメモリー(容量・周波数)と SSD です。
- ディスプレイ:5.94インチ(1280×720)、IPS液晶(247ppi)、
10点マルチタッチ対応 - OS:Windows 10 Home(SteamOS / Batocera.linuxサポート)
- CPU:AMD Athlon Silver 3050eプロセッサー
- GPU:AMD Radeonグラフィックス
- RAM:16GB DDR4 3200MHz
- ストレージ:1TB(M.2 SATA 2242 SSD)
- バッテリー:9000mAh(4500mAh × 2)
- I/Oポート:USB Type-C(OTG)、USB-A 3.0、イヤホンジャック
- 無線:Wi-Fi5、Bluetooth 4.2
- その他:ステレオスピーカー、マイク、振動モーター
- 大きさ:236 × 103 × 22mm(突起部除く)
- 重量:490g
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はいたしかねます。
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のレビュー
メーカー提供を受けた ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ベンチマークテスト、エミュレーター性能、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
そのほかの仕様は、通常モデルと変わりません。
中華ゲーム機「ANBERNIC WIN600」は、低価格・軽量な Windows携帯ゲーム機です。エミュレーターを遊ぶことにフォーカスしたスペックで、内蔵ストレージ(SSD)・メモリーを換装できるだけでなく、SteamOS をサポ[…]
付属品
ガラスフィルム、液晶クリーナー、マニュアル(中国語・英語)、セットアップ時の注意、USB Type-Cケーブル、ACアダプターが付属します。
大きさ・重さ
本体の大きさは 236 × 103 × 22mm、重さは 502g(実測値)。
プラスチック素材(ABS樹脂素材)の筐体で、大きさに対して『軽い』のが特長です。
カラーリングによって重さが若干異なるようです。
Windows携帯ゲーム機としては、圧倒する軽さです。
本体カラーは限定色のブルーで、輝きがある『メタリックカラー』です。
画面レンズのベゼルカラーもブルーです。
ANBERNIC RG503 と同系色のカラーリングとされていますが、実際の色味は濃い・落ち着いたカラーリングです。
似たような形状・重さの製品と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
ANBERNIC WIN600 | 5.94インチ | 236 × 103 × 22mm | 490g |
Nintendo Switch Lite | 5.5インチ | 208 × 91.1 × 13.9mm | 275g |
ポータビリティに優れたサイズ感・重さを評価します。
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。
現時点で、この基準を達成した Windows携帯ゲーム機は、AYANEO AIR と ANBERNIC WIN600 の2製品だけです。Windows携帯ゲーム機としてみれば実用的な大きさ・重さに仕上げられています。
Windows携帯ゲーム機「AYANEO AIR」は、超軽量薄型 398g を実現したモデルです。AYANEOシリーズとしては初となる有機ELディスプレイ、LEDイルミネーション機能、LC/RCボタン、microSDカードスロット[…]
インターフェース
インターフェースは、上部に USB Type-Cポート(OTG)、USB-A 3.0ポート、リセットボタン。下部には マイク、イヤホンジャック、ステレオスピーカーを備えています。microSDカードスロットがないのは残念ポイントです。
そのほかに、ワイヤレス通信(Wi-Fi5、Bluetooth 4.2)、バイブレーション機能などを搭載。ゲーミングにフォーカスしたコントローラーを搭載しているのが特徴です。
左側には音量ボタン、電源ボタン。右側にはスクリーンキーボード呼び出しボタン、マウス / ゲームパッド切り替えスイッチを用意しています。
本体左右にはグリップ、背面右側には内蔵ファンの吸気口があり、そのまま上部の排気口に放熱される構造です。指紋認証によるセキュアなログインは非搭載、Windows操作といった点では弱さを感じられます。
接続できるポートは限定されていますが、必要に応じて Bluetooth機器や外部ディスプレイ、ドッキングステーションなどを活用できます。ウェブ閲覧やメール確認、動画視聴などの一般的な使い方も可能です。
内蔵チップに技適マークはあるものの、表示方法を満たしていないため。
画面
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition の液晶ディスプレイは鮮明です。
5.94インチ IPS液晶ディスプレイ(16:9)、解像度 1280 × 720、画素密度 247PPI です。
そのほかに 10点マルチタッチスクリーン機能を備えています。
タッチスクリーン操作の感度・色合いは良好です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
操作性
操作性は『やや難あり』と評価します。
ABXYボタンサイズは 7.8mm、ストローク 1.5mm で、これまでどおりです。
十字キー、ABXYボタンの操作性は良好です。
ただし、アナログスティックの操作をしながら L1/R1ボタン、L2/R2ボタンを操作するのに快適とはいえず、本体サイズに最適化したボタンレイアウト・配置の改善が必要です。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
押し間違えないように Xboxボタン、Winボタンがフラットな高さとなっているのもポイントです。ただ、L2/R2ボタンはトリガーボタンのような押し心地でないのは惜しいところです。
丸みを帯びた形状でグリップもあり、持ちやすさは良好です。
物理キーボードは用意されていませんが、スクリーンキーボード呼び出しボタン、マウス / ゲームパッド切り替えスイッチなどの補助ツール・操作が用意されている点は評価ポイントです。
基本操作
ボタンに割り当てられたショートカットキーの一覧です。
- Xboxボタン長押し:ESCキー
- Winボタン長押し:タスクマネージャーを起動
- Aボタン:Enterキー(マウスモード)
- Bボタン:Escキー(マウスモード)
- 右スティック:マウスカーソル移動(マウスモード)
- 左スティック:スクロールホイール(マウスモード)
- L1ボタン:左クリック(マウスモード)
- L2ボタン:右クリック(マウスモード)
- 電源ボタン+音量-ボタン:ブートメニュー表示
マウスモードのカーソル移動速度は、Windows設定に依存します。
もしくは、ブートメニューから Enter Setup を選択。
システム
ANBERNIC WIN600 Ultimate Editon の標準システムは、『Windows 11 Home』です。
SteamOS / Batocera.linux もサポートしていますが、自身で導入する必要があります。
ディスク内にファクトリーイメージは格納されていません。
工場出荷状態に戻すファームウェア(Windows 10)や、SteamOS イメージ、Batocera.linx イメージ、ドライバーパック / BIOS は、公式サイトにて配布されています。
ファームウェアの導入方法については、こちらを参考に進めてください。
ANBERNIC WIN600 のメモリーと SSD の換装方法、ファームウェア(Windows 10 / SteamOS)の導入方法を解説します。公式サイトの推奨方法に従って進めていきます。レビュー記事もあわせてチェック[…]
ANBERNIC WIN600 のファームウェア(Batocera.linux)の導入方法を解説します。公式サイトの推奨方法に従って進めていきます。レビュー記事もあわせてチェックしてみてください。[sitecard[…]
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、ANBERNIC史上最高と評価します。
主要スペックに AMD Athlon Silver 3050eプロセッサーを採用したモデルで、これまでに販売された ANBERNIC製品のどのモデルよりエミュレーター性能が高いです。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、スーパーファミコン、プレイステーション、ニンテンドーDS、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンまでが快適動作、ゲームキューブ、Wii、ニンテンドー3DS がそこそこ動作、PS2 も動作するスペックを搭載しています。
エミュレーターはプリインストールされていません。
Windows専用エミュレーター、Batocera.linux を自身で導入する必要がある点には注意してください。豊富なエミュレーターが用意されているので、好みに応じて選択してください。
エミュレーターやゲームタイトル、設定項目の変更などにより、ゲームプレイできるレベルで動作するゲームタイトルは限定されます。
ゲーム動作確認
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
遊ぶゲームタイトルに合わせた画面設定(テクスチャクオリティ、品質、解像度など)の変更が必須です。
PCゲームを遊ぶうえで、大きな期待は禁物です。
軽めの AAAタイトル、インディーゲームを遊ぶことをコンセプトにしています。
目安としては 30FPS 出ていれば、快適とはいえませんが普通にゲームプレイできます。
ゲームタイトル | ゲーム設定、FPS |
モンスターハンターライズ:サンブレイク | 中:18~25FPS、低:34~40FPS |
原神 | 低:15~25FPS、最低:30~43FPS |
Bloodstained: Ritual of the Night | 低:23~35FPS |
DAEMON X MACHINA | 最高:30~60FPS |
Stray | 低:4~15FPS、スケール 50%:10~30FPS |
NieR:Automata | 低:13~18FPS |
ELDENRING | 低:20~35FPS |
DEATH STRANDING | 低:7~15FPS |
Hades | 40~60FPS |
Eastward(イーストワード) | 45~60FPS |
MSIアフターバーナーの測定値(平均値)を記載しています。
動作環境:解像度 1280 × 720、デフォルト設定
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のベンチマーク
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のベンチマーク結果を簡単に確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 80度近くになりましたが、一定時間経過後には 50度台で安定します。
グリップをつかんでのゲームプレイでは、気にするレベルではありませんが体感的な温かさを感じます。少し重めのゲームプレイでは、左アナログスティック側画面の表面温度が 44~47度近くになりました。
内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかる際に一時的に大きくなります。
そのため、没入感があるゲームミュージックを楽しむにはイヤホンが必須となりそうです。
ストレージ速度
標準搭載されているのは SSD のストレージ速度です。
出荷時期によって、採用される SSDメーカー・型番は都度変更となる可能性が高いです。
ストレージ速度はそこそこな速さ(SATA規格速度)です。
電源投入後の OS立ち上げ速度は NVMe規格の SSD と大差ありませんが、ゲーム起動やファイル転送時にストレージ速度の遅さを感じます。
バッテリー容量
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のバッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。
ベンチマークテスト結果
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition のベンチマークテスト結果はご覧のとおりです。
標準設定デフォルト、解像度 1280×720 でベンチマークテストを実施しています。
ベンチマーク | スコア |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン | 7497 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン | 6249 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 | 7476 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 | 6341 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 | 2834 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 ノートPC | 3005 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 | 1784 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 ノートPC | 2190 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 最高品質 | 1615 |
PCMARK 10 | 2745 |
3DMARK Time SPY | 368 |
3DMARK Fire Strike | 957 |
3DMARK Night Raid | 3662 |
CINEBENCH Release23 | 1603 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 666 |
最大搭載メモリー 16GB、メモリー周波数 3200MHz の力が発揮されています。
通常作業やエミュレーター、軽めな PCゲームでパフォーマンス向上が期待できます。
連続稼働時間
ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は 2時間20分でした。
バッテリー持ちは一般的な Windows携帯ゲーム機と評価します。
まとめ
中華ゲーム機「ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition」は、標準搭載されているメモリーが最大・周波数(16GB 3200MHz)、ストレージ容量 1TB にアップグレードしたモデルです。エミュレーター、PCゲームと幅広く遊べるデバイスです。
ANBERNIC史上最高のエミュレーター性能、デュアルブート対応、3つのシステム(Windows / SteamOS / Batocera.linux)を選択できる自由度、落ち着いた限定カラーのブルー、スペックそこそこ・実用的なサイズの『低価格 Windowsゲーム機』は評価ポイントです。
最大の特徴は換装作業・設定をすることなく、メモリー2倍・ストレージ容量4倍です。
通常モデルと比べて Ultimate Edition は割高ですが、換装パーツの選定や単体購入、換装作業(BIOS設定込み)を含めた価格は割安と評価します。
アップグレード版とはいえ、Windows携帯ゲーム機としてみるとスペックはエントリーレベルです。自由度が高いという利点の一方で、エミュレーターを自身で導入する必要性があり、中華ゲーム機のような手軽さがない点は賛否両論です。
エミュレーター目的の中華ゲーム機として使うか、汎用性が高い Windows携帯ゲーム機として使うかによって評価は大きく分かれます。価格とスペックを割り切れば、幅広い用途で使える・遊べるデバイスです。
将来的にメモリー・SSD を換装予定がある方は、通常モデルではなく ANBERNIC WIN600 Ultimate Edition の購入をおすすめします。
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