Windows携帯ゲーム機「GPD WIN 4」は、スライド式構造を備えた 6インチサイズ、PSP や PS Vita を連想させるオーバルデザイン、物理キーボードを含めた汎用性の高さが魅力の AMD Ryzen 7 6800U 搭載モデルです。
主要スペックは Windows 11 Home、6インチ(1920×1080、マルチタッチ)、AMD Ryzen 7 6800Uプロセッサ、AMD Radeonグラフィックス、メモリー16GB / 32GB LPDDR5 6400MHz、ストレージ容量 512GB / 1TB / 2TB SSD を搭載しています。
GPD WIN 4 の価格・販売ストア
GPD WIN 4 は、日本国内でも先行予約を開始しています。
保証・サポートなどを重視する人には、国内代理店での購入がおすすめです。
カラーバリエーションは、全2色(ホワイト、ブラック)です。
お届け予定時期は、2023年4月~5月を予定しています。
・16GB / 512GBモデル(ホワイトのみ)
一般販売価格:136,000円
・16GB / 1TBモデル
一般販売価格:139,800円(新価格で値下げ)
・32GB / 1TBモデル
一般販売価格:158,100円(新価格で値下げ)
・32GB / 2TBモデル
一般販売価格:179,200円(新価格で値下げ)
GPD WIN 4 のスペック
GPD WIN 4 のスペックを詳しく見ていきます。
- ディスプレイ:6インチ、解像度 1920 × 1080、368PPI
マルチタッチ対応、リフレッシュレート 60Hz または 40Hz - OS:Windows 11 Home、Steam OS デュアルブート対応
- CPU:AMD Ryzen 7 6800U
- GPU:AMD Radeon グラフィックス
- メモリー:16GB / 32GB(LPDDR5 6400MHz)
- ストレージ:512GB / 1TB / 2TB(PCIe 4.0 M.2 2280 SSD)
- バッテリー:45.62Wh PD対応
- I/Oポート:USB4ポート、USB 3.2 Gen 2 Type-Cポート、
USB 3.2 Gen 2 Type-Aポート、microSDカードスロット、イヤホンジャック - 無線:Wi-Fi6、Bluetooth 5.2、4G/LTE(別売り)
- その他:ステレオスピーカー、ジャイロスコープ、RGB LEDライト、マイク、
指紋認証、光学式ポインティングデバイス、バックライト付きキーボード - 大きさ:220 × 92mm × 28mm
- 重量:598g
- 素材:ABS樹脂
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はいたしかねます。
GPD WIN 4 のレビュー
Windows携帯ゲーム機「GPD WIN 4」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
マニュアル(中国語・英語)、USB Type-Cケーブル、電源アダプターが付属します。
大きさ・重さ
大きさは 220 × 93mm × 29~34mm、重さは 606g(実測値)です。
PSP、PS Vita を連想させる丸みのあるオーバルデザインが特徴です。
実際に持ってみると本体サイズに対して『重さ』を感じます。
ポータビリティに向いたサイズ感ですが、重量バランスが良いとはいえません。
わかりやすく Steam Deck、Nintendo Switch と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Steam Deck | 7インチ | 298 × 117 × 49mm | 669g |
GPD WIN 4 | 6インチ | 220 × 92mm × 28mm | 598g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
Windows携帯ゲーム機としては小さく、重さは 7インチサイズと同等と評価します。
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さです。
インターフェース
インターフェースは、上部にイヤホンジャック、USB4ポート、USB 3.2 Gen 2 Type-Aポート、音量ボタン、電源ボタン。下部に USB 3.2 Gen 2 Type-Cポートを用意。
左右にはグリップがあり、手のひらで包み込むようにホールドします。
左側には microSDカードスロット(UHS-I規格)、マウス/ゲームパッドモード切り替えスイッチ、右側には BIOSリセットスイッチを用意しています。
正面にはゲームコントローラー、バックライト付きの物理キーボード、マイク、指紋認証、光学式ポインティングデバイス、ステレオスピーカー、左下にはストラップホールを備えています。
そのほかにバイブレーション、ジャイロセンサー、ワイヤレス通信(Wi-Fi6、Bluetooth 5.2)を搭載しています。必要に応じて Bluetooth機器や専用クレードル、USBハブ、外付けGPU(eGPU)を活用しましょう。
L1/R1ボタンには、RGB LEDライト機能を内蔵しています。
専用アプリ WinControls で ON/OFF、RGBカラー・照明効果を変更できます。
背面左右にはカスタムボタン、左側には内蔵ファンを備えています。
高温時に風切り音が目立ちますが Windows携帯ゲーム機としては『静音』と評価します。
4G LTEモジュール(別売り)は、背面の上部・下部のくぼみに固定させて USB Type-Cポートにケーブル接続する構造です。ツメで引っ掛けるような形状となっているため、着脱を繰り返すと摩耗する恐れがありそうです。
画面
液晶ディスプレイは鮮明、明るさも良好です。
6インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:9)、解像度 1920×1080、画素密度 368PPI です。
リフレッシュレート 60Hz または 40Hz、マルチタッチスクリーン対応です。
ネイティブランドスケープな液晶を搭載しており、画面の向きは「横」表示です。
デフォルトの解像度が 1080p以上なのは重要で、720p表示にありがちな一部ゲームタイトルで画面が見切れたり、表示がおかしくなるといった不便さを感じることはありません。
ただし、画面サイズが小さいため PC設定の変更やゲーム字幕などの視認性は良いとはいえません。あくまでも携帯ゲーム機としてのゲームプレイに特化した画面サイズといえそうです。
操作性
GPD WIN 4 は、様々なシチュエーションにあわせた操作が可能です。
従来どおりのマウス/ゲームパッドモード切替、キーボード入力、タッチスクリーン操作に加え、新たに光学式ポインティングデバイス、6軸ジャイロスコープを実装しています。
そのため、マウス/ゲームパッドモードの切り替えスイッチを都度変更したり、サードパーティ製アプリを導入しなくてもゲームパッドモードのままに光学式ポインティングデバイスを使ってマウス操作(短押し:左クリック、長押し:右クリック)が可能です。
十字キー、ABXYボタンの形状・大きさは PS Vita ほぼそのままのクローンです。
ABXYボタンサイズは 6.5mm、ストロークは 0.5mm と浅めですが確かな押し心地を実感できます。L1/R1はマイクロスイッチ、L2/R2ボタンはアナログトリガーで最大27度のストロークです。
本体のグリップは握るというよりも包み込む感じの持ち心地です。
例えるなら、厚みがおよそ2倍ある PS Vita を操作している感じです。個人的にはアナログスティックの高さが気持ち低く、RGB LEDライトを内蔵した R1/R2ボタン全体の可動域が広ければベストだと感じました。
最大のアドバンテージは、小さいながらも物理キーボードを搭載していることです。
液晶ディスプレイを上下移動できるスライド機構を採用しており、手動でスライドさせることでキーボードのバックライト機能が有効化(標準設定)します。
キーは指先で押すのに適したサイズ(7.5mm)で、隣り合わせのキー間隔が離れたアイソレーションタイプです。単純な入力作業に割り切って使うことを考えれば実用レベルに使えます。
専用アプリ
専用アプリ『WinControls』で各ボタンの設定・変更、カスタマイズが可能です。
バイブレーション機能の有無(強・弱・オフ)、RGB LEDライトのカラー変更も設定できます。
それ以外に特出した機能はなく、シンプルで直感的な設定画面です。
製品出荷時には機能が追加されている可能性があります。
TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使います。
簡単に設定できる専用アプリの提供はなく、ユーザーフレンドリーではありません。
ユーザー自身で自由に変更・設定が可能で、熟知している人向けといえそうです。
そのほかに Power Control Panel、Playnite などのサードパーティ製アプリを使うことを推奨しています。
設定を誤ると本体が起動しなくなる・壊れる危険性があります。
ゲーム動作確認
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
遊ぶゲームタイトルに合わせた画面設定(テクスチャクオリティ、品質、解像度など)の変更が必須です。
手持ちのゲームタイトルが遊べるレベルに動作し、Ryzen 7 6800U の性能を実感できます。
解像度を 1280 × 720 に変更すれば、60FPS を超える快適なゲームプレイが可能です。
ゲーム解像度を下げた状態で高画質なスケールアップを実現できる機能『RSR(Radeon Super Resolution)』、水面や鏡、窓への映り込みなどのリアルな映像表現が可能な『レイトレーシング』に対応しています。
AMD Software: Adrenalin Editon はプリインストールされています。
RSR(Radeon Super Resolution)を有効化してディスプレイ解像度を 1920×1080 に設定、ゲームを起動してゲーム解像度を 1280 × 720 にぐっと下げることで RSR が機能します。
画面サイズが小さい Windows携帯ゲーム機にマッチした機能で、ゲーム解像度・処理負荷を下げて高画質・スケールアップにして FPS を高めたり、逆に処理負荷を少し上げてリアルで鮮明な映像を映し出すといった使い方を選択できます。
ストレージ状態
GPD WIN 4 のストレージ容量は 512GB / 1TB / 2TB です。
ストレージ(1TBモデル)は、パーティション分割されており、専用アプリと AMD Software: Adrenalin Editon がプリインストールされています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを連打します。
- Boot メニューが表示されたら「Start」をタッチします。
- しばらく待つと完了です。
GPD WIN 4 のベンチマーク
GPD WIN 4 のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 80度を超えましたが、一定時間経過後には 30~40度台で安定します。
ゲームプレイでは、右グリップに体感的な温かさを感じます。
ほかのメーカーの Windows携帯ゲーム機と比べると内蔵ファンの風切り音は小さめですが、没入感があるゲームミュージックを楽しむにはイヤホンが必須となりそうです。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
BIWINブランドの PCIe 3.0規格の SSD が搭載されています。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SanDisk Extreme PRO microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
バッテリー情報
バッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。
ベンチマークテスト結果
GPD WIN 4 のベンチマークテスト結果です。
『18W(デフォルト)』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は 1920 × 1080 です。
ベンチマークテスト | バランス | ゲーム |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン | 11726 | 13436 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン | 10804 | 11708 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 ウィンドウ | 11428 | 12228 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 ウィンドウ | 9566 | 10775 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 | 8158 | 8640 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 ノートPC | 8462 | 8652 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 | 5450 | 5997 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 ノートPC | 6714 | 7098 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 最高品質 | 4973 | 5543 |
PCMARK 10 | 6136 | 6371 |
3DMARK Time SPY | 2585 | 2742 |
3DMARK Fire Strike | 6057 | 6594 |
3DMARK Night Raid | 22195 | 24482 |
CINEBENCH Release23 | 9528 | 10909 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1534 | 1545 |
連続稼働時間
GPD WIN 4 の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定「18W(デフォルト)」
上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は8時間46分でした。
重ためのゲーミング使用に限定した場合では、約1~3時間と見て良いでしょう。
処理の軽いゲームや作業で3~5時間といった感じです。
消費電力と供給電力の関係を考えると、モバイルバッテリーでの運用は厳しいです。
電源が確保できる環境での使用を推奨します。
まとめ
GPD WIN 4 は、GPD WINシリーズの最新作で Ryzen 7 6800U を搭載したモデルです。
PSP、PS Vita ライクな丸みのあるデザインで、画面・本体サイズは従来モデル(GPD WIN3)より大きく、光学式ポインティングデバイス、ジャイロセンサーを新たに搭載しています。
スライド式構造を備えたコンパクトな 6インチサイズ、隣り合わせのキー間隔が離れたアイソレーションタイプのバックライト付きキーボードを搭載したのは評価ポイントです。多才な操作方法が用意されており、単純な入力作業に割り切れば実用レベルで使えます。
ゲーミング体験だけにフォーカスすると、小さい画面サイズで視認性が悪く、ゲームコントローラーの操作性は良いとはいえません。しかし、一般的な PC操作などを含めると様々なシチュエーションで活躍できる唯一無二の Windows携帯ゲーム機であると実感します。
小型な本体サイズに対して、重心バランスが悪いためか『重さ』を感じてしまうのはマイナスポイントですが、ゲームだけでなく日常使いを想定している人、優れた操作性・インターフェースを求めている人に最適なモデルと評価します。
AMD Ryzen 7 6800U を搭載したモデルが続々と登場しています。
価格・スペック、重要視するポイントを整理したうえで、GPD WIN 4 を検討してみてください。
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