ポータブルゲーミングPC「GPD WIN4 2024」は、新たに AI機能を強化させた Ryzen 7 8840U を搭載した GPD WIN4シリーズのマイナーバージョンアップ版の第3弾です。
主要スペックは Windows 11 Home、6インチ(1920×1080、マルチタッチ)、AMD Ryzen 7 8840Uプロセッサ、AMD Radeonグラフィックス、メモリー32GB LPDDR5 7500MHz、ストレージ容量 2TB SSD を搭載しています。
GPD WIN4 2024 の価格・販売ストア
GPD WIN 4 2024 国内正規版は、国内外の通販ストアで販売しています。
保証・サポートなどを重視する人には、国内代理店での購入がおすすめです。
カラーラインナップはブラック、ホワイトの全2色。
下記は国内正規販売店 デントオンラインショップでの価格です。
・8840U / 32GB / 2TBモデル
販売価格:163,800円
デントオンラインショップ|公式ストア
GPD WIN4 2024 のスペック
GPD WIN4 2024 国内正規版のスペックです。
製品名 | GPD WIN4 2024 |
ディスプレイ | 6インチ、IPS、解像度 1920×1080、 16:9、マルチタッチ対応 |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U |
グラフィック | AMD Radeon 780M |
メモリ | 32GB LPDDR5X 7500Mhz |
ストレージ | 2TB M.2 2280 SSD |
インターフェース | USB4 Cポート OCulink(SFF-8612)ポート USB 3.2 Gen 2 Type-Cポート イヤホンジャック microSDカードスロット |
センサー・その他 | ステレオスピーカー ジャイロスコープ RGB LEDライト マイク、指紋認証 光学式ポインティングデバイス バックライト付きキーボード |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi6、Bluetooth 5.2 4G LTE(オプション) |
バッテリー | 45.62Wh |
大きさ | 220 × 92 × 28mm |
重さ | 598g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GPD WIN4 2024 のレビュー
GPD WIN4 2024 国内正規版をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
4. USB Type-C変換アダプター
5. 画面保護フィルム
6. ストラップ
メーカー保証に加え、国内修理サポートも付いてきます。
大きさ・重さ
大きさは 220 × 92mm × 28mm、重さは 605g(実測値)です。
PSP、PS Vita を連想させる丸みのあるオーバルデザインが特徴です。
GPD WIN4 2024 は、初代GPD WIN4、GPD WIN4 2023 に続く、マイナーバージョンアップの第3弾で、外観や形状はシリーズ共通です。
実際に持ってみると本体サイズに対して、『重さ』を感じやすいです。
ポータビリティに向いたサイズ感ですが、重量バランスが良いとはいえません。
サイズ感
わかりやすく ROG Ally 、Steam Deck と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ROG Ally | 7インチ | 280 × 111 × 21~32mm | 608g |
GPD WIN4 2024 | 6インチ | 220 × 92mm × 28mm | 598g |
Steam Deck | 7インチ | 298 × 117 × 49mm | 669g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さです。
PSP や PS Vita のようなデザインですが、サイズ感は大きめです。
しかし、競合他社のポータブルゲーミングPC と比べると小さいサイズです。
インターフェース
インターフェースは、上部にイヤホンジャック、OCuLink(SFF-8612)ポート、USB4 Type-Cポート、音量ボタン、電源ボタン。下部に USB 3.2 Gen 2 Type-Cポートを用意。
初代GPD WIN4 では上部に USB-Aポートが用意されている一方で、GPD WIN4 2023以降では OCuLink(SFF-8612)ポートに変更されています。
左右にはグリップがあり、手のひらで包み込むようにホールドします。
左側には microSDカードスロット(UHS-I規格)、マウス/ゲームパッドモード切り替えスイッチ、右側には BIOSリセットスイッチを用意しています。
正面にはゲームコントローラー、バックライト付きの物理キーボード(US配置)、マイク、指紋認証、光学式ポインティングデバイス、ステレオスピーカー、左下にはストラップホールを備えています。
そのほかにバイブレーション、ジャイロセンサー、ワイヤレス通信(Wi-Fi6、Bluetooth 5.2)を搭載しています。必要に応じて 4G LTEモジュール(オプション)、USBハブ、外付けGPU(eGPU)を活用しましょう。
L1/R1ボタンには、RGB LEDライト機能を内蔵しています。
発光自体はかなり弱めで、専用アプリでオン・オフ、RGBカラー・照明効果を変更できます。
スライド式キーボードにはバックライトが用意されています。
バックライトの輝度調整はなく、オン・オフのみ可能です。
背面左右にはカスタムボタン、左側には内蔵ファンを備えています。
静音タイプのシングル冷却ファンが搭載されています。
画面
あくまでも携帯ゲーム機としてのゲームプレイに特化した画面サイズです。
6インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:9)、解像度 1920×1080、画素密度 368PPI で、リフレッシュレートは 60Hz または 45Hz、マルチタッチスクリーンに対応しています。
ネイティブランドスケープ液晶を搭載しており、画面の向きは「横」表示です。
画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大310nit を記録しました。
明るさは普通で、屋内では十分に視認できても、屋外ではやや見にくい基準値です。
デフォルトの解像度が 1080p以上なのは重要で、720p表示にありがちな一部ゲームタイトルで画面が見切れたり、表示がおかしくなるといった不便さを感じることはありません。
操作性
操作性や持ちやすさは GPD WIN4シリーズ共通です。
十字キー、ABXYボタンの形状・大きさは PS Vita ほぼそのままのクローンです。
ABXYボタンサイズは 6.5mm、ストロークは 0.5mm と浅めですが確かな押し心地を実感できます。
小さいながらもシチュエーションに合わせた操作が可能です。
マウスとゲームパッドモードの切替、キーボード入力、タッチスクリーン操作に加え、光学式ポインティングデバイス、6軸ジャイロスコープを実装しています。
実測したところ、入力間の平均値は 3.87ms、ポーリングレートは 256Hz です。これは PC接続時の Xbox純正コントローラーよりも優れた反応速度を示しています。
本体のグリップは握るというよりも包み込む感じの持ち心地です。
例えるなら、厚みがおよそ2倍ある PS Vita を操作している感じです。
L1/R1はマイクロスイッチ、L2/R2ボタンはアナログトリガーで最大27度のストロークです。
RGB LED のライトは最大輝度にしても目立たないため、非搭載でも良かったように思えます。
小さいながらも物理キーボードを搭載していることはアドバンテージです。
液晶ディスプレイを上下移動できるスライド機構を採用しており、手動でスライドさせることでキーボードのバックライト機能が有効化(標準設定)します。
キーは指先で押すのに適したサイズ(7.5mm)で、隣り合わせのキー間隔が離れたアイソレーションタイプです。単純な入力作業に割り切って使うことを考えれば実用レベルに使えます。
専用アプリ
専用アプリ『WinControls』で各ボタンの設定・変更、カスタマイズが可能です。
バイブレーション機能の有無(強・弱・オフ)、RGB LEDライトのカラー変更も設定できます。
それ以外に特出した機能はなく、シンプルで直感的な設定画面です。
製品出荷時には機能が追加されている可能性があります。
TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使います。
簡単に設定できる専用アプリの提供はなく、ユーザーフレンドリーではありません。
ユーザー自身で自由に変更・設定が可能で、熟知している人向けといえそうです。
そのほかに Power Control Panel、Playnite などのサードパーティ製アプリを使うことを推奨しています。
https://gpd.hk/download
ゲーム動作
高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
ゲーム設定を見直すことで、60FPS で快適なゲームプレイが可能です。
『RSR(Radeon Super Resolution)』や『FSR(FidelityFX Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、『レイトレーシング』にも対応しており、水面や鏡、窓などのリアルな映像表現が可能です。
また、事前に「ウィンドウゲームの最適化」を設定しておく必要がありますが、『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』を有効にすることで、ゲームを問わずフレームレートを増やすことが可能です。原理的に入力遅延やフレーム遅延が発生するので、実際の効果を確認しながら有効化することを検討する必要があります。
いずれの機能も小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
VRAM は標準で 8GB(最大16GB)で、メモリークロック周波数は最大7500MHz です。
TDP 28W 設定で、サイバーパンク2077 や Forza Horizon 5、Diablo 4、エルデンリング、Lies Of P は 60FPS で動作し、Starfield や ARMORED CORE VI についても 30FPS以上で快適に動作します。
ゲームの動作確認としては、Ryzen 7 7840U と Ryzen 7 8840U ではゲームパフォーマンスは同等と見て良いでしょう。特に体感的な違いを感じることができませんでしたが、今後拡大する Windows 11 の AI機能などで性能を発揮できる可能性があります。
ストレージ状態
GPD WIN4 2024 のストレージ容量は 2TB です。
ストレージ(2TB)は、パーティション分割されており、専用アプリの導入はなく、AMD Software: Adrenalin Editon がプリインストールされていました。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを連打します。
- Boot メニューが表示されたら「Start」をタッチします。
- しばらく待つと完了です。
GPD WIN 4 2024 のベンチマーク
GPD WIN4 2024 のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
冷却能力自体は GPD WIN4シリーズ共通で、特に改善などはされていないようです。
最大温度は 80度を超えましたが、一定時間経過後には 30~40度台で安定します。
ゲームプレイでは、右グリップに体感的な温かさを感じます。
ほかのメーカーの Windows携帯ゲーム機と比べると内蔵ファンの風切り音は小さめですが、没入感があるゲームミュージックを楽しむにはイヤホンが必須です。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
Western Digital WD BLACK SN770 を採用しています。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
microSDカードスロットの理論速度は、読み取り 160MB/s、書き込み 90MB/s です。
ベンチマークテスト結果
TDP設定『18W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
メモリー周波数は、最大値である 7500Hz に設定しています。
ベンチマークテスト | 18W | 28W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 4590 | 5303 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3564 | 3991 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2694 | 3025 |
ブループロトコル 低画質 | 11865 | 13894 |
ブループロトコル 中画質 | 6271 | 7632 |
ブループロトコル 高画質 | 5642 | 6754 |
ブループロトコル 最高画質 | 4282 | 5054 |
PCMARK 10 | 6769 | 7170 |
3DMARK Time SPY | 2939 | 3322 |
3DMARK Fire Strike | 6751 | 7751 |
3DMARK Night Raid | 23939 | 28895 |
CINEBENCH Release23 | 10821 | 13515 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1723 | 1761 |
初代GPD WIN4(Ryzen 7 6800U)よりもパフォーマンスは大きく向上しています。
Ryzen 7 77840U 搭載機とのパフォーマンスの違いはわずかです。
Windows携帯ゲーム機「GPD WIN 4」は、スライド式構造を備えた 6インチサイズ、PSP や PS Vita を連想させるオーバルデザイン、物理キーボードを含めた汎用性の高さが魅力の AMD Ryzen 7 6800U […]
連続稼働時間
GPD WIN4 2024 の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定「18W(デフォルト)」
- RGB LEDライト:ON
強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は8時間でした。
処理の重いゲームや作業では、約1~3時間と考えて良いでしょう。
通常のゲームや作業で3~6時間、軽い処理のゲームや作業では10時間とされています。
まとめ
GPD WIN4 2024 は、これまでの使い心地やデザインをそのままに、新たに AI機能を強化させた Ryzen 7 8840U を搭載した GPD WIN4シリーズのマイナーバージョンアップ版の第3弾です。
何といっても PSP や PS Vita ライクな丸みのあるオーバルデザインと、スライド式構造を備えた6インチ液晶ディスプレイ、バックライト付きキーボードが特徴です。シチュエーションに合わせた操作が可能です。
GPD WIN4 2023以降では USB-Aポートに代わり、OCuLink(SFF-8612)ポートが搭載されています。幅広いニーズを満たすという意味ではメリットですが、外付けeGPU を使わないユーザーのことを考えると USB-Aポートの方が良かったように思えました。
新たに Ryzen 7 8840U に刷新したことで、ゲームパフォーマンスの向上が期待されますが、体感的な性能差は Ryzen 7 7840U 搭載機と大きく変わりません。初代GPD WIN4 を使っていて性能不足を感じているユーザーや、これから購入するユーザー向けと評価します。
競合他社からも AMD Ryzen 7 8840U に刷新したモデルが続々とリリースされています。
価格やスペック、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
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