モバイルゲーミングPC「GPD WIN Max 2 2023」は、ゲームだけでなくビジネスユースにも活躍できるモデルです。AMD Ryzen 7000シリーズを搭載した現行モデルのアップグレード版という位置づけで、拡張性の高さとインターフェースの豊富さが魅力です。
主要スペックは、Windows 11 Home、AMD Ryzen 5 7640U / AMD Ryzen 7 7840Uプロセッサ、超狭額ベゼル 10.1インチ(2560 × 1600、16:10)、ストレージ容量 1TB / 2TB を搭載。メモリー 16GB / 32GB / 64GB、LTEモジュール(オプション)を搭載しています。
GPD WIN Max 2 2023 の価格・販売ストア
GPD WIN Max 2 2023 は、国内外の通販サイトで取り扱われています。
下記は国内正規販売店 デントオンラインショップでの価格です。
スペックが異なる6つのモデルの予約を受付中です。
2023年8月中旬から出荷予定です。
Ryzen 5 7640Uモデル
・16GB / 1TB 132,000円
・16GB / 1TB / LTE内蔵 146,000円
Ryzen 7 7840モデル
・32GB / 2TB 178,300円
・32GB / 2TB / LTE内蔵 192,300円
・64GB / 2TB 201,400円
・64GB / 2TB / LTE内蔵 215,400円
GPD WIN Max 2 2023 のスペック
GPD WIN Max 2 2023 のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | GPD WIN Max 2 2023 | |
ディスプレイ | 10.1インチ、IPS、解像度 1920×1200(最大解像度 2560×1600)、 16:10、10点マルチタッチ、4096段階筆圧感知 | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 5 7640U | AMD Ryzen 7 7840U |
グラフィクス | AMD Radeon 760M | AMD Radeon 780M |
メモリ | 16GB LPDDR5X 7500Mhz | 32GB / 64GB LPDDR5X 7500Mhz |
ストレージ | 1TB M.2 2280 SSD | 2TB M.2 2280 SSD |
インターフェース | USB4ポート、 USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、 USB 3.2 Gen2 Type-A × 2、 OCuLink(SFF-8612)ポート、 PCIe4.0対応 M.2 2230スロット(最大16TB(スロット毎に最大8TB))、 HDMI 2.1ポート、イヤホンジャック、 SDカードスロット、microSDカードスロット | |
センサー・その他 | ゲームコントローラー、 バックライト付キーボード、 モーションセンサー、指紋認証、 カメラ、マイク | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi6、Bluetooth 5.2、 4G LTE(オプション) | |
バッテリー | 67Wh | |
大きさ | 227 × 160 × 23mm | |
重さ | 1005g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
現行モデル(GPD WIN Max 2)との大きな違いは、搭載されている CPU、メモリクロック、外付けGPU(GPD G1)と接続するための OCulink(SFF-8612)ポートです。
GPD WIN Max 2 2023 のレビュー
モバイルゲーミングPC「GPD WIN Max 2 2023」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 100W 電源アダプタ
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 227 × 160 × 23mm、重さは 1040g(実測値)
一般的なノートパソコン(12インチ)より小さく、重さは同等といった感じです。
片手で持つとずっしりとした重さを感じます。
本体筐体(金属素材、ABS樹脂素材)のビルドクオリティは高く、堅牢性もしっかりしています。本体カラーは赤みのある色合いのラスティブラックです。
わかりやすく、直近に販売された GPD製品を比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
GPD WIN Max 2 2023 | 10.1インチ | 227 × 160 × 23mm | 1005g |
GPD WIN Max | 8インチ | 207 × 145 × 26mm | 790g |
GPD WIN 4 | 6インチ | 220 × 92 × 28mm | 598g |
これまでにリリースされた GPD製品で、最も大きく、重たいモデルです。
使用目的や持ち運びの便利さなどを考慮すると良いでしょう。
インターフェース
インターフェースは、背面にイヤホンジャック、OCuLink(SFF-8612)ポート、HDMIポート、USB4ポート(Thunderbolt 4)、USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、フロントカバー収納があります。
前面には電源ボタン一体型の指紋認証センサーがあり、左右端に4つのウルトラリニアスピーカーが用意されています。
左側に microSDカードスロット、SDカードスロット、BIOSリセットホール。
右側には、USB 3.2 Gen2 Type-Aポートを2つ備えています。
正面にはゲームコントローラー、キーボード、ヒンジ部に200万画素ウェブカメラを内蔵。
背面には 4G/LTEモジュールスロット、M.2 2230 SSDスロットを用意しています。
背面右側には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
静音タイプの冷却ファンを採用していますが、通常使用時にはまったく気になりません。
ただし、重めのゲームプレイ時に風切り音は一時的に大きくなり気になります。
一般的なゲーミングノートPC並みと評価します。
画面
超狭額ベゼル 10.1インチ液晶ディスプレイ(16:10)、解像度 2560×1600(標準 1920×1200)、画素密度 299PPI です。マルチタッチスクリーンで、操作・感度は良好です。
画面の向きは「横」向きですが、ネイティブランドスケープの液晶かは不明です。
リフレッシュレート(40Hz、60Hz)で、ゲーミングユースがメインであれば、標準設定の 1920 × 1200 で十分です。
ビジネスユースで外部モニターに映し出すのであれば最大解像度 2560 × 1600 がおすすめです。液晶ディスプレイの黄ばみ・青みもなく、輝度は 40%~50% で十分といった感じです。
4096段階筆圧スタイラスペンに対応しています。
ただし、折りたためる構造(最大180度)ではないので実用的に使えるとはいえません。
ビジネスライクなメモ書きや、ちょっとした落書き・画像編集作業に向いています。
操作性
GPD WIN Max 2 2023 の操作性・持ちやすさは『賛否両論』と評価します。
ABXYボタンサイズは 6.5mm、ストロークは 0.5mm と浅めですが確かな押し心地を実感できます。L2/R2ボタンはアナログトリガーを採用しています。
本体左側には、左アナログスティック、方向ボタン、マウス⇔ゲームパッドの切り替えスイッチを配置。
本体右側には、縦並びに SELECTボタン、MENUボタン、STARTボタン、右アナログスティック、ABXYボタンを配置しています。
背面左右にはカスタムボタンを追加し、専用アプリ WinControls で設定・変更が可能です。
バイブレーション機能の有無(強・弱・オフ)も設定できます。
ゲーミングユースだけにフォーカスすると、本体の大きさ・重さはネックです。
テーブル上で本体を支えながらの両手持ちスタイルがおすすめで、長時間のゲームプレイには向いていません。
ノートPCライクな形状に対してコントローラーの操作性は良いと評価します。
簡単にいえば『コントローラー付きの小型ノートPC』なので、ゲーミングだけに特化した Windows携帯ゲーム機の操作性・持ちやすさには劣ります。
一方で通常使い・ビジネスユースの使いやすさは実用的です。
ビジネスシーンにふさわしくないゲームコントローラーをフロントカバーで隠せるほか、本体サイズに合わせて大きくなったバックライト付きキーボードは打ちやすくなりました。
トラックパッドの位置については賛否両論です。
ゲームコントローラー、キーボード、タッチパネル、スタイラスペン対応といった多種多様な操作方法が備わっているのは評価ポイントです。
TDP変更
TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使います。
簡単に設定できる専用アプリの提供はなく、ユーザーフレンドリーではありません。
ユーザー自身で自由に変更・設定が可能で、熟知している人向けといえそうです。
そのほかに Handheld Companion、Handheld Control Panel、Playnite などのサードパーティ製アプリを使うことを推奨しています。
ゲーム動作確認
高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
遊ぶゲームタイトルに合わせた画面設定(テクスチャクオリティ、品質、解像度など)の変更が必須です。
ゲーム設定を見直すことで、60FPS で快適なゲームプレイが可能です。
TDP(Thermal Design Power)設定を最大 28W まで変更できるため、画面サイズ・解像度の関係もあり、体感的にほぼ同等に動作します。
『RSR(Radeon Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、『レイトレーシング』にも対応しており、水面や鏡、窓などのリアルな映像表現が可能です。
RSR(Radon Super Resolution)を有効化してディスプレイ解像度を高めに設定し、ゲームを起動してゲーム解像度をぐっと下げる(ディスプレイ解像度より低くする)ことで RSR が機能します。
VRAM は標準で 3GB となっていて、GPUクロック周波数は最大 7500MHz です。TDP 28W 設定で、原神や Forza Horizon 5、エルデンリングも 60FPS で動作します。
さらに、外付けGPU『GPD G1』を接続することで、デスクトップPCレベルのパフォーマンスを発揮することも可能です。こちらの記事をご確認ください。
世界最小クラスのeGPU「GPD G1」は、Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスです。USB4(Thunderbolt 3/4)/ OcuLink接続と豊富なインタ[…]
ストレージ状態
GPD WIN Max 2 2023 のストレージ容量は 1TB/2TB です。
ストレージ(1TBモデル)はパーティション分割されています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを連打します。
- Boot メニューが表示(横向き表示)されたら「Start」をタッチします。
- しばらく待つと完了です。
GPD WIN Max 2 2023 のベンチマーク
GPD WIN Max 2 2023(64GB / 2TBモデル・試作機)のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 80度を超えましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
ゲームプレイ・負荷がかかる状況でも、体感的な温かさを感じます。
内蔵ファンの風切り音は負荷がかかる際にかなり大きくなるので、没入感があるゲームミュージックを楽しむにはイヤホン装着をおすすめします。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD(BIWIN製SSD)のストレージ速度です。
現行モデル(GPD WIN Max 2)より高速な PCle4.0規格の SSD が搭載されています。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ストレージ速度(SDカード)
SDカードのストレージ速度です。
SanDisk Extreme Pro SDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
バッテリー情報
バッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。
ベンチマークテスト結果
GPD WIN 4 のベンチマークテスト結果です。
『18W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は 1920 × 1080 です。
以下は GPD WIN Max 2 2023(解像度 1920 × 1080、拡大/縮小 100%)での結果です。
現行モデル(GPD WIN Max 2)よりも、すべてのスコアが上回っています。
ベンチマークテスト | 18W | 28W |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン | 13732 | 14720 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン | 12149 | 12995 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 ウィンドウ | 11134 | 13377 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 ウィンドウ | 9638 | 11571 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 | 7532 | 7908 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 ノートPC | 7346 | 8089 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 | 5457 | 5716 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 ノートPC | 6497 | 6742 |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 最高品質 | 5281 | 5650 |
ブループロトコル 低画質 | 12284 | 12786 |
ブループロトコル 中画質 | 6807 | 7085 |
ブループロトコル 高画質 | 6035 | 6227 |
ブループロトコル 最高画質 | 4064 | 4683 |
PCMARK 10 | 6126 | 6498 |
3DMARK Time SPY | 2719 | 3110 |
3DMARK Fire Strike | 6461 | 7387 |
3DMARK Night Raid | 23688 | 28065 |
CINEBENCH Release23 | 10000 | 13453 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1714 | 1798 |
駆動時間
駆動時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定 18W
上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は8時間20分でした。
重ためのゲーミング使用に限定した場合では、設定によっては1~3時間と見て良いでしょう。
普通程度のゲームや作業で6~8時間、処理の軽いゲームや作業で14時間とされています。
まとめ
GPD WIN Max 2 2023 の最大の特徴は『汎用性の高さ』です。
Ryzen 7 7000シリーズ搭載の高いパフォーマンスは、ゲーミングだけでなくビジネスユースにも活躍できます。また、現行モデルにはない外付けGPU と接続するための OCulink(SFF-8612)ポートを用意しています
超狭額ベゼルを採用した 10.1インチディスプレイ、ゲームコントローラーを隠せるフロントカバー、指紋認証機能、大きく・操作しやすくなったキーボード・タッチパッド、豊富なインターフェースは評価ポイントです。
一方で、ゲーミングユースだけにフォーカスすると、本体の大きさ・重さはネックとなります。
本体を支えながらの両手持ちスタイルなので、形状に対して操作性は良いものの、長時間のゲームプレイには向いていません。
総合的に評価すると、実用性能・機能が高く、デメリットを上回るメリットが感じられます。
価格・スペックを十分に理解したうえで、使い方に縛られない、高い汎用性を求める1台を求めている人向けのデバイスと評価します。
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