
Androidゲーム機「AYN Odin2 Portal」は、AYN Odinシリーズ最大となる 7インチ有機ELディスプレイを搭載したモデルです。主要スペックは既存モデルと同等ですが、フロントデザインには全面ガラス張りを採用し、丸みを帯びた薄型のオーバルデザインが特徴です。
AYN Odin2 Portal の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYN Odin2 Portal について
AYN Odin2 Portal に関する情報をまとめたページです。
クラウドファンディングサイト Indiegogo で出資した実機です。
提供品の有無にかかわらず、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア

AYN Odin2 Portal は、公式ストアの専売商品です。
カラーラインナップは、ホワイト、ブラック、インディゴの全3色。
プレセールを開始しており、2024年2月下旬より発送予定です。
スペックが異なる3モデルを販売しています。

・Base(8GB / 128GB)ブラックのみ
販売価格:329ドル(送料別途)
・Pro(12GB / 512GB)
販売価格:399ドル(送料別途)
・Max(16GB / 1TB)
販売価格:499ドル(送料別途)
将来的には、AliExpressストアでも取り扱いが予定されています。
製品仕様とスペック
AYN Odin2 Portal のスペックについて詳しく見ていきます。
製品名 | AYN Odin2 Portal |
画面 | OLED 7インチ、タッチスクリーン 解像度 1920 × 1080、16:9 |
システム | Android 13 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 |
GPU | Qualcomm Adreno 740 |
RAM | 8GB / 12GB / 16GB LPDDR5x |
ストレージ | 128GB / 512GB / 1TB |
インターフェース | USB 3.1 Type-C イヤホンジャック microSDカードスロット デュアルフロントスピーカー マイク バイブレーション アクティブ冷却ファン RGBライトエフェクト |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3 |
バッテリー | 8000mAh |
大きさ | 257 × 98.6 × 17.2mm |
重さ | 430g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYN Odin2 Portal のレビュー
AYN Odin2 Portal(16GB / 1TB)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1. マニュアル(英語のみ)
2. 合格証
3. 交換パーツ(ABXYボタン、キャップ)
4. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ

大きさは 257 × 98.6 × 17.2mm、重さは 441g(実測値)です。
リリース当初よりもバッテリー容量が増量されたことで、本体の厚みや重さはやや増しています。しかし、重さは「標準」に収められており、過度に重く感じることはありません。
表面には両端が曲線を描くオールガラスデザインが採用されています。
薄型デザインながら、大きさとのバランスが取れており、成形精度や組み立て精度も高い仕上がりとなっています。
直近にリリースされた Retroid Pocketシリーズと AYN Odinシリーズが似ていると指摘されることがありますが、それもそのはず、どちらも Moorechip Technologies 傘下の企業による製品だからです。この関係性を知ると、共通点が多い理由も納得できます。
サイズ感

参考として、PS Vita(PCH-2000)や Nintendo Switch を並べてみました。
AYN Odin2 Portal のサイズ感がよくわかります。
Nintendo Switch(有機EL)よりも横幅は 15mm ほど大きく、重さは約20g ほど重いです。
そのため、ポケットに収まるようなサイズ感ではありません。

続いて、Androidゲーム機の Retroid pocket 5 と AYANEO Pocket S も並べてみました。
AYN Odin2 Portal の本体サイズと画面の大きさが際立ちます。
任天堂の携帯型ゲーム機を基準にすると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。AYN Odin2 Portal はこの基準を満たしています。
インターフェース

インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタンを備えています。下部に microSDカードスロット、イヤホンジャック、USB Type-Cポートが配置されています。
本体正面の左右にはデュアルフロントスピーカーが備わっており、ボリュームも十分、音質もクリアで高音質です。

ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 7 および Bluetooth 5.3 を搭載しています。
バイブレーション機能やマイクに加え、バッテリー劣化を防ぐバイパス充電にも対応しています。
残念ながら、映像出力端子(miniHDMI)や指紋認証機能は非搭載です。
※USB Type-C に DP出力機能はあり。

アナログスティック周りには RGBライトエフェクトが搭載されています。
クイック設定パネルから LED のオン・オフ、輝度、RGBカラーの変更が可能です。
単純な明るさの変更だけでなく、左右それぞれに異なる色を割り当てたり、色の濃さや鮮やかさも細かく調整できる仕様になっています。

交換パーツとして、ABXYボタンやキャップが用意されています。
ABXYボタンを交換するのには本体の分解が必要となるため、難易度はやや高めです。
本体を分解せずにボタン単体で取り外して交換できる仕様であれば、より扱いやすく、ユーザーにとって利便性の高い設計になっていたと思います。

背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口から熱を放出します。
静音タイプのアクティブ冷却ファンを搭載しており、長時間のゲームプレイでも快適に使用できます。
騒音計で計測したところ、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは、最小で測定不能、最大で 38dB でした。風切り音はわずかに聞こえるものの、全体的にはかなり静かです。
画面

AYN Odinシリーズ最大の 7インチの有機ELディスプレイ(OLED)を搭載しています。
全面ガラス張りとベゼルレスが特徴で、アスペクト比は 16:9 で、解像度は 1920 × 1080、画素密度は 315PPI です。マルチタッチスクリーンで、鮮明で色彩豊かな表示が可能です。
ネイティブがポートレート(縦長)であり、リフレッシュレートは最大120Hz です。
液晶とガラスレンズの隙間がない、フルラミネーションディスプレイを採用しています。
設定画面の「カラー」項目から、自分好みの色味や色彩に調整することも可能です。

明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大900nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 119Hz、呼び出しレートは平均 116Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
有機ELならではのメリハリのあるコントラストと、高い最大輝度が特徴です。
AYN Odinシリーズの中で最大の画面サイズを採用し、高い視認性を実現しています。
幅広いゲームジャンルに対応できる、汎用性に優れた解像度の有機ELディスプレイです。
解像度とアスペクト比に関しては、定番レトロゲームを遊ぶ際には余白が出る、またはストレッチ(引き伸ばし)表示となる場合がある点に留意が必要です。そのため、エミュレーターによっては、適切な表示設定を調整する必要があります。
操作感

AYN Odinシリーズで最大のボタンサイズを採用し、指の置きやすさも向上しています。
ABXYボタンサイズは 8.3mm で、ストロークは 1.3mm で、メンブレン方式を採用。方向ボタンにはドームスイッチを使用し、L2 / R2ボタンにはアナログトリガーを搭載しています。
アナログスティックは、既存製品と同じサイズのものに加え、一般的なコントローラーサイズの交換パーツも用意されています。さらに、ホール効果センサーを搭載することで、経年劣化や摩耗によるドリフト現象が発生しにくい仕様となっています。

ABXYボタンはパチパチとした音がやや大きめで操作の確実性を重視しており、方向ボタンはしっかりとした底打ち感のある押し心地です。さらに、LRボタンは大きめで操作しやすく、背面ボタンを任意ボタンに割り当てることも可能です。
コントローラー部分には窮屈さがなく、指の置きやすいスペースが確保されています。
アナログスティックの高さもあり可動域は広め、ABXYボタン操作時にアナログスティックへ指が触れにくい設計となっています。

アナログスティックの配置は左右対称ではなく、対角線上に配置されています。
本体サイズに合わせた浅めのグリップ形状により、握るというよりも包み込むようなフィット感があります。
ただし、滑りやすい形状と質感のため、グリップ力はやや低めに感じることもあります。
特に手汗をかきやすい方は、滑りやすさに注意が必要です。

また、LRボタンには滑り止めのテクスチャー加工が施されていますが、背面側に加工がなく、その点はやや残念です。グリップ力や滑り止めの問題については、別売りのグリップカバーを使用することで解決できます。
ちなみに、グリップカバー(Odin2 Portal TPU Grip)は、本体カラーに合わせた3色が販売されています。気になる方は本体と一緒に購入すると良いでしょう。

アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も広めです。
実際の操作では気になることはありませんが、斜め方向の可動域が、測定結果上では他の方向よりも狭くなっています。
Androidゲーム機全般として、エミュレーターアプリの種類が豊富という利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があるようです。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はないでしょう。
システム

システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
プリインストールされているアプリは必要最小限で、エミュレーターアプリの導入や設定を自身で行う必要があります。
ホームアプリは標準の『Quickstep』と 独自UI の『Odin Launcher』を選択できます。
Odin Launcher では、表示するアプリやクイック設定パネルの機能を左右のスワイプ操作で変更できます。

画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスや内蔵ファンモードの切り替え、ホバーアイコンのオン/オフなどの切り替えが可能です。
エミュレーターを使用する際、ナビゲーションボトムバーが邪魔になることがあります。
そのような場合は、「システム」→「ジェスチャー」→「システムナビゲーション」から設定を選択し、ホームバーをオフにすると良いでしょう。

ホバーアイコンをオンにすると、ゲーム起動後に画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。リマッピング機能である「ボタンアダプテーション」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。
システム全般はこれまでの AYN Odinシリーズと共通と考えて良いでしょう。
OTAアップデートに対応しており、継続的なシステムの改善が期待できます。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は、AYN Odin2 と同じトップレベルです。
Snapdragon 8 Gen 2 を搭載しており、Antutuベンチマークスコア(V10)は 160万点台を記録しています。また、パフォーマンスモードの設定によりスコアに若干違いが見られます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita、それ以上のゲームタイトルが高解像度かつフルスピードで実行可能です。

同社の AYN Odin2シリーズや AYANEO Pocket S や EVO とほぼ同等のパフォーマンスを発揮します。ただし、一部のエミュレーター(Wii Uなど)やゲームタイトルについては、顕著に遅くなったり、操作が不安定になることが確認されています。
Linuxベースの中華ゲーム機とは一線を画していて、設定やフレームレートの調整に頼ることなく、圧倒的なスペックパワーで余裕を持って動作します。ほとんどのゲームタイトルが問題なく快適に動作します。
ゲームアプリ

デバイス負荷が高めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』、『ゼンレスゾーンゼロ』などは、グラフィック設定「最高」で動作します。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことができます。
パフォーマンスモードを Performance 以上に設定すればフレームレートの向上も期待できます。アナログスティック操作も最適化されており、必要に応じてビューモードなどの感度調整を行うと良いでしょう。

また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
ポータブルゲーミングPC と同等の画面サイズを実現しており、さらにリフレッシュレートは最大120Hz に対応しています。エミュレーターに加え、ゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)でも十分に活躍できます。
同サイズの画面を搭載したポータブルゲーミングPC と比較すると、150g~250g ほど軽量なため、長時間のゲームプレイでも負担が軽減されます。
まとめ

AYN Odin2 Portal は、Snapdragon 8 Gen 2 を搭載した Androidゲーム機です。
最大120Hzのリフレッシュレートに対応し、Odinシリーズ最大の画面を搭載したモデルです。
同社の AYN Odinシリーズの基本スペックをベースに、表面には両端が曲線を描くオールガラスデザインを採用。視認性に優れた 7インチ有機ELディスプレイ(OLED)を搭載し、さらにバッテリー容量の増加や冷却能力の強化も大きなポイントになっています。
また、コントローラー部分には窮屈さがなく、ボタンサイズも大きめで、指の置きやすいスペースも確保されています。一方で、Androidゲーム機としては本体サイズが大きく、持ち運びにはやや不向きな点や、グリップが浅めで滑り止め加工が施されていない点については、好みが分かれるかもしれません。
競合他社の AYANEO Pocket EVO と比較すると、システム機能や付加価値の面では劣りますが、同等のパフォーマンスを発揮するスペックを備え、薄型・軽量設計で、価格面でも優位に立っています。様々なエミュレーターやゲームアプリ、クラウドゲーミング(PCゲーム)も楽しみたいというニーズに応えるモデルと評価します。
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