Androidゲーム機「AYANEO Pocket S」は、システムに Android 13、SoC に Snapdragon G3x Gen2プロセッサ、画面サイズは 6インチを搭載した次世代のフラッグシップモデルです。超薄型デザインと高いスペックが特徴です。
AYANEO Pocket S の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能やゲームパフォーマンスについてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
AYANEO Pocket S の価格・販売ストア
AYANEO Pocket S は、国内正規版が販売されています。
カラーバリエーションは、アイスソウルホワイト、オブシティアンブラックの全2色。
画面解像度とスペックが異なる複数モデルをリリースしています。
2024年7月上旬に発売予定で、2024年7月中旬に発送予定です。
1440Pモデルは、ハイビーム公式オンラインストア、Amazon での限定販売です。
・1080P / 12GB / 128GB
販売価格:89,800円
・1080P / 16GB / 512GB
販売価格:109,800円
・1080P / 16GB / 1TB
販売価格:119,800円
・1440P / 12GB / 128GB
販売価格:94,800円
・1440P / 16GB / 512GB
販売価格:114,800円
AYANEO Pocket S のスペック
AYANEO Pocket S のスペックを詳しく見ていきます。
一部のモデルについては、国内正規版として販売されていません。
製品名 | AYANEO Pocket S | |
モデル | 1080P Edition | 1440P Advance Edition |
画面 | 6インチ、ベゼルレス IPS 解像度 1920 × 1080、16:9 368PPI、マルチタッチ | 6インチ、ベゼルレス IPS 解像度 2560 × 1440、16:9 490PPI、マルチタッチ |
OS | Android 13 | |
SoC | Snapdragon G3x Gen2 | |
RAM | 12GB / 16GB | |
ストレージ | 128GB / 512GB / 1TB | |
インターフェース | USB Type-Cポート microSDカード | |
その他 | Masterコントローラー | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3 | |
バッテリー | 6000mAh | |
大きさ | 213.9 × 85 × 14mm | |
重さ | 350g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO Pocket S のレビュー
海外クラウドファンディングで出資をした AYANEO Pocket S をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル(本体、専用アプリなど)
2. USB Type-Cケーブル
出資特典
クラウドファンディングの出資特典は下記のとおりです。
1. マグネット
2. マウスパッド
3. ピンバッジ
4. キーホルダー
5. ジョイスティックキャップ
6. スクリーンプロテクター(専用ガラスフィルム)
7. ステッカー
8. トートバッグ
一般販売時に付属するものではありません。
専用アクセサリー
ユーザーニーズに合わせた専用アクセサリーが用意されています。
・スクリーンプロテクター(専用ガラスフィルム)
・エルゴノミックケース(専用保護ケース)
・マグネットフリップケース
専用ケースは本体に対してジャストフィットです。
そのため、一度装着するとスムーズに取り外すことは困難です。
大きさ・重さ
大きさは 213.9 × 85 × 14mm、重さは 360g(実測値)です。
金属フレームとプラスチックを組み合わせた筐体で、同程度の画面サイズの Android ゲーム機より軽いのがポイントです。
約10年前に発売された Snail社の Muchi W1 や W3D の再来を思わせるデザインで、表面にはオールガラスを採用しています。そのため、落下などの不慮の事故には十分に気を付ける必要があります。
全体的なビルドクオリティは過去最高レベルで、成形精度や組み立て精度は高く、堅牢な作りになっています。チープな印象は一切なく、まさに完成形を思わせるデザインとなっています。
サイズ感
参考としてNintendo Switch、PS Vita(PCH-2000)と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch 有機ELモデル | 7.0インチ | 242 × 102 × 13.9mm | 420g |
AYANEO Pocket S | 6インチ | 213.9 × 85 × 14mm | 350g |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
Nintendo Switch 有機ELモデルよりも小さく軽いです。
画面サイズは Switch と Switch Lite の中間のサイズですが、画面の解像度は圧倒しています。
競合他社の Androidゲーム機である AYN Odin2 や同社の AYANEO Pocket AIR よりも、薄型かつ軽量でサイズが小さいのもポイントです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
AYN Odin2 | 6インチ | 225 × 98 × 17mm | 420g |
AYANEO Pocket S | 6インチ | 213.9 × 85 × 14mm | 350g |
AYANEO Pocket AIR | 5.5インチ | 224 × 89.5 × 17mm | 380g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。この基準を AYANEO Pocket S は満たしています。
インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン一体型の指紋認証センサーと音量ボタンが配置されています。下部には USB 3.2 Gen2 Type-Cポートがあり、左右にはステレオスピーカーを備えています。ただし、イヤホンジャックは非搭載です。
セキュアなログインを可能にする指紋認証センサーを搭載しているのはポイントです。
また、オーディオ振動システム SoundTAPMagic(音声を自動解析して振動に変換)を採用しています。
左側には microSDカードスロット、右側にはパフォーマンス切り替え用のスイッチが用意されています。このパフォーマンス切り替え用スイッチは、スライドするたびに Saving → Balance → Game→ Max の順にローテーションで切り替わります。(AYA Quick Tool でも変更可)
その他に 6軸ジャイロスコープとマイク、バイブレーション機能が搭載されています。
マスターコントローラー(ホールジョイスティック、ホールトリガー)を採用しています。
左右のアナログスティック周りに RGBライトエフェクトを搭載しています。
LED のオン・オフや輝度調整、RGBカラー・照明効果の変更が可能です。
通信機能は Wi-Fi 7 と Bluetooth 5.3 に対応しています。
SIMカードスロットは非搭載です。
本体下部には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
静音性に優れたアクティブ空冷システムが搭載されており、表面温度は MAX 38度~44度を計測しました。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~最大 40dB で普通です。ファンモードをオートにした場合、風切り音はほとんど気になりません。
画面
6インチのベゼルレス液晶ディスプレイを搭載しています。
アスペクト比は 16:9 で、解像度は 1080P版(1920 × 1080、画素密度 368PPI)または 1440P版(2560× 1440、画素密度 490PPI)のマルチタッチ画面です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは 60Hz です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。
画面の明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大406nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 60Hz、呼び出しレートは平均 93Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
1440P版の高解像度は、Wii や PS2 などのエミュレーターを楽しむのに最適です。
3倍以上の解像度を縮尺させることなく、表現できるのがポイントです。ただし、定番レトロゲームの一部では画面比率 16:9 には適していないことに留意が必要です。
操作性
AYANEO独自のマスターコントローラーを搭載しています。
ABXYボタンサイズは 7.2mm で、1.0mm のストロークを持ち、押し心地は良好です。主要な操作ボタンはメンブレン方式を採用しています。
方向ボタンと ABXYボタンは PS Vita のようなボタンデザインを採用しています。
ボタンの押し心地は、底打ち感が軽く、PSPのボタンに近い感触です。また、左右の LB/RBボタンはスコスコ抜けるような押し感があります。
右側には ABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタンが配置されています。
AYAボタンは長押しで専用アプリ AYASpace画面、短押しで簡素な AYA Quick Tool表示に切り替わります。
左側には ホームボタン、アナログスティック、十字ボタン、ビューボタン(SELECT)、メニューボタン(START)が配置されています。
アナログスティックは経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
トリガー(LT/RTボタン)は、ストロークは浅めでレースゲーム向けではなく、FPSなどのシューティングゲームに適した設計になっています。引き起こしの力加減を掴みやすく、瞬時の操作や応答性に優れています。
標準ではグリップがなく握り心地については賛否両論です。
ただし、専用アクセサリーのエルゴノミックケース(専用保護ケース)やマグネットフリップケースを装着することで、より快適な持ち心地を実現できます。
アナログスティックのデッドゾーンや可動域は最適化されています。
一般的なゲーミングコントローラーと比べると、軸がややズレる傾向にあります。この部分については設定変更して調整、システムアップデートで改善される可能性があります。
各種ボタンのキーマッピング機能も搭載しています。
ゲームアプリの画面操作を任意のコントローラーボタンに割り当てることができます。
=ボタンと LC/RCボタンには、ナビゲーションバーの機能が割り当てられています。
以下の機能が割り当てられています。
- =ボタン・・・ホームに戻る
- LCボタン・・・マルチタスク
- RCボタン・・・戻る
システム
ホームアプリには独自インターフェースの『AYAHome』が標準採用されています。
その他にも AYASpace や Quickstep にホームアプリを変更することもできます。
よく使用するアプリは、Yボタンを押して「Add to Homepage」を選択することで、AYAHome の最上部(クイックスタート)に表示させることができます。
AYAボタンを短押しすることで専用アプリ『AYASpace』が起動します。
AYA Quick Tool が表示され、直近に使用した最大4つのアプリが下部にタスク表示されます。
システムは日本語に設定しても、メニュー表示や項目は英語のままです。
そのため、こういった製品を初めて使用する方には分かりづらいかもしれません。
AYASpace では、ゲームパフォーマンスやインジケーター表示、各種コントローラー設定、RGBイルミネーション、ウィジェット機能などを手軽に変更できます。
コントローラーを使って操作することはできますが、ゲームアプリ起動時などは連動して誤操作する可能性があるため、タップ操作を行う方が良いでしょう。
AYAボタンを長押しすると、フロントエンドアプリとの連携、画像管理、テーマと言語などの設定が可能です。ただし、フロントエンドアプリとの連携は、Pegasus または Emulation Station の事前導入が必須であり、エミュレーターアプリを単体で使う方が手軽です。
連携をしなくても AYANEO Pocket S の内蔵ストレージ(PocketGamesフォルダ)に、BIOS と ROM の各種ファイルを保存することで表示させることができます。
専用アプリ『AYASetting』が用意されており、ユーザー登録、CPU や GPU のパフォーマンス、システムの OTAアップデートなどを行うことが可能です。AYA Space や既存の設定アプリと重複する項目があり、使い勝手には課題があります。
CPU や GPU 設定変更が不要なほどのカリカリチューンです。
リマッピング機能のバグが確認されていますが、いくつかのバグはシステムアップグレードで修正されています。継続的に改善が進められており、頻繁に OTAアップデートが実施されています。
OTAアップデート後はシステムが不安定になることがあります。
安定稼働させるために、システムを再起動することをおすすめします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Androidゲーム機としてはトップレベル(記事執筆時点)です。
実測したところ、Antutuベンチマークスコアは 160万点台で、パフォーマンスモードにより違いが見られます。(Saving 60万点、Balance 140万点、Gaming 150万点、Max 160万点)
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルが高解像度かつフルスピードで実行可能です。
Linuxベースの中華ゲーム機とは一線を画していて、設定やフレームレートの調整に頼ることなく、圧倒的なスペックパワーで余裕を持って動作します。
競合他社から発売されている AYN Odin2 や AYN Odin2 Mini とほぼ同等のパフォーマンスを発揮します。ただし、一部のエミュレーター(Wii U など)やゲームタイトルについては、動作が顕著に遅くなったり、操作が不安定になることが確認されています。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームアプリ
デバイス負荷が高めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』などは、グラフィック設定を「最高」で動作します。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことができます。
パフォーマンスモードを Gaming 以上に設定すればフレームレート向上も期待できます。
標準設定のままでは、アナログスティック動作がもたついたり引っ掛かる感じがあるため、必要に応じて上下左右の感度を 125% ほどに調整すると良いでしょう。
主要なボタンを物理ボタンに割り振るリマッピング機能は改善が求められます。
ただし、先に発売された AYANEO Pocket AIR では操作性や使い勝手に難があったシステムも、本モデルでは操作性や使い勝手が改善されています。
Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も快適に遊べます。通信環境・回線速度が十分であれば問題なくゲームプレイが可能です。ただし、FPS などの操作性を重視するゲームを遊ぶ場合は、外部コントローラーを接続する必要があります。
まとめ
AYANEO Pocket S は、Snapdragon G3x Gen2 を搭載した Androidゲーム機です。
これまでの Androidゲーム機にはなかった画面解像度の高さ(1440P版)と高いエミュレーター性能、超薄型の本体筐体品質の高さが特徴です。
サイズ感は Nintendo Switch よりも小さく、重量も 300g台と軽量なのはポイントです。
6インチのベゼルレス液晶にセキュアな指紋認証、RGBライトエフェクト、そしてオーディオ振動システムである SoundTAPMagic をサポートしています。さらに、アクティブ冷却システムを搭載しています。
マスターコントローラーの操作性・持ちやすさについては個人差があり、一概に評価しにくい面もあります。グリップがない薄型設計のため、本体左側の操作部にやや熱を感じることがありますが、高負荷のスマホゲームを遊ばない限り、それほど気にすることはないでしょう。
また、キーマッピングで設定したゲーム中に LCボタン(マルチタスク)を呼び出すと、誤って入力が発生することや、音量が一定以上にならないと十分に大きくならない点は残念です。しかし、システムアップデートが頻繁に行われているため、これらの問題は改善される可能性は高いです。
ほぼ同スペックの AYN Odin2 と比較すると、価格は高めですが、その外見の美しさ、スペックの優秀さ、そして高いビルドクオリティが結びつき、所有欲を刺激するフラッグシップモデルに仕上がっていると評価します。
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