中華ゲーム機「ANBERNIC RG505」は、RG353シリーズよりも優れた Unisoc Tiger T618 を搭載、システムに Android 12、PS Vita(PCH-1000)相当の 4.95インチ有機ELディスプレイを採用した Androidゲーム機です。
ANBERNIC RG505 の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能、初期設定・使い方をご紹介します。評価すべきところ、欠点についても詳しくチェックします。
ANBERNIC RG505 の価格・販売ストア
ANBERNIC RG505 は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
カラーバリエーションは、全3色(グレー、グリーン、イエロー)です。
ANBERNIC RG505
割引販売価格 19,999円(送料別途)
ANBERNIC公式ストアにおける販売価格が最安値です。
ANBERNIC RG505 のスペック
ANBERNIC RG505 のスペックを詳しく見ていきます。
- システム:Android 12
- ディスプレイ:4.95インチ有機ELディスプレイ、16:9、タッチスクリーン
- 解像度:960×544、画素密度 223ppi
- CPU:Unisoc Tiger T618 2.0GHz
- GPU:Mail G52 MC2 850MHz
- RAM:4GB LPDDR4X
- ストレージ:128GB eMMC 5.1
- 外部ストレージ:microSD(最大512GB)
- 大きさ:189 × 87 × 18mm
- 重さ:286g
- バッテリー容量:5000mAh
- ワイヤレス通信:Wi-Fi(2.4G / 5G)、Bluetooth 5.0
- インターフェース:USB Type-C、イヤホンジャック、microSDカードスロット
- その他:マイク、ステレオスピーカー、バイブレーション、6軸ジャイロ
- 素材:プラスチック(ABS樹脂素材)
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はいたしかねます。
ANBERNIC RG505 のレビュー
メーカー提供を受けた ANBERNIC RG505 をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
ガラスフィルム、液晶クリーナー、マニュアル(中国語・英語)、USB Type-Cケーブルが付属します。
大きさ・重さ
本体の大きさは 189 × 87 × 18mm、重さは 286g(実測値)です。
プラスチック(ABS樹脂素材)で、大きさに対して重さがあります。
PS Vita とほぼ同等の大きさで、画面下部の広めなベゼル幅もほぼ一緒です。
Nintendo Switch と比べると左右サイズが狭まったサイズ感と見てよさそうです。剛性が保たれた本体で、強く握ったとしても軋みやへこみがない筐体品質です。
画面サイズが近い携帯型ゲーム機の大きさ・重さを比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
ANBERNIC RG505 | 4.95インチ | 189 × 87 × 18mm | 286g |
Nintendo Switch Lite | 5.5インチ | 208 × 91.1 × 13.9mm | 275g |
Retroid Pocket 3+ | 4.7インチ | 184.7 × 81.4 × 14.5mm | 235g |
総合的なビルドクオリティは『良好』と評価します。
直近で販売された RG353M と比べるとやや精度が劣る印象です。
5インチサイズのゲーム機の中では『厚みあり・重ため』という評価になりますが、実際に手に取ってみると、Nintendo Switch Lite の重量感と変わりません。
インターフェース
インターフェースは、上部に USB Type-Cポート(OTG)、イヤホンジャック。下部には microSDカードスロット、電源ボタン、左右にステレオサラウンドデュアルスピーカー(バーチャルサラウンド)を備えています。
左側には音量ボタン、右側にはリターンボタン、ファンクションボタンを備えています。
リターンボタンは短押しで実行、長押しでホームボタンとして機能し、ファンクションボタンはゲームモード(フロントエンド)呼び出しボタンとして機能します。
そのほかに、バイブレーション機能、マイク、6軸ジャイロセンサーなどを搭載しています。
ワイヤレス通信機能は Wi-Fi 2.4GHz / 5GHz、Bluetooth5.0 をサポートしています。
長時間ゲームプレイ時の本体温度についても気になりません。
背面中央の表面温度は 33~35度ほどです。
画面
ANBERNIC RG505 の有機ELディスプレイを高く評価します。
4.95インチ有機ELディスプレイ(16:9)、解像度 960×544、画素密度 223PPI です。
画面に対して解像度は低めですが、有機EL 独自の発色で補っています。
マルチタッチスクリーン機能を搭載した PS Vita相当の有機ELディスプレイを搭載しています。
PSPエミュレーターにマッチした解像度で、欠けや歪みなく『2倍表示』を実現できます。
最大輝度はやや暗めで、有機ELディスプレイの特性(焼き付き、色むらなど)については賛否両論ありますが、黒がはっきりとした美しい色彩の描写、応答速度の速さを体感できます。
ANBERNIC RG503 と同じ有機ELディスプレイを採用しています。
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操作性
操作性は『賛否両論』、押し心地は『良好』と評価します。
ABXYボタンサイズは 7.8mm、ストロークは 1.5mm で、ANBERNIC製品の標準仕様です。
ボタンの押し心地はやや軽めで、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
高品質アナログスティック(Hall joystick)は操作性に優れています。
ただし、アナログスティックの操作をしながら L1/R1ボタン、L2/R2ボタンを操作するのは快適とはいえず、本体サイズに最適化した筐体形状・配置の改善が必要です。
そのため、操作性・持ちやすさに関しては Retroid Pocket 3+ に劣ります。
総合的にみれば『良好』と評価できますが、各パーツ(ボタン、アナログスティックなど)の品質は間違いなく ANBERNIC RG505 の方が優れているだけに残念なポイントです。
システム
システムは Android 12 搭載、Google Playストアに標準対応です。
初期セットアップ時に英語・中国語からを選択すれば、自動で各種エミュレーターアプリ、UI(ゲームフロントエンド)が導入されます。OTAアップデートにも対応しているのは評価ポイントです。
最新版のファームウェア更新で日本語ロケールが追加されました。
そのため、発売当初に設定画面や Chrome や Playストアなどの一部アプリの表記が日本語以外で表示されてしまう問題は解決しています。
キーマッピングが正常に機能しないシチュエーションがあったり、高性能モードでシステムダウンするなどの不具合が確認できました。今後のシステムアップデートで改善されることを期待したいです。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は ANBERNIC 353シリーズよりも優れており、Powkiddy X18S、Retroid Pocket 3+ と同等です。実測したところ Antutuベンチマークスコアは 21万点台で、高性能モードではシステムがダウンしてしまい計測不能でした。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、プレイステーション、ニンテンドーDS、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンが快適動作。ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2 の一部ゲームタイトルが動作するといった感じです。
セールスポイントである PSPエミュレーターのゲーム体験を高く評価します。
ANBERNIC RG503 で不足していたスペックを満たしていることから、黒がはっきりとした色彩の有機ELディスプレイで快適なゲームプレイが期待できます。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はあるものの、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
標準で UI(ゲームフロントエンド)が導入されていますが、エミュレーターを中心に遊ぶという人は、フロントエンドの導入をおすすめします。
詳しい導入手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「最低~低」で動作します。
若干のカクつきは見られるものの、ゲームプレイ自体は可能なレベルです。
ただし、原神などの重めのスマホゲームを遊ぶことを想定している方にはおすすめしません。
ライト・ミドルで遊べるようなスマホゲームアプリを遊ぶのに適しています。
Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)は快適に遊べます。通信環境・回線速度が十分であれば問題なくゲームプレイが可能と評価します。
ただし、画面サイズは中華ゲーム機としては大きなサイズですが、4.95インチと小さく・解像度も高くはありません。文字などの視認性も悪いため、遊べるゲームタイトルを選びます。
初期設定・使い方
ANBERNIC RG505 の使い方・初期設定の一部を解説します。
普段から Androidデバイスを操作している人は迷うことはありませんが、最低限の知識として Googleストアで提供されているエミュレータアプリの使い方・基本を覚える努力が必要です。
初期セットアップ
初回に電源ON にすると初期セットアップ画面が表示されます。
英語・中国語の2択のみなので、「English」を選択して Start Use ボタンを押します。
基本操作
- 電源ボタン(長押し):電源ON
- 電源ボタン(短押し):スリープON/OFF
- D-Pad、アナログスティック:移動
- A、START、Y、タッチ:選択
- SELECT:メニュー表示
- B:メニュー閉じる
- リターンボタン短押し:実行
- リターンボタン長押し:HOMEボタン
- ファンクションボタン:フロントエンド起動・終了
キーマッピング
タッチ操作を物理ボタンに割り当てられるリマッピング機能です。
下記の手順を参考に進めてください。
- 画面上部からクイック設定パネルを表示
- 「Key mapping」をタップ
- 自分好みの配置に設定する
- Save で設定保存
- × をタップすれば完了
『原神』をはじめとした人気ゲームアプリは、プリセットが用意されています。
「Config Manager」から使用したいプリセットを選択(Use)、Switch タブをタップして × をタップして閉じれば完了です。
画面上部から下方向へスワイプすることで表示できます。
ファームウェアアップデート
OTAアップデートに対応しています。
利用可能なアップデートがあると、自動的にアップデートを促す通知が表示されます。
下記の手順でも確認できます。
- プリインストールアプリ「FOTA Update」を起動
- 中央「check version」を選択
- しばらく待つ
- アップデートファイルがあればダウンロード
- アップデート開始(10分~20分)
- 再起動(3~5分待ちます)
- 完了
購入者の反応
実際に購入した人のコメントを参考にすると、以下のような反応がありました。
- T618 の性能を実感できた
- RG503から乗り換えて正解
- PSP に最適な中華ゲーム機
- PS2、Wii が思っていたよりも動いた
- 3DS も意外といけるの多いぞ
- STG 向けじゃないかも
- 画面の美しさは感動するレベル
- ベゼルのロゴがダサい
- ロケールに日本語がないのは不便(解決済)
- グリップ感がイマイチ
- 操作にちょっと難がある
- L/Rボタンに普通に指は届く
- 性能は Retroid Pocket 3+ と同等
- スピーカーの音質が良い
まとめ
ANBERNIC RG505 は、RG353シリーズよりも優れたエミュレーター性能、PS Vita(PCH-1000)相当の 4.95インチ有機ELディスプレイ、Android 12 を採用した Androidゲーム機です。
総合評価としては「PSP特化・玄人向け」と評価します。
NINTENDO64、PSP、ドリームキャストが快適に遊べる主要スペック、Android 12(Google Playストア対応)、高品質なアナログスティック(Hall joystick)、ステレオサラウンドデュアルスピーカー(バーチャルサラウンド)を搭載したのは評価ポイントです。
PSP にフォーカスした画面品質・エミュレーター性能を実現しています。
一方で L/Rボタンやアナログスティック操作が求められているのに、操作性に優れた筐体形状・配置ではないところはミスマッチしています。
あくまでもエミュレーター目的の中華ゲーム機として使うことを推奨します。
Androidゲーム機としては総合的な性能はローエンド・エントリーで、高解像度が求められるゲームアプリやクラウドゲーミング向けではないためです。
これまでに登場した Linuxベースの中華ゲーム機のような手軽さがない点は賛否両論ですが、スペックを割り切れば、使うエミュレーターを取捨選択して、幅広い用途で使える『玄人向けデバイス』と評価します。
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