中華ゲーム機「Retroid Pocket 2S」は、Unisoc Tiger T610 採用のメイン基板に加え、Android 11 に刷新したモデルです。本体形状やデザインはそのままに、主要スペックだけでなく、ボタンやアナログスティックについてもアップグレードされています。
Retroid Pocket 2S の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
Retroid Pocket 2S の価格・販売ストア
Retroid Pocket 2S は、公式ストアや海外通販サイトで販売しています。
カラーバリエーションは、全6色(16Bit、レトロ、ブラック、クリアグリーン、クリアブラック、インディゴ)です。
・Retroid Pocket 2S 3GB / 32GBモデル
販売価格:99ドル(送料別途)
・Retroid Pocket 2S 4GB / 128GBモデル
販売価格:119ドル(送料別途)
Retroid Pocket 2S のスペック
Retroid Pocket 2S のスペックを詳しく見ていきます。
将来的にはメタルエディション(金属筐体)の販売も予定されています。
製品名 | Retroid Pocket 2S |
システム | Android 11 |
画面 | 3.5インチ、4:3、タッチスクリーン 640 × 480、画素密度 228ppi |
SoC | Unisoc Tiger T610 1.8GHz |
GPU | Mail G52 MC2 614MHz |
RAM | 3GB / 4GB LPDDR4X |
ストレージ | 32GB / 128GB eMMC |
バッテリー容量 | 4000mAh |
インターフェース | USB Type-Cポート、MicroHDMI、イヤホンジャック、マイク、 microSDカードスロット、ステレオスピーカー、バイブレーション |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi、Bluetooth 5.0 |
大きさ | 155 × 80.6 × 28mm |
重さ | 200g / 270g?(プラスチック筐体 / 金属筐体) |
素材 | ABS樹脂素材 / アルミニウム合金 |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
Retroid Pocket 2S のレビュー
公式ストアで購入した Retroid Pocket 2S(4GB / 128GBモデル)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル(英語のみ)
2. スクリーンプロテクター
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 155 × 80.6 × 28mm、重さは 197g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で『軽い』です。
本体形状や重量は、従来モデル(2 / 2+)と変わりません。
新たにクリアカラー2色を加え、カラーバリエーションがさらに豊富になりました。
画面サイズが近い携帯型ゲーム機の大きさ・重さを比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Retroid Pocket 3+ | 4.7インチ | 184.7 × 81.4 × 14.5mm | 235g |
Retroid Pocket 2S | 3.5インチ | 155 × 80.6 × 28mm | 200g |
ANBERNIC RG405M | 4インチ | 163 × 76 × 15.9mm | 261g |
総合的なビルドクオリティは『高い』です。
全体的に従来モデルよりも品質は向上しており、ややマットな質感があります。
クリアカラー筐体は商品イメージよりも暗めの色合いですが、透明度もあり、基板の透け具合などが楽しめます。
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インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタン、USB Type-Cポート(給電・充電用)、microHDMI を備えています。下部に イヤホンジャック、micorSDカードスロットがあり、左右にステレオスピーカーが配置されています。
バイブレーション機能やマイクに加え、ワイヤレス通信(Wi-Fi 2.4G / 5G、Bluetooth 5.0)を搭載しています。また、従来モデルとの違いとして、本体正面の上部に SELECTボタンと STARTボタンを新たに設置しています。
冷却ファンは非搭載で、放熱排気口も設置されていません。
そのため、負荷が高いアプリなどを利用する際に、体感的な温かさを感じることがあります。
画面
ロゴなしのマルチタッチスクリーンを搭載しています。
3.5インチ液晶ディスプレイ(4:3)で、解像度は 640 × 480、画素密度は 228PPI です。
画面周りのベゼル幅の太さについては、好みが分かれるポイントです。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
液晶ディスプレイの発色は普通で、最大輝度も基本的な要件を満たしています。
解像度・アスペクト比に関しては賛否両論です。一部のエミュレーターやゲームアプリ、リモートプレイやクラウドゲームには適さない解像度とアスペクト比が気になります。
操作性
ABXYボタンサイズは 7.3mm、ストロークは 1.4mm でメンブレンで、方向ボタンはドームスイッチを採用しています。Retroid Pocketシリーズの中でも、大きめなボタンと優れた押し心地を実現しています。
また、ABXYボタンは塗装ではなく、高品質は2色成形ボタンに変更されています。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度による引っ掛かりもありません。
L2 / R2ボタンはアナログトリガーを採用しており、アナログスティックには、ホールセンサーが搭載されています。経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
タッチスクリーン操作の感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 125Hz、呼び出しレートは平均 60Hz と低く、特に画面端のタッチ操作の反応がやや鈍いです。
アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も広めに改良されています。
ただし、実際の操作では気になることはありませんが、左アナログスティックの左斜め下の可動域が、測定結果上では他の方向よりも狭くなっています。
設定画面の「ハンドヘルドの設定」で、バーチャルマウスモードをオン/オフの切り替えも可能です。さらに、各種ボタンにはキーマッピング機能も備えており、カスタマイズ性も高いです。
システム
システムは Android 11 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
初期セットアップ時に導入するエミュレーターアプリの種類と UI(RP2S デスクトップ、Android デスクトップ)を選択可能です。
初期セットアップ時に日本語ロケールを選択することが可能です。
また、OTAアップデートにも対応しているのは評価ポイントです。
画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、高性能モードの切り替え、ホバーアイコンのオン/オフなどの切り替えが可能です。
ホバーアイコンをオンにすると、ゲーム起動後に画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。リマッピング機能である「ボタンアダプテーション」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。
RP2S デスクトップ(ハンドヘルドデスクトップ)は、ゲームフロントエンドとして機能します。エミューターを中心に遊ぶユーザー向けに便利なランチャーですが、個人的にはサードパーティ製アプリをおすすめします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Retroid Pocket 2 / 2+ および Retroid Pocket 3 を上回り、Retroid Pocket 3+ / Flip には及びません。実測したところ Antutuベンチマークスコアは 18万点台で、高性能モード(Extreme)でも大差はありません。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、プレイステーション、ニンテンドーDS、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンが快適に動作します。ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2 については、一部のゲームタイトルが動作するといった感じです。
体感的な動作は Retroid Pocket 3+ / Flip とほぼ変わりませんが、PS2エミュレーターに関しては、一部のゲームタイトルの動作が少し重く感じられます。あくまでも従来モデル(Retroid Pocket 2 / 2+)の性能や操作性を向上したアップグレードモデルとして認識するべきです。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームタイトルの動作確認などについては、こちらを参考にすると良いでしょう。
有志によりゲームリスト、エミュレーターの設定方法が日々更新されています。
ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「最低」で動作します。
若干のカクつきは見られるものの、ゲームプレイ自体は可能なレベルです。
ただし、重めのスマホゲームを遊ぶことを想定している方にはおすすめしません。
ライト・ミドルで遊べるようなスマホゲームアプリを遊ぶのに適しています。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
画面サイズが 3.5インチと小さく、解像度も低いため、視認性が悪く、遊べるゲームタイトルを選ぶ必要があります。エミュレーター以外のゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)には適していません。
初期設定・使い方
基本的な使い方・設定方法は Retroid Pocket 2+ から大きく変わりません。
詳しい手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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まとめ
中華ゲーム機 Retroid Pocket 2S は、従来モデルのアップグレードモデルです。
本体のサイズや重さ、インターフェースをほぼそのままに、主要スペックや操作性の向上にフォーカスしたモデルです。
総合評価としては『期待値より高めのエントリーモデル』と評価します。
従来モデルよりも優れた Unisoc Tiger T610プロセッサ、RAM、ストレージ容量を搭載し、システムも Android 11 にアップグレードされています。特にボタンやアナログスティックの操作性や押し心地は期待以上です。
一方で、エミュレーター性能は従来モデルよりも向上していますが、同社の Retroid Pocket 3+ / Flip や競合他社の Unisoc Tiger T618 搭載機よりも劣っています。また、画面サイズも 3.5インチと小さいため、解像度や視認性が低く、一部のエミュレーターやゲームアプリ、リモートプレイやクラウドゲームには向いていません。
価格を抑えたモデルとカラーバリエーションを魅力に感じる方や、Retroid Pocket 2シリーズを既に愛用しているユーザーの買い替えとして検討する価値のあるモデルと評価します。
関連ページリンク
Retroid Pocket 2S
販売価格:99ドル~119ドル(送料別途)
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