携帯型ゲーミングPC「GPD WIN Mini」は、GPD WINシリーズの最新モデルで、狭額ベゼル 7インチのクラムシェル型、CPU に AMD Ryzen 7000シリーズを採用、ゲームコントローラーとトラックパッド、キーボードを搭載した GPD WIN2 を彷彿とさせる小型デバイスです。
主要スペックは、Windows 11 Home、AMD Ryzen 5 7640U / AMD Ryzen 7 7840Uプロセッサ、7インチ(1920 × 1080、リフレッシュレート 120Hz)、メモリー 16GB / 32GB LPDDR5 6400MHz、ストレージ容量 512GB / 2TB を搭載しています。
GPD WIN Mini の価格・販売ストア
GPD WIN Mini は、国内外の通販サイトで取り扱い予定です。
下記は国内正規販売店 デントオンラインショップでの価格です。
スペックが異なる4つのモデルの予約を受け付けします。
予約受付は 2023年10月以降を予定し、2023年冬に発売予定です。
Ryzen 5 7640Uモデル
・16GB / 512GB 110,100円
Ryzen 7 7840Uモデル
・32GB / 512GB 138,700円
・32GB / 2TB 163,000円
・64GB / 2TB 192,400円
\ 先行予約には、専用特典が付いてくる! /
GPD WINシリーズの最新作「GPD WIN Mini」のクラウドファンディングが予告されています。狭ベゼル7インチのクラムシェル型で、ゲームコントローラーとトラックパッド、キーボードを搭載しており、GPD WIN2 を連想させ[…]
GPD WIN Mini のスペック
GPD WIN Mini のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | GPD WIN Mini | |
ディスプレイ | 7インチ、IPS、解像度 1920×1080、16:9、 マルチタッチ、リフレッシュレート 120Hz | |
OS | Windows 11 Home / SteamOS | |
CPU | AMD Ryzen 5 7640U | AMD Ryzen 7 7840U |
グラフィクス | AMD Radeon 760M | AMD Radeon 780M |
メモリ | 16GB LPDDR5 6400MHz | 32GB / 64GB LPDDR5 6400MHz |
ストレージ | 512GB M.2 2230 SSD | 512GB / 2TB M.2 2230 SSD |
インターフェース | USB4ポート、USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、 OCulink(SFF-8612)ポート、 イヤホンジャック、microSDカードスロット | |
センサー・その他 | ステレオスピーカー、 ジャイロスコープ、マイク、 ゲームコントローラー、トラックパッド バックライト付きキーボード | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi6、Bluetooth 5.2 | |
バッテリー | 45Wh | |
大きさ | 168 × 109 × 26mm | |
重さ | 520g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GPD WIN Mini のレビュー
携帯型ゲーミングPC「GPD WIN Mini(32GB / 2TBモデル)」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても詳しく解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
4. USB Type-C変換アダプター
5. ストラップ
専用アクセサリー
別売りのアクセサリーとして「専用グリップ」を用意しています。
本体底部にネジで固定して装着するタイプのグリップです。
大きさ・重さ
大きさは 168 × 109 × 26mm、重さは 533g(実測値)
アルミ合金とポリカーボネート樹脂素材の筐体で『軽い~普通』です。
重量バランスに優れた小型軽量なクラムシェル型デザインです。
7インチの画面サイズにもかかわらず、本体サイズは予想よりも小さい印象を受けます。
参考として、ROG Ally、Steam Deck と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ROG Ally | 7インチ | 280 × 111 × 21~32mm | 608g |
GPD WIN Mini | 7インチ | 168 × 109 × 26mm | 520g |
Steam Deck | 7インチ | 298 × 117 × 49mm | 669g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さです。
おそらく、天板と底部はポリカーボネート樹脂素材で、正面(コントローラー部)はアルミ合金素材です。また、小型な本体にありがちな、ずっしりとした重さを感じないのはポイントです。
インターフェース
インターフェースは、上部に OCuLink(SFF-8612)ポート、microSDカードスロット、イヤホンジャック、ゲームパッド/マウス切り替えボタン、USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、USB4ポート、リセットボタンを備えています。
下部の右側には、落下防止用のストラップホールが用意されています。
セキュアなログイン方法である指紋認証は非搭載です。
左右の接触部には、クッション性のある滑り止めが取り付けられています。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6 と Bluetooth 5.2 をサポートしています。
正面にはゲームコントローラーとトラックパッド、キーボードが用意されています。
そのほかにマイク、左右にステレオスピーカー、バイブレーション機能を備えています。
背面右側には内蔵ファンの吸気口があり、熱を上部の排気口へ放熱します。
静音タイプのシングル冷却ファンが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは 30dB~42dB で、普通の範囲内に収まっています。しかし、負荷がかかるゲームプレイでは、測定値上は普通でも風切り音が大きく聞こえます。
画面
狭額ベゼルの 7インチ液晶ディスプレイ(16:9)、解像度 1920×1080、画素密度 314PPI です。マルチタッチスクリーンで、操作感度や画面の明るさも良好です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、画面の向きは「横」表示です。
また、リフレッシュレートは 60Hz または 120Hz を選択できますが、AMD FreeSync には非対応です。
ディスプレイの開く角度の最大値は 165度ほどです。
ヒンジ(蝶番)は堅牢で重心も安定しており、しっかりと両手で持って広げる必要があります。
デフォルトの解像度は 1920 × 1080、スケーリングは 150% 、文字は小さく視認性は低めです。また、この設定だと正常に表示されないアプリがあるため、必要に応じてスケーリングの調整や、Steamビックピクチャーモードでの起動が必要です。
操作性
操作性や持ちやすさは『賛否両論』と評価します。
ランドスケープ(横型)のポータブルゲーミングPC と比較すると、折りたためるクラムシェル型の構造を採用しているため、操作性や持ちやすさはやや劣ります。
ABXYボタンは 7.0mm、ストロークは 0.5mm と浅めのメンブレンスイッチ、L2 / R2ボタンはアナログトリガーを採用しています。アナログスティックとアナログトリガーには、ホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象が発生しにくいパーツが採用されています。
右側には ABXYボタン、ジョイスティック、R4ボタン、Startボタンが配置されています。左側には ジョイスティック、十字ボタン、Selectボタン、Menuボタン、L4ボタンが配置されています。(L4 / R4ボタンはカスタムキー)
実測したところ入力間の平均値は 3.87ms、ポーリングレートは 257Hz で、PC接続時の XBOX純正コントローラーよりも優れた反応速度を示しています。
中央上部に配置されているトラックパッドの大きさは 39 × 48mm です。
クリック感はありませんが、軽くタッチすることでクリック操作やジャスチャー操作に対応しています。
また、バックライト付きキーボードが搭載されており、中位置にある Selectボタン、Menuボタン、Startボタン、 L4 / R4 ボタンも照らします。クリック精度が高いメンブレンシートスイッチ式が採用されており、キーサイズは約 9.5mm です。
別売りの専用グリップを取り付けることで、持ちやすさと操作性が向上します。
ただし、このグリップは本体底部にねじで固定するタイプです。
グリップを取り外したり装着したりするのは容易ではなく、本体の寸法や重さも増加します。このようなトレードオフを考慮すると、あくまでもゲーミングを重視するユーザー向けのオプションといえそうです。
専用アプリ
各種ボタンの変更は、専用アプリ『WinControls』で行います。
ボタンの設定や変更だけでなく、アナログスティックのデッドゾーン調整やバイブレーション機能(強・弱・オフ)も設定可能です。
一方、TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使用します。
自身で自由に変更・設定が可能ですが、熟知しているユーザー向けといえます。
多機能ではありますが、設定項目が複雑で初心者向けではありません。
必要に応じて、Handheld Companion、Handheld Control Panel、Playnite などのサードパーティ製アプリを使用することをおすすめします。
ゲーム動作
高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
ゲーム設定を見直すことで、60FPS で快適なゲームプレイが可能です。
『RSR(Radeon Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、『レイトレーシング』にも対応しており、水面や鏡、窓などのリアルな映像表現が可能です。
RSR(Radon Super Resolution)を有効化して、ディスプレイ解像度を高く設定し、ゲームを起動後にゲームの解像度を低く設定(ディスプレイの解像度より低く設定)することで RSR が機能します。
この機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
VRAM は標準で 3GB(最大16GB)となっていて、クロック周波数は最大 6400MHz です。
安定して動作する TDP設定は 15W~20W で、それ以上に設定するとシステムが強制終了することがあり、安定性が低下します。
TDP 15W~18W 設定で、原神や Forza Horizon 5、Diablo 4、エルデンリングは 60FPS で動作し、Starfield や ARMORED CORE VI についても 30FPS で快適に動作します。
ストレージ状態
GPD WIN Mini のストレージ容量は 512GB / 2TB です。
ストレージ(2TB)は、パーティション分割されています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを連打します。
- Boot メニューが表示(横向き表示)されたら「Start」をタッチします。
- しばらく待つと完了です。
GPD WIN Mini のベンチマーク
GPD WIN Mini のベンチマーク結果を確認します。
設定や環境によって結果は異なる可能性があるため、あくまでも参考程度に留めてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 100度に達しましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
TDP設定 23W~28W ではベンチマークテストが強制終了することがありました。
TDP設定は 15W~20W で運用することをおすすめします。コントローラー周り(十字ボタン、ABXYボタン)の表面温度は 50度近くになることから、長時間のゲームプレイは厳しいです。また、内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかるゲームプレイでは気になるかもしれません。
フィードバックを受けて、すでに対応済みとのこと。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2230 SSD のストレージ速度です。
Western Digital PC SN740 を採用しています。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
microSDカードスロットの理論速度は、読み取り 160MB/s、書き込み 120MB/s です。
ベンチマークテスト結果
TDP設定『15W』、『20W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 15W | 20W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 3929 | 4536 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3019 | 3407 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2300 | 2575 |
ブループロトコル 低画質 | 9395 | 10912 |
ブループロトコル 中画質 | 5401 | 6484 |
ブループロトコル 高画質 | 4821 | 5767 |
ブループロトコル 最高画質 | 3627 | 4309 |
PCMARK 10 | 6178 | 6507 |
3DMARK Time SPY | 2449 | 2876 |
3DMARK Fire Strike | 5835 | 6789 |
3DMARK Night Raid | 20339 | 24723 |
CINEBENCH Release23 | 9609 | 11361 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1665 | 1673 |
連続稼働時間
GPD WIN Mini の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定 15W
強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は8時間でした。
重たいゲーミング使用に限定した場合、設定によっては1~3時間と考えて良いでしょう。
通常のゲームや作業で6~8時間、軽い処理のゲームや作業では14時間とされています。
まとめ
GPD WIN Mini の最大の特徴は、本体サイズに対しての汎用性の高さです。
Ryzen 7 7000シリーズ搭載の高いパフォーマンスは、ゲーミングだけでなくビジネスユースにも活躍できます。同スペックのポータブルゲーミングPC と比較して、クラムシェル型で本体サイズも小さく、ポータビリティにも優れています。
従来モデルの GPD WIN2 を思い起こさせつつも、本体サイズはそれほど変わらず、大画面ディスプレイと新たにトラックパッドを搭載、Ryzen 7 7000シリーズを採用するなど、操作性だけでなく基本スペックも大幅に向上しています。
一方、指紋認証などのセキュアなログインには非対応であり、パフォーマンス(最大TDP)は実質的には 15W~20W に制限されています。冷却性能が追いついていないためか、TDP を 23W以上に設定した場合、強制終了することがありました。また、コントローラー周りの表面温度が特に高く上昇します。
最高のパフォーマンスを追求するというよりも、ポケットサイズで『汎用性がある1台を手軽に持ち運びたい』というニーズを満たすモデルです。やや快適さには欠けますが、ノートPC のように使える実用性とゲーミングを楽しみたいという人に最適なデバイスと評価します。
AMD Ryzen 7 7840U を搭載したモデルは、競合他社から続々と登場しています。
価格やスペック、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
関連ページリンク
世界最小クラスのeGPU「GPD G1」は、Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスです。USB4(Thunderbolt 3/4)/ OcuLink接続と豊富なインタ[…]
モバイルゲーミングPC「GPD WIN Max 2 2023」は、ゲームだけでなくビジネスユースにも活躍できるモデルです。AMD Ryzen 7000シリーズを搭載した現行モデルのアップグレード版という位置づけで、拡張性の高さとイ[…]
ポータブルゲーミングPC「AYANEO AIR 1S」は、AYANEO AIRシリーズの最新モデルで、画面サイズは 5.5インチ(1920 × 1080)の有機ELディスプレイ、CPU に AMD Ryzen 7 7840U を搭[…]
ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」は、『ASUS が作るとこうなりました』を実現したモデルです。操作性やシステムに一切の妥協はなく、ROGブランドで培ってきたユーザーフィードバックがあらゆる面で活かされています。[…]
2023年上期(2023年1月~6月)の中華ゲーム機の売れ筋ランキングを発表します。物価高と円安が直撃した 2023年上期、その中でも一番売れた中華ゲーム機の売れ筋ランキングを発表します。4つのカテゴリ分けしたランキングを[…]