2画面ノートPC「GPD DUO」は、世界初のデュアル有機ELディスプレイ(AMOLED、10.7億色表示)を搭載し、AMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサを採用したクリエイターやエンジニア向けのモデルです。
この記事では、GPD DUO の価格、スペック、特徴、使用感、ベンチマークテスト結果についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
GPD DUO について
2画面ノートPC「GPD DUO」に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売サイト
GPD DUO の国内正規版は、国内の通販サイトで予約販売中です。
発売日は 2024年12月13日を予定しています。
保証・サポートなどを重視する人には、国内代理店での購入がおすすめです。
以下は国内正規販売店 デントオンラインショップでの販売価格です。
・8840U / 16GB / 512GBモデル
販売価格:231,200円
・8840U / 32GB / 1TBモデル
販売価格:245,700円
・AI9 HX370 / 32GB / 1TBモデル
販売価格:289,000円
・AI9 HX370 / 64GB / 2TBモデル
販売価格:320,000円
\国内保証・延長保証付き/
製品仕様とスペック
GPD DUO のスペックを詳しく見ていきます。
国内正規版では販売されないモデルが含まれている可能性があります。
製品名 | GPD DUO | |
ディスプレイ | 13.3インチ OLEDスクリーン × 2 解像度 2880 × 1800 16:10、10点マルチタッチ リフレッシュレート 60Hz 4096筆圧感知(MPPプロトコル準拠) | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
グラフィクス | AMD Radeon 780M | AMD Radeon 890M Ryzen AI NPU |
メモリ | 16GB / 32GB LPDDR5X 7500MHz | 32GB / 64GB LPDDR5X 7500MHz |
ストレージ | 512GB / 1TB M.2 2280 SSD × 2 (PCI Express 4.0 x4接続) | 1TB / 2TB M.2 2280 SSD × 2 (PCI Express 4.0 x4接続) |
インターフェース | OcuLinkポート USB4ポート USB 3.2 Gen2 Type-Cポート USB Type-Cポート(セカンドスクリーン用) USB 3.2 Gen 1 Type-Aポート × 2 USB Aポート(10Gbps) HDMIポート LANポート SDカードスロット イヤホンジャック | |
センサー・その他 | 指紋認証(電源ボタン兼用) ステレオスピーカー AIカメラ、マイク トラックパッド バックライト付きキーボード | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi6E、Bluetooth 5.3 | |
バッテリー | 80Wh | |
大きさ | 209.65 × 297 × 24mm(折りたたみ時) | |
重さ | 2200g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GPD DUO のレビュー
GPD DUO をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、ベンチマークテスト、評価すべき点や欠点について解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 297 × 209.65 × 26mm、重さは 2272g(実測値)
アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂素材に折りたたみスタンドを取り付けた筐体デザインを採用しています。
本体カラーはブラックで、シンプルでスタイリッシュな仕上がりです。
マットな質感のため、やや指紋や皮脂が目立ちやすいです。
ゲーミングノートPCに近い重厚感があるメタルボディで、かなりずっしりとした重たさを感じます。ただし、そのぶん高剛性と高品質な作りになっています。
サイズ感
大手メーカーの Lenovo Yoga Book 9i や ASUS Zenbook Duo OLED に近いサイズ感です。
折りたたむことで、デバイスのサイズは『A4サイズ』に収まります。
厚みや重量にフォーカスすると、持ち運ぶには重めで、据え置き型のノートPCといえるでしょう。セカンドディスプレイを用意せずにこれ1台で済むのは魅力的です。
インターフェース
GPD DUO のインターフェースはとても充実しています。
背面には LAN(RJ45)ポート、HDMI 2.1ポート、OCuLink(SFF-8612)ポートが備わっています。ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3 をサポートしています。
M.2 NVMe 2280 SSD をサポートし、現在最大 16TB(8TB + 8TB)まで拡張できるほか、外部グラフィックカード(外付けeGPU)に接続できる OCuLink(SFF-8612)ポートを用意しているのはポイントです。
左側には、SDカードスロット、USB4 Type-Cポート、USB Type-Cポート、リセットボタンが配置されています。右側には、指紋認証一体型の電源ボタンと、USB 3.2 Gen1 Type-Aポートが 2つ備えられています。
上画面のディスプレイの左側には、映像入力用の USB Type-Cポート(DP ALTのみサポート)と明るさ調整ボタンが備えられており、下画面と上画面の正面ヒンジ部には超広角カメラ(500万画素)を内蔵しています。
スタンドは取り外し不可で、スタンドとメインスクリーンとの間に 45度の角度を形成され、背面ポートの接続を邪魔しないように設計されています。画面を大きく開く場合は、安定性を確保するためにスタンドが必須です。
長期間使用していないため耐久性についての判断はできませんが、折り曲げた際にパキパキと音が鳴りますが、ヒンジ自体の強度については問題はなさそうです。
正面にはバックライト付きのフルサイズキーボード(US配置、キーストローク 1.3mm)とトラックパッドが用意されています。そのほかにマイク、左右にステレオスピーカーを備えています。
背面左右には内蔵ファンの吸気口があり、熱を上部の排気口へ放熱します。
静音タイプのシングル冷却ファンがそれぞれに搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは 30dB~45dB で、一般的な範囲内に収まっています。実測した限りでは、標準的なゲーミングノートPC よりやや静かといえるでしょう。
画面
最大の特徴として、世界初のデュアル有機ELディスプレイ(AMOLED、10.7億色表示)を採用しています。画面サイズは 13.3インチ(16:10)で、解像度は 2880 × 1800 です。
画面を上下に展開できるユニークな 2画面ノートPCで、大きく広げると 18インチ相当のスクリーンエリアを確保できます。リフレッシュレートは両画面とも最大 60Hz に対応しています。
クリエイター向けにも最適な 10点マルチタッチスクリーンで、4096筆圧感知(MPPプロトコル準拠)に対応しており、100% Adobe RGB、133% sRGB といった高繊細な色再現も実現しています。
画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、セカンドスクリーンである上画面は最大410nit 、メインスクリーンである下画面は 309nit を記録しました。屋内で十分に視認できる明るさですが、屋外ではやや見にくい基準値です。
画面の開度は、メインスクリーンである下画面は最大135度で、セカンドスクリーンである上画面は360度回転し、可動性に優れています。そのため、メインとセカンドの表示を自由に切り替えられ、さまざまな利用シーンに対応しています。
2画面に別々のソフトウェアを表示させるだけでなく、1画面を 2画面分に縦長に拡大して表示したり、折り返して対面でミラーリングして複製画面を表示することも可能です。
セカンドスクリーンは、必要なタイミングで電源のオン・オフが可能で、外部デバイスのサブディスプレイとして使用できます。ただし、ビデオ信号(DP ALTのみ)のサポートに限られ、音声出力や接続したデバイスのデータ送信には対応していません。
GPD DUO の電源オフ時に外部ディスプレイとして使用する場合は、接続するデバイスからの電源供給によるため、最大輝度の保証はできない点には注意が必要です。対応するデバイスについては、事前に確認しておくことをおすすめします。
専用アプリ
TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使います。
簡単に設定できる専用アプリの提供はなく、ユーザーフレンドリーではありません。
ユーザー自身で自由に変更や設定が可能ですが、熟知している人向けの仕様といえそうです。
Webカメラやマイクのオン・オフ、ナンバーキーを表示するショートカットキーアプリのようなアプリは提供されておらず、すべてキーボードでの操作に限定されています。
使用感
2画面ノートPC という存在に触れることが初めてだったので、その存在感と AMOLED の美しさに驚かされました。2つの画面を自由に切り替えたり、多彩なモードで使用できるので一般的なノートPC よりも実用性はかなり高いです。
最大のメリットは、『2つの作業画面をフルサイズで表示させる』ことができ、他の作業を並行してスムーズに行える点だと思います。全画面表示でゲームプレイをしながら、画面を切り替えることなく攻略サイトを確認する、といった使い方も可能です。
セカンドスクリーンは外部ディスプレイとして使用する場合、できることは限定的だと感じました。あくまでも映像出力(ビデオ信号)機能なので、タッチ操作は接続するデバイスしだいで、音声出力やデータ送信は行えません。
そのため、動画視聴や Nintendo Switch などのゲームプレイのように、映像と音声の両方を再生する必要がある場合には適していないと感じました。しかし、音声を必要としない写真やアプリの画面を大画面で表示する際には便利です。
タブレットモードとして使用した場合、キーボード一体型で着脱できないのはやや不便に感じられます。1画面表示での使用になるため、参考資料を参照しながらの作業や、キーボードを使用するようなシチュエーションには不向きです。
ゲームプレイに関しては、高性能なゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』ですが、最低・推奨システム要件を満たすことが前提です。ただし、AMD Ryzen AI 9 HX 370 のパフォーマンスは高く、最新のゲームタイトルも 60FPS以上を達成できます。
ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できる機能に加え、低レイテンシーでフレーム生成を可能とする『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』や、最大75%を VRAM に割り当てて使用できる『VGM(Variable Graphics Memory)』といった機能も活用できます。
VRAM やメモリー周波数、TDP なども BIOS でユーザーが自由に変更可能です。正常に動作するかは試していませんが、LPTDDR5Xメモリは最大8000MT/s に設定変更が可能で、TDP も 100W まで設定変更が可能です。
TDP については、標準設定(AUTO)のままでもパフォーマンスを発揮しやすいですが、負荷がかかるシチュエーションでは CPUの最高温度が 90度以上に達することが確認されました。個人的には低消費電力の 28W~35W での運用でも十分にパフォーマンスを発揮していると感じました。
ストレージ状態
GPD DUO のストレージ容量は 1TB です。
パーティションは分割されており、専用アプリと AMD Software: Adrenalin Editon がプリインストールされていました。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを長押し
- Boot メニューが表示されたら「Start」をタッチ
- Restartボタンが表示された場合は押す
- しばらく待つと完了
GPD DUO のベンチマーク
GPD DUO のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
標準設定(AUTO)のままでは、最大温度は 90度以上に達しましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
負荷がかかるシチュエーションでも、本体の表面温度は特に気になりませんでした。
ただし、内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかるゲームプレイ時には気になるかもしれません。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
Western Digital WD Blue SN580 を採用しています。
ストレージ速度(SDカード)
SDカードのストレージ速度です。
SanDisk Extreme PRO A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定は『35W』、『60W』のベンチマークスコアを比較しています。
TDP設定はアプリ側では設定せず、すべてBIOS側で変更しています。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 35W | 60W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 5100 | 5050 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3965 | 4495 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2915 | 3258 |
PCMARK 10 | 7562 | 7672 |
3DMARK Time SPY | 3834 | 3970 |
3DMARK Fire Strike | 8364 | 8909 |
3DMARK Night Raid | 31585 | 33293 |
3DMARK Wild Life | 21326 | 22096 |
3DMARK Port Royal | 1852 | 1905 |
3DMARK Steel Nomad | 588 | 585 |
3DMARK Speed Way | 564 | 571 |
CINEBENCH Release23 | 18483 | 17132 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 2018 | 2039 |
まとめ
GPD DUO は、世界初のデュアル有機ELディスプレイ(AMOLED、10.7億色表示)を搭載し、AI 9 HX 370プロセッサを採用したクリエイターやエンジニア向けのモデルです。
GPD WINシリーズなどのゲームデバイスを手がける GPD製品としては、初めてデュアル有機ELディスプレイを搭載したモデルで、2つの画面を自由に切り替えたり、多彩なモードで使用できるため、一般的なノートPC よりも生産性の高い作業が可能になります。
また、ユーザー自身で自由に変更・設定できる高い自由度がポイントです。
デュアルスクリーンに特化したアプリが用意されていないデメリットはありますが、最大TDP やメモリー周波数を BIOS で変更でき、用途に合わせてカスタマイズできるのも特徴の一つです。
一方で、AUSU Zenbook Pro 14 Duo OLED や ASUS Zenbook Duo OLED といった競合製品と比較すると、高スペックで価格は安いものの、本体の重量は 2Kg超えで厚みがあるため、気軽に持ち運べるデバイスというよりは、据え置き型のノートPCといえるでしょう。
キーボードは着脱構造は採用しておらず、2画面を展開するか、背面に画面を折りたたむスタイルが標準となっています。また、セカンドスクリーンは機能は限定されていますが、外部ディスプレイ(DP ALTのみサポート)として使用できるメリットがあります。
専用グラフィックス機能を搭載したゲーミングノートPC並みの重量や厚み、販売価格帯がネックになる可能性がありますが、世界初のデュアル有機ELディスプレイや AMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサ搭載モデルに興味がある人は、重要視するポイントを整理して検討することをおすすめします。
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