Androidゲーム機「AYN Odin2」は、AYN Technologies の Odinシリーズの最新モデルで、SoC に Snapdragon 8 Gen 2 を搭載し、システムに Android 13 を採用した次世代機です。主要なスペックの高さに加えて、価格が魅力の Androidゲーム機です。
AYN Odin2 の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
AYN Odin2 の価格・販売ストア
AYN Odin2 は、公式ストアの専売商品です。
カラーバリエーションは全5色(ブラック、ホワイト、コールドグレー、クリアブルー、クリアパープル)です。
スペックが異なる3モデルを販売しています。
2023年12月中旬より順次発送予定です。
・Base(8GB / 128GB)ブラックのみ
販売価格:339ドル(送料別途)
・Pro(12GB / 256GB)
販売価格:439ドル(送料別途)
・Max(16GB / 512GB)
販売価格:499ドル(送料別途)
AYN Odin2 のスペック
AYN Odin2 のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AYN Odin2 Base | AYN Odin2 Pro | AYN Odin2 Max |
画面 | 6インチ、マルチタッチ対応 解像度 1920 × 1080 | ||
システム | Android 13 / Linux(開発中) | ||
SoC | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 | ||
GPU | Qualcomm Adreno 740 | ||
RAM | 8GB LDPPR5x | 12GB LDPPR5x | 16GB LDPPR5x |
ストレージ | 128GB UFS4.0 | 256GB UFS4.0 | 512GB UFS4.0 |
インターフェース | USB Type-Cポート × 2、 microHDMI microSDカードスロット、 イヤホンジャック | ||
その他 | ゲームコントローラー、ステレオスピーカー 振動モーター、マイク、 アクティブ冷却ファン 指紋認証 LEDライト機能 | ||
ワイヤレス通信 | Wi-Fi7、Bluetooth 5.3 SIMスロット非搭載 | ||
バッテリー | 8000mAh | ||
大きさ | 225 × 98 × 17mm | ||
重さ | 420g | ||
カラー | ブラック | ブラック、ホワイト、 コールドグレー、 クリアブルー、 クリアパープル |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYN Odin2 のレビュー
クラウドファンディングで出資していた AYN Odin2(Base)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
パッケージ
引き出しタイプのホログラム加工されたパッケージです。
本体はフロッキー加工された容器に収納されています。
付属品
1. マニュアル(英語のみ)
2. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 225 × 98 × 17mm、重さは 414g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、重さは『標準』です。
Nintendo Switch に近いサイズ感で、成形精度や組み立て精度が高いです。
表面コーティングがないため、本体のカラーによっては皮脂や指紋が目立ちやすいです。
参考として、Nintendo Switch、AYANEO Pocket AIR と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
AYN Odin2 | 6インチ | 225 × 98 × 17mm | 420g |
AYANEO Pocket AIR | 5.5インチ | 224 × 89.5 × 17mm | 380g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。この基準を AYN Odin2 は満たしています。
インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン一体型の指紋認証センサー、音量ボタン、microHDMI、microSDカードスロットを備えています。下部に イヤホンジャック、USB Type-Cポート(給電・充電用)があり、左右にステレオスピーカーが配置されています。
バイブレーション機能やマイクに加え、左右にはグリップがあります。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 7 と Bluetooth 5.3 をサポートしています。また、バイパス充電にも対応しているので、バッテリー劣化を防ぐこともできます。
左右のアナログスティック周りとサイドに LEDイルミネーションが搭載されています。
システム設定から、LED のオン・オフやカラーをカスタマイズすることができます。
背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
冷却能力に優れた静音タイプのシングル冷却ファンが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは最小で35dB、最大で 43dB です。高い音の風切り音は、やや気になる印象です。
画面
6インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:9)、解像度 1920×1080、画素密度 367PPI です。マルチタッチスクリーンで、操作感度や画面の明るさ・発色も良好です。
ネイティブランドスケープな液晶ではなく、リフレッシュレートは 60Hz です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 120Hz、呼び出しレートは平均 60Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
エミュレーターを使用する際、ナビゲーションボトムバーが邪魔になることがあります。
そのような場合は、『システム』→『ジェスチャー」→『ジャスチャーナビゲーションボトムホームバーの設定』をオフにすると良いでしょう。
操作性
本体サイズは小さめですが、しっかり握れるグリップが付いています。
ABXYボタンサイズは 7.5mm で、1.0mm のストロークを持ち、押し心地は良好です。各種ボタンはメンブレンで、L2/R2ボタンはアナログトリガーを採用しています。
また、ABXYボタンの印字はプリントで、2色成形ボタンではありません。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度による引っかかりもありません。
左側には セレクトボタン、ジョイスティック、十字ボタン、ホームボタンが配置されています。右側には スタートボタン、ABXYボタン、アナログスティック、戻るボタンが配置されています。また、背面の M1 / M2ボタンに既存ボタンの機能を割り当てることが可能です。
アナログスティックにはホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も広めです。
実際の操作では気になることはありませんが、右アナログスティックの右斜め下の可動域が、測定結果上では他の方向よりも狭くなっています。
Androidゲーム機としては、入力遅延が大きいと指摘されています。
記事執筆時点では、入力遅延の改善・調整が進められており、アップデートで修正予定です。
システム
システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
プリインストールされているアプリは必要最小限で、エミュレーターアプリの導入や設定を自身で行う必要があります。
ホームアプリは標準の Quickstep と独自UI の Odin Launcher を選択できます。
Odin Launcher は表示するアプリと、クイック設定パネルに表示される機能を左右それぞれからスワイプ操作で変更することが可能です。
画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスモードの切り替え、LEDライトの変更、ホバーアイコンのオン/オフなどの切り替えが可能です。
ホバーアイコンをオンにすると、ゲーム起動後に画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。リマッピング機能である「ボタンアダプテーション」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。
OTAアップデートにも対応しており、システムアップデートで細かなバグの修正が進められています。また、独自UI の Odin Launcher は使い勝手にやや難があるため、サードパーティ製アプリの導入をお勧めします。
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エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Androidゲーム機としてはトップレベル(記事執筆時点)です。
実測したところ、Antutuベンチマークスコアは 150万点台で、高性能モードでも大差はありません。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルが高解像度かつフルスピードで実行可能です。
SoC に Snapdragon 8 Gen 2 を搭載した Androidゲーム機で、競合他社から販売されている既存の Androidゲーム機にはないパフォーマンスを実感できます。ただし、一部のエミュレーター(Wii U など)やゲームタイトルについては、顕著に動作が遅くなったり操作が不安定になることが確認されています。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「最高」で安定動作します。
本体の熱を感じることもなく、アクティブ冷却ファンの効果を実感できます。
マインクラフト、Call of Duty Mobile、フォートナイトなども快適に楽しめます。さらに高性能モードに設定すればフレームレート向上も期待できます。必要に応じて右アナログスティックのビューモードの調整(X軸・Y軸の感性を 25% ほどに変更)を行うと良いでしょう。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
画面サイズが6インチで、解像度 1920×1080、Wi-Fi 7 をサポートしており、エミュレーター以外のゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)にも十分に活躍できるスペックを備えています。
まとめ
AYN Odin2 は、Snapdragon 8 Gen 2 を搭載した Androidゲーム機です。
これまでに登場した既存の Androidゲーム機としてはトップレベルのスペックに加え、ユーザーの想定価格を下回る価格が魅力です。
総合評価としては『期待値以上のフラッグシップモデル』と評価します。
従来モデルよりも優れた Snapdragon 8 Gen 2プロセッサ、RAM は 8GB~16GB、ストレージは 128GB~512GB を搭載し、Android 13 を採用した次世代機です。
これまでにないエミュレーター性能を実感できるのは大きなポイントです。
また、既存のゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)にも十分に活躍できるスペックを備えています。持ちやすさや操作性にも優れており、タッチ操作を物理ボタンに割り当てるリマッピング機能にも対応しています。
気になるポイントとしては、SIMカードスロットがなくセルラーモデルはないこと、クリアカラーでは LEDライト発光の好みが分かれること、システムの細かなバグなどが挙げられます。
AYN Technologies は、これまで計画どおりに製品をリリースしたことがありませんでしたが、AYN Odin2 に関しては問題なくリリースできています。公式サイトでは正式発売(プレセール)も開始しているので、安心して購入できるモデルと評価します。
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