ポータブルゲーミングPC「AYN Loki Max」レビュー|周回遅れの最上位モデル

ポータブルゲーミングPC「AYN Loki Max」は、AYN Technologies が『最も手軽な価格の Windowsハンドヘルド』と宣伝し、2022年6月初旬にプレオーダーを開始した、同社初の Windows携帯ゲーム機の最上位モデルです。

主要スペックは Windows 11 Home、6インチ(1920×1080)、AMD Ryzen 7 6800Uプロセッサ、AMD Radeonグラフィックス、メモリ 16GB LPDDR5 6400MHz、ストレージ容量 512GB SSD を搭載しています。

AYN Loki Max の価格・販売ストア

AYN Loki Max は、公式ストアの専売商品です。
カラーバリエーションは、全2色(ホワイト、ブラック)です。

クーポンコード「GloriousPurpose」で、75ドルオフです。
実質の販売価格は 700ドル(送料別途)です。

・16GB / 512GBモデル
 販売価格:775ドル(送料別途)

予約注文を受け付けており、発送時期については未公開です。
注文する際には発送スケジュールに注意してください。

AYN Loki Max のスペック

AYN Loki Max のスペックを詳しく見ていきます。
AYN Loki との大きな違いは採用されている CPU のみです。

製品名 AYN Loki Max
画面 6インチ(解像度 1920 × 1080、368PPI)
マルチタッチ対応
OS Windows 11 Home
CPU AMD Ryzen 7 6800U
グラフィックス AMD Radeon 680M グラフィックス
メモリ 16GB LPDDR5 6400MHz
ストレージ 512GB M.2 2242NVMe
インターフェース USB4ポート、イヤホンジャック
microSDカードスロット
その他

ゲームコントローラー、デュアルステレオスピーカー、
ジャイロスコープ、振動モーター、マイク
RGB LEDライト

ワイヤレス通信 Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2
バッテリー 46.2Wh
大きさ 248 × 98 × 20~23.7mm
重さ 約580g
カラー ホワイト・ブラック

免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。

AYN Loki Max のレビュー

ポータブルゲーミングPC「AYN Loki Max」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。

パッケージ

ストライブ模様のクリアケースに収められた外箱(パッケージ)です。
観音開き構造で、本体が収納されています。

付属品

1. マニュアル
2. スクリーンプロテクター

3. 収納ケース
4. USB Type-Cケーブル
5. ACアダプター
6. コンセント変換プラグ
7. ジョイスティック用アダプター

パッケージや付属品は、AYN Loki と同じものを採用しています。

大きさ・重さ

大きさは 248 × 98 × 20~23.7mm、重さは 580g(実測値)
ポータブルゲーミングPC としては軽量・小型です。

持ちやすいグリップ付きで、重量バランスに優れているため軽く感じます。
本体筐体(ABS樹脂素材)のビルドクオリティは標準です。

わかりやすく Nintendo Switch、ROG Ally と比較します。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。

製品名 画面サイズ 大きさ 重さ
Nintendo Switch 6.2インチ 239 × 102 × 13.9mm 398g
AYN Loki Max 6インチ 248 × 98 × 20~23.7mm 580g
ROG Ally 7インチ 280 × 111 × 21~32mm 608g

任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象です。人によってはストレス・負担に感じるサイズ感です。

ちなみに、AYN Loki と AYN Loki Max の形状やカラーバリエーションは同じです。
ただ、AYN Loki Max の方が AYN Loki よりも重さが約10g 重たくなっています。

インターフェース

インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタン、マイクがあります。下部には microSDカードスロット、イヤホンジャック、USB4ポート、左右にデュアルステレオスピーカーを備えています。指紋認証は非搭載です。

左右にはグリップがあり、バイブレーション機能が搭載されています。
ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.2 です。

「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用したうえで公開しています。

LEDライト機能が充実しています。
アナログスティック周りや左右グリップサイドだけでなく、背面ロゴも光ります。
専用アプリを使用して、オン・オフ、RGBカラーや照明効果を変更可能です。

背面左側には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
冷却能力に優れた大型ヒートシンクとファンを搭載しています。

騒音計を使用して実測した結果、デバイスから50cm離れた位置での騒音レベルは 38dB~46dB で風切り音がかなり大きいです。回転数を自動制御または手動制御が可能です。

画面

6インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:9)、解像度 1920×1080、画素密度 368PPI です。
マルチタッチスクリーンで、操作・感度、画面の明るさは良好です。

ネイティブランドスケープな液晶ではなく、画面の向きは「横(反対向き)」表示です。
リフレッシュレート(40Hz、50Hz、60Hz)は選択可能です。AYN Loki で確認されたようなバックライトの輝度ムラはありませんでした。

デフォルトの解像度は 1920×1080 で、スケーリングは 150% で、文字も大きく視認性は優れています。ただし、この状態だと正常に表示されないアプリがあるので、必要に応じて Steamビックピクチャーモードで起動したり、解像度・スケーリングを調整する必要があります。

操作性

本体サイズはやや小ぶりなこともあり、本体のホールド感はそこそこです。
ABXYボタンサイズは 8mm と小さめで、ストロークは 1.2mm ほどです。各種ボタンはメンブレンで静音で、L2 / R2ボタンはアナログトリガーを採用しています。

アナログトリガーにはホールセンサーが搭載されており、摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを使用しています。ジョイスティックキャップ自体の変更にも対応(付属のアダプターを使用)しています。

通常はゲームコントローラーとして機能しますが、L1 と R1 ボタンを長押しすることでマウスモードに切り替わり、マウス操作として機能します。この切り替わり後に操作できるまでのタイムラグがあり、モードごとのファンクション(ショートカット)が多くわかりづらいです。

実際のゲーミングプレイ時の操作性については、海外ユーザーからも高く評価されていますが、ストレスがない快適な Windows操作(文字入力、セットアップ操作など)を行うには、周辺機器が必要となる状況が想定されます。

専用アプリ

専用アプリ「Loki Control Center」は、正面右下の LCCボタンで起動します。
CPUブースト、TDP(Thermal Design Power)設定、GPUクロック周波数、ファンの回転数、解像度、RGB LEDライトエフェクトなどを設定・変更できます。

TDP のデフォルト設定は 18W で、最大34W まで変更可能です。
4W から 34W まで 1W刻みで調整が可能で、ユーザー自身で簡単に変更・設定ができます。

コントローラー操作には対応していないので、タッチ操作かマウス操作が求められます。
そのため、やや使い勝手は悪く、最適化されていないアプリといえそうです。

ユーザー自身で自由に変更・設定が可能で、熟知している人向けといえそうです。
併せて、Playnite などのサードパーティ製アプリの導入を推奨します。

ゲーム動作確認

高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
ゲーム設定を見直すことで、60FPS で快適なゲームプレイが可能です。

AYN Loki よりも性能に優れた Ryzen 7 6800U を搭載していますが、体感的にはほぼ性能差を感じることはありません。TDP(Thermal Design Power)設定を最大 34W まで変更可能です。

『RSR(Radeon Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、『レイトレーシング』にも対応しており、水面や鏡、窓などのリアルな映像表現が可能です。

AMD Software: Adrenalin Editon はプリインストールされています。
RSR(Radon Super Resolution)を有効化してディスプレイ解像度を 1920×1080 に設定、ゲームを起動してゲーム解像度をぐっと下げる(ディスプレイ解像度より低くする)ことで RSR が機能します。

VRAM は標準で 3GB となっていて、GPUクロック周波数は最大 2200MHz です。TDP 28W 設定で、DEATH STRANDING や Forza Horizon 5、エルデンリングは平均して 30~40FPS以上で動作します。

ストレージ状態

AYN Loki Max のストレージ状態です。
パーティションは分割されておらず、専用アプリがプリインストールされています。
ストレージ容量に物足りなさを感じる場合は、SSD の換装も可能です。

搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。

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AYN Loki Max のベンチマーク

AYN Loki Max のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。

冷却能力

ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度(CPU)は 100度近くになり、一定時間経過後には 40度台で安定します。
競合他社と比べると、経験値不足は否めず冷却能力は不十分です。

ゲームプレイや負荷がかかる状況でも、体感的な温かさは感じられません。ただし、画面に触れる操作がある場合は、本体左部の画面側を中心に発熱が確認できます。

内蔵ファンの風切り音は負荷がかかる際にかなり大きくなるので、没入感があるゲームミュージックを楽しむにはイヤホンが必須となりそうです。

ストレージ速度(SSD)

標準搭載されている M.2 2242 SSD のストレージ速度です。
BIWIN製の PCle3.0規格の SSD が搭載されています。

ストレージ速度(microSDカード)

microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。

バッテリー情報

バッテリー状態です。
バッテリーの基本情報、容量、状態などの参考としてください。

ベンチマークテスト結果

標準設定の『23W』、『34W』のベンチマークスコアを比較しています。
いずれも CPU は Boost、GPU は Auto に設定しています。

ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。

ベンチマークテスト 23W 34W
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 フルスクリーン 11487 12944
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 フルスクリーン 10287 11180
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質 ウィンドウ 10625 11335
ドラゴンクエストX ベンチマーク 最高品質 ウィンドウ 9415 9973
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 8292 8634
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 標準品質 ノートPC 8312 8592
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 5831 6152
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 高品質 ノートPC 6921 7242
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ 最高品質 5499 5832
PCMARK 10 5995 5977
3DMARK Time SPY 2637 2893
3DMARK Fire Strike 6572 7159
3DMARK Night Raid 24084 26340
CINEBENCH Release23 9348 11324
CINEBENCH Release23(Single Core) 1512 1491

AYN Loki よりもベンチマークスコアは上回る結果となりました。
ただし、ゲームプレイ中の体感的な差は、実際には大きく感じられませんでした。

駆動時間

駆動時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。

  • ディスプレイの明るさは 50%
  • ボリューム 50%
  • スリープしない
  • 無線LAN / Bluetooth:ON
  • 電源プラン「バランス」
  • TDP設定「18W」
  • LEDライト「Auto」

上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は6時間52分でした。
重ためのゲーミング使用に限定した場合では、設定ありきで1~2時間と見て良いでしょう。
処理の軽いゲームや作業で2~5時間といった感じです。

まとめ

AYN Lokiシリーズは、AYN Technologies 初のポータブルゲーミングPC です。
AYN Loki Max は、AYN Lokiシリーズの最上位モデルとして位置づけられています。

大きな特徴は、Ryzen 7 6800U搭載機であること、ポータブルゲーミングPC として RGBライトの豊富さ、軽量で小型なサイズ感、持ちやすいグリップがあるコントローラーの優れた操作性が挙げられます。

メリット
デメリット
  • 大きさ・重さ
  • 操作性・持ちやすさ
  • 静音ボタン
  • 豊富なLEDライト
  • microSDカードスロット
  • 専用アプリ
  • 価格
  • 出荷予定時期
  • インターフェース
  • 放熱対策・冷却能力
  • 指紋認証 非搭載
  • うるさい(風切り音)
  • 使いやすさ
  • 技適未取得機器

AYN Loki との大きな違いは搭載されている『CPU』です。
GPUクロック周波数は最大 2200MHz で、TDP(Thermal Design Power)設定を最大 34W に変更可能です。ただし、競合他社は Ryzen 7 7000シリーズにモデルチェンジを進めており、スペック的な優位性はありません。

スペックに対して価格競争力も低下しており、購入をおすすめできるモデルではありません。
また、カジュアルに使える操作性やユーザーインターフェースとはいえず、どちらかと言えば玄人向けです。ポータブルゲーミングPC が初めての方には、Steam Deck や ROG Ally、または競合他社製品を購入することをおすすめします。

AYN Lokiシリーズは、当初の計画どおりに製造から出荷までを完了できなかったことが悔やまれます。せめて、競合他社が Ryzen 7 6800U搭載機をリリースした時期に発売できていれば、持ちやすさや操作性は評価されているので、十分に商機はあった製品と評価します。

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