ポータブルゲーミングPC「AYANEO SLIDE」は、AYANEO社初となるスライド式構造を備えた6インチの液晶ディスプレイと、物理キーボードを備えた汎用性の高さが魅力の AMD Ryzen 7 7840U 搭載モデルです。
主要スペックは、Windows 11 Home、AMD Ryzen 7 7840Uプロセッサ、6インチ(1920 × 1080)、メモリー 16GB / 32GB LPDDR5X 7500MHz、ストレージ容量 512GB / 2TB を搭載しています。
AYANEO SLIDE の価格・販売ストア
AYANEO SLIDE は、AYANEO日本公式サイト、CAMPFIRE、ハイビーム公式オンラインストア、ハイビーム実店舗で取り扱いをしています。
スペックやカラーバリエーションが異なる複数モデルをリリースしています。
国内正規版は 2024年2月中旬に発送予定です。
・16GB / 512GBモデル
販売価格:153,800円
・32GB / 2TBモデル
販売価格:187,000円
AYANEO SLIDE のスペック
AYANEO SLIDE 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AYANEO SLIDE | |
画面 | 6インチ、IPS、解像度 1920 × 1200、 16:9、マルチタッチ、368PPI フローティングスクリーン | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 7840U | |
グラフィックス | AMD Radeon 780M グラフィックス | |
メモリ | 16GB / 32GB LPDDR5X 7500MHz | |
ストレージ | 512GB /2TB M.2 2280 SSD、PCI Express 4.0 | |
インターフェース | USB4ポート × 2、 microSDカードスロット、 イヤホンジャック | |
その他 | マスターコントローラー | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi6E、Bluetooth 5.2 | |
バッテリー | 12000mAh / 46.2Wh | |
大きさ | 226 × 90 × 28.5~37.5mm | |
重さ | 650g | |
カラー | サンライズホワイト、ブライトブラック |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO SLIDE のレビュー
ポータブルゲーミングPC「AYANEO SLIDE」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
パッケージ
『ビデオテープ(VHS)』を彷彿とさせるパッケージです。
こちらは、本体カラーのブライトブラック版です。
引き出して開封します。
磁気テープ部分に AYANEO SLIDE がデザインされています。
完全に開封しました。
本体と付属品はそれぞれ個別に梱包されています。
付属品
1. マニュアル(本体)
2. マニュアル(AYA Space 2.0)
3. 電源アダプター
4. USB Type-Cケーブル
5. USB Type-C変換アダプター
6. 変換アダプター(3種類)
大きさ・重さ
大きさは 226 × 90 × 28.5~37.5mm、重さは 648g(実測値)
物理キーボードを備えた AMD Ryzen 7 7840U を搭載した 6インチモデルです。
実際に持ってみると重量バランスに優れていますが、やや重さを感じます。
成形精度や組み立て精度が高いですが、本体カラーのせいか皮脂や指紋が目立ちやすいです。
わかりやすく Steam Deck、ROG Ally と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Steam Deck | 7インチ | 298 × 117 × 49mm | 669g |
AYANEO SLIDE | 6インチ | 226 × 90 × 37.5mm | 590g |
ROG Ally | 7インチ | 280 × 111 × 32mm | 608g |
サイズ感や重さは7インチサイズのポータブルゲーミングPC と同等です。
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さです。
インターフェース
インターフェースは、上部に USB4 Type-Cポート、音量ボタン、電源ボタン一体型の指紋認証センサー。下部に USB4 Type-Cポート、microSDカードスロットを配置しています。
両側にステレオ・デュアルスピーカー(AYANEO Hyper Sound)を搭載しています。
また、6軸ジャイロセンサー、マイクも搭載しており、イヤホンジャックは非搭載です。
左右にグリップがあり、バイブレーション機能も備えています。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.2 をサポートしています。
また、オーディオ振動システム『SoundTAPMagic』(音声を自動解析して振動に変換)にも対応予定です。
正面にはゲームコントローラー、QWERTY物理キーボードを備えています。
左右のアナログスティックと物理キーボードに RGBライトエフェクトを搭載しています。
専用アプリを使用して、LED のオン・オフ、ライトカラー、照明効果を変更できます。
RGBライトカラーは全6色の固定色から選択可能です。
スライド式構造を備えたフローティングスクリーンを採用しています。
液晶ディスプレイは、角度調整可能で最大30度ほど傾けることができます。
背面左側には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
優れた放熱能力を持つ冷却システムが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~48dB とやや大きめです。TDP設定を低めにした場合、軽めのゲームであれば風切り音はほぼ気になりません。
画面
6インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:9)、解像度 1920 × 1080、画素密度 368PPI です。マルチタッチスクリーンで、操作感度や画面の明るさ・発色も良好です。
角度調整が可能なフローティングスクリーン(傾斜角度最大30度)を採用しています。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、画面の向きは「横(反対向き)」表示です。
ベゼル幅はやや太めで、リフレッシュレートは 60Hz のみです。
デフォルトの解像度は 1920 × 1080、スケーリングは 175% で、画面サイズが小さいため PC設定の変更やゲーム字幕などの視認性は良いとはいえません。あくまでも携帯ゲーム機としてのゲームプレイに特化した画面サイズといえそうです。
操作性
AYANEOシリーズ基準のマスターコントローラーを搭載しています。
ABXYボタンサイズは 7.6mm、ストロークは 1.3mm。各種ボタンはメンブレン、LT/RTボタンはアナログトリガー(7.5mm ストローク)を採用しており反発力は弱めで、スコスコとした押し心地です。
左側にはアナログスティック、方向ボタン、Xboxコントローラーボタンと同等の機能を持つビューボタン、メニューボタンが配置されています。
右側には ABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタンが配置されています。
AYAボタンは長押しで専用アプリ AYASpace画面、短押しで簡素な AYA Quick Tool表示に対応。=ボタンは短押しの機能を専用アプリ AYA Space で割り当て・変更が可能です。
実測したところ入力間の平均値は 9.6ms、ポーリングレートは 103Hz で、PC接続時の XBOX純正コントローラーには劣る反応速度です。アナログスティックとアナログトリガーにはホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
QWERTY物理キーボードの全体の大きさは、41.2 × 136.8mm です。
キーは指先で押すのに適したサイズ(7.8mm)で、隣り合わせのキー間隔が離れたアイソレーションタイプです。入力言語の切り替えは Alt + Shift を押すことで可能です。
本体形状がストレート型ということもあり、物理キーボードの中央には親指が届きにくい欠点があります。また、右Altキーがないため、多用する方にとっては使いにくいシチュエーションが想定されます。
LC/RCボタン には短押し・長押しの機能を割り当てることが可能です。
標準設定では、下記の機能が割り当てられています。
- LC短押し・・・オンスクリーンキーボード
- LC長押し・・・タスクマネージャー
- RC短押し・・・ESC
- RC長押し・・・タスクビュー
=ボタン同様に、専用アプリ AYASpace で割り当て・変更が可能です。
専用アプリ
AYAボタンは、専用アプリ『AYASpace』の呼び出しボタンです。
スタートアップ起動が採用されており、マウス操作・短押し・長押し機能を動作させるうえで必須のアプリです。
AYASpaceは、ゲームランチャー機能に加えて、TDP(Thermal Design Power)設定、バイブレーション機能、LEDイルミネーションなどの設定を一元管理できます。
AYAボタンを短押しすることで、画面右側に簡素な AYA Quick Tool が表示されます。
ここでは、ゲームランチャー機能を除くすべての機能の設定・設定ができます。
AYASpace 2.0 にアップデートされ、システムはやや安定しています。
未だに日本語未対応で、おかしな挙動も確認できるため、操作に若干の慣れが必要です。
『VRAM設定』項目、『SoundTAPMagic』項目
ゲーム動作
高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
ゲーム動作としては、競合他社の AMD Ryzen 7 7840U搭載モデルと同等です。
『RSR(Radeon Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、特定のゲームでのフレームレート向上が期待できる『FSR(FidelityFX Super Resolution)』にも対応しています。
RSR(Radon Super Resolution)を有効化して、ディスプレイ解像度を高く設定し、ゲームを起動後にゲームの解像度を低く設定(ディスプレイの解像度より低く設定)することで RSR が機能します。
この機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
VRAM は標準で 6GB で、メモリークロック周波数は最大 7500MHz です。
TDP 28W 設定で、サイバーパンク2077 や Forza Horizon 5、Diablo 4、エルデンリング、Lies Of P は 60FPS で動作し、Starfield や ARMORED CORE VI についても 30FPS以上で快適に動作します。
システムアップデートにより 7500Hz に設定できる予定です。
ストレージ状態
AYANEO SLIDE 国内正規版のストレージ容量は 512GB / 2TB です。
パーティションは分割されておらず、専用アプリ『AYASpace』と、AMD製品向けソフトウェア『AMD Software: Adrenalin Editon』がプリインストールされています。
搭載されている OS は『Windows 11 Home』です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 「音量+ボタン」と「RCボタン」を押したまま、電源ボタンを押す
- しばらく待つと、初期化ユーティリティが起動
- 「チェックマーク」をタッチ
- 数分待てば完了
ただし、給電をしながらであれば実行可能です。
AYANEO SLIDE のベンチマーク
AYANEO SLIDE のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 70度近くに達しましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
ゲームプレイや負荷がかかる状況では、キーボード右側の表面温度が 49度、コントローラー左右の表面温度が 42度~44度と温かさを感じます。内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかる際に一時的に大きくなります。
ただし、遊ぶゲームしだいですが、内蔵ファンの風切り音はほぼ気になりません。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SanDisk Extreme PRO A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定で『15W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 15W | 28W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 3578 | 4917 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 2799 | 3693 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2203 | 2809 |
ブループロトコル 低画質 | 8855 | 12367 |
ブループロトコル 中画質 | 4812 | 6995 |
ブループロトコル 高画質 | 4336 | 6225 |
ブループロトコル 最高画質 | 3309 | 4628 |
PCMARK 10 | 5148 | 5656 |
3DMARK Time SPY | 2310 | 2950 |
3DMARK Fire Strike | 5393 | 7031 |
3DMARK Night Raid | 19674 | 26301 |
CINEBENCH Release23 | 8288 | 11838 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1124 | 1127 |
連続稼働時間
AYANEO SLIDE の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定「15W」
- LEDイルミネーション:ON
上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は4時間43分でした。
ゲーミング使用に限定した場合では、約1~3時間と見て良いでしょう。
まとめ
AYANEO SLIDE は、AMD Ryzen 7 7840U を搭載した6インチモデルです。
AYANEO社初となるスライド式構造を備えたフローティングスクリーンと、QWERTY物理キーボードを備えた高い汎用性が特徴です。
液晶ディスプレイは最大30度ほどの角度調整が可能で、見やすい画面角度を手首で調整することなくゲームプレイに没頭できます。また、ゲーミング操作に特化したマスターコントローラーは、ホールセンサーを採用したスティックとトリガーを備えているのは評価ポイントです。
一方で、AYANEOシリーズの製品としては、洗練さに欠ける印象を受けます。
6インチのポータブルゲーミングPC としては、本体サイズと重量がデメリットで、スライド式構造のギミックを搭載したストレート型ということもあり、耐久性に若干の不安があります。
また、操作性においては、マスターコントローラーが AYANEO AIRシリーズ基準であることや、本体を持ち上げた状態では QWERTY物理キーボードの中央キーに親指が届きにくいといった課題が挙げられます。ただし、一般的な PC操作などを考慮すると、様々なシチュエーションで活躍できる携帯ゲーム機であると評価します。
AMD Ryzen 7 7840U を搭載したモデルは、競合他社から続々と登場しています。
価格やスペック、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
関連ページリンク
・AYANEO SLIDE|ハイビーム公式ストア
一般販売価格:153,800円~187,000円
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