Androidゲーム機「AYANEO Pocket MICRO」は、システムに Android 13、SoC に MediaTek Helio G99、画面サイズは 3.5インチを搭載した携帯ゲーム機です。ゲームボーイミクロをコンセプトにしたデザインが特徴です。
AYANEO Pocket MICRO の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYANEO Pocket MICRO について
AYANEO Pocket MICRO に関する情報をまとめたページです。
クラウドファンディングサイト Indiegogo で出資した実機です。
提供品の有無にかかわらず、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売サイト
AYANEO Pocket MICRO は、国内正規版が販売されています。
カラーラインナップは、マジックブラック、ソウルレッド、レトログレーの全3色。
スペックが異なる2モデルをリリースしています。
記事執筆時点では、2024年11月中に発送予定です。
・6GB / 128GB
販売価格:39,800円
・8GB / 256GB
販売価格:44,800円
製品仕様とスペック
AYANEO Pocket MICRO のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AYANEO Pocket MICRO |
画面 | 3.5インチ、IPS |
OS | Android 13 |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 6GB / 8GB LPDDR4X 4266M |
ストレージ | 128GB / 256GB UFS2.2 |
インターフェース | USB Type-Cポート microSDカードスロット |
その他 | ゲームコントローラー SoundTAPMagic ステレオスピーカー 6軸ジャイロセンサー 振動モーター アクティブ冷却ファン 電源ボタン一体型指紋認証 |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 5 / Bluetooth 5.2 |
バッテリー | 2600mAh |
大きさ | 156 × 63 × 18mm |
重さ | 233g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO Pocket MICRO のレビュー
AYANEO Pocket MICRO をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル(本体、専用アプリなど)
2. 検品合格証
3. USB Type-Cケーブル
出資特典
クラウドファンディングの出資特典は下記のとおりです。
一般販売時に付属するものではありません。
1. ステッカー
2. スタンド
3. 収納ソフトケース
4. マグカップ
5. ジョイスティックキャップ
6. スクリーンプロテクター
AYANEO純正のスクリーンプロテクターは、フルサイズ(全面)ではありません。
そのため、フルサイズのサードパーティ製スクリーンプロテクターがおすすめです。
大きさ・重さ
大きさは 156 × 63 × 18mm、重さは 234g(実測値)です。
金属フレームとプラスチックを組み合わせた筐体で、無骨さとシンプルさが絶妙に融合し、重厚感のあるブロック形状が印象的です。
ゲームボーイミクロをコンセプトにしたデザインで、表面にはオールガラスが採用されています。そのため、落下などの不慮の事故には十分に気をつける必要があります。また、背面はマットな質感でやや皮脂や汚れが目立ちやすいです。
全体的なビルドクオリティは最高レベルで、成形精度や組み立て精度は高く、堅牢な作りになっています。まさに完成形を思わせるプレミアムなモデルに仕上げられています。
サイズ感
参考としてNintendo Switch、PS Vita(PCH-2000)と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されている数値です。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch 有機ELモデル | 7インチ | 242 × 102 × 13.9mm | 420g |
AYANEO Pocket MICRO | 3.5インチ | 156 × 63 × 18mm | 233g |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
ゲームボーイミクロと大きさを比較すると、サイズ感は大きく異なります。
しかし、ポケットに収まるサイズで、ポータビリティに優れています。
インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン一体型の指紋認証センサーと音量ボタンが配置されています。下部には USB Type-Cポートがあり、左右にはステレオスピーカーを備えています。ただし、イヤホンジャックは非搭載です。
セキュアなログインを可能にする指紋認証センサーを搭載しているのはポイントです。
また、オーディオ振動システム SoundTAPMagic(音声を自動解析して振動に変換)を採用しています。スピーカー音質はややこもり気味で臨場感に欠けます。
右側にはホームボタンとRCボタン(バックボタン)、左側には microSDカードスロットが用意されています。通信機能は Wi-Fi 5 と Bluetooth 5.2 に対応しています。
その他に 6軸ジャイロスコープとマイク、バイブレーション機能が搭載されています。
マスターコントローラー(ホールジョイスティック)を採用しています。
本体背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
アクティブ空冷システムが搭載されており、表面温度は最高で 39度を計測しました。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは測定不能~最大35dB と静音です。ファンモードをオートにした場合、風切り音はほとんど気になりません。
画面
3.5インチのベゼルレス液晶ディスプレイを搭載しています。
アスペクト比は 3:2 で、解像度は 960 × 640 です。画素密度は 330PPI で、ゲームボーイアドバンスの解像度4倍の画素密度を実現しています。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは 60Hz です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。
画面の明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大560nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 60Hz、呼び出しレートは平均 97Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
主に定番のレトロゲームのエミュレーター体験を最大限に引き出すことを目的に設計されています。そのため、画面比率 16:9 には適していない点に留意が必要です。
操作感
AYANEO独自のマスターコントローラーを搭載しています。
ABXYボタンサイズは 7.1mm で、1.0mm のストロークを持ち、主要な操作ボタンはメンブレン方式を採用しています。
方向ボタンと ABXYボタンの押し心地は、どちらも底打ち感が軽く、同社の AYANEO Pocket S のボタンに近い感触です。ボタンの高さも適切で、好感が持てる押し感なのもポイントです。
右側には ABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタンが配置されています。
また、サイドには ホームボタン、RCボタン(バックボタン)があります。
左側には方向ボタン、アナログスティック、SELECTボタン、STARTボタンが配置されています。
アナログスティックは経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいホール効果センサーを搭載しています。
LRボタンは、ストロークが浅いため、瞬時の操作や応答性に優れています。
グリップがない厚みのある形状については賛否が分かれるところですが、指幅に合ったボタンサイズと形状になっているため、小型ながらも手に馴染みます。
個人的に惜しいと思ったのは、アナログスティックの高さがあり、位置も近いため、方向ボタンや ABXYボタンからアナログスティックへ指を移動する際に触れてしまう点です。
また、ボタン配置や形状には美学を感じますが、個人的には SELECTボタンと STARTボタンも左右で独立したレイアウトになっていれば良かったと感じます。全体としては、コンパクトながらも高い操作感を実現しています。
アナログスティックのデッドゾーンや可動域は最適化されています。
一般的なゲーミングコントローラーと比べると、AYANEO Pocketシリーズは軸がややズレる傾向にあります。システムアップデートや設定調整で改善される可能性があります。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
システム
ホームアプリには独自インターフェースの『AYAHome』が標準採用されています。
その他にも AYASpace や Quickstep にホームアプリを変更することもできます。
よく使用するアプリは、Yボタンを押して「Add to Homepage」を選択することで、AYAHome の最上部(クイックスタート)に表示させることができます。
AYAボタンを長押しすることで専用アプリ『AYASpace』が起動します。
また、短押しで簡素な AYA Quick Tool が表示され、直近に使用した最大4つのアプリが下部にタスク表示されます。
システムは日本語に設定しても、メニュー表示や項目は英語のままです。
そのため、こういった製品を初めて使用する方には分かりづらいかもしれません。
AYASpace では、ゲームパフォーマンスやインジケーター表示、各種コントローラー設定、ウィジェット機能などを手軽に変更できます。
コントローラーを使って操作することはできますが、ゲームアプリ起動時などは連動して誤操作する可能性があるため、タップ操作を行う方が良いでしょう。
AYAボタンを長押しすると、フロントエンドアプリとの連携、画像管理、テーマと言語などの設定が可能です。ただし、フロントエンドアプリとの連携は事前導入が必須であり、エミュレーターアプリを単体で使う方が手軽です。
連携をしなくても AYANEO Pocket S の内蔵ストレージ(PocketGamesフォルダ)に、BIOS と ROM の各種ファイルを保存することで表示させることも可能です。
専用アプリ『AYASetting』が用意されており、ユーザー登録、CPU や GPU のパフォーマンス、システムの OTAアップデートなどを行うことが可能です。AYASpace や既存の設定アプリと重複する項目があり、使い勝手には課題があります。
パソコンと AYANEO Pocket MICRO を USB接続した際、コントローラー(GamePad Mode または Controller Link)を無効にしないと、AYANEO Pocket MICRO を認識しない仕様であることに留意してください。
リマッピング機能を使うことで、タッチ操作を物理ボタンで操作することが可能です。
ゲームアプリ起動後に、AYA Quick Tool の Controller項目の Key Mapping をオンにして、Go to configuration を選択することで起動できます。
OTAアップデート後はシステムが不安定になることがあります。
安定稼働させるために、システムを再起動することをおすすめします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、KT-R1 や ZPG A1 Unicorn と変わりません。
主要スペックに MediaTek Helio G99 を採用したモデルで、RG353シリーズよりも優れたエミュレーター性能とゲーム動作が期待できます。Antutuベンチマークスコアは 35万点台。
スペックシート上では、動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP が快適動作。ゲームキューブや Wii がそこそこ動作するといった感じです。
定番のレトロゲームを遊ぶことに特化したモデルのため、同社の AYANEO Pocket S などのハイスペックモデルのような快適さはありません。ただし、設定項目を見直すことで、ゲームキューブ、PS Vita、PS2 の一部ゲームタイトルについても遊べるレベルで動作します。
ただし、遊ぶエミュレーターやゲームタイトルによっては解像度やアスペクト比が課題となり、エミュレーター性能を十分に活用できない場合がある点には留意が必要です。
ゲームアプリ
デバイス負荷が重めのゲームアプリ『原神』や『ゼンレスゾーンゼロ』などは、グラフィック設定を「低」に落とし込む必要があります。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことはできませんが、基本的なゲームプレイは可能です。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、画面サイズは 7インチ未満であるため、文字などの視認性については難があるかもしれません。
物理ボタンを割り振るリマッピング機能については、画面サイズが小さいため、ボタン配置やサイズを変更するのに手間どります。タッチ操作も含めてトレードオフが必要です。
リマッピング機能の実装当初は操作性や使い勝手に課題がありましたが、ユーザーフィードバックを受けて大きく改善しています。一度設定をしてしまえば、快適に使用できます。
まとめ
AYANEO Pocket MICRO は、MediaTek Helio G99 を搭載した Androidゲーム機です。
ゲームボーイミクロをコンセプトにしたデザインと、定番のレトロゲームのエミュレーター体験を最大限に引き出すことができるように設計されています。
ボーダレスな全面ガラスを採用した圧倒的なビルドクオリティや質感はもちろんのこと、ゲームボーイアドバンスの解像度4倍の画素密度を備え、重量は 200g台と軽量です。サイズ感も非常にコンパクトで、持ち運びに優れています。
マスターコントローラーの操作感やボタンレイアウト、グリップのない厚みのある形状については賛否があり、一概に評価しにくい面があります。細かい点としては、本体左側の操作部が熱を持つことや、スピーカーのこもったような音質が気になりました。
エミュレーター性能については、同社の AYANEO Pocket AIR や AYANEO Pocket S に劣りますが、競合他社の Androidゲーム機と比較すると指紋認証機能やシステム、ビルドクオリティという面で大きく優れています。スペックに対して価格は高めですが、所有欲を満たすプレミアムなモデルと評価できます。
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