中華ゲーム機「ZPG A1 Unicorn」は、正方形ディスプレイを採用した Androidゲーム機です。SoC に MediaTek Helio G99、システムには Android 13 を搭載。スペックに対して、価格がリーズナブルなことが特徴です。
ZPG A1 Unicorn の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
ZPG A1 Unicorn の価格・販売ストア
ZPG A1 Unicorn は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
カラーラインナップは、ホワイト、ブラック、ピンクの3色。
・ZPG A1 Unicorn
販売価格:130.57ドル(送料別途)
※記事執筆時の価格です。
ZPG A1 Unicorn のスペック
ZPG A1 Unicorn のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | ZPG A1 Unicorn |
画面 | 4インチ、IPS 解像度 720 × 720、1:1 255PPI、タッチスクリーン |
OS | Android 13 |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 6GB LPDDR4X |
ストレージ | 128GB |
バッテリー | 4500mAh (18W急速充電対応) |
インターフェース | USB Type-Cポート |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi、Bluetooth 5.2 |
大きさ | 159 × 89 × 19mm |
重さ | 250g |
素材 | ABS樹脂素材 |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
ZPG A1 Unicorn のレビュー
AliExpress公式ストアで購入した ZPG A1 Unicorn をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
1. ユーザーマニュアル(中国語・英語)
2. スクリーンプロテクター 2枚
3. USB Type-Cケーブル
4. 合格証
大きさ・重さ
大きさは 159 × 89 × 19mm、重さは 250g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、重さは『標準』です。
マットな質感で、皮脂や指紋は目立ちにくく、丸みがある筐体デザインです。
ビルドクオリティは、ややチープな印象を持ちます。
グローバル販売のカラーラインナップは全3色。
中国国内で先行販売されたクリアカラー2色の販売予定はありません。
サイズ感
参考として、ANBERNIC RG40XX H、ANBERNIC RG Cube を比較してみました。
いずれも公式発表されているスペックをベースにしています。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ANBERNIC RG40XX H | 4インチ | 163 × 79 × 16mm | 201g |
ZPG A1 Unicorn | 4インチ | 159 × 89 × 19mm | 250g |
ANBERNIC RG Cube | 3.95インチ | 153 × 86 × 18mm | 257g |
グリップを含めた厚みは異なりますが、サイズ感や重さは ANBERNIC RG Cube とほぼ同等です。浅めのグリップがある本体デザインで、持ち運びに便利なサイズ感です。
インターフェース
インターフェースは、上部にメニューボタン、音量ボタン、電源ボタンを用意し、下部にイヤホンジャック、USB Type-Cポート、microSDカードスロットを備えています。
本体正面の左右にはスピーカーが備えられています。
その他に、マイク、バイブレーション、ジャイロセンサー、ワイヤレス通信(Wi-Fi、Bluetooth 5.2)、急速充電(9V/2A)を備えています。
背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは 36db~56db と測定されました。
組み立て精度や設計が不十分なせいか、本体を傾けると振動と風切り音が増大します。
また、右側のコントローラーと画面周りの温度が約40度に達することがあります。
画面
正方形ディスプレイを搭載したモデルです。
4インチ液晶ディスプレイ(1:1)、解像度は 720 × 720、画素密度は 255PPI です。
ガラスレンズはロゴなし、左右上のベゼル幅に対して、下のベゼル幅はやや太めです。
定番レトロゲームをピクセルパーフェクトで表示できるのが最大の魅力です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
画面の明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大381nit を記録しました。
ANBERNIC RG Cube や Retroid Pocket 4 / 4 Pro の測定値より、若干低めの明るさです。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値と呼び出しレートの平均はいずれも 60Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
解像度とアスペクト比については、定番のレトロゲームでは気になりませんが、画面比率 16:9 には適していないことに留意が必要です。
操作性
操作性については、改善が必要と評価します。
ABXYボタンサイズは 8.8mmで、ストロークは 0.5mm です。ボタンサイズも大きく、メカニカルタイプのパチパチとしたボタンの押し心地は新鮮です。
また、LRボタン(非アナログトリガー)もメカニカルタイプで、それ以外の方向ボタンや HOME / BACKボタン、SELECTボタン、STARTボタンはメンブレンタイプです。細かいポイントとして、ABXYボタンの中央には、プレステ向けのボタン配置が刻印されています。
本体と同じように、すべてのボタンがマットな質感です。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
左側には アナログスティック、方向ボタン、ゲームモードボタン、HOME / BACKボタンが配置されています。右側には ABXYボタン、アナログスティック、SELECT / STARTボタンが配置されています。
ANBERNIC RG Cube と似たような形状・ボタンレイアウトを採用しています。
ボタンの押し心地やストローク、LRボタン形状や配置、グリップの高さが異なります。
方向ボタンの可動域については、ANBERNIC RG ARC よりも狭い印象を受けますが、ANBERNIC RG Cube よりは広いと感じました。ざっくりいえば、中間的な可動域をもたらしています。
浅めのグリップが備わっていますが、指先に軽くかかる程度でグリップ力は期待できません。
滑り止めのためのテクスチャー加工もないため、滑りやすいです。
アナログスティックにはホール効果センサーが搭載されているにもかかわらず、ドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が確認されました。
通常、ホール効果センサーでドリフト現象は防げるはずですが、今回確認されたことで、供給パーツの整合性や品質、またはシステム側の調整に問題がある可能性が疑われます。
アナログスティックのドリフト現象や軸ズレは解決されていません。
アナログスティックのデッドゾーンは感じられませんが、測定上では可動域が狭くなっている部分があります。左右の動きや軸にも差があり、設定のシステム項目の Joysticks calibration を調整することで改善が見られますが、完全ではありません。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
システム
システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
Google Playストア以外にも『百分网游戏』や『豌豆莢』といった中華プラットフォーム、各種エミュレーター、『Via』ブラウザなどが初期設定時に選択・導入が可能です。
初期状態では、Google Playストアが制限されていて利用できません。
アプリ『Device ID』を導入して、以下の作業が必要です。
- Device ID を起動
- Google Service Framework(GSF)の16桁をメモ
- https://www.google.com/android/uncertified/ を開く
- メモした16桁を入力して登録
Device ID は、OTAアップデートでプリインストールされました。
ホームアプリは標準の『Quickstep』を用意しています。
独自ランチャーの『IUX GAME LAUNCHER』は、アプリを直接起動するほか、本体上部のメニューボタンから起動できます。
画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスモードの切り替え、冷却ファンの設定などが可能です。
OTAアップデートにも対応しており、システムアップデートで細かなバグの修正が進められています。必要に応じてエミュレーターアプリやサードパーティ製アプリの導入をお勧めします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、KT-R1 や AYANEO Pocket MICROと変わりません。
主要スペックに MediaTek Helio G99 を採用したモデルで、RG353シリーズよりも優れたエミュレーター性能とゲーム動作が期待できます。Antutuベンチマークスコアは 32~34万点台。
スペックシート上では、動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP が快適動作。ゲームキューブや Wii がそこそこ動作するといった感じです。
競合他社の ANBERNIC RG Cube よりもパフォーマンスは劣ります。
ゲームキューブ、PS Vita、PS2 については一部のゲームタイトルが動作しますが、設定項目を見直す必要があります。当たり前のことですが、AYN Odin2シリーズや AYANEO Pocket S などのハイスペックモデルのような快適さはありません。
正方形ディスプレイとアスペクト比(1:1)により、定番レトロゲームをベゼルを気にせずに大画面で快適に遊ぶことができます。また、DS / 3DSエミュレーターを縦長表示にしてタッチ操作(疑似タッチではなく実際のタッチ操作)でプレイすることも可能です。
ただし、遊ぶエミュレーターやゲームタイトルによっては解像度やアスペクト比が課題となり、エミュレーター性能を十分に活用できない場合がある点には留意が必要です。
ゲームアプリ
デバイス負荷が重めのゲームアプリ『原神』や『ゼンレスゾーンゼロ』などは、グラフィック設定を「低」に落とし込む必要があります。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことはできませんが、基本的なゲームプレイは可能です。
また、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられるリマッピング機能がないため、コントローラーで遊べるゲームも限定されます。いずれにせよ解像度やアスペクト比がネックになるシチュエーションが多く、文字などの視認性についてはトレードオフが必要です。
まとめ
ZPG A1 Unicorn は、正方形ディスプレイを搭載した Androidゲーム機です。
Lao Zhang氏と ZPGチームによるグローバル商業ベースの実質3作目で、画面解像度は 720 × 720、アスペクト比は 1:1 の横型モデルです。
総合評価としては「玄人向け・要改善」と評価します。
定番のレトロゲームをピクセルパーフェクトで表示できる正方形ディスプレイを採用しており、MediaTek Helio G99 を搭載したモデルで、メカニカルなボタンの押し心地は新鮮です。
エミュレーター性能やパフォーマンスは期待値どおりですが、アナログスティックの挙動、Google Playストア利用時の制限、高負荷時の本体温度や冷却ファンの風切り音など、いくつかの課題が見られます。今後の OTAアップデートでの改善が期待されますが、これらの根本的な問題解決は厳しいかもしれません。
コンセプトが似ている ANBERNIC RG Cube と比較して、総合的なビルドクオリティや操作性、スペックが劣ります。しかし、コストパフォーマンスに優れた価格設定は大きな魅力であり、価格重視のユーザーには選択肢として考えられるモデルです。
ZPGブランドは、スマホを改造した DIYモデルで広く知られており、これまでは DIY製品という特性上、多少の品質の低さは受け入れられてきました。しかし、商業ベースの製品では、競合製品との品質比較が避けられず、今後の評価に注目が集まります。
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