Androidゲーム機「AYANEO Pocket AIR」は、AYANEO社としては初の Androidゲーム機です。画面サイズは 5.5インチ(1920 × 1080)の有機ELディスプレイで、SoC に MediaTek Dimensity 1200 を搭載した『価格と性能のバランスを重視』したモデルです。
AYANEO Pocket AIR の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
AYANEO Pocket AIR の価格・販売ストア
AYANEO Pocket AIR は、国内正規版が販売される予定です。
スペックが異なる複数モデルをリリースします。
現時点では価格や取り扱いモデルは不明です。
詳細情報が発表され次第、お知らせいたします。
Androidゲーム機「AYANEO Pocket AIR」のクラウドファンディングが予告されています。AYANEO 2023 Strategy Sharing で発表された新製品で、『価格・性能のバランスを重視』したモデルです。[…]
国内正規版の一般販売時期や価格は未定です。
AYANEO Pocket AIR のスペック
AYANEO Pocket AIR のスペックを詳しく見ていきます。
一部のモデルについては、国内正規版としての販売が行われない可能性があります。
製品名 | AYANEO Pocket AIR |
画面 | 5.5インチ、有機EL(AMOLED)、 解像度 1920 × 1080、404PPI、 350nit、マルチタッチ |
OS | Android 12 |
SoC | MediaTek Dimensity 1200 |
RAM | 6GB / 8GB / 12GB LPDDR5 |
ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB UFS 3.1 |
インターフェース | USB 3.2 Gen1 Type-Cポート microSDカード / nanoSIMスロット、 イヤホンジャック |
その他 | Masterコントローラー、 |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
周波数バンド | GSM:B2/B3/B5/B8 WCDMA:B1/B2/B5/B8 CDMA800:8C0 LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B20 B26/B28/B34/B38/B39/B40/B41 |
バッテリー | 7350mAh |
大きさ | 224 × 89.5 × 17mm |
重さ | 380g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO Pocket AIR のレビュー
Androidゲーム機「AYANEO Pocket AIR」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル(本体)
2. マニュアル(AYAHome & Space App)
3. USB Type-Cケーブル
クラウドファンディングの出資者特典は下記のとおりです。
1. 収納ポーチ
2. アナログスティックカバー
3. ステッカー
4. スクリーンプロテクター
5. アナログキャップ(赤・黒、各2セット)
一般販売時に付属するものではありません。
大きさ・重さ
大きさは 224 × 89.5 × 17mm、重さは 377g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、同程度の画面サイズの Android ゲーム機としては一般的な重さです。
レトロな雰囲気を残した色合いが特徴的なカラーデザインです。
成形精度や組み立て精度は高く、堅牢な作りになっています。
似たような形状の携帯型ゲーム機の大きさ・重さを比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
AYANEO Pocket AIR | 5.5インチ | 224 × 89.5 × 17mm | 380g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象です。この基準を AYANEO Pocket AIR は満たしています。
なお、ポータブルゲーミングPC『AYANEO AIRシリーズ(初代)』(画面上)と AYANEO Pocket AIR(画面下)を見比べると、同じ筐体を再利用しているように思われますが、実際にはまったくの別筐体です
本体の最薄部がさらに薄くなり、LT/RTボタンの位置や大きさなど微妙な変更が見られます。
持った感触やサイズ感は、ほぼ一緒と見て良いでしょう。
インターフェース
インターフェースは、上部に電源ボタン一体型の指紋認証センサーと音量ボタンが配置されています。下部には microSDカード / nanoSIMスロット、イヤホンジャック、USB 3.2 Gen1 Type-Cポート、そして左右にステレオスピーカー(AYANEO Hyper Sound)を備えています。
セキュアなログインに対応した指紋認証センサーを搭載しているのはポイントです。
また、AYANEOシリーズのプレミアムエディションに採用されているオーディオ振動システム SoundTAPMagic(音声を自動解析して振動に変換)を採用しているのもポイントです。
左右にはグリップがあり、ジャイロスコープとデュアルマイク、バイブレーション機能が搭載されています。マスターコントローラー(ホールジョイスティック、ホールトリガー)を採用しています。
通信機能は Wi-Fi 6 と Bluetooth 5.2 に加えて、モバイルデータ通信の nanoSIM をサポートしています。(対応バンドについては、スペック項目を参照ください。)
左右のアナログスティック周りに LEDイルミネーションを搭載しています。
専用アプリを使用して、LED のオン・オフや照明効果をカスタマイズできます。
背面右側には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
冷却能力に優れた静音タイプのシングル冷却ファンが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~最大 42dB で普通です。ファンモードをオートにした場合、風切り音はほとんど気になりません。
画面
5.5インチの有機ELディスプレイ(AMOLED)を搭載しています。
アスペクト比は 16:9 で、解像度 1920×1080、画素密度 404PPI です。マルチタッチスクリーンで、操作感度や画面の明るさも良好です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは 60Hz です。
一般的な IPS液晶パネルよりも、黒がはっきりと美しい色彩で表現され、高速な応答速度を体感できます。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 90Hz、呼び出しレートは平均 60Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
操作性
本体サイズは小さめですが、しっかり握れるグリップが付いています。
ABXYボタンサイズは 7mm で、1.5mm のストロークを持ち、押し心地は良好です。各種ボタンはメンブレンで、LT/RTボタンはアナログトリガーを採用しており、ストロークは 7.5mm です。
右側には ABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタンが配置されています。
AYAボタンは長押しで専用アプリ AYASpace画面、短押しで簡素な AYA Quick Tool表示に切り替わります。
左側には ジョイスティック、十字ボタン、ビューボタン(SELECT)、メニューボタン(START)が配置されています。操作性や持ちやすさはポータブルゲーミングPC『AYANEO AIRシリーズ』と同等です。
カジュアルゲーマー向けのゲームコントローラーを搭載しています。
アナログスティックとアナログトリガーにホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
アナログスティックのデッドゾーンや可動域は最適化されています。
また、アナログスティックの感度、ABXYボタンの配置、ジャイロなどを設定可能です。
各種ボタンのキーマッピング機能も搭載されています。
ゲームアプリの画面操作を任意のコントローラーボタンに割り当てることができます。
=ボタンと LC/RCボタンには、ナビゲーションバーの機能が割り当てられています。
以下の機能が割り当てられています。
- =ボタン・・・ホームに戻る
- LCボタン・・・マルチタスク
- RCボタン・・・戻る
システム
ホームアプリには独自インターフェースの『AYAHome』が標準採用されています。
その他にも AYASpace や Quickstep にホームアプリを変更することもできます。
よく使用するアプリは、Yボタンを押して「Add to Homepage」を選択することで、AYAHome の最上部(クイックスタート)に表示させることができます。
AYAボタンを短押しすることで専用アプリ『AYASpace』が起動します。
AYA Quick Tool が表示され、直近に使用した最大4つのアプリが下部にタスク表示されます。
AYASpace では、ゲームパフォーマンスやインジケーター表示、各種コントローラー設定、LEDイルミネーション、ウィジェット機能のオン・オフなどを手軽に変更できます。
コントローラーを使って操作することはできますが、ゲームアプリ起動時などは連動して誤操作する可能性があるため、タップ操作を行う方が良いでしょう。
AYAボタンを長押しすると、フロントエンドアプリとの連携、画像管理、テーマと言語などの設定が可能です。ただし、フロントエンドアプリとの連携は、Pegasus または Emulation Station の事前導入が必須であり、わかりづらく初心者向けではありません。
連携をしなくても AYANEO Pocket AIR の内蔵ストレージ(PocketGamesフォルダ)に、BIOS と ROM の各種ファイルを保存することで表示させることができます。ただし、ゲームタイトル画像などの表示はシステム側でのスクレイピング機能が提供されていません。
専用アプリ『AYASetting』が用意されており、ユーザー登録、システムの OTAアップデートなどを行うことが可能です。AYA Space や既存の設定アプリと重複する項目があり、使い勝手には課題があります。
注意すべき点として、パソコンと AYANEO Pocket AIR を USB接続した際、コントローラー(Hand lever または Controller Link)を無効にしないと、PC が AYANEO Pocket AIR を認識しないこと、オーディオ振動システム SoundTAPMagic はシステム音量をほぼ最大に設定しないと効果を体感できないことに留意してください。
いくつかのバグはシステムアップグレードで修正はされていますが、継続的に改善(頻繁に OTAアップデートの実施)が進められています。直近では『AYAWindow』がアップデートされキーマッピング機能が実装されました。
フロントエンド「Daijishō」は、エミュレーター導入からテーマの変更、ゲームタイトルのボックスアートとメタデータを自動的にスクレイピングする機能を搭載したインターフェースです。Android向けに開発された Daiji[…]
エミュレーター性能
基本的なエミュレーター性能は、同じ MediaTek Dimensity 1200 を搭載している GPD XP Plus を高いです。実測したところ Antutuベンチマークスコアは 70万点台で、このスコアは Snapdragon 870 に匹敵します。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターン、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita までが快適に動作するスペックを搭載しています。
総合的にみると Snapdragon に比べて安定動作するエミュレーター・ゲームタイトルは限定的ですが、正常動作するエミュレーターやゲームタイトルではスペック相当の実力を体感できるデバイスと評価します。
Androidゲーム機というカテゴリにおいては、上位モデルに位置しますが AYN Odin2 よりも性能は劣ります。参考として、各種エミュレーターの解像度は、PPSSPP で 3x~4x(1080P)、ArtherSX2(NetherSX2)で 1.5x~4x、Dolphin で 2x~3x、Vita3K で 4x で平均FPS30~で動作します。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「中~最高」で動作します。
本体の熱を感じることもなく、アクティブ冷却ファンの効果を実感できます。
マインクラフト、Call of Duty Mobile、フォートナイトなども快適に楽しめます。さらにゲームモードに設定すればフレームレート向上も期待できます。
主要なボタンを物理ボタンに割り振るリマッピング機能は実装済みです。
ゲームアプリでゲームコントローラーが使えるようにはなりましたが、操作性や使い勝手に難があります。また、総合的な快適さという点においてはハイエンドなゲーミングスマホにおよびません。
Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も快適に遊べます。通信環境・回線速度が十分であれば問題なくゲームプレイが可能です。
まとめ
AYANEO Pocket AIR は、MediaTek Dimensity 1200 を搭載した AYANEO初の Androidゲーム機です。『価格と性能のバランスを重視』したモデルで、レトロな雰囲気を残した特徴的なカラーデザインと、Nintendo Switch に近いサイズ感を提供しています。
5.5インチの有機ELディスプレイ(AMOLED)にセキュアな指紋認証、LEDイルミネーション、オーディオ振動システムである SoundTAPMagic をサポートしており、スピーカーシステム(AYANEO Hyper Sound)とアクティブ冷却を備えています。
カジュアルゲーマー向けのコントローラーは、アナログスティックとアナログトリガーにホールセンサーが組み込まれており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象が発生しにくいパーツが採用されているのもポイントです。
システム面については、独自のホームアプリ『AYAHome』、ゲームパフォーマンスやウィジェット機能を変更できる『AYASpace』、各種システム設定を行う『AYASetting』、画面コントロール『AYAWindow』が提供されています。しかし、一部の機能が重複していたり、実装されたキーマッピング機能の動作、システムアップデートでの改善が求められます。
操作性や持ち心地、そして有機ELディスプレイの鮮明さは、同社のポータブルゲーミングPC『AYANEO AIRシリーズ』と同等であり、AYANEO Pocket AIR でもその優れた点が活かされています。
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