中華ゲーム機「ANBERNIC RG406H」は、 縦型モデルである RG406V の横型バージョンとして位置づけられます。SoC に UNISOC Tiger T820、システムには Android 13 を搭載し、ホールアナログスティックとホールトリガーを備えたコントローラーが特徴です。
ANBERNIC RG406H の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
ANBERNIC RG406H について
中華ゲーム機 ANBERNIC RG406H に関する情報をまとめたページです。
レビュー用にサンプルを提供してもらいましたが、コンテンツの内容には影響していません。
価格・販売ストア
ANBERNIC RG406H は、公式サイトを中心に広く販売しています。
カラーラインナップは、ブラック、ホワイト、クリアパープルの全3色。
・ANBERNIC RG406H
販売価格:27,199円(送料別途)
製品仕様とスペック
ANBERNIC RG406H のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | ANBERNIC RG406H |
画面 | 4インチ、IPS 解像度 960 × 720、4:3 300PPI、マルチタッチ |
OS | Android 13 |
SoC | UNISOC Tiger T820 |
RAM | 8GB LPDDR4X |
ストレージ | 128GB UFS 2.2 |
バッテリー | 5000mAh |
インターフェース | USB Type-Cポート |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 |
大きさ | 174 × 81 × 17.9mm |
重さ | 265g |
素材 | ABS樹脂素材 |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
ANBERNIC RG406H のレビュー
ANBERNIC RG406H をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. ユーザーマニュアル(中国語・英語)
2. スクリーンプロテクター
3. 液晶クリーナー
4. USB Type-Cケーブル
別売りの収納ケースが用意されています。
ベーシックなデザインで、本体とケーブルを持ち運ぶのに便利です。
大きさ・重さ
大きさは 174 × 81 × 17.9mm、重さは 264g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、重さは『標準』です。
アナログスティックの高さと、手に馴染みやすい丸みを帯びたデザインが特徴です。
コーティングのないマットな質感ながら、成形精度や組み立て精度は高いです。
サイズ感
参考として、PS Vita(PCH-2000)や Nintendo Switch を並べてみました。
ANBERNIC RG406H のサイズ感がよくわかります。
最薄部は 17.9mm ですが、グリップがある最厚部は約30mm ほどあります。
ポケットにも収まるコンパクトなサイズ感ながら、アナログスティックの高さがあるため、収納時には注意が必要です。
画面サイズが近い ANBERNIC RG Cube よりも横幅があるサイズ感です。
どちらもグリップがある本体デザインのため、重量感も特に気になりません。
任天堂の携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さが 500g未満であることは、ストレスなく使える目安になりますが、この基準を ANBERNIC RG406H は満たしています。
インターフェース
インターフェースは、上部に音量ボタンと電源ボタン、下部に microSDカードスロット、イヤホンジャック、USB Type-Cポート(1080P映像出力対応)、左右にデュアルスピーカーが配置されています。
ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi、Bluetooth 5.0 を搭載しています。
その他に、マイク、バイブレーション機能、6軸ジャイロセンサーを備えています。
アナログスティック周りに 1600万色の RGBライトエフェクトが搭載されています。
システム設定から LED のオン・オフや輝度調整、RGBカラー・エフェクトの変更が可能です。
背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
冷却能力に優れた静音タイプのアクティブ冷却ファンが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは計測不可でした。ファンモードをオンにした際の風切り音もかなり静かで気になりません。
画面
横型モデルの4インチサイズで、初めて解像度 960 × 720 を採用したモデルです。
アスペクト比は 4:3、画素密度は 300PPI です。ガラスレンズの上下左右のベゼル幅が狭く、本体カラーと同色になっている点がポイントです。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
画面の明るさと輝度(cd/m²)を測定したところ、最大で 499nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 60Hz、呼び出しレートの平均は 95Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
定番レトロゲームにおけるオリジナル解像度、倍率、表示解像度は以下のとおりです。
ANBERNIC RG406H での表示イメージの参考にしてください。
製品名 | オリジナル | 倍率 | 表示解像度 |
ゲームボーイアドバンス | 240 × 160 | 4倍 | 960 × 640 |
プレイステーション | 320 × 240 | 3倍 | 960 × 720 |
セガサターン | 320 × 240 | 3倍 | 960 × 720 |
PSP | 480 × 272 | 2倍 | 960× 544 |
ドリームキャスト | 640 × 480 | 1.5倍 | 960 × 720 |
プレイステーション2 | 640 × 480i | 1.5倍 | 960 × 720 |
PS Vita | 960 × 544 | 1倍 | 960 × 544 |
同じ画面サイズ・解像度を持つ縦型モデル RG406V と比べて、明るさや輝度はやや高いです。ほとんどのレトロゲームでは気になりませんが、画面比率 16:9 には適していないことに留意が必要です。
操作感
ABXYボタンサイズは 7.5mmで、1.5mm のストロークで、ほぼ ANBERNIC製品の標準仕様です。RB / LBボタンはタクトスイッチで、それ以外の主要な操作ボタンはほぼメンブレン方式を採用しています。
アナログスティックとトリガーにはホール効果センサーが搭載されています。
経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。
ABXYボタンはプリント印字のある光沢ボタンで、ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。ボタンの押し感はやや反発感があるしっかりとしたもので、ストロークも深めな印象です。
コントローラーレイアウトは、左右アナログスティック、方向ボタン、ゲームモードボタン、HOME / BACKボタン、ABXYボタン、SELECT / STARTボタンが配置されています。
アナログスティックの高さがあるモバイルコントローラーに近い操作感です。
左右のアナログスティックは、一般的なコントローラーに近い可動域を持っています。スティックのヘッド部分は若干小さめのものを採用しているため、指を移動する際に干渉することなくスムーズな操作が可能です。
ただし、操作時に力が入りすぎるとアナログスティックの軸下部に負荷がかかりやすい構造となっているほか、指の太さによってはヘッド部分に接触してしまう可能性があるため、注意が必要です。
指先にしっかりフィットする形状のグリップは、持ち心地が良いのもポイントです。
指がかかる位置、RB / LBボタンや RT / LTボタンに滑り止めのためのテクスチャー加工が施されています。そのため、手汗でも滑りにくくなっています。
アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も確保されています。
可動域に顕著に気になるところはなく、測定結果も良好で正確な印象を受けます。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
システム
縦型モデルの ANBERNIC RG406V と同じシステム構成を採用しています。
システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
複数のエミュレーターアプリが標準でプリインストールされています。
ホームアプリは標準の『Quickstep』と独自UI の『RGLauncher』を用意しています。
RGLauncher は本体左側の「ゲームモードボタン」または「クイック設定パネル」から起動できます。
画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスモードの切り替え、入力やリマッピング機能、冷却ファンの設定、RGBライトエフェクトの編集などが可能です。
Ambient Light項目を短押しで、簡易的なエフェクトモードの変更、長押しすることで輝度調整やカラーなどの詳細設定ができます。
リマッピング機能である「Keymapp」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。原神などの主要なゲームアプリの操作はプリセットとして用意されています。
OTAアップデートにも対応しており、システムアップデートで細かなバグの修正にも対応しています。必要に応じてエミュレーターアプリやサードパーティ製アプリの導入をお勧めします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、ANBERNIC製品でフラッグシップ・最上位(記事執筆時点)です。
主要スペックに UNISOC Tiger T820 を採用したモデルで、Antutuベンチマークスコアは 43万点台です。ハイモードに変更しても大きな差は見られませんでした。
スペックシート上では、動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブが快適動作。Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルがそこそこ動作するといった感じです。
ANBERNIC RG406H は、競合製品と比較して中間的な性能を持つモデルです。
既存の Androidゲーム機と比較すると、Retroid Pocket 3+ を圧倒していますが、ZPG A1 Unicorn より少し優れ、Retroid Pocket 4 / 5 や AYN Odin2 には劣ります。
ANBERNIC からは、基本スペックが同じモデルもリリースされています。
横型モデルで有機EL液晶(AMOLED)を求める場合は「RG556」、正方形ディスプレイを求める場合は「RG Cube」、縦型モデルを求める場合は「RG406V」がおすすめです。
ゲームアプリ
デバイス負荷が重めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』などは、グラフィック設定を「低」に落とし込む必要があります。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことはできませんが、基本的なゲームプレイは可能です。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、画面サイズは 7インチ未満であるため、文字などの視認性やタッチ操作についてはトレードオフが必要です。
初期設定・使い方
基本的な使い方・設定方法は Androidデバイスと共通です。
一般的なボタン操作、キーマップについては、こちらの記事を参考に進めてください。
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まとめ
ANBERNIC RG406H は、縦型モデルである RG406V の横型バージョンです。
画面サイズは 960 × 720、アスペクト比は 4:3 で、持ちやすいグリップを備えたコントローラーを採用し、1600万色の RGBライトエフェクトも搭載しています。
汎用性の高い画面サイズと解像度に加え、SoC に UNISOC Tiger T820 を採用し、システムには Android 13 を搭載していることで、ゲームパフォーマンスが向上しています。また、同等のスペックを持つ縦型モデル RG406V とは、持ちやすさや操作感に違いがあります。
操作感については、アナログスティックだけでなくトリガーにもホールセンサーが搭載されており、精密な操作が可能です。また、画面サイズや解像度がネックとなる場合もありますが、ゲームアプリやクラウドゲーミング(PCゲーム)を想定した使い方にも対応できます。
ただし、アナログスティックのヘッド部分が既存製品よりも小さく、高さがあるため、操作感にわずかな違いを感じる場面があります。特に、既存製品に慣れているユーザーにとっては、その操作性に賛否が分かれるかもしれません。
スペックに関しては 既存モデルの延長といった印象を受けますが、これまでにない新たな操作感や、定番のレトロゲームに幅広く対応する汎用性を備えたモデルを求めている方に適した選択肢と評価できそうです。
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