中華ゲーム機「ANBERNIC RG353M」は、2022年上期で人気No.1 の RG351MP を踏襲した本体デザイン・金属筐体、RG351シリーズよりも優れた RockChip RK3566 を搭載、デュアルブートシステム(Android 11 / Linuxベースのシステム)を採用した高級モデルです。
ANBERNIC RG353M の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能、初期設定・使い方をご紹介します。評価すべきところ、欠点についても詳しくチェックします。
ANBERNIC RG353M の価格・販売ストア
ANBERNIC RG353M は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
カラーバリエーションは、全2色(オーシャンブルー、ディープパープル)です。
ANBERNIC RG353M
一般販売価格 21,499円(送料別途)
ANBERNIC公式ストアにおける販売価格が最安値です。
ANBERNIC RG353M のスペック
ANBERNIC RG353M のスペックを詳しく見ていきます。
- システム:Android 11 / Linuxベースシステム
- ディスプレイ:3.5インチ IPS、4:3、タッチスクリーン
- 解像度:640 × 480
- CPU:RockChip RK3566(1.8Ghz)
- GPU:Mali-G52 2EE
- RAM:2GB LPDDR4
- ストレージ容量:32GB eMMC 5.1 / microSDカード(最大512GB)
- 大きさ:145 × 70.5 × 15.9mm
- 重さ:232g
- バッテリー容量:3500mAh
- ワイヤレス通信:Wi-Fi(2.4G / 5G)、Bluetooth4.2
- インターフェイス:USB Type-C × 2、イヤホンジャック、
miniHDMI、microSDカードスロット × 2 - その他:ステレオサラウンドデュアルスピーカー、
バイブレーション機能、マイク - 素材:アルミニウム合金、ABS樹脂素材
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はいたしかねます。
ANBERNIC RG353M のレビュー
メーカー提供を受けた ANBERNIC RG353M をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、エミュレーター性能、初期設定・使い方にいたるまでを徹底解説します。
付属品
ガラスフィルム、液晶クリーナー、マニュアル(中国語・英語)、USB Type-Cケーブルが付属します。
大きさ・重さ
本体の大きさは 145 × 70.5 × 15.9mm、重さは 231g(実測値)。
金属(アルミニウム合金)筐体なので『やや重い』です。
2022年上期で最も人気が高かった RG351MP を踏襲した本体デザインを採用していますが、小さく・薄い・軽量モデルに仕上げられているのは評価ポイントです。
参考として似たような形状・横型モデルの製品と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
RG353M | 3.5インチ | 145 × 70.5 × 15.9mm | 232g |
RG351MP | 3.5インチ | 146 × 76 × 18.5mm | 266g |
RG503 | 4.95インチ | 187 × 84.5 × 25mm | 235g |
総合的なビルドクオリティは『優良・高い』と評価します。
金属筐体を採用しているため、5インチサイズの携帯ゲーム機に近い重さですが、ANBERNIC製品の 3.5インチ横型・メタル筐体では最軽量モデルです。
カラーバリエーションは全2色で、新色 ディープパープルは注目ポイントです。
派手さがない落ち着いた色合いが好みな人におすすめです。
新機能・変更点
ANBERNIC RG353Mには、これまでに登場した ANBERNIC製品にない特徴があります。
いずれも ANBERNIC製品としては『初』の機能・変更点です。
- ロゴなし・狭ベゼルの液晶ディスプレイ(横型モデル)
- 高品質なアナログスティック(Hall joystick)
- ステレオサラウンドデュアルスピーカー
- 新色 ディープパープル
- 3.5インチ横型・メタル筐体で最軽量モデル
インターフェース
インターフェースは、上部にイヤホンジャック、USB Type-C×2(内1つは給電ポート)、miniHDMIポート、Fボタン。
下部に microSDカード×2(内1つは Linuxベースのシステム起動用)、左右にステレオサラウンドデュアルスピーカーを用意しています。搭載されているスピーカーは2基で、正確にはバーチャルサラウンドです。
左側には音量ボタン、右側には電源ボタン、リセットボタンを用意しています。
左右の筐体素材の一部は ABS樹脂素材で、金属筐体の影響による電波感度の劣化を防ぐ構造を採用しています。
バイブレーション機能、マイクを搭載していますが、自動回転を有効化する加速度センサーとジャイロスコープセンサーは非搭載です。
ワイヤレス通信機能は Wi-Fi 2.4GHz / 5GHz、Bluetooth4.2 をサポートしています。
ただし、技適未取得機器なのでドングル接続しての利用を推奨します。
画面
ロゴなし・狭ベゼルのマルチタッチスクリーンを搭載しています。
3.5インチ液晶ディスプレイ(4:3)、解像度 640 × 480、画素密度は 229PPI です。
タッチスクリーン操作の感度も良好ですが、最大輝度はやや暗めいった印象です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
操作性
操作性・押し心地については評価ポイントです。
ABXYボタンサイズは 7.8mm、ストロークは 1.5mm で、ANBERNIC製品の標準仕様です。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
RG351MP に比べると、本体サイズは小さく・薄く仕上げられています。
また、持ってみると RG351MP よりも体感的に軽さを実感できます。
新たに採用した高品質アナログスティック(Hall joystick)は操作性に優れています。
大きさも 14.8mm と変わらず、これまでよりも正確な操作が可能です。
L1 / R1ボタンの幅は狭く、フラットだった L2 / R2ボタンは高さがある形状に変更されています。本体サイズも小さく・薄くなったことから、持ち心地や操作性が若干異なります。
これまでに登場した ANBERNIC製品の横型モデルの操作に慣れているほど、L1 / R1ボタン、L2 / R2ボタンの操作に若干の慣れが必要と評価します。
システム
ANBERNIC RG353M は、デュアルブートシステムを採用しています。
標準では Linuxベースのシステムが優先起動しますが、お好みに応じて切り替えができます。
- 電源ボタンを押すと『Linuxベースのシステム』を起動
- Fボタンを押しながら電源ボタンを押すと『Androidシステム』を起動
ちなみに、microSDカードスロット(TF1/INT.)に何も挿さっていなければ、Androidシステムが優先起動します。標準搭載されている Android 11 は、Google Playストア未搭載・未対応、オンラインバージョンアップに未対応です。
エミュレーター性能・所感
エミュレーター性能は RG351シリーズより優れています。
主要スペックに RockChip RK3566 を採用したモデルで、RG351シリーズで少し重めだったエミュレーター、ゲームタイトルの動作改善が見込めます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、スーパーファミコン、プレイステーション、ニンテンドーDS までが快適動作、NINTENDO64、PSP、ドリームキャストがそこそこ動作、セガサターン、ゲームキューブも動作するスペックを搭載しています。
デュアルブートシステムに対応しており、Linuxベースのシステムがメインシステムです。
Androidシステムに比べて汎用性は劣りますが、システムレベルでの物理ボタンの入力遅延が気になる人の選択肢と評価します。
ステレオサラウンドデュアルスピーカーは、サウンドノイズが軽減されています。
スピーカー2基のバーチャルサラウンド(疑似サラウンド)で、サウンドクオリティは向上してます。遊ぶゲームタイトルによって、立体音響がマッチするかどうかは賛否両論です。
Androidシステムは Google Playストア未搭載ですが、エミュレーターアプリがプリインストールされています。画面サイズは 3.5インチと小さく、二画面表示には向いていませんが、タッチスクリーン対応でニンテンドーDS が遊びやすいです。
スペックが低いため、ゲームキューブや PS2、少し重めのゲームアプリを遊ぶのは困難です。
リモートプレイやクラウドゲーミング(PCゲーム)を遊ぶゲームデバイスとして楽しめますが、画面サイズが小さく・文字などの視認性も悪いため、遊べるゲームタイトルを選びます。
ANBERNIC RG353M の使い方・初期設定
ANBERNIC RG353M の使い方・初期設定を詳しく解説します。
基本的な使い方はこれまでにリリースされた製品と変わりません。
エミュレーター・ゲームタイトルによっては細かな設定・変更や試行錯誤が必要です。
システムメニューを日本語化
一番はじめに行うのはメインシステム(Linuxシステム)の「日本語化」です。
下記の手順を参考に進めてください。
- ANBERNIC RG353M の電源ON
- STARTボタンを押してシステムメニューを表示
- 「SYSTEM SETTING」を選択
- LANGUAGE を「JAPANESE」に変更して BACK
- 「QUIT」を選択
- 「RESTART SYSTEM」を選択
- 再起動後にシステムが日本語化
基本操作
各メニューのホットキーリスト・ファンクションキーの一覧です。
グローバルメニュー
- A:決定
- B:キャンセル
- X:ゲームタイトルメニュー表示
- SELECT:クイックメニュー表示
- START:システムメニュー表示
- L / R:ゲームメニュー移動
- 音量上下:音量調整
RetroArchメニュー
- F+上下:音量調整
- F+左右:保存スロット選択
- F+L1:クイックロード
- F+R1:クイックセーブ
- F+L2:ゲーム速度UP
- F+R2:FPS表示
- F / F+B:ゲームメニュー表示
- F+START:ゲーム終了
- F+音量:明るさ調整
Android操作
- D-Pad、アナログスティック:移動
- A、START、Y、タッチ:選択
- A長押し、SELECT:メニュー表示
- B:メニュー閉じる
- F:戻る
- F長押し:HOMEボタン
ゲームモード
Androidシステムには『ゲームモード』が搭載されています。
Linuxベースのシステムで設定したゲームイメージを起動するランチャーです。
エミュレーターアプリを使い分ける人向けではなく、初心者向けの機能です。
下記の手順を参考に起動してください。
- Androidシステムを起動
- 画面上部からクイック設定パネルを表示
- 「Normal」アイコンをタップ
- 初回起動時のみ「Confirm」をタップ
- セットアップが完了したら「Fボタン」を押す
- ゲームモードが起動
カスタムファームウェア(CFW)の導入方法
ANBERNIC RG353M のカスタムファームウェア(CFW)の導入方法はこちらです。
使いやすさ、エミュレーター性能の向上を期待できます。
ANBERNIC RG353P / RG353V / RG353M のカスタムファームウェア(CFW)の導入方法を解説します。デュアルシステムの内『Linuxベースのシステム』について確認します。ファームウェアをダ[…]
まとめ
ANBERNIC RG353M は、RG351シリーズよりもエミュレーター性能に優れた高級モデルです。
2022年上期で人気No.1 の RG351MP を踏襲した本体デザイン・金属筐体を採用しています。
総合評価としては『買い・正統後継機』と評価します。
ANBERNIC初の新機能・変更点として、ロゴなし・狭ベゼルの液晶ディスプレイ、高品質なアナログスティック(Hall joystick)、ステレオサラウンドデュアルスピーカー(バーチャルサラウンド)を搭載したのは評価ポイントです。
これまでに登場した RG353シリーズにはない『強み』があるモデルと評価します。
デュアルブートシステムによる汎用性の高さに加え、人気の高い RG351MP を踏襲した定番デザイン、金属筐体を採用した総合的なビルドクオリティの高さはアドバンテージです。
直近で販売された RG353P、RG353V 同様に Google Play ストア未搭載です。
動作するアプリが限定されるため取捨選択が必要で、画面サイズが小さく・視認性が悪いのでリモートプレイやクラウドゲーミング(PCゲーム)を遊ぶゲームデバイスとしては不向きです。
ANBERNIC製品の横型モデルの操作に慣れているほど、L / Rボタンの操作に若干の慣れが必要ですが、定番モデルを愛用しているユーザーの『買い替え候補』に推薦できるモデルと評価します。
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