
中華ゲーム機「ANBERNIC RG Slide」は、ANBERNICとして初めて、120Hzの高リフレッシュレートディスプレイと PSP go風デザインのスライド式構造を採用した Androidゲーム機です。
ANBERNIC RG Slide の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
ANBERNIC RG Slide について
ANBERNIC RG Slide に関する情報をまとめたページです。
レビュー用にサンプルを提供してもらいましたが、コンテンツの内容には影響していません。
価格・販売ストア

ANBERNIC RG Slide は、公式サイトを中心に広く販売されています。
カラーラインナップは、ブラック、ホワイトの全2色。
・ANBERNIC RG Slide
一般販売価格:28,999円(送料別)
プレセール価格は 1,600円オフ
製品仕様とスペック
ANBERNIC RG Slide のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | ANBERNIC RG Slide |
システム | Android 13 |
画面 | 4.7インチ液晶ディスプレイ 解像度 1280 × 960 LTPS、4:3 リフレッシュレート120Hz マルチタッチ |
SoC | UNISOC Tiger T820 |
RAM | 8GB LPDDR4X |
ストレージ | 128GB UFS 2.2 |
バッテリー容量 | 5000mAh (連続6時間駆動) |
インターフェース | USB Type-Cポート (1080P映像出力対応) イヤホンジャック microSDカードスロット デュアルスピーカー 振動モーター |
ワイヤレス通信 | WiFi 5 Bluetooth 5.0 |
大きさ | 154 × 90 × 26mm |
重さ | 378g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
ANBERNIC RG Slide のレビュー
ANBERNIC RG Slide をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1. スクリーンプロテクター
2. 液晶クリーナー
3. ユーザーマニュアル(中国語・英語)
4. USB Type-Cケーブル
5. スティックカバー

別売りの収納ケース(ストラップ付き)が用意されています。
しっかり本体を保護したい人は、同時購入がおすすめです。
大きさ・重さ

大きさは 154 × 90 × 26mm、重さは 380g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、標準的ですが『やや重め』です。
PSP go風のデザインのスライド式構造を採用したモデルです。
コーティングのないマットな質感ながら、成形精度や組み立て精度は高いです。
ただし、質感のせいか、ややチープな印象を受けます。
サイズ感

参考として、PSP go と並べてみました。
全体的にかなり大きめのサイズ感で、PSP goと比べても一回り以上大きいことがわかります。

スライドを閉じた状態でも、そのサイズの違いは一目でわかります。
参考として、PS Vita(PCH-2000)も並べています。

PSP go を基準に考えてしまうと、予想以上に大きく感じるかもしれません。
ANBERNIC RG Slide のサイズや重量に関しては、PSP go の設計思想とは真逆ともいえるほど大きく異なります。この点を許容できるかどうかが、購入の判断材料のひとつになりそうです。
インターフェース

下部にはイヤホンジャック、USB Type-Cポート(1080P映像出力対応)が配置されています。
本体正面の左右にデュアルスピーカーが配置されています。

左側には microSDカードスロット、右側には音量ボタン、電源ボタンを備えています。
microSDカードは取り外しにくく、カバーがないのも少し気になるところです。
ワイヤレス通信機能としては、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 に対応。そのほか、マイク、バイブレーション機能、6軸ジャイロセンサーも搭載されています。

スライド式構造は、PSP go や Xperia Play を模倣したデザインを採用しています。
開閉時の音や反動は大きめで、スライドを閉じた際に時計を表示するなどの特別な演出は用意されていません。

背面には内蔵ファンの吸気口があり、下部の排気口へ放熱します。
冷却能力に優れた静音タイプのアクティブ冷却ファンを搭載しており、長時間のゲームプレイでも快適に楽しめます。
騒音計で測定したところ、デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは、最小で計測不能、最大で 34db と静かです。風切り音も控えめで、動作音が気になる場面はほとんどありません。
画面

リフレッシュレート 120Hz の4.7インチ LTPSディスプレイを搭載しています。
アスペクト比は 4:3 で、解像度は 1280 × 960、画素密度は 340PPI です。
10点マルチタッチスクリーンで、鮮明で色彩豊かな表示が可能です。
スライドを開閉しただけでは、通常はスリープモードには入りません。
ただし、一度スリープモードに移行したあとであれば、スライドを開くことで復帰できます。また、スライドを閉じた状態での縦画面操作も可能です。

ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは最大 120Hz です。
リフレッシュレートは、Auto / 60Hz / 90Hz / 120Hz の中から選択可能です。
明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大493nit を記録しました。
リフレッシュレート 120Hz 選択時のタッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 128Hz、呼び出しレートは平均 242Hz です。

定番レトロゲームにおけるオリジナルの解像度、倍率、表示解像度は以下のとおりです。
ANBERNIC RG Slide での表示イメージの参考にしてください。
製品名 | オリジナル | 倍率 | 表示解像度 |
ゲームボーイアドバンス | 240 × 160 | 5倍 | 1200 × 800 |
プレイステーション | 320 × 240 | 3倍 | 1280 × 960 |
セガサターン | 320 × 240 | 4倍 | 1280 × 960 |
PSP | 480 × 272 | 2倍 | 960 × 544 |
ドリームキャスト | 640 × 480 | 2倍 | 1280 × 960 |
プレイステーション2 | 640 × 480i | 2倍 | 1280 × 960 |
PS Vita | 960 × 544 | 1倍 | 960 × 544 |
解像度とアスペクト比については、定番レトロゲームでは気になりませんが、PSP(16:9)などには適していないことに留意が必要です。
操作感

操作感については、正直あまり良くはなく、ストレスに感じることがあります。
ABXYボタンサイズは 7.9mmで、1.4mm のストロークで、L / Rボタンはマイクロスイッチ、それ以外の主要ボタンはすべてメンブレン方式です。
アナログスティックにはホール効果センサーが搭載されています。
また、本体正面サイドのスピーカー近くにあるボタンは、左側がゲームモードボタン、右側が HOME / BACKボタンです。

スライドを開くと重心が本体の中央付近に寄るため、操作位置よりもやや後ろ側に重さを感じます。そのため、後方にやや引っ張られるような感覚があります。ABXYボタンやアナログスティックは、持ち方に慣れてくると良好に感じられます。
また、START / SELECTボタンは本体中央の下部に配置されており、手の大きさによっては押しづらく感じる位置です。個人的には、もう少しアナログスティック付近に配置されていた方が使いやすかったと思います。

人差し指を L / Rボタンにかけるようにして持ち、後方に寄った重心を支えながら操作するスタイルです。本体には適度な厚みがあるため、しっかりと手でホールドできます。
PSP go でもそうでしたが、一般的な縦型や横型モデルのような快適な操作感や持ちやすさは期待できません。もう少しフラットなボタンやアナログスティックが採用されていれば、印象は変わっていたかもしれません。

携帯型ゲーム機としての利便性は損なわれるかもしれませんが、操作性を重視するなら、映像を外部出力したり、外部コントローラーを使って遊ぶのも選択肢としてアリだと思います。

アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も広めです。
特に可動域に顕著に気になるところもなく、測定結果も良好でした。
Androidゲーム機はエミュレーターアプリが豊富な反面、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作を必要としないゲームなら特に問題はないでしょう。
システム

ANBERNIC の Androidゲーム機共通のシステム構成を採用しており、Android 13 を搭載し、Google Playストアに対応しています。標準的なエミュレーターアプリも最初から入っているので、すぐに遊び始めることができます。

ホームアプリは標準の『Quickstep』と独自UI の『RGLauncher』を用意しています。
RGLauncher は本体左側の「ゲームモードボタン長押し」または「クイック設定パネル」から起動できます。

画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスモードの切り替え、入力やリマッピング機能、冷却ファンの設定の編集などが可能です。

リマッピング機能である「Keymapp」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。可動域やデッドゾーンの調整は設定の「Handheld Game Console Settings」から変更できます。

新たに AI機能アプリ『ANBERNIC AI』を用意しています。
画像生成やリアルタイム翻訳、会話形式での質疑対応などに対応しています。特にリアルタイム翻訳は、リマッピング機能と組み合わせることでさらに使い勝手が良くなり、おすすめです。
OTAアップデートにも対応しており、アップデートでの細かなバグの修正にも対応しています。必要に応じてエミュレーターアプリやサードパーティ製アプリの導入をお勧めします。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は、RG Cube や RG406シリーズと同じです。
主要スペックに UNISOC Tiger T820 を採用したモデルで、Antutuベンチマークスコアは 47万点台です。ハイモードに変更しても大きな差は見られませんでした。
スペックシート上では、一般的な定番レトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブが快適に動作します。Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルもそこそこ動作するといった感じです。

ANBERNIC RG Slide は、競合製品と比較して中間的な性能を持つモデルです。
既存の Androidゲーム機と比較すると、Retroid Pocket 4 より少し優れ、Retroid Pocket 5 や AYN Odin2 には及ばない、といった位置づけです。
ただし、遊ぶエミュレーターやゲームタイトルによっては解像度やアスペクト比(4:3)が課題となり、十分に活用できない場合がある点には留意が必要です。事前に使用するエミュレーターの解像度を確認しておくことで、ミスマッチが起きにくくなります。
ゲームアプリ

デバイス負荷が重めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』などは、グラフィック設定を「低」に落とし込む必要があります。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことはできませんが、基本的なゲームプレイは可能です。

また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、画面サイズは 7インチ未満であるため、文字などの視認性や操作についてはトレードオフが必要です。
まとめ

ANBERNIC RG Slide は、スライド式構造を採用した Androidゲーム機です。
SoC に UNISOC Tiger T820 を搭載し、4.7インチの LTPS ディスプレイは解像度 1280 × 960、アスペクト比 4:3、リフレッシュレートは最大120Hzと、高速かつ滑らかな表示に対応しています。
ANBERNIC初の高リフレッシュレート画面、横型スライド式モデルです
これまでの中華ゲーム機にはなかったユニークなモデルで、競合製品との差別化が図られています。定番のレトロゲームはもちろん、動作が重めのエミュレーターにも対応できるのもポイントです。
一方で、PSP go を模したデザインではあるものの、本体サイズはかなり大きめで、画面のアスペクト比も PSP のような 16:9 ではありません。また、スライドを閉じたままで操作できる場面は限られているので、操作性や持ちやすさについては多少の割り切りが求められる印象です。
とはいえ、横型スライド式のデザインは PSP Go や Xperia Play を思わせる構造で、これまでにない形状やギミックにはロマンを感じさせます。製品の仕様に多少ギャップを感じる部分があっても、それを受け入れられるのであれば、十分に魅力的な一台といえるでしょう。
関連ページリンク
ANBERNIC RG Slide
一般販売価格:28,999円(送料別)
中華ゲーム機「ANBERNIC RG557」は、前モデル(RG556)の後継モデルです。SoC に MediaTek Dimensity 8300、5.48インチ有機ELディスプレイ(AMOLED)を搭載しています。ANBERNI[…]
中華ゲーム機「ANBERNIC RG34XXSP」は、既存モデルである RG35XXSP よりも、画面やサイズをひと回り小型化したモデルです。RAM は 2GB に強化し、新たにアナログスティックを追加しています。ANBE[…]
中華ゲーム機「ANBERNIC RG35XXPro」は、同社の RG35XX の『プロ版』にあたるモデルです。主要スペックである Allwinner H700 は変わらず、新たにアナログスティックが追加されており、価格が抑えられて[…]
中華ゲーム機「ANBERNIC RG Cube」は、正方形ディスプレイを採用した Androidゲーム機です。SoC に UNISOC Tiger T820、システムには Android 13 を搭載。持ちやすいグリップを備えたコ[…]
中華ゲーム機「ANBERNIC RG406H」は、 縦型モデルである RG406V の横型バージョンとして位置づけられます。SoC に UNISOC Tiger T820、システムには Android 13 を搭載し、ホールアナロ[…]