中華ゲーム機「Z-Pocket Game」は、最も入手困難なマニア向け携帯型ゲーム機です。
入手困難な理由は、完全受注生産による限定品なうえに DIY作品なことです。
最高傑作と名高いプレミアムモデルだけに注目されています。
大きな特徴は、Sony Xperia Z1 Compact のメイン基板・液晶ディスプレイをベースに、PS Vita のボタン・アナログスティックを組み合わせたキメラモデルなことです。価格・販売ストア、スペック、特徴、初期設定・使い方、エミュレータ性能などをご紹介していきます。
「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用したうえで公開しています。
Z-Pocket Game の価格・販売ストア
中華ゲーム機 Z-Pocket Game は、海外ストア Retro Game Case で販売されています。
完全受注生産限定品なので、一般販売はされていないプレミアムモデルです。
カラーバリエーションは、本体カラー・ボタンの組み合わせの異なる全5色を用意。
販売価格は 188ドル(受注生産ごとに価格決定)で、付属品により価格が異なります。
また、再生産の予定はありません。
Z-Pocket Game のスペック
Z-Pocket Game のスペックを詳しくチェックしていきます。
中華ゲーム機としての基本スペックは、「ずば抜けて高い」のがポイントです。
Z-Pocket Game をレビュー
中華ゲーム機「Z-Pocket Game」を徹底レビューしていきます。
結論としては、「最高評価の中華ゲーム機」と評価します。
もちろん、メリット・デメリットを含めて、その理由についても説明していきます。
商品名が似ている中華ゲーム機 ZPG Pro(Z-Pocket Game Pro)がありますが、まったくの別物です。こちらが LaoZhang氏 の ZPGブランドを代表する中華ゲーム機です。
Z-Pocket Game の付属品
収納ケース、クイックマニュアル(英語・中国語)、microUSBケーブル、イヤホンケーブルが付属します。クイックマニュアルにはエミュレータ性能に関する重要なことが書かれています。
この部分については、後ほどわかりやすく解説していきます。
Sony Xperia Z1 Compact 基板を採用
DIY作品でありながら、Z-Pocket Gameのクオリティは群を抜いています。
それもそのはず、Sony Xperia Z1 Compact をそのまま流用しているためです。
その証拠として、電源ボタンを入れるとに「SONY」のロゴマークが表示されます。
Sony Xperia Z1 Compact のおおよそな機能はすべて備わっていると判断して良いでしょう。
PS Vita のボタン・アナログスティックを採用
PS Vita に採用されているボタン、アナログスティックを採用しています。
ボタン、アナログスティックは、外部の Xbox 360コントローラーとして認識・動作します。
これまでの中華ゲーム機では体験できなかった PS Vita そのままの優れた操作性と、パーツのメンテナンス性を実現しています。ただし、L1/R1ボタン、L2/R2ボタンは独自設計されたボタンを採用しています。この部分の操作性については一般的な中華ゲーム機相当と評価します。
OTGボタンを ON にしたときのみ動作し、OFF のときはタッチ操作のみ動作します。
ほとんどの Androidアプリ、エミュレータに対応していることが特徴です。
挙動がおかしいときは、OTGボタンを ON/OFF することで直ります。
チープさはあるが、ビルドクオリティは高い
LaoZhang氏が主催するチャットやグループメンバーに出荷されたモデルと比べると、全体的にチープさはありますがビルドクオリティは向上しています。
3Dプリンターで造形された外装シェルから、射出成型された外装シェルに変更されています。
また、Sony Xperia Z1 Compact のメタルパーツを採用していたボタン(音量ボタン、電源ボタン)についても、新規に作成されたプラスチックボタンに変更されています。
スリムボディで軽量な本体サイズ
Z-Pocket Game は、軽量で持ちやすい・スリムボディを採用しています。
本体の大きさは 165 × 65 × 18.5mm、重さは 198g(どちらも実測値)です。
3.5インチの RG351P と大きさを比べると、横幅が広く・縦幅が細いことがわかります。
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5インチの Powkiddy RGB10 Max と大きさを比べると、二回りほど小さく感じます。
詳しい数値として大きさ・重さを比較すると、次のとおりになります。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
RG351P | 3.5インチ | 71 × 152 × 17.6mm | 181g |
RG351V | 3.5インチ | 94 × 140 × 27mm | 223g |
Powkiddy RGB10 Max | 5インチ | 76 × 185 × 17mm | 214g |
Z-Pocket Game | 4.3インチ | 165 × 65 × 18.5mm | 198g |
中華ゲーム機「Powkiddy RGB10 Max」は、他社に先駆け ODROID-GO Superクローン機として登場したモデルです。これまでに発売された中華ゲーム機と比べると、画面サイズがワンランク上の5インチサイズになってい[…]
入出力ポートは古め
2014年2月にグローバル向けモデルとて発売された Sony Xperia Z1 Compact そのままの基板が採用されているため、入出力ポートは少し古めです。
USB Type-C には対応しておらず、少し前の microUSB をサポートしています。
また、microSDカードについても最大256GB までのサポートとなっています。
本体は熱を持ちやすい
スマホで長時間ゲームを遊んでいると本体は熱くなります。
それと同じように、一般的な中華ゲーム機と比べると Z-Pocket Game は、熱を持ちやすい携帯型ゲーム機であると判断します。
本体上部・下部には放熱用の通気口を設置して、十分な放熱対策を実施しています。
長時間ゲームプレイをすることで本体が温かくなる程度で、手に触れられないほど熱くなることはありません。
データ送信はケーブル1本で楽チン
Z-Pocket Game 本体左サイズには、OTGボタン、イヤホンジャックを配置しています。
OTGボタンは本体コントローラーを ON/OFF する機能を持っています。
また、コントローラーの挙動がおかしくなったときにも ON/OFF することで直ります。
OTGボタンを OFF にして、本体とパソコンを接続することでデータ送信できます。
本体ストレージ、microSDカードに簡単にアクセスできるのでデータ送信は楽チンです。
Bluetoothイヤホン非推奨、有線イヤホン推奨
Bluetoothイヤホンを試したところ、音声がぶつぶつと途切れることが多い印象です。
本体左サイドにイヤホンジャックが備えられており、そのまま有線イヤホンを取り付けるとプラグの形状によっては上画像のように邪魔になります。
そういったときは、付属のイヤホンケーブルを接続することで問題解決できます。
Z-Pocket Game のスピーカーは本体右側のみのシングルタイプなので、音声にこだわりがある人は有線イヤホンでのゲームプレイをおすすめします。
液晶ディスプレイは鮮明、タッチ操作も可能
Z-Pocket Game には、Sony Xperia Z1 Compact の 4.3インチ液晶ディスプレイが採用されています。そのため、液晶ディスプレイは鮮明で視野角も広く(解像度 720 × 1280)、反射面減・高コントラストでクリアな映像表示を実現しています。
さらに、ユーザーインターフェースとしてタッチ操作も可能です。
ゲームに特化した Xbox 360ゲームコントローラ、タッチやスワイプ操作を兼ね備えた Z-Pocket Game の操作性は群を抜いています。
総合的なエミュレータ性能は高い
Z-Pocket Game のエミュレータ性能は高いことが特長です。
Qualcomm Snapdragon 800 を採用しており、これまでに発売された携帯型モデルの中華ゲーム機の性能を圧倒しています。
内蔵ストレージにはエミュレータが一式プリインストールされています。
ファミコン、ゲームボーイ、メガドライブ、スーパーファミコン、プレイステーションだけでなく、PSP、ドリームキャスト、セガサターンについても動作します。
はっきり言って、現状では『これ1台あれば良い』と思える性能です。
ただし、初期状態では CPU性能に制限がかけられており、設定変更することで本来のエミュレータ性能を発揮できるようになっています。
RG351シリーズで動作が厳しかった PSP、ドリームキャストのゲームタイトルも思った以上に快適に動作します。セガサターンについては、ギリ遊べるレベルと判断した方が良いでしょう。
必要に応じて設定の見直しなどのチューニングを行ってください。
Z-Pocket Game の使い方・初期設定
Z-Pocket Game の使い方・初期設定を詳しく解説していきます。
基本的な使い方・初期設定、エミュレータ性能に関する重要な設定についてを解説します。
システムメニューを「日本語」に設定
一番はじめに行うのはメインシステム(Android)の日本語化です。
下記の手順を参考に設定を進めてください。
- メイン画面で「Settings」アイコンを選択
- Personal項目の「Language & input」を選択
- 「Language」を選択
- 「日本語」を選択して OK
データ転送方法
Z-Pocket Game とパソコンのデータ転送方法は、次のとおりです。
- 本体の OTGボタンを「OFF」にする
- 本体とパソコンを microUSBケーブルで接続
- 「Xperia Z1 Conmapct」を開く
- 内蔵ストレージ、microSDカードにアクセス
ホームアプリ「ATV Launcher」の使い方
Z-Pocket Game のホームアプリは標準で「ATV Launcher」が採用されています。
基本的な操作は、次のとおりです。
メニューの「Launchar Settings」項目の「Sections」でメニュー画面のボタン数(Columns)を変更したり、「Wallpaper」で壁紙変更することも可能です。
もう一つのホームアプリ「Pegasus」については、こちらを参考に使ってみてください。
Pegasus Frontend は、あらゆる種類のエミュレーターを起動するためのグラフィカルフロントエンド・ユーザーインターフェイス(UI)です。ゲームタイトル閲覧などのカスタマイズ性と、ハイパフォーマンスに重点を置いて制作が進[…]
「APK Pure」で必要なアプリを追加する
Z-Pocket Game にアプリを追加します。
一番簡単なのは「APKPure」アプリを使用して追加する方法です。
- 「APKPure ウェブサイト」へアクセス
- APK Pure アプリ(APKファイル)をダウンロード
- Z-Pocket Game へデータ転送
- メニュー画面の「ES文件浏览器」を選択
- データ転送したファイルを実行・インストール
- APK Pure アプリを起動してアプリ追加
Z-Pocket Game は、Google Play ストア未対応となりました。
壊れたシステムをリカバリーする方法
リカバリー・アップデート方法は、次のとおりです。
実際に操作したわけではなく、クイックマニュアルの内容を抜粋しています。
- Z-Pocket Game の電源ON
- デバイスロゴが表示されたら、音量UPボタンを長押し
- メニューが表示されたら「リカバリー」を選択
- 「Backup and restore」を選択
- 「Restore fron/storage sdcard1」を選択
- 「Yes」を選択
- 「Reboot」を選択して終了
ボリュームボタンを押すことで、リカバリーの進行状況を確認できます。
エミュレータ性能を最大限に発揮させる方法
Z-Pocket Game 初期状態のままでは、本来のエミュレータ性能は発揮されていません。
PSP、ドリームキャスト、セガサターンなどで遊ぶときは、必ずフルスピード設定を行ってください。下記の手順を参考に設定を進めてください。
- メイン画面でアプリ「Kernel Adiutor」を選択
- 画面左上の「三」を選択
- 「CPU」を選択
- コア1~4をすべて「ON」にする
標準搭載されている一部エミュレータは、この設定をしても正常動作しません。
RetroArch を使用したり、各種設定をチューニングしたりと工夫が必要です。
バッテリー持ちは変わらないので、忘れずに設定しておきましょう。
最高傑作の中華ゲーム機と評価
中華ゲーム機 Z-Pocket Game は、ウワサされていたように最高傑作の中華ゲーム機です。
Sony Xperia Z1 Compact 基板・液晶ディスプレイと、PS Vita の操作性をあわせたキメラモデルで、エミュレータ性能についても、ほかの携帯型モデル中華ゲーム機を圧倒しています。
Sony Xperia Z1 Compact の Android 最終バージョン(5.1.1)を採用、Xbox 360ゲームコントローラだけでなくタッチ操作もサポート、スピーカーはシングルながらも音声はクリア、しっかりしたバイブレーション機能、ワイヤレス通信(Wi-Fi、Bluetooth)にも対応しています。
これまでにも数多くの中華ゲーム機を手に入れてきましたが、個人的には『最高傑作の中華ゲーム機』と評価します。圧倒的な使いやすさ・エミュレータ性能を体感できます。
受注生産が開始するようなら、もう1台押さえておきたいほどの満足感を得られる逸品です。
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