2021年に登場したゲーミングUMPC の主要3製品を比較していきます。
クラウドファンディングに出資をした GPD WIN3、AYA NEO、ONEXPLAYER を実際に使ってみた感想を踏まえて、選び方、メリット・デメリットをご紹介していきます。
また、最初に知っておいて欲しいこと、注意点などについても簡単にまとめています。
3製品を実際に使ってみた “使い心地” いう点を重視していきます。
ゲーミングUMPC の知っておきたいこと
2021年ゲーミングUMPC の代表格として、GPD WIN3、AYA NEO、ONEXPLAYER が発表されました。一般的に『ゲーミング』と付くと高性能・高スペックとイメージしがちです。
最新のグラフィックボードを搭載したゲーミングPC と比べると、最高画質・高FPS で遊ぶことは難しく、パフォーマンス不足と感じることもあります。
最低限おさえておきたいポイントは3つです。
※ベンチマークテスト BBench(明るさ・音量:50%、無線LAN/Bluetooth:ON、電源プラン:バランス)で測定した結果をもとにしています。
3製品の大きさ・重さを確認しよう
GPD WIN3、AYA NEO、ONEXPLAYER の大きさ・重さには結構違いがあります。
任天堂から発売されている携帯型ゲーム機 Nintendo Switch と比べると、ずっしりとした重さを感じるはずです。
主要3製品の画面サイズ、大きさ・重さ(公式発表値)を比べていきます。
参考値として、Nintendo Switch を一覧表に加えると次のとおりです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ONEXPLAYER | 8.4インチ | 288 × 130 × 21mm | 820g |
AYANEO | 7インチ | 255 × 106 × 20mm | 650g |
GPD WIN3 | 5.5インチ | 198 × 92 × 27mm | 560g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
人によってはストレス・負担に感じる「重さ」かもしれません。
3製品の拡張性を確認しよう
ゲーミングUMPC は、個性があるゲームコントーラーを標準搭載しています。
本体サイズによって十字ボタン、アナログティック、ボタンの大きさなどに個性があります。
ここでは3製品の拡張性、入出力ポートについて確認していきます。
製品名 | 入出力ポート | 指紋認証 | eGPU対応 |
ONEXPLAYER | USB 4.0 Type-C × 2、USB 3.0、Pogo Pin、イヤホンジャック、microSDカードスロット | 〇 | 〇 |
AYA NEO | USB Type-C × 3、イヤホンジャック | × | × |
GPD WIN3 | Thunderbolt 4、USB-A、イヤホンジャック、microSDカードスロット | 〇 | 〇 |
どの製品も標準搭載されている入出力ポートは最低限といった感じです。
それを補う目的で、別売りのドッキングステーションが用意されています。
それ以外の項目として、指紋認証によるセキュアなログイン、グラフィック性能を向上が期待できる外付けグラフィックカードボックスである eGPU対応についても注意が必要です。
主要3製品の特徴を確認しよう
GPD WIN3、AYA NEO、ONEXPLAYER の特徴をチェックしていきます。
それぞれにメリット・デメリットがあり、どの製品もコンセプトが異なります。
自身のスタイルに合わせた使い方ができるゲーミングUMPC を選択することがポイントです。
客観的な評価をメリット・デメリットにまとめていますが、使う人のシチュエーションによっては考え方が異なる点には注意が必要です。
オールマイティーに活躍できる「GPD WIN3」
ちょっと大げさなタイトルですが、『かゆいところに手が届く』のが GPD WIN3 です。
主要3製品の中で、最小サイズの大きさ・重さ、スライドキーボードを搭載したモデルです。
厚みはありますが Nintendo Switch よりも小さいのがポイントです。
一般的なゲームコントローラーとは異なる配置ではあるものの、指紋認証によるログインのしやすさ、GPD WINシリーズお馴染みのアナログスティックによるマウス操作に加え、簡単な入力作業に便利なキーボード入力などがバランスよく用意されています。
TDP設定によるパフォーマンス変更はもちろん、別売りの外付け eGPUボックスによるゲーミング性能向上、ドッキングステーション接続によるデスクトップPC環境の構築などオールマイティに活躍できる1台です。
本当の意味で携帯性を求める人におすすめなゲーミングUMPC は GPD WIN3 です。
搭載されている CPU が異なる2つモデルがリリースしています。
Core i5-1135G7モデルが 125,400円、Core i7-1165G7モデルが 140,800円で発売中です。
詳しいスペック、レビューについてはこちらを参考にしてください。
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ゲーミングにフォーカスした「AYA NEO」
新鋭ブランドでありながら、『ゲーミングにフォーカスした』のが AYA NEO です。
洗練されたデザイン・質感、ユーザーフィードバックされた操作性に冷却能力、現時点では一部の購入者、出資者しか手にしていないモデルです。
サイズ感は Nintendo Switch相当で、主要なゲームコントローラー配置も同じなので使いやすく、電源ボタン・音量調整以外の操作ボタンはホールドした状態での操作が可能です。ゲーミングにフォーカスしたため、マウス・キーボード操作はタッチ操作を基本としています。
主要3製品の中では、セキュアな指紋認証や eGPUボックスには対応していませんが、AMD製CPU を採用しているため、ライバル製品と比べるとゲームプレイでのトラブルは少ないです。また、専用アクセサリーは豊富でユーザーフレンドリーなサポートの恩恵が高いのが特徴です。
主要3製品の中で、最もポテンシャルを秘めたゲーミングUMPC が AYA NEO です。
ソフトウェア、ハードウェアを含めた大幅なアップグレードが進められています。
名称についても AYANEO 2021 と改め、4800U搭載の AYANEO 2021 Pro も追加します。
そのため、一般販売価格の変更、発売時期の延長が考えられます。
詳しいレビューについてはこちらを参考にしてください。
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大画面・優れた操作性に拡張性をあわせた「ONEXPLAYER」
主要3製品の中で、最大のサイズ・重さではあるものの『ノートパソコンライクに使える』ゲーミングUMPC が ONEXPLAYER です。アルゴノミクスデザインにキックスタンドを装備、別売りカバーキーボードを搭載した中国テンセントの協力を受けたモデルです。
ヘビー級なサイズ感ではあるもの、一般的なゲームコントローラーサイズに操作感、マウス操作を含むほぼすべての操作をホールドした状態で行えます。ボタン1つでパフォーマンス性能を瞬時に向上できる Turboボタンも搭載しています。もちろん、eGPUボックスによるゲーミング性能を向上も可能です。
手に持ったままの長時間ゲームプレイは難しく、ポータビリティに劣る部分はあります。しかし、キックスタンドを開いて、別売りカバーキーボードを装着するだけで、そこそこ大きなディスプレイでゲーミングだけでなく、メールやブラウジングといったオフィス作業に十分な環境を実現できます。
一般的な PC に近い使いやすさを目指せるゲーミングUMPC が ONEXPLAYER です。
搭載される CPU とストレージ容量が異なる3つのモデルがリリースされています。
国内代理店価格は 131,670円~215,820円 と幅広く、2021年8月上旬に発売予定です。
詳しいスペック、レビューについてはこちらを参考にしてください。
ゲーミングUMPC「ONEXPLAYER」は、テンセントが特許取得したウワサの “PCビデオゲームコンソール” として登場し、2021年5月10日にクラウドファンディングサイト Indiegogo で、プロモーション目的[…]
シチュエーションに合わせた1台を選びたい
GPD WIN3、AYA NEO、ONEXPLAYER のそれぞれに一長一短があり、シチュエーションに合わせた使い方・トレードオフが求められます。
あくまでも携帯ゲーム機スタイルにこだわりがあって、スペック相当の PCゲーム、使い方を楽しめる人向けのデバイスがゲーミングUMPC だと思います。
好みは千差万別で、『これを買っておけば正解』はありません。
本体の大きさ・重さ、画面サイズ、販売価格、持ち運ぶのか、ローカルゲームストリーミングを使うか、eGPU を使うのか、操作性を重視するか、汎用性を重視するか… あなたの判断する最適な1台を選んでみてください。