Androidゲーム機「Pimax Portal Retro」は、VRヘッドセットメーカー Pimax 初の携帯型ゲーム機です。カメラ非搭載で VR非対応で、2K LCDディスプレイと SoC に Qualcomm Snapdragon XR2 を搭載したコントローラー一体型構造の廉価モデルです。
Pimax Portal Retro の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
Pimax Portal Retro の価格・販売ストア
Pimax Portal Retro は、Pimax 公式ストアの専売商品です。
カラーバリエーションは、ホワイトのみです。
・Pimax Portal Retro
販売価格:299ドル(送料無料)
セール価格:149ドル~199ドル
Pimax Portal Retro のスペック
Pimax Portal Retro のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | Pimax Portal Retro |
画面 | 5.5インチ、LCDディスプレイ、 |
OS | Android 10 |
SoC | Qualcomm Snapdragon XR2 |
GPU | Qualcomm Adreno 650 |
GPUクロック | ゲームモード:587Hz 省エネモード:587Hz 高性能モード:855Hz |
RAM | 8GB DDR4 |
ストレージ | 128GB |
インターフェース | USB Type-Cポート(3.1、DP OUT) microSDカードスロット(最大1TB) |
その他 | 一体型ゲームコントローラー |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1 |
バッテリー | 4000mAh |
大きさ | 225 × 89 × 14.2mm |
重さ | 306g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
Pimax Portal Retro のレビュー
Androidゲーム機「Pimax Portal Retro」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. サポートカード
2. 証明書カード
3. マニュアルカード
4. クリーニングクロス
5. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 225 × 89 × 14.2mm、重さは 308g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、同程度の画面サイズの Android ゲーム機としては軽く、サイズ感と重さは Nintendo Switch より小さく Nitendo Switch Lite に近いものです。
Pimax Portalシリーズの廉価版で、コントローラーと本体を一体型に変更したものです。しかし、その変更により、軋みが感じられ、成形精度や組み立て精度がやや不十分な印象を受けます。
似たような形状の携帯型ゲーム機の大きさ・重さを比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
Pimax Portal Retro | 5.5インチ | 225 × 89 × 14.2mm | 306g |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象です。この基準を Pimax Portal Retro は満たしています。
インターフェース
インターフェースは、上部に microSDカードスロット(SIMピンタイプ)、電源ボタンが配置されています。下部には USB Type-Cポートがあり、左右にはステレオスピーカーが備えています。
microSDカードスロットの取り出しには SIMピンが必要ですが、付属品には含まれていません。また、イヤホンジャックは非搭載で、セキュアなログインに対応した指紋認証センサーも搭載されていません。
バイブレーション機能やマイクを搭載しており、本体と一体型になった非着脱式コントローラーには RGBライトは非搭載です。ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.1 をサポートしています。
内蔵バッテリーは 4000mAh で、連続駆動時間は最大輝度で4~5時間です。
最大輝度を抑えることで、バッテリーを長持ちさせることが可能です。
背面には内蔵ファンの排気口があり、上部の排気口へ放熱します。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB台で静かです。ちなみに、ファン回転を最大にした場合の騒音レベルは 50db です。
画面
5.5インチ液晶ディスプレイ(LCD、16:9、マルチタッチ)、解像度は 1920 × 1080 です。
Pimax公式のハードウェア仕様としての解像度は 2560 × 1440 です。
リフレッシュレートは 90Hz または 120Hz(60Hz は非表示になった)を選択できます。
当初は画面のちらつき(点滅)が気になりましたが、システムアップデートでリフレッシュレート 120Hz が追加されたことで改善されています。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 120Hz、呼び出しレートは平均 74Hz です。また、タッチ操作の反応がやや鈍い印象です。
画面のちらつき(点滅)対策として、アップデートで 120Hz に対応しました。
操作性
グリップはありませんが、Nintendo Switchシリーズに近い持ち心地です。
方向ボタンと ABXYボタンは縦 8.7mm、横 7.7mm の独自形状で、ストロークは約0.4mm、ドームスイッチを採用しています。ボタンの高さも低く、浅いストロークで反発があり、底打ち感がある押し心地です。
方向ボタンと ABXYボタンは2色成形ボタンで、そのほかのボタン印字はプリントです。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度による引っかかりもありません。
左側にはカスタマイズボタン2つ、アナログスティック、方向ボタン、戻るボタン、ホームボタン、タスクボタンが配置されています。右側にはカスタマイズボタン2つ、ABXYボタン、アナログスティック、Fnボタン、セレクトボタン、スタートボタンが配置されています。
全体的にストロークが浅く、押し心地も硬いため、操作性に関しては好みが分かれそうです。また、その他のボタンもドームスイッチで、L2/R2ボタンについてはアナログトリガーを採用しています。
アナログスティックのデッドゾーンが存在し、可動域はやや狭めです。
使用中には特に気になることはありませんが、右アナログスティックの可動域が、測定結果上では他の方向よりも狭くなっています。
Pimaxオリジナル設定で、アナログスティックの調整やデッドゾーンの調整、トリガーのキャリブレーションなどを行うことが可能です。
ゲームを起動した後に、Fnボタンを押すか、画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。また、ボタンマッピング機能である『KeyM』を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てることができます。
カスタムボタンを含めるとボタン数は多く、ゲームアプリに適しています。
ただし、ボタンマッピング機能は配置位置がややシビアなため、正確な位置に配置しないと誤動作する可能性があるため注意が必要です。
ボタンマッピング方法については、下記の公式サポートを参考にしてください。
システム
システムは Android 10 を搭載しており、Google Playストアにも対応しています。
プリインストールされているアプリは最小限で、エミュレーターアプリの導入や設定はユーザー自身で行う必要があります。
導入済みの最新バージョンのシステムでは、日本語ロケールが追加できません。
そのため、アプリ『MoreLocale2』などを導入して日本語化する必要があります。
独自のオリジナルUI が採用され、Pimaxストアも用意されていますが、Androidゲーム機として使用する上で必須となるアプリや機能は含まれていません。そのため、Google Playストアの使用を推奨します。
また、Pimaxオリジナル設定と Androidシステム設定の2つが存在し、一部混在している設定項目もあり、システム全体の挙動を含めて完成度はやや低めです。
記事執筆時点の最新システムバージョンでの評価です。
システムアップデートの更新頻度は高めで、改善が進められています。
エミュレーター性能
基本的なエミュレーター性能は、Qualcomm Snapdragon XR2 を搭載しており Androidゲーム機としては高めです。実測したところ Antutuベンチマークスコアは 60万点台です。このスコアは Snapdragon 865 に匹敵します。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターン、ゲームキューブ、Wii までが快適に動作、3DS、PS2、PS Vita についてもそこそこ動作するスペックを搭載しています。
Androidゲーム機というカテゴリにおいては、上位モデルに位置しますが AYN Odin2 や AYANEO Pocket AIR よりも性能は劣ります。参考として、各種エミュレーターの解像度は、PPSSPP で 2x~4x(1080P)、ArtherSX2(NetherSX2)で 1x~2x、Dolphin で 1x~2x、Vita3K で 1x~3x で平均FPS30~で動作します。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「中~最高」で動作します。
本体内部温度は高めですが、本体の熱や風切り音を感じることもなく、アクティブ冷却ファンの効果を実感できます。
マインクラフト、Call of Duty Mobile、フォートナイトなども快適に楽しめます。また、システム側でモード変更(高性能モード)することで、パフォーマンスを向上できます。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
画面サイズが 5.5インチで、解像度 1920×1080、Wi-Fi 6E をサポートしており、エミュレーター以外のゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)にも十分に活躍できるスペックを備えています。
まとめ
Pimax Portal Retro は、Qualcomm Snapdragon XR2 を搭載した Androidゲーム機です。
VRヘッドセットメーカー Pimax 初の携帯型ゲーム機で、カメラ非搭載かつ VR非対応。2K LCDディスプレイとコントローラーと本体を一体型に変更した廉価モデルです。
廉価モデルでありながら、Pimax Portalシリーズの主要スペックはそのままです。
主に Androidゲーム機としてブラッシュアップしたモデルで、VR に必要な機能を削ることで販売価格を抑えています。直近のセール価格がスペックに対して安価であるのも特徴です。
当初は、LCD液晶ディスプレイの画面のちらつき(点滅)が気になりましたが、システムアップデートでリフレッシュレート 120Hz が追加されたことで改善されています。ただし、日本語ロケールが選択できないなど、まだまだシステム全体の改善は必要です。
Androidゲーム機としては、物理ボタンが多いのは評価ポイントです。
カスタムボタンを含めて物理ボタン数が多いため、ほぼすべてのタッチ操作を物理ボタンに割り当てることが可能です。価格を抑えたゲームアプリに適したモデルと評価します。
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