完全受注生産品「PCEmicro Dual」は、Raspberry Pi Zero W を搭載したエミュレータ機です。『PCエンジン好きな人が、いつでもどこでもPCエンジンゲームをできるように』との思いをコンセプトに誕生した二画面構成モデル。
1画面・コントローラーサイズの PCEmicro に続き、より大きな画面・いい音でといった声に応えるべく誕生したのが PCEmicro Dual です。価格・購入方法、特徴、使用感、エミュレータ性能などをご紹介していきます。
PCEmicro Dual の価格・購入方法
PCEmicro Dual は、NIWAchannelオンラインショップで購入できます。
完全受注生産品で販売価格は 34,800円、現在は完売となっています。部品数を確認して販売受付可能数をいくつか復活させる予定があると発表されています。
一人で全ての工程を手作業で行っているため、製作できる数量・品質にばらつきがあり、注文できたとしても完成までに時間がかかる点には注意をしてください。
PCEmicro Dual のスペック
PCEmicro Dual の大まかなスペックは、Raspberry Pi Zero W に準拠しています。
システムは RetroPie 4.7.1ベースのカスタムモデルです。
- システム:RetroPie カスタマイズ済
- CPU・GPU:Raspberry Pi Zero W 準拠
- 性能:
- ディスプレイ
上画面:3.5インチ IPS
下画面:2インチ IPS - 解像度
上画面:640 × 480
下画面:320 × 240 - ストレージ容量:microSDカード 64GB
- 大きさ:134 × 140 × 27mm
- 重さ:272g(実測値)
- バッテリー容量:非搭載(USB Type-C給電)
- スピーカー:あり
- ワイヤレス:あり
- インターフェイス:USB Type-C、イヤホンジャック、microSDカードスロット
- その他:イヤホンとスピーカーのスイッチはあえてしない仕様
- 素材:3Dプリンター造形物
- 付属品:収納ケース、microSDカード(64GB)
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はできかねます。
PCEmicro Dual をレビュー
NIWAchannelオンラインショップで購入した「PCEmicro Dual」をしっかりチェックしていきます。特徴、使用感、エミュレータ性能、簡単な Tips などを解説していきます。
大きさ・重さ、デザイン
PCEmicro Dual の大きさは 134 × 140 × 27mm、重さは 272g(実測値)です。
サイズ感としては、PCエンジン本体を薄くして、両手で持ちやすくした感じです。
これまでにも Raspberry Pi ベースのエミュレータ機は登場してきましたが、PCエンジンソフト(Huカードや CD-ROM2系ソフト)に特化したエミュレータ機は、私が知るかぎりでは世界初です。
3Dプリンター造形の本体筐体はデザイン性に優れています。
表面は PCエンジン本体、連射機能付きのターボパッドデザインを採用、裏面は PCエンジンスーパーグラフィックスなデザインを採用しています。
ただし、あくまでも手作り品なので一般製品レベルの品質(塗装、強度、精度など)・サービスを期待・求めるような商品ではありません。
二画面構成のディスプレイ
特徴的なデザインのほかに注目すべきなのは二画面構成のディスプレイです。
上画面は 3.5インチ(解像度 640 × 480)、下画面は2インチ(解像度 320 × 240)を搭載、どちらも美しい IPS液晶ディプレイを採用しています。
下画面には自身で設定した画像(320 × 240、24ビットの BMPファイル)をゲームタイトル毎に表示させることが可能、画像データがない場合はデフォルトのロゴが表示されます。
ゲームタイトルのパッケージを表示したり、操作ガイダンスを表示させたり自由自在。
上下どちらの液晶ディスプレイも鮮明で見やすいのもポイントです。
それ以外のエミュレータでの表示は非対応です。
RetroPieベースのカスタムシステム
PCEmicro Dual には、カスタマイズ済みの RetroPie 4.7.1 が採用されています。
付属する microSDカード(64GB)にすでに設定済みで、基本的に購入者は NIWAchannel から提供された利用手順書に基づいて初期設定(Wi-Fi設定)を行うだけです。
RetroPie側で設定変更する必要はなく、そのままの状態ですべてのコントローラー操作、ボリュームダイヤルが機能します。『購入者自身による設定変更に伴う不具合のサポートは行っておりません。』と記載されているとおり、一切の設定変更をしないことをおすすめします。
USB Type-Cケーブルを接続して、電源ON にしてもすぐには起動しません。
Raspberry Piベースのシステムなので起動までに時間を要します。通常は電源ON から40秒経過で上画面にアニメーション表示、1分経過で下画面表示、1分20秒経過で完全起動するといった感じです。
仕様にも書かれているとおり、イヤホン接続してもスピーカー音はそのままです。
スピーカー音量についてはボリュームダイヤル調整、イヤホン音量についてはソフトウェア上での調整が可能となっています。
また、基本的にサポートも受け付けていません。
エミュレータ性能・操作性
PCエンジンのオリジナルコントローラーの操作性・押し心地に近いです。
連射機能も正常に機能します。人によってはコントローラーの持ち方によって、液晶ディスプレイの重心がやや後ろ方向へかかるので違和感を覚えるかもしれません。正直、好みが分かれるところと評価します。
エミュレータ性能に関しては、Raspberry Pi Zero W に準拠したスペックになっているので、様々なエミュレータが動作します。ただし、PCEmicro Dual のコンセプトは PCエンジンゲームタイトルに限定されているため、ボタン数の関係で遊べるエミュレータが限定されます。
当たり前のことですがエミュレータを動作させるために、ゲームイメージ(ROMデータ)、BIOSデータ(SUPER SYSTEM CARDなど)を用意する必要があります。
また、画像を設定したとしても下画面に表示できるエミュレータは限定されます。
確認した限りでは、PCエンジンゲーム(Huカードや CD-ROM2系ソフト)、ゲームギアでは表示可能、ファミコン、ゲームボーイ、ゲームボーイカラーなどでは表示はできませんでした。
問題解決
PCEmicro Dual の購入者向け『利用手順書』は、NIWAchannel からご案内されています。
ここでは簡単な問題解決方法を Tips としてご紹介していきます。
電源ON にしても何も表示されない
接続している USB Type-Cケーブル、電源アダプタ(モバイルバッテリー)などは、2.1A以上の電源供給能力を持ったものが必要です。
ダイソーなどの 100円SHOP などで販売されているもの、電源供給量を制御するような電源アダプタ、モバイルバッテリーでは正常動作しません。また、Raspberry Piベースのシステムを採用しているので、電源ON から起動までに一定時間(1分30秒ほど)を要します。
エミュレータ起動時のメッセージ
ゲーム起動時にワーニングメッセージのようなものが出力されることがありますが、実害は特にないのでそのまま使用しても大丈夫です。プロセスの kill に失敗した旨のエラーメッセージが表示された場合は、本体を再起動する必要があります。
エミュレータの起動が遅い
Raspberry Piベースのシステムなので、起動に時間を要します。
PC版エミュレータや中華ゲーム機のような立ち上がりの早さは期待できません。
データを転送できない
ワイヤレス通信(Wi-Fi)ができなくても、microSDカードによるファイル送信が可能です。
「Linux File System for Windows by Paragon Software」を導入することにより、ゲームイメージ(ROMファイル)などを設定することが可能です。
まとめ
PCEmicro Dual は NIWAchannel が考案・設計・製作した完全受注生産品で、PCエンジンソフト(Huカードや CD-ROM2系ソフト)を遊ぶことに特化したエミュレータ機です。
PCエンジン、PCエンジンスーパーグラフィックスのデザインに、連射機能が付いたターボパッド、上画面にゲーム画面・下画面に任意の画像表示ができる二画面構成のディスプレイを搭載した変わり種です。エミュレータ性能に関しても PCエンジンソフトだけでなく、その他のエミュレータを動作させるのにも十分な実力を持っています。
あくまでも個人プロダクトの手作り品なので一般製品レベルの品質(塗装、強度、精度など)・サービスは期待できませんが、こだわりを持って製作されており一定品質が保たれています。『PCエンジン好きな人が、いつでもどこでもPCエンジンゲームをできるように』をコンセプトにして誕生したエミュレータ体験は新鮮です。
日本国内だけでなく、海外からも「ぜひ商品化して欲しい」という声に応え完全受注生産を始めた PCEmicroシリーズですが、今後も NIWAchannel から新たにリリースされる作品にも注目していきたいです。
Source:NIWAchannelオンラインショップ
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