世界最小クラスのeGPU「ONEXGPU」は、Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスです。USB4(Thunderbolt 3/4)/ OcuLink接続、拡張ストレージ(M.2 2280 SSD)を収納できる多彩なインターフェースに対応しているのが魅力です。
ONEXGPU の価格、スペック、特徴、ベンチマークスコア、ゲーム動作を簡単にチェックします。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しく見ていきます。
ONEXGPU の価格・販売ストア
ONEXGPU は、Amazon、One-Netbook公式ストア、ハイビーム公式オンラインストアおよびハイビーム実店舗で取り扱われています。
発売時期は、2024年6月中旬を予定しています。
下記はハイビーム公式オンラインストアでの販売価格です。
・ONEXGPU
販売価格:113,000円
特別価格:101,700円
・ONEXGPU + OcuLinkケーブル
販売価格:119,800円
特別価格:108,500円
ONEXGPU のスペック
ONEXGPU 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | ONEXGPU | |
GPU | Radeon RX 7600M XT | |
アーキテクチャ | RDNA 3 | |
プロセス | 6nm | |
ゲームクロック | 2300MHz | |
シェーダー数 | 2048 | |
ROP | 64 | |
VRAM | 8GB GDDR6 | |
理論性能(FP32) | 21.4TFLOPS | |
TGP | 330W(16.5A/20V) | |
インターフェース | OCuLinkポート(PCIE 4.0 X4) USB4ポート(100Wサポート) HDMI 2.1 × 2(4K 60Hz) DP 2.0 × 2(4K 120Hz) USB-A 3.2 × 2 M.2 2280(PCIe 3.0 SSD) LANポート | |
その他 | RGBライトエフェクト 磁気カバー(SSD) 冷却ファン・ヒートシンク | |
大きさ | 196 × 120 × 32mm | |
重さ | 869g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
ONEXGPU のレビュー
世界最小クラスのeGPU「ONEXGPU」試作機をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、ベンチマークテスト、ゲーム動作(フレームレート)、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル
2. USB4ケーブル(Type-C)
3. 電源アダプター
4. 変換プラグ
そのため、すべての付属品の確認はできていません。
専用アクセサリー
別売りとして専用アクセサリーを用意しています。
必要に応じて、本体と一緒に購入を検討しましょう。
1. 専用ハードケース
2. OCuLink SFF-8611ケーブル
大きさ・重さ
大きさは 196 × 120 × 32mm、重さは 874g(SSD内蔵の実測値)
『世界最小クラスのeGPU』とアピールされているとおり、本体サイズ・重さともにコンパクトに仕上がっています。
本体筐体(アルミニウム合金、ABS樹脂素材)の質感・ビルドクオリティは高く、堅牢性も備えています。一般的な外付けGPU よりも小型化されているのが特徴です。
ポータブルゲーミングPC『ONEXFLY』よりも小さいサイズ感です。
また、本体の大きさ・重量は、競合他社製品の GPD G1 よりも軽量で小型です。
ただし、電源アダプターの重さは 644g(実測値)と大きく、本体やケーブルと合わせると 1.5Kg を超えるため、持ち運びにはやや不便を感じるかもしれません。
これ1台でゲーミング性能の向上だけでなく、各種ポートを備えたドッキングステーションとしても利用できます。省スペースで気軽に使いたい方に向いています。
電源アダプターを必要とせず、電源ケーブル1本で接続できる GPD G1 の方が ONEXGPU よりも利便性の面では優れていますが、インターフェースの豊富さという面では ONEXGPU の方が優れています。
インターフェース
インターフェースは、背面に LAN(RJ45)ポート、DisplayPort を2つ、HDMIポートを2つ備えており、最大4つのマルチスクリーン接続に対応しています。
さらに、ポータブルゲーミングPC やノートパソコンとの接続用の OCuLink(SFF-8612)ポート、100W の急速充電に対応している USB4ポート(Thunderbolt4)、電源ポートを備えています。
右側には電源ボタン、ターボボタン(100W と 120W を切り替え)、RGBライトボタン、USB 3.2 Type-Aポートを2つ用意しています。左側には排気口があり、本体の表面温度は 40度~44度と高くはありません。
左右の本体サイドを囲むように RGBライトが用意されています。
RGBライトボタンを押すことで、ライトカラーの変更やオン・オフを変更できます
底面には拡張ストレージ(M.2 2280 PCIe 3.0)を用意しています。
マグネット着脱構造のカバーを取り外すと、拡張ストレージにアクセスできます。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから50cm離れた位置での騒音レベルは 32dB~58dB とうるさく、スピーカー音量を高めにしても気になる風切り音です。ジーという内蔵ファンを擦るような風切り音が気になります。
内蔵ファンの風切り音については、拡張ストレージカバーの磁力が内蔵ファン(羽)を引き寄せて発生しているものと判明しています。すでにフィードバックされており、製品版では異音が軽減されるため、騒音レベルは下がる可能性があります。
競合他社の外付けGPU(eGPU)についても同様に騒音レベル(風切り音)や本体温度が指摘される項目ですが、数値的には、それほど深刻に考える必要はないかもしれません。
接続方法
USB4接続、OCuLink接続、USB4+OcuLink接続の3つを用意しています。
AMD Software Adrenalin Edition(ドライバー)のインストールが必須です。
USB4接続
USB4(Thunderbolt 3/4)接続では、インターフェースがすべて有効です。
一般的な接続方法で、簡単に接続できます。
USB4接続 | ||||
HDMI | DP | USB | LAN | SSD |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
OcuLink接続
OcuLink接続では、映像ポート(HDMI、DisplayPort)以外は無効です。
内蔵グラフィックカードの最大性能を発揮できます。
OcuLink接続 | ||||
HDMI | DP | USB | LAN | SSD |
〇 | 〇 | × | × | × |
ONEXGPU の電源をオン&接続した状態でパソコンを起動してください。
USB4+OcuLink接続
USB4(Thunderbolt 3/4)+OcuLink接続では、インターフェースがすべて有効です。
USB4ケーブルが周辺デバイスのデータ転送を担当し、グラフィックのデータ転送は OcuLinkケーブルが担当します。
USB4+OcuLink接続 | ||||
HDMI | DP | USB | LAN | SSD |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ベンチマーク
ONEXGPU のベンチマークテスト結果です。
ここでは、ONEXFLY、ONEXPLAYER X1 に接続しています。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
外部ディスプレイ接続時には、デバイス側のディスプレイはオフにしています。
ONEXFLY
ONEXFLY 接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4ポート接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | 内蔵ディスプレイ | 外部ディスプレイ |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 12108 | 15755 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 10282 | 12559 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 7449 | 8242 |
ブループロトコル 低画質 | 19767 | 23021 |
ブループロトコル 中画質 | 13953 | 16361 |
ブループロトコル 高画質 | 13569 | 15605 |
ブループロトコル 最高画質 | 11468 | 12703 |
3DMARK Time SPY | 8208 | 8929 |
3DMARK Fire Strike | 18035 | 20407 |
3DMARK Night Raid | 29020 | 39566 |
外部ディスプレイに接続した場合の方が、ベンチマークスコアが高くなりました。
ONEXFLY のスペックなどはこちらでご確認ください。
ポータブルゲーミングPC「ONEXFLY」は、リフレッシュレート 120Hz の7インチ液晶ディスプレイと、HARMAN AudioEFX チューニングステレオスピーカー、RGBネームタグを特徴としています。さらに、一部の高級車に[…]
ONEXPLAYER X1
ONEXPLAYER X1 接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4ポート接続とOcuLink接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | USB4接続 | OcuLink接続 |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 10294 | 14922 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 8556 | 12035 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 6526 | 9300 |
ブループロトコル 低画質 | 20849 | 27760 |
ブループロトコル 中画質 | 14080 | 19902 |
ブループロトコル 高画質 | 13535 | 18697 |
ブループロトコル 最高画質 | 10794 | 1502 |
3DMARK Time SPY | 8451 | 9233 |
3DMARK Fire Strike | 17871 | 19491 |
3DMARK Night Raid | 30689 | 39034 |
ONEXPLAYER X1 と USB4接続した際のベンチマークスコアよりも OcuLink接続時のベンチマークスコアの方が高くなりました。
ONEXPLAYER X1 と外部ディスプレイ接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4接続と USB4+OcuLink接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | USB4接続 | USB4+ OcuLink接続 |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 12609 | 15709 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 10213 | 13014 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 7073 | 9345 |
ブループロトコル 低画質 | 23439 | 29689 |
ブループロトコル 中画質 | 16369 | 21151 |
ブループロトコル 高画質 | 15295 | 19849 |
ブループロトコル 最高画質 | 12374 | 15697 |
3DMARK Time SPY | 9354 | 9596 |
3DMARK Fire Strike | 19815 | 20015 |
3DMARK Night Raid | 40473 | 43219 |
外部ディスプレイに接続した場合の方が、ベンチマークスコアが高くなりました。
ONEXFLY と ONEXPLAYER X1 のUSB4接続時のベンチマークスコアの差は僅差でしたが、OcuLink接続することでその差が広がりました。
ONEXPLAYER X1 のスペックはこちらでご確認ください。
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フレームレート
ゲーム動作(フレームレート)の結果です。
Horizon Zero Down、Cyberpunk 2077、Forza Horizon 5 で測定しました。
正確性を保証するものではありません。
あくまでも一つの参考としてご活用ください。
Horizon Zero Down
Horizon Zero Down の『最高画質』設定(レイトレなし)のグラフです。
ONEXFLY と USB4接続した際のフレームレートです。
続いて、ONEXPLAYER X1 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
4K解像度(3840 × 2160)では不足感があり、2K解像度(2560 × 1440)では健闘、フルHD(1920 × 1080)での性能が最も優れています。
Cyberpunk 2077
サイバーパンク2077 の『ウルトラ』設定(レイトレなし)のグラフです。
ONEXFLY と USB4接続した際のフレームレートです。
続いて、ONEXPLAYER X1 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
フルHD(1920 × 1080)での性能が目立つ結果となりました。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5 の『最高』設定(レイトレなし)の結果です。
ONEXFLY と USB4接続した際のフレームレートです。
続いて、ONEXPLAYER X1 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
4k解像度(3840 × 2160)で十分に健闘しており、2K解像度(2560 × 1440)、フルHD(1920 × 1080)でも高いパフォーマンスを発揮しています。
まとめ
ONEXGPU は、One-Netbook社製の『世界最小クラスのeGPU』です。
Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスで、既存の One-Netbook製品やポータブルゲーミングPC、通常のノートパソコンに接続してゲーミング性能を向上させることが可能です。
総合評価としては『汎用性に優れたモデル』と評価します。
一般的な外付けGPU よりも非常にコンパクトなため、設置スペースを最小限に抑えるだけでなく、持ち運びも可能なサイズと重量に仕上げられます。また、豊富なインターフェースを備えているため、ドッキングステーションとしても優れた性能を発揮します。
競合他社製品の GPD G1 と比較すると、ONEXGPU は本体サイズや重量が小さくまとまっていますが、付属の大きな電源アダプターが必要となり、持ち運ぶ際には GPD G1 よりもかさばります。また、製品ドライバーの対応が十分ではないため、一部デバイスでの動作に互換性や相性問題が確認されています。
今回評価した試作機では、ターボボタンによる 120W動作や拡張ストレージ(M.2 2280 SSD)が正常に機能しなかったため評価できていません。また、風切り音も大きいため、移動先や外出先での利用には適していません。これらの点に関して改善が求められます。
また、最近になって競合他社製品の GPD G1 は、低騒音動作と安定性を向上させた改良版をリリースしています。拡張性の違いや持ち運ぶ際の利便性などを考慮したうえで、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
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