世界最小クラスのeGPU「GPD G1」は、Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスです。USB4(Thunderbolt 3/4)/ OcuLink接続と豊富なインターフェースに対応しているのが魅力です。
GPD G1 の価格、スペック、特徴、ベンチマークスコア、ゲーム動作を簡単にチェックします。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しく見ていきます。
GPD G1 の価格・販売ストア
GPD G1 は、国内外の通販サイトで取り扱われています。GPD G1単品と OCuLinkアダプター&ケーブルのセット有りを用意しています。
2023年9月末~10月上旬に発送予定です。
下記は国内正規販売店 デントオンラインショップでの販売価格です。
・GPD G1 本体のみ 104,300円
・GPD G1 +OCuLinkセット 110,750円
GPD G1 のスペック
GPD G1 のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | GPD G1 | |
GPU | Radeon RX 7600M XT | |
アーキテクチャ | RDNA 3 | |
プロセス | 6nm | |
ベースクロック | 1500MHz | |
ゲームクロック | 2300MHz | |
ブーストクロック | 2615MHz | |
シェーダー数 | 4096 | |
RTコア数 | 32 | |
VRAM | 8GB GDDR6 | |
理論性能(FP32) | 21.42TFLOPS | |
TGP | 120W | |
インターフェース | OCuLinkポート、USB4ポート、 HDMI 2.1、DP 1.4a × 2、 USB 3.2 × 3、SDカードスロット | |
大きさ | 225 × 111 × 29.8mm | |
重さ | 920g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GPD G1 のレビュー
世界最小クラスのeGPU「GPD G1」試作機をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、ベンチマークテスト、ゲーム動作(フレームレート)、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
1. マニュアル
2. USB Type-Cケーブル(240W / 40Gbps)
3. 電源ケーブル
OCuLink SFF-8611ケーブルは付属しません(別売り)。
また、試作機ということもあり、電源プラグ変換アダプタが必要でした。
大きさ・重さ
大きさは 225 × 111 × 29.8mm、重さは 865g(実測値)
『世界最小クラスのeGPU』とアピールされているとおり、本体サイズ・重さともに持ち運び可能なサイズ感に仕上がっています。本体・ケーブルを含めて 1kg 超えといった感じです。
本体筐体(金属素材、ABS樹脂素材)の質感・ビルドクオリティは高く、堅牢性もしっかりしています。一般的な外付けGPU よりも非常にコンパクトなので、設置スペースを最小限にできます。
サイズ感としては、GPD WIN 4 に近い大きさです。
GPD G1 単体の重量は公式値を下回る 900g 切りと軽く、GPD社の小型デバイスのノウハウが活かされています。
これ1台でゲーミング性能の向上だけでなく、さらに各種ポートを備えたドッキングステーションとしても活躍できます。持ち運ぶにはかさばるサイズ・重たさなので、どちらかといえば、省スペースと気軽さを求める人向けです。
インターフェース
インターフェースは、背面に電源ポート、USB 3.2 Gen2 Type-Aポートを3つ、SDカードスロット、DisplayPort 1.4aポートを2つ、HDMI 2.1ポートを備えています。
前面にはポータブルゲーミングPC や普通のノートパソコンとの接続用の OCuLink(SFF-8612)ポート、USB4ポート(Thunderbolt4)、電源ボタンが用意されています。USB4ポートは 60Wの給電にも対応しています。
本体の天板と周りにぐるっと吸気口が用意されており、左側の排気口へ放熱します。
大型の冷却シングルファンを採用しています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから50cm離れた位置での騒音レベルは 38dB~54dB とかなりうるさく、スピーカー音量を高めにしても気になる風切り音です。ダブルファンや水冷ユニットなどの改良が必要だと感じました。
天面と底面には金属素材を採用しています。
天面の表面温度は 40度、底面は 50度まで上昇します。特に底面は体感的にもかなり熱くなるため、設置場所には注意が必要です。
競合他社の外付けGPU(eGPU)についても、同様に騒音レベル(風切り音)や本体温度が指摘される項目です。数値的には、それほど深刻に考える必要はないかもしれません。
本体を平置きする構造になっていますが、縦置きすることも可能です。
ただし、安定性が確保されていないため、吸気口や排気口を覆わないタイプのスタンドを使用することをおすすめします。
持ち運び時には、何かとかさばるACアダプタを必要とせず、本体の電源供給をケーブル1本で接続できる取り回しの良さは評価ポイントです。ただし、電源ケーブルの長さは約 85cmほどなので、設置場所とコンセントの距離には注意が必要です。
接続方法
USB4接続、OCuLink接続、USB4+OcuLink接続の3つを用意しています。
USB4接続
USB4(Thunderbolt 3/4)接続では、インターフェースがすべて有効です。
最大3つの外部デバイスをサポートします。
USB4接続 | ||||||
HDMI | DP1 | DP2 | SD 4.0 | USB A1 | USB A2 | USB A3 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
OcuLink接続
OcuLink接続では、映像ポート(HDMI、DisplayPort)以外は無効です。
内蔵グラフィックカードの最大性能を発揮できます。
OcuLink接続 | ||||||
HDMI | DP1 | DP2 | SD 4.0 | USB A1 | USB A2 | USB A3 |
〇 | 〇 | 〇 | × | × | × | × |
OcuLink接続は、GPD WIN Max 2 2023、GPD WIN 4 2023、GPD WIN Mini など、今後発売される GPD製品に対応しています。
GPD G1 の電源オン&接続した状態でパソコンを起動してください。
USB4+OcuLink接続
USB4(Thunderbolt 3/4)+OcuLink接続では、インターフェースがすべて有効です。
USB4ケーブルが周辺デバイスのデータ転送を担当し、グラフィックのデータ転送は OcuLinkケーブルが担当します。
USB4+OcuLink接続 | ||||||
HDMI | DP1 | DP2 | SD 4.0 | USB A1 | USB A2 | USB A3 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この組み合わせの接続をサポートしているのは、GPD製品に限定されます。
現時点で他社製品では採用されていません。
ベンチマーク
GPD G1 のベンチマークテスト結果です。
ここでは、GPD WIN Max 2 2023、GPD WIN4 に接続しています。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
外部ディスプレイ接続時には、デバイス側のディスプレイはオフにしています。
GPD WIN4
GPD WIN4 接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4ポート接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | 内蔵ディスプレイ | 外部ディスプレイ |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 12321 | 15571 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 10202 | 12450 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 7664 | 8342 |
ブループロトコル 低画質 | 20854 | 22065 |
ブループロトコル 中画質 | 14270 | 15897 |
ブループロトコル 高画質 | 13600 | 15200 |
ブループロトコル 最高画質 | 11254 | 12627 |
3DMARK Time SPY | 8067 | 8860 |
3DMARK Fire Strike | 19062 | 22100 |
3DMARK Night Raid | 33038 | 47885 |
外部ディスプレイに接続した場合の方が、ベンチマークスコアが高くなりました。
GPD WIN4 のスペックなどはこちらでご確認ください。
Windows携帯ゲーム機「GPD WIN 4」は、スライド式構造を備えた 6インチサイズ、PSP や PS Vita を連想させるオーバルデザイン、物理キーボードを含めた汎用性の高さが魅力の AMD Ryzen 7 6800U […]
GPD WIN Max 2 2023
GPD WIN Max 2 2023 接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4ポート接続とOcuLink接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | USB4接続 | OcuLink接続 |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 12621 | 15437 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 10243 | 12292 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 7693 | 9336 |
ブループロトコル 低画質 | 22163 | 26168 |
ブループロトコル 中画質 | 14940 | 18666 |
ブループロトコル 高画質 | 14210 | 17614 |
ブループロトコル 最高画質 | 11444 | 14651 |
3DMARK Time SPY | 8315 | 9290 |
3DMARK Fire Strike | 19432 | 22460 |
3DMARK Night Raid | 34338 | 43649 |
GPD WIN Max 2 2023 と USB4接続した際のベンチマークスコアは、GPD WIN4 の USB接続時のベンチマークスコアと同等の結果となりました。OcuLink接続時にはベンチマークスコアが高くなりました。
GPD WIN Max 2 2023 と外部ディスプレイ接続時のベンチマークテスト結果です。
以下は、USB4接続と USB4+OcuLink接続時のベンチマークスコアです。
ベンチマークテスト | USB4接続 | USB4+ OcuLink接続 |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 16135 | 16784 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 12494 | 13111 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 8467 | 9281 |
ブループロトコル 低画質 | 25541 | 28854 |
ブループロトコル 中画質 | 16988 | 20592 |
ブループロトコル 高画質 | 16155 | 19314 |
ブループロトコル 最高画質 | 13214 | 15470 |
3DMARK Time SPY | 9081 | 9580 |
3DMARK Fire Strike | 22534 | 24362 |
3DMARK Night Raid | 50811 | 53898 |
外部ディスプレイに接続した場合の方が、ベンチマークスコアが高くなりました。
デバイス単体と接続した場合、GPD WIN4 と GPD WIN Max 2 2023 のベンチマークスコアは僅差でしたが、外部ディスプレイ接続することでその差が広がりました。
GPD WIN Max 2 2023 のスペックはこちらでご確認ください。
モバイルゲーミングPC「GPD WIN Max 2 2023」は、ゲームだけでなくビジネスユースにも活躍できるモデルです。AMD Ryzen 7000シリーズを搭載した現行モデルのアップグレード版という位置づけで、拡張性の高さとイ[…]
フレームレート
ゲーム動作(フレームレート)の結果です。
Horizon Zero Down、Cyberpunk 2077、Forza Horizon 5 で測定しました。
正確性を保証するものではありません。
あくまでも一つの参考としてご活用ください。
Horizon Zero Down
Horizon Zero Down の『最高画質』設定(レイトレなし)のグラフです。
GPD WIN4 と USB4接続した際のフレームレートです。
続いて、GPD WIN Max 2 2023 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
4K解像度(3840 × 2160)では不足感があり、2K解像度(2560 × 1440)では健闘、フルHD(1920 × 1080)での性能が最も優れていています。
Cyberpunk 2077
サイバーパンク2077 の『ウルトラ』設定(レイトレなし)のグラフです。
GPD WIN4 と USB4接続した際のフレームレートです。
僅差で大きな違いはありませんでした。
続いて、GPD WIN Max 2 2023 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
フルHD(1920 × 1080)での性能が目立つ結果となりました。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5 の『最高』設定(レイトレなし)の結果です。
GPD WIN4 と USB4接続した際のフレームレートです。
続いて、GPD WIN Max 2 2023 の USB4接続、OcuLink接続、USB4+OcuLink接続時のフレームレートです。
4k解像度(3840 × 2160)、2K解像度(2560 × 1440)ともに健闘しており、フルHD(1920 × 1080)での性能が優れています。
まとめ
GPD G1 は、GPD初の周辺機器となる『世界最小クラスの eGPU』です。
Radeon RX 7600M XT に 8GB GDDR6メモリを搭載した外付けグラフィックデバイスで、既存の GPD製品やポータブルゲーミングPC、通常のノートパソコンに接続してゲーミング性能を向上させることが可能です。
総合評価としては『汎用性に優れたモデル』と評価します。
一般的な外付けGPU よりも非常にコンパクトなため、設置スペースを最小限に抑えるだけでなく、持ち運びも可能なサイズと重量に仕上げられます。また、豊富なインターフェースを備えているため、ドッキングステーションとしても優れた性能を発揮します。
一方で、試作機ということもあり製品ドライバーの対応が不完全です。
そのため、現状では本来のポテンシャルが発揮されておらず、GPD WIN4 との接続時には突然認識しなくなるケースも見受けられました。また、すべての既存製品を試したわけではないので、互換性や相性については評価できていません。
デスクトップPC向けの GeForce RTX 3060 を超える性能の GPU を手軽に接続できるのは魅力ですが、ゲームプレイ時の風切り音はかなり気になります。一般的なゲーミングPC よりも大きいため、移動先や外出先で気軽に遊べるものではありません。この点に関しては改善が求められると感じました。
製品版に向けて、ドライバーや BIOS のアップデート作業が進められています。
FSR 3.0対応をアピールするのは時期尚早という見方もありますが、他社製品でも使える汎用性の高さ、本体サイズやパフォーマンスに優れた最小クラスのeGPU ということで大きな注目を集めるでしょう。
関連ページリンク
モバイルゲーミングPC「GPD WIN Max 2 2023」は、ゲームだけでなくビジネスユースにも活躍できるモデルです。AMD Ryzen 7000シリーズを搭載した現行モデルのアップグレード版という位置づけで、拡張性の高さとイ[…]
GPD WINシリーズの最新作「GPD WIN Mini」のクラウドファンディングが予告されています。狭ベゼル7インチのクラムシェル型で、ゲームコントローラーとトラックパッド、キーボードを搭載しており、GPD WIN2 を連想させ[…]
Windows携帯ゲーム機「GPD WIN 4 2023」が登場します。現行モデル(GPD WIN 4)のアップグレード版という位置づけで、Ryzen 7000シリーズ搭載、新たに Oculinkポートを用意しており、同社よりリリ[…]
ポータブルゲーミングPC「ONEXFLY」のクラウドファンディングが開始されています。2022年9月に One-Netbook社が発表した新モデルで、画面サイズは7インチ(1920×1080)、CPU は AMD Ryzen 7 […]
ポータブルゲーミングPC「ONEXPLAYER 2 PRO 国内正規版」が登場しました。2023年7月28日から8月17日まで先行予約販売を開始、ハイビーム公式ストアにおける販売価格は 157,000円からです。先行予約限定で販売[…]