Androidゲーム機「AYANEO Pocket DMG」は、ゲームボーイのデザインをコンセプトにしたモデルです。画面サイズは 3.92インチ有機ELディスプレイ、システムには Android 13 を搭載し、SoC には Snapdragon G3x Gen2プロセッサを採用しています。
AYANEO Pocket DMG の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能やパフォーマンスについてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYANEO Pocket DMG について
AYANEO Pocket DMG に関する情報をまとめたページです。
クラウドファンディングサイト Indiegogo で出資した実機です。
提供品の有無にかかわらず、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア
AYANEO Pocket DMG は、国内正規版が販売されています。
カラーラインナップは、アーティックブラック、ムーンホワイト、レトロカラーの全3色。
2025年1月31日に発送予定です。
以下は国内代理店 ハイビームでの販売価格です。
・8GB / 128GBモデル
販売価格:84,800円
・16GB / 512GBモデル
販売価格:109,800円
・16GB / 1TBモデル
販売価格:124,800円
製品仕様とスペック
AYANEO Pocket DMG 国内正規版のスペックについて詳しく見ていきます。
製品名 | AYANEO Pockt DMG | |
画面 | 3.92インチ、OLED | |
OS | Android 13 | |
SoC | Snapdragon G3x Gen 2 | |
RAM | 8GB / 12GB /16GB LPDDR5X 8533Mbps | |
ストレージ | 128GB UFS 3.1 | 512GB / 1TB UFS 4.0 |
インターフェース | USB Type-Cポート microSDカードスロット | |
その他 | ゲームコントローラー MagicSwitchホイールキー タッチパッド ステレオスピーカー アクティブ冷却ファン 6軸ジャイロスコープ 振動モーター 電源ボタン一体型指紋認証 UVコーティング加工 | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi / Bluetooth 5.3 | |
バッテリー | 6000mAh | |
大きさ | 91.5 × 151 × 22.3mm(最薄部 15mm) | |
重さ | 278g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO Pocket DMG のレビュー
AYANEO Pocket DMG をレビューします。
基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品
1. 交換ガイド
2. マニュアル
3. 交換パーツ(背面ボタン、スティックヘッド)
4. 検品合格証
5. USB Type-Cケーブル
出資特典
クラウドファンディングの出資特典は下記のとおりです。
一般販売時に付属するものではありません。
1. スクリーンプロテクター
2. レザー調ケース
3. スタンド
4. 収納ソフトケース
5. ACアダプター(35W)
6. マグカップ
7. ジョイスティックキャップ
8. ステッカー
大きさ・重さ
大きさは 91.5 × 151 × 15~22.3mm、重さは 275g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)を採用し、Analogue Pocket 本体と同じ重さです。
ゲームボーイをコンセプトにしたデザインは、所有欲をくすぐる魅力があります。
ただし、質感や色合い、さらにネジ穴が目立つ設計により、高級感という点では同社の AYANEO Pocket S や AYANEO Pocket MICRO に劣ります。
個人的には、レトロカラーの本体やボタンの色合いがクラウドファンディングで発表されたものと若干異なる点が残念でした。
サイズ感
参考として、AYANEO Pocket DMG と Analogue Pocket を並べてみました。
サイズ感と重さはほぼ同じですが、重量バランスのせいか Analogue Pocket より軽く感じます。
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。この基準を AYANEO Pocket DMG は満たしています。
すべてのゲームボーイシリーズに対応した「Analogue Pocket」 が全世界で絶賛されています。Analogue社製品の大きな特長は、オリジナルのゲームカートリッジをそのまま使えること、エミュレータではなくハードウェアを再現[…]
インターフェース
インターフェースは、下部にマイク、USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、インジケーターランプがあります。上部にはアクティブ冷却機構の放熱口が用意されています。
ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi および Bluetooth 5.3 に対応しています。
また、6軸ジャイロスコープやバイブレーション、マイクもサポートされていますが、イヤホンジャックは非搭載です。
本体左側には MagicSwitch(スクロールホイールボタン)、パフォーマンス切替ボタンがあり、右側には microSDカードスロット、電源ボタン一体型の指紋認証が搭載されています。また、左右にはステレオスピーカーが備えられており、最大音量でも音割れがなく、高品質な音質を提供します。
パフォーマンス切替ボタンは、スライドするたびに Saving → Balance → Streaming → Game → Max の順にローテーションで切り替わります。また、この設定は AYA Quick Tool でも変更可能です。
背面の上部中央にはアクティブ冷却機構の吸気口があります。
静音性に優れてはいますが、モードによっては風切り音が目立つ場合があります。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~最大47dBと、やや大きめの値を示しました。ファンモードをオートに設定すると、風切り音はほとんど気にならない程度に抑えられます。
画面
3.92インチ有機ELディスプレイ(OLED)を搭載しています。
解像度は 1240 × 1080、アスペクト比は 31:27 とやや特徴があり、画素密度は 419PPI です。マルチタッチスクリーンで、鮮明で色彩豊かな表示が可能です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは最大60Hz です。
液晶とガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。
明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大591nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 63Hz、呼び出しレートは平均 142Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
縦型ゲーム機としては、アスペクト比がやや特徴的です。
そのため、使う人によっては賛否が分かれる可能性があります。また、有機ELディスプレイ(AMOLED)と比較すると、黒の深みや色彩の描写にはやや劣りますが、遜色がないレベルに高められています。
操作感
AYANEO社が発表した Androidゲーム機の中で、最も大きなボタンを採用しています。
ABXYボタンのサイズは 8.2mm、ストロークは 1.0mm と浅めで、主要ボタンはメンブレン方式で、背面ボタン(LRボタン)はタクトスイッチを採用しています。
左アナログスティックは AYANEO Pocket MICRO と同じパーツで可動域は広めです。
右側にはタッチパッドが搭載されています。タッチパッド上を指で操作したり、押し込み(R3ボタン)として利用することが可能です。
正直なところ、タッチパッドの操作には慣れが必要で、アナログスティックの方が快適に感じられます。また、方向ボタンや ABXYボタンは大きめで操作しやすい利点がある一方で、ストロークの浅さや押し感が柔らかく物足りなさが感じられます。
全体的に、ボタンを押した際のカチカチ音が抑えられた静音仕様となっています。
縦型モデルのため、両手でホールドした際の持ち心地や、背面ボタンの指の置き位置が良く操作しやすいと感じました。
アナログスティックのデッドゾーンや可動域は最適化されています。
特に可動域に顕著に気になるところもなく、測定結果も良好です。
Androidゲーム機全般として、エミュレーターアプリの種類が豊富という利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があるようです。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はないでしょう。
MagicSwitch のホイール感は良好で、長押しすることでモード切替が可能です。
音量や明るさ調整、パフォーマンス、振動強度、内蔵ファンの機能などを変更することが可能です。
また、=ボタンと LC / RCボタンには、ナビゲーションバーの機能が割り当てられています。
以下の機能が割り当てられています。
- =ボタン・・・ホームに戻る
- LCボタン・・・マルチタスク
- RCボタン・・・戻る
- STボタン+SEボタン・・・マウスモードのオン・オフ
システム
システムには Android 13 を搭載し、Google Playストアに対応しています。
ホームアプリには、独自インターフェースの『AYAHome』が標準で採用されていますが、AYASpace や Quickstep に変更することも可能です。
よく使用するアプリは、長押しまたは Yボタンを押して「Add to Homepage」を選択することで、AYAHome の最上部(クイックスタート)に表示させることができます。
AYAボタンを短押しすることで専用アプリ『AYASpace』が起動します。
AYA Quick Tool が表示され、直近に使用した最大4つのアプリが下部にタスク表示されます。
システムは日本語に設定しても、メニュー表示や項目は英語のままです。
そのため、こういった製品を初めて使用する方には分かりづらいかもしれません。
AYASpace では、ゲームパフォーマンスやインジケーター表示、各種コントローラー設定、RGBイルミネーション、ウィジェット機能などを手軽に変更できます。
コントローラーを使って操作することはできますが、ゲームアプリ起動時などは連動して誤操作する可能性があるため、タップ操作を行う方が良いでしょう。そういった点では、MagicSwitch で一部の機能変更ができるのはアドバンテージです。
AYAボタンを長押しすると、フロントエンドアプリとの連携、画像管理、テーマと言語などの設定が可能です。ただし、フロントエンドアプリとの連携は、Pegasus または Emulation Station の事前導入が必須であり、エミュレーターアプリを単体で使う方が手軽です。
連携をしなくても AYANEO Pocket DMG の内蔵ストレージ(PocketGamesフォルダ)に、BIOS と ROM の各種ファイルを保存することで表示させることができます。
専用アプリ『AYASetting』が用意されており、ユーザー登録、CPU や GPU のパフォーマンス、システムの OTAアップデートなどを行うことが可能です。AYA Space や既存の設定アプリと重複する項目があり、使い勝手には課題があります。
メリハリのある表示を最適化する「AYANEO Brightness」が標準でオンになっています。
ただし、この設定のままスクリーンショットを撮影すると、画像がワントーン暗くなってしまいます。スクリーンショットを撮影する際には、設定をオフにすることをおすすめします。
各種ボタンのキーマッピング機能も搭載しています。
ゲームアプリの画面操作を任意のコントローラーボタンに割り当てることができます。
いくつかのバグはシステムアップグレードで修正されています。
継続的に改善が進められており、頻繁に OTAアップデートが実施されています。
安定稼働させるために、システムを再起動することをおすすめします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Androidゲーム機としてはハイエンドモデルです。
Snapdragon G3x Gen2 を搭載しており、Antutuベンチマークスコア(V10)は 157万点台を記録しています。また、パフォーマンスモードの設定によりスコアに違いが見られます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルが高解像度かつフルスピードで実行可能です。
同社の AYANEO Pocket S や EVO、AYN Odin2シリーズとほぼ同等のパフォーマンスを発揮します。ただし、縦型モデルでアスペクト比(31:27)、右アナログスティック操作がタッチパッドでやや特徴的です。
そのため、画面比率 16:9 には適していないことや、画面にマッチするエミュレーターには留意が必要です。ハイスペックである点は利点ですが、その性能を活かせるシチュエーションは限られます。
競合他社の縦型モデルと比較しても、最高スペックを誇るモデルです。
Linuxベースの中華ゲーム機とは一線を画していて、設定やフレームレートの調整に頼ることなく、圧倒的なスペックパワーで余裕を持って動作します。
ゲームアプリ
デバイス負荷が高めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』、『ゼンレスゾーンゼロ』などは、グラフィック設定を「最高」で動作します。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことができます。
パフォーマンスモードを Gaming 以上に設定すればフレームレート向上も期待できます。
ただし、画面サイズとアスペクト比、タッチパッドでの操作がネックとなり、本格的で快適なゲームプレイは厳しい印象です。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
ゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)を楽しみたい方には、同社の AYANEO Pocket S や AYANEO Pocket EVO を選択することをおすすめします。
まとめ
AYANEO Pocket DMG は、Snapdragon G3x Gen2 を搭載した Androidゲーム機です。
同社の AYANEO Pocket S や AYANEO Pocket EVO と同等のスペックを搭載しており、縦型モデルとしては最高スペックを搭載したモデルです。
ゲームボーイのデザインをコンセプトにしたモデルで、本体サイズやボタンの大きさなど、優れたバランスが所有欲をそそります。また、MagicSwitch(スクロールホイールボタン)やタッチパッド、3.92インチ有機ELディスプレイを搭載した特徴的なモデルです。
一方で、画面のアスペクト比(31:27)に対応するエミュレーターやタッチパッドの操作には意見が分かれる可能性があります。また、実際の使い勝手を考えると、性能を活かせる場面が限られ、オーバースペック気味である点や、価格に対する高級感が低い点が気になります。
汎用性や操作性を重視するなら、同社の AYANEO Pocket S や EVO がおすすめです。しかし、競合他社にはない MagicSwitch やタッチパッドといった独自の付加価値や、最高スペックの縦型モデルを求める方には魅力的な選択肢と評価します。
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