中華ゲーム機「ANBERNIC RG353P」は、RG351シリーズよりも優れた RockChip RK3566 を搭載、デュアルブートシステム採用(Android 11 と Linuxベースのシステム)、クラシックデザインを採用したモデルです。
ANBERNIC RG353P の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能、初期設定・使い方をご紹介します。評価すべきところ、欠点についても詳しくチェックします。
ANBERNIC RG353P の価格・販売ストア
ANBERNIC RG353P は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
販売価格はざっくり調べると、18,799~21,000円 といった価格帯です。
カラーバリエーションは、グレー、クリアブラックの2色。
記事執筆時点で、ANBERNIC公式ストアにおける販売価格が最安値です。
ANBERNIC RG353P のスペック
ANBERNIC RG353P のスペックを詳しく見ていきます。
- システム:Android 11、Linuxベースシステム
- ディスプレイ:3.5インチ IPS、4:3、タッチスクリーン
- 解像度:640 × 480
- CPU:RockChip RK3566(1.8Ghz)
- GPU:Mali-G52 2EE
- RAM:2GB LPDDR4
- ストレージ容量:32GB eMMC 5.1 / microSDカード
- 大きさ:174 × 84 × 21mm
- 重さ:210g
- バッテリー容量:3500mAh
- ワイヤレス通信:Wi-Fi(2.4G / 5G)、Bluetooth4.2
- インターフェイス:USB Type-C × 2、イヤホンジャック、
miniHDMI、microSDカードスロット × 2 - その他:ステレオスピーカー、バイブレーション機能
- 素材:プラスチック
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが保証はできかねます。
ANBERNIC RG353P のレビュー
メーカー提供を受けた ANBERNIC RG353P をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、エミュレーター性能、初期設定・使い方にいたるまでを徹底解説します。
付属品
ガラスフィルム、液晶クリーナー、マニュアル(中国語・英語)、USB Type-Cケーブルが付属します。
大きさ・重さ
本体の大きさは 174 × 75.5~82 × 18~22mm、重さは 209g(実測値)。
プラスチック素材(ABS樹脂素材)の筐体で、大きさに対して『軽い』のが特長です。
『スーパーファミコンのコントローラー』をコンセプトにしたデザインで、本体の厚みは上部から下部にかけて薄くなり、縦幅も中央部と持ち手部で差があります。
これまでに発売された ANBERNIC製品と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
RG552 | 5.36インチ | 198.1 × 85.6 × 20mm | 355g |
RG503 | 4.95インチ | 187 × 84.5 × 25mm | 235g |
RG353P | 3.5インチ | 174 × 84 × 21mm | 210g |
RG351MP | 3.5インチ | 146 × 76 × 18.5mm | 266g |
総合的なビルドクオリティは『高い』と評価します。
ここ最近になってリリースされた RG552、RG503 よりも優れています。
デザイン性の高さもあり 3.5インチの画面サイズに対して、5インチサイズに近い横幅がある点については賛否両論です。
インターフェース
インターフェースは、上部に USB Type-C×2(内1つは給電ポート)、miniHDMIポート、リセットボタン、音量ボタン。
下部に microSDカード×2(内1つは Linuxベースのシステム起動用)、イヤホンジャック、左右にステレオスピーカーを用意。
丸みがある両サイドには何もなく、上部から下部にかけて厚みが異なります。
Fボタン、電源ボタンは正面のコントローラー側に配置されています。
バイブレーション機能を搭載していますが、自動回転を有効化する加速度センサーとジャイロスコープセンサーは非搭載です。
背面左右には滑り止めパッドを用意しています。
ワイヤレス通信機能は Wi-Fi 2.4GHz/5GHz、Bluetooth4.2 をサポートしています。
ただし、技適未取得機器なのでドングル接続しての利用を推奨します。
画面
小さいながらもマルチタッチスクリーン機能を搭載しています。
3.5インチ液晶ディスプレイ(4:3)、解像度 640 × 480、画素密度は 229PPI です。
タッチスクリーン操作の感度も良好で、不満なところはありません。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
操作性
操作性・押し心地については評価ポイントです。
ABXYボタンサイズは 7.8mm、ストロークは 1.5mm で、ANBERNIC製品の標準仕様です。
アナログスティック、十字キー、タッチスクリーンの操作は良好です。
隣り合わせの配置で問題視されていたリセットボタンと Fボタンは離れた配置になり、L1/R1ボタン、L2/R2ボタンは縦並びの配置に変更されて押しやすい。
ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度によっての引っ掛かりもありません。
ただ、L2/R2ボタンはトリガーボタンのような押し心地でないのは惜しいところです。
持ちやすさについては、丸みを帯びた形状で大ぶりなサイズ感は評価が分かれます。
手が小さい人には持ちにくく、操作しづらい本体サイズと評価します。
システム
Linuxベースのシステム(Batocera ANBERNICカスタムVer.)が優先起動しますが、お好みに応じて切り替えできる特徴を持っています。Androidシステムレベルでの物理ボタンの入力遅延が気になる人の選択肢と評価します。
- 電源ボタンを押すと『Linuxベースのシステム』を起動
- Fボタンを押しながら電源ボタン押すと『Androidシステム』を起動
ちなみに、microSDカードスロット(TF1/INT.)に何も挿さっていなければ、Androidシステムが優先起動します。標準搭載されている Android 11 は、Google Playストア未搭載・未対応、オンラインバージョンアップに未対応です。
エミュレーター性能・所感
エミュレーター性能は RG351シリーズより優秀です。
主要スペックに RockChip RK3566 を採用したモデルで、RG351シリーズで少し重ためだったエミュレーター、ゲームタイトルの動作改善が見込めます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、スーパーファミコン、プレイステーション、ニンテンドーDS までが快適動作、NINTENDO64、PSP、ドリームキャストがそこそこ動作、セガサターン、ゲームキューブも動作するスペックを搭載しています。
Linuxベースのシステムでは、タッチスクリーン機能は使えません。
そのため、同機能は Android 11 システムで設定やアプリ、エミュレーターアプリで活躍する機能です。Androidゲームアプリ向けのキーマッピング機能も用意されています。
画面サイズは 3.5インチと小さく、二画面表示には向いていませんが、タッチスクリーン対応でニンテンドーDS が遊びやすいです。スペックが低いため、ゲームキューブや PS2、少し重めのゲームアプリを遊ぶのは困難・非力です。
標準搭載されているファームウェアの完成度が低いです。
CFW(カスタムファームウェア)を導入することで、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンの動作改善が期待できます。
ANBERNIC RG353P の使い方・初期設定
ANBERNIC RG353P の使い方・初期設定を詳しく解説します。
基本的な使い方はこれまでにリリースされた製品と変わりません。
エミュレーター・ゲームタイトルによっては細かな設定・変更や試行錯誤が必要です。
システムメニューを日本語化
一番はじめに行うのはメインシステムの「日本語化」です。
下記の手順を参考に進めてください。
- ANBERNIC RG353P の電源ON
- STARTボタンを押してシステムメニューを表示
- 「SYSTEM SETTING」を選択
- LANGUAGE を「JAPANESE」に変更して BACK
- 「QUIT」を選択
- 「RESTART SYSTEM」を選択
- 再起動後にシステムが日本語化
基本操作
各メニューのホットキーリスト・ファンクションキーの一覧です。
グローバルメニュー
- A:決定
- B:キャンセル
- Y:FAVORITES追加・削除
- SELECT:クイックメニュー表示
- START:システムメニュー表示
- L/R:ゲームメニュー移動
- 音量上下:音量調整
RetroArchメニュー
- F+上下:音量調整
- F+左右:保存スロット選択
- F+L1:クイックロード
- F+R1:クイックセーブ
- F+L2:ゲーム速度UP
- F+R2:FPS表示
- F+B:ゲームメニュー表示
- F+START:ゲーム終了
- F+音量:明るさ調整
Android操作
- D-Pad、アナログスティック:移動
- A、START、Y、タッチ:選択
- A長押し、SELECT:メニュー表示
- B:メニュー閉じる
- F:戻る
- F長押し:HOMEボタン
Androidシステムのバージョンアップ方法
Androidシステムのオンラインバージョンアップには未対応です。
詳しい導入手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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ファームウェアのアップデート方法
ANBERNIC RG353P は、ワイヤレス通信によるアップデートに対応しています。
下記手順を参考に進めてください。
- STARTボタンを押してシステムメニューを表示
- 「更新とダウンロード」を選択
- 「更新開始」を選択
- 更新作業後に再起動して完了
カスタムファームウェア(CFW)の導入方法
ANBERNIC RG353P のカスタムファームウェア(CFW)の導入方法はこちらです。
使いやすさ、エミュレーター性能の向上を期待できます。
ANBERNIC RG353P / RG353V / RG353M のカスタムファームウェア(CFW)の導入方法を解説します。デュアルシステムの内『Linuxベースのシステム』について確認します。ファームウェアをダ[…]
まとめ
ANBERNIC RG353P は、エミュレーター性能を向上したデザイン性に優れたモデルです。クラウドゲーミングや外部接続を意識したワイヤレス通信機能を搭載しています。
総合評価としては「器用貧乏」と評価します。
ざっくりいえば、ANBERNIC RG503 と ANBERNIC 552 の機能をあわせ持つモデルです。
スーパーファミコンのコントローラーをコンセプトにしたデザイン、RG351シリーズを上回るスペック、デュアルブートシステム(Linux / Android 11)搭載は評価ポイントです。
汎用性が高い一方で、スペックや機能に『強み』がありません。
Linuxベースのシステムで遊ぶにしても ANBERNIC RG503 のような有機ELディスプレイといった個性がなく、ANBERNIC RG552 よりもスペックが低く画面サイズも小さいため、Androidシステムをメインで遊ぶには取捨選択が必要です。
操作性や持ちやすさ、デザイン性、総合的なビルドクオリティが優れているのは事実です。
RG351シリーズのスペックアップモデルを求めている方は、ANBERNIC RG503 とあわせて検討することをおすすめします。
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