
中華ゲーム機「ANBERNIC RG ARC」は、『セガ風のコントローラー』をコンセプトにしたデザインと、ANBERNIC製品として初めての標準6ボタン、操作しやすい方向ボタンを採用したモデルです。搭載システムとカラーバリエーションが異なる2モデルを用意しています。
ANBERNIC RG ARC の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
ANBERNIC RG ARC の価格・販売ストア

ANBERNIC RG ARC は、海外通販サイトを中心に広く販売しています。
カラーバリエーションは、全4色(ブラック、グレー、クリアブラック、クリアブルー)です。
搭載システムが異なる2モデルを販売しています。
選べるカラーも異なる点には注意してください。
・ANBERNIC RG ARC-S(クリアブラック、クリアブルー)
一般販売価格:11,699円(送料別途)
プレセール価格:10,499円(送料別途)
・ANBERNIC RG ARC-D(ブラック、グレー)
販売価格:14,699円(送料別途)
プレセール価格:13,499円(送料別途)
ANBERNIC公式ストアにおける販売価格が最安値です。
ANBERNIC RG ARC のスペック
ANBERNIC RG ARC のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | ANBERNIC RG ARC-S 廉価版 | ANBERNIC RG ARC-D 通常版 |
システム | Linux | Linux Android 11 |
画面 | 4インチ、4:3 640×480、画素密度200PPI | 4インチ、4:3、 マルチタッチ 640×480、画素密度200PPI |
SoC | RockChip RK3566(1.8Ghz) | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
RAM | 1GB LPDDR4 | 2GB LPDDR4 |
ストレージ | microSDカード | 32GB eMMC 5.1 microSDカード |
バッテリー容量 | 3500mAh(6時間駆動) | |
インターフェース | USB Type-Cポート × 2 miniHDMI、イヤホンジャック microSDカードスロット × 2 ステレオスピーカー、バイブレーション | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi、Bluetooth 4.2 | |
大きさ | 191 × 80 × 22mm | |
重さ | 242g | |
素材 | ABS樹脂素材 | |
本体カラー | クリアブラック クリアブルー | ブラック グレー |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
ANBERNIC RG ARC のレビュー
メーカー提供を受けた ANBERNIC RG ARC(ARC-D、グレー)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1.スクリーンプロテクター
2.液晶クリーナー
3.ユーザーマニュアル(中国語・英語)
4.USB Type-Cケーブル

別売りの収納ケース(保護カバー)です。
本体に合わせたくぼみがあり、本体とケーブルを持ち運ぶのに便利です。
持ち運び機会がある場合は、本体と一緒に購入することをおすすめします。
大きさ・重さ

大きさは 191 × 80 × 22mm、重さは 244g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、大きさに対して『軽い』です。
『セガ風のコントローラー』をコンセプトにしたデザインです。
表面コーティングはありませんが、成形精度や組み立て精度が高いです。

参考として、PS Vita、Nintendo Switch と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
ANBERNIC RG ARC | 4インチ | 191 × 80 × 22mm | 242g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
ポケットサイズに不向きな形状のため、ポータビリティにはやや難があります。
ANBERNIC製品でいえば、RG503 や RG505 に近いサイズ感です。
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インターフェース

インターフェースは、上部に電源ボタン、音量ボタン、ファンクションボタン、miniHDMI、USB Type-Cポート(OTG、給電・充電用)を備えています。
下部にリセットボタン、microSDカードスロット(システム、ゲームデータ)、イヤホンジャックがあり、左右にステレオスピーカーが配置されています。

バイブレーション機能は搭載されていますが、マイクやジャイロセンサーは非搭載です。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi と Bluetooth 4.2 をサポートしています。

冷却ファンは非搭載で、滑り止めパッドもありません。
握りやすさを考慮して、左右には指にかかる段差が設けられています。
画面

メーカーロゴのないマルチタッチスクリーン(ARC-Dのみ)を備えています。
4インチ液晶ディスプレイ(4:3)で、解像度は 640 × 480、画素密度は 200PPI です。
画面周りのベゼル幅の太さも、ほぼ気になりません。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がほぼないフルラミネーションディスプレイを採用しているため、反射面が少なく、高コントラストでクリアな映像を実現しています。
液晶ディスプレイの発色は良好で、最大輝度も基本的な要件を満たしています。
ただし、一部のエミュレーター(16:9)やゲームアプリ、リモートプレイ、クラウドゲームには適さない解像度とアスペクト比です。
操作性

標準6ボタン、操作しやすい方向ボタンを採用しています。
ABCボタンサイズは 10.7mm、XYZボタンサイズは 8.3mm で、どちらも約1.5mm のストロークがあります。ボタンサイズは大きく、押し心地も良好です。ボタン側面の摩耗による削れや、押す角度による引っかかりも一切ありません。
方向ボタンは4方向のフローティング構造で、押し込み機能もあり、斜め方向のコマンド入力もしやすくなっています。一方で、L1/R1ボタン、L2/R2ボタンはやや硬い押し心地で、好みが分かれそうです。

メガドライブやセガサターンのコントロールパッドをベースにしたデザインは、アーケードから移植されたベルトスクロールアクションゲームや格闘ゲームなどに特に適しています。ただし、操作性が良いだけに、エミュレーター側の入力遅延がやや気になるかもしれません。
本来のボタン配置でメガドライブやセガサターンのゲームが操作できます。
ただし、アナログスティックは非搭載で、ABXYボタン配置とは異なるため、汎用性という点においては注意が必要です。

Linuxシステムでは、3つのボタンレイアウトが利用可能です。(APPS→Setup→set keymap)一方で、Androidシステム(ARC-Dのみ)では、sega mode と Ns モード(ABXY)が提供されています。
また、セガサターンコントロールパッドとは大きさが異なります。
オリジナルのコントロールパッドに比べて、ボタン間隔は同程度ですが、方向ボタンを含めてボタンサイズはやや小さめです。
システム

Linuxベースのシステム(Batocera ANBERNICカスタムVer.)が優先起動しますが、お好みに応じて切り替えできる特徴を持っています。Androidシステムレベルでの物理ボタンの入力遅延が気になる方の選択肢と評価します。
- 電源ボタン:『Linuxベースのシステム』を起動
- Fボタン+電源ボタン:『Androidシステム』を起動(ARC-Dのみ)
ちなみに、microSDカードスロット(TF1/INT.)に何も挿さっていなければ、Androidシステムが優先起動します。標準搭載されている Android 11 は、Google Playストア未搭載で、オンラインアップデートにも未対応です。
エミュレーター性能

エミュレーターの性能は RG353シリーズと同等です。
主要スペックに RockChip RK3566 を採用したモデルで、RG351シリーズで少し重ためだったエミュレーター、ゲームタイトルの動作改善が見込めます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、スーパーファミコン、プレイステーション、ニンテンドーDS までが快適動作、NINTENDO64、PSP、ドリームキャストがそこそこ動作、セガサターン、ゲームキューブも動作するスペックを搭載しています。

ただし、PSPエミュレーターの解像度やアスペクト比が適していないことや、ドリームキャストはほぼ快適に動作するものの、一部のゲームタイトルを除いてセガサターンの動作(特に 3D系のゲーム)は厳しめです。
また、6ボタン配置のセガ風のコントローラーを採用しており、アーケードゲームやメガドライブ、セガサターンの一部ゲームタイトルを楽しむことに適しています。
初期設定・使い方

基本的な使い方・設定方法は ANBERNIC RG353P と大きく変わりませんが、microSDカード(TF2/EXT.)のフォルダ構造が大きく変わっています。
microSDカード(TF2/EXT.)に、新しい microSDカードをセットして電源オンして、しばらく待つことでフォルダ構成を新規に作成することが可能です。
それ以外の基本的な手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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まとめ

ANBERNIC RG ARC は、『セガ風のコントローラー』をコンセプトにしたデザインと、ANBERNIC製品として初めての標準6ボタン、操作しやすい方向ボタンを採用したモデルです。
総合評価としては『特定のエミュレーター・ゲームに特化したモデル』と評価します。
RG353シリーズと同等のエミュレーター性能を備え、本来のボタン配置でアーケードゲームやメガドライブ、セガサターンのゲームが楽しめるのは評価ポイントです。
デュアルOSを搭載した ARC-D の Androidシステムは、現状では使えるレベルには達していません。あくまでもカラーリング(グレーとブラック)を選択するためのモデルと認識するのが良さそうです。
また、エミュレーター性能はそれほど高くないため、セガサターンのゲームを存分に楽しむには妥協が必要です。ただし、ABXYボタン配置に物足りなさを感じている方や、セガ風のゲームコントローラーの快適な操作性を求める方にとっては、理想的なモデルと評価します。
関連ページリンク
ANBERNIC RG ARC(2モデル)
一般販売価格:11,699円~14,699円(送料別途)
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