
中華ゲーム機「TRIMUI Smart Pro S」は、既存モデル(TRIMUI Smart Pro)のアップグレード版にあたる Linuxベースのモデルです。新たにカラーバリエーションが追加されたほか、Allwinner A523 を搭載し、価格と性能のバランスを重視した構成となっています。
TRIMUI Smart Pro S の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
TRIMUI Smart Pro S について
TRIMUI Smart Pro S に関する情報をまとめたページです。
レビュー用に Mechdiy よりサンプルの提供を受けていますが、記事内容や評価には一切影響していません。
※販売ストアによっては権利者の許可を得ていないゲームが含まれている可能性があります。ご利用はご自身の責任でお願いします。
価格・販売ストア

TRIMUI Smart Pro S は、公式ストアや海外通販サイトで販売されています。
カラーラインナップは、既存カラーのブラック、ホワイト、グレーに加え、新色のイエロー、レッド、グリーンを含む全6色が用意されています。
・TRIMUI Smart Pro S
販売価格:99.99ドル(送料無料)
製品仕様とスペック
TRIMUI Smart Pro S のスペックについて詳しく見ていきます。
| 製品名 | TRIMUI Smart Pro S |
| システム | Linux |
| 画面 | 4.96インチ、IPS 16:9 解像度 1280 × 720 |
| SoC | Allwinner A523 |
| RAM | 1GB LPDDR4X |
| ストレージ | 8GB eMMC microSDカード |
| バッテリー容量 | 5000mAh |
| インターフェース | USB Type-C × 2 イヤホンジャック microSDカードスロット ステレオスピーカー LEDライトエフェクト バイブレーション |
| ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4 |
| 大きさ | 187.4 × 79.8 × 17.2mm |
| 重さ | 256g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
TRIMUI Smart Pro S のレビュー
TRIMUI Smart Pro S をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1. 簡易ガイド
2. マニュアル
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ

大きさは 187.4 × 79.8 × 17.2mm、重さは 257g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂)を採用した標準的な重さのモデルで、Nintendo Switch Lite よりも薄く、ひと回り小さいです。
PS Vita をコンセプトにしたデザインはそのままで、既存モデル(TRIMUI Smart Pro)と比べてもサイズや重量に大きな違いはありません。
成形精度や組み立て精度はしっかりしていますが、表面にコーティング処理が施されていないため、カラーによっては皮脂や指紋がやや目立ちやすいです。
サイズ感

参考として、PS Vita(PCH-2000)や Nintendo Switch を並べてみました。
PS Vita に近いサイズ感で、片手でも十分に持てる大きさです。
既存モデル(TRIMUI Smart Pro)と比べても、サイズ感は同等と考えて良いでしょう。
外観で違いをはっきり感じたい場合は、新色を選ぶのがおすすめです。
インターフェース

インターフェースは、上部に音量ボタン、USB Type-Cポート(HOST)、ホームボタン、電源ボタンを配置しています。
下部にはストラップホール、カスタマイズ可能な FNスイッチ、USB Type-Cポート(OTG/給電・充電用)、microSDカードスロット、イヤホンジャック、マイクを備えています。

本体正面の左右下にはデュアルスピーカーを搭載しています。
音量や音の広がりは十分ですが、厳しく見るとクリアさという点ではやや物足りなさを感じる部分もあります。
ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4 を搭載しています。
バイブレーション機能を備えていますが、映像出力機能はありません。

左右のアナログスティック周りには LEDエフェクトライトを搭載しています。
システム設定から LED のオン・オフや輝度調整が可能です。

バッテリー容量 5000mAh(5~6時間駆動)で、急速充電には非対応です。
また、冷却能力に優れた静音タイプのアクティブ冷却ファンが搭載されています。
長時間使用していると、右側の背面がほんのりと温かくなりますが、発熱が気になるほどではありません。内蔵ファンの動作音もほとんど聞こえず、本体に耳を近づけると「ジーッ」という小さな風切り音が確認できる程度です。
画面

4.96インチの IPSディスプレイを搭載しています。
アスペクト比は 16:9 で、解像度は 1280 × 720、画素密度は 296PPI です。
既存モデル(TRIMUI Smart Pro)と同等で、横ベゼルがやや太めのデザインとなっています。
ガラスレンズとディスプレイの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。ただし、防指紋などのコーティングが弱いせいか、一般的なディスプレイよりも皮脂や指紋がやや目立ちやすい印象です。

画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大 249nit を記録しました。
輝度とコントラストのバランスは良好で、全体として鮮明で見やすい映像を表示できます。
明るさは一般的なモデルよりもやや落ち着いた印象で、液晶の発色自体は良好です。
最大輝度は控えめですが、屋内での使用を前提とすれば基本的な要件は十分に満たしています。
ただし、解像度とアスペクト比の関係から、一部のエミュレーター(4:3)では相性が分かれる点には注意が必要です。
操作感

カジュアル・ライトユーザー向けのコントローラーと評価します。
ABXYボタンのサイズは 6.8mm、ストロークは 0.5mm と浅めです。主要なボタンにはすべてドームスイッチが採用されており、ボタン自体の高さも低め。浅いストロークながら適度な反発があり、しっかりとした底打ち感のある押し心地となっています。
スティックには PS Vita と同タイプのアナログスティックを搭載しています。
磁気センサーを用いた TMRジョイスティックを採用しており、従来モデルよりも約 1mm 高く設定されています。

全体的に静音寄りの仕様ですが、方向ボタンや LRボタンはいずれもストロークがほとんど感じられず、この点は操作感の好みによって評価が分かれる部分といえるでしょう。
気になった点としては、スティック操作を素早くしたときに効きが悪いとき(入力が入らない)が確認できました。この部分についてはシステム的な問題の可能性もあるため改善を期待したいところです。

グリップやテクスチャー加工は施されていないものの、握り心地や持ちやすさは良好で、手に包み込むようにフィットします。
総合的に見ると、携帯性と操作性のバランスを重視するユーザーに向いた仕上がりで、用途を割り切れば十分満足できる作りといえるでしょう。
システム

独自の UI を備えた Linuxベースのシステムを採用しています。
多言語対応で、日本語もサポートしています。
選択するエミュレーターや設定ごとに LEDライトのカラーが変わる仕様です。
システム構成はやや特殊ですが、直感的に操作できる UI です。

各項目画面でスタートボタンを押すと、表示モードを変更できます。
ROMファイルなどを追加した場合は、「ROMを更新」を実行することでゲーム一覧に反映されます。
また、新設されたホームボタンの機能は限定的です。
例えるなら、Android の画面上部から引き出せる「クイック設定パネル」の簡易版といった感じの機能です。

設定項目では、画面や LED の明るさ調整、音量、Wi-Fi、テーマ、キーマップ、システム設定などが用意されています。
Fnキーには、LED のオン/オフ、CPUパフォーマンスの切り替え、連射機能など、用意されたプリセットの中から1つを割り当てることが可能です。
・TRIMUI Smart Pro S 公式ファームウェア
https://www.trimuistore.com/pages/firmware-update
いくつかのバグや不安定な挙動が確認されており、システムの改善が求められます。
必要に応じて、CFW を導入するのも選択肢の一つかもしれません。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は、ANBERNIC RG35XXシリーズ や RG DS より優れています。
主要スペックに Allwinner A523 を採用したモデルで、従来モデル(TRIMUI Smart Pro)と比べて、およそ 2.5倍の性能向上を実現しています。
スペックシート上では、一般的なレトロゲームに加え、従来モデルよりも PSP、ドリームキャスト、セガサターンあたりまでが動作するレベルで、それ以上の性能を求めるエミュレーターを動作させるのは厳しさが感じられるスペックです。

実際の動作としては、比較的負荷の高い PSP も 1~2倍解像度で快適に動作(60fps)し、ドリームキャストについても標準設定で安定してプレイできました。ただし、セガサターンに関してはタイトルによって動作に差があり、相性を選ぶ印象です。
総合的なエミュレーター性能は大きく突出しているわけではありませんが、対応エミュレーターはそのままに、従来モデル(TRIMUI Smart Pro)で動作が厳しかったゲームタイトルが、より安定して動作するようになっています。
必ずご自身で吸い出したものを使用してください。
まとめ

TRIMUI Smart Pro S は、既存モデル(TRIMUI Smart Pro)をベースに、SoC を Allwinner A523 へ刷新し、新たなカラーバリエーションを追加したアップグレードモデルです。デザインやサイズ感は従来モデルを踏襲しつつ、携帯性と価格のバランスを重視した構成となっています。
従来モデルと比べるとエミュレーター性能は着実に向上しており、一般的なレトロゲームに加え、PSP やドリームキャストまでを実用的に楽しめる点は大きな進化です。一方で、操作感はスティック操作の挙動や LRボタンのストロークに好みが分かれやすく、システム面にはまだ改善を期待したい部分も残っています。
エミュレーター性能は突出しているわけではありませんが、Linuxベースならではの軽快な動作や、シンプルで扱いやすい UI は魅力です。PSP は 2倍解像度、ドリームキャストも標準設定で安定して動作するなど、価格帯を踏まえれば堅実なパフォーマンスといえるでしょう。
ただし、同価格帯の MANGMI AIR X と比較すると、総合的な扱いやすさや、性能・価格面でのコストパフォーマンスはやや控えめに感じられる部分もあります。
派手さや高性能を前面に押し出すモデルではありませんが、携帯性や価格、対応エミュレーターのバランスはよく取れています。従来モデルからの買い替えはもちろん、気軽にレトロゲームを楽しみたい人にとっても、扱いやすく安心感のある一台といえるでしょう。
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