
中華ゲーム機「Retroid Pocket Flip」は、ニンテンドー3DS風のクラムシェル型デザインに多彩なカラーバリエーションを備え、SoC に Unisoc Tiger T618 を搭載した Androidゲーム機です。
Retroid Pocket Flip の価格、スペック、特徴、操作性、エミュレーター性能についてご紹介します。また、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
Retroid Pocket Flip の価格・販売ストア

Retroid Pocket Flip は、公式ストアや海外通販サイトで販売しています。
カラーバリエーションは、全5色(スポーツレッド、ウォーターメロン、ブラック、インディゴ、16BIT US)です。
本体カラーのスポーツレッドは、1,500台限定の Limited Edition です。
特別なシルクスクリーン印刷(Limited Edition の印字、No.)が施されています。
・Retroid Pocket Flip(スポーツレッド、ウォーターメロン)
販売価格:164ドル(送料別途)
・Retroid Pocket Flip(ブラック、インディゴ、16BIT US)
販売価格:159ドル(送料別途)
Retroid Pocket Flip のスペック
Retroid Pocket Flip のスペックを詳しく見ていきます。
横型モデルの Retroid Pocket 3+ と異なる部分は太字にしています。
- システム:Android 11
- ディスプレイ:4.7インチ、16:9、タッチスクリーン
- 解像度:1334 × 750、画素密度 326ppi
- SoC:Unisoc Tiger T618 2.0GHz
- GPU:Mail G52 MC2 850MHz
- RAM:4GB LPDDR4
- ストレージ:128GB eMMC
- 外部ストレージ:microSD(最大1TB)
- バッテリー容量:5000mAh
- ワイヤレス通信:Wi-Fi(2.4G / 5G)、Bluetooth 5.0
- インターフェース:USB Type-C、microHDMI、イヤホンジャック、
microSDカードスロット - その他:マイク、ステレオスピーカー、バイブレーション
- 大きさ:139 × 82 × 25.4mm
- 重さ:270g
- 素材:プラスチック(ABS樹脂素材)
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
中華ゲーム機「Retroid Pocket 3+」は、Unisoc Tiger T618 採用のメイン基板を刷新しただけでなく、ストレージ容量、RAM、バッテリー容量も強化したアップグレードモデルです。主要スペックは An[…]
Retroid Pocket Flip のレビュー
中華ゲーム機 Retroid Pocket Flip をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品

1. Retroid Pocket Flip ガイドカード
2. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ

本体の大きさは 139 × 82 × 25.4mm、重さ 270g(実測値)です。
プラスチック製(ABS樹脂素材)の筐体で『軽い』です。
重量バランスに優れているため、思っていたよりも小型で軽量なのが特徴です。
重さは PS Vita とほぼ同じで、Newニンテンドー3DS LL より小型でありながら、デザイン性に優れたクラムシェル型というのも大きなポイントです。

同じような形状の製品と比較してみました。
以下は公式発表されているスペックでの比較です。
製品名 | 画面 | 大きさ | 重さ |
Retroid Pocket Flip | 4.7インチ | 139 × 82 × 25.4mm | 270g |
ニンテンドー3DS | 3.53 / 3.02インチ | 134 ×74 × 21mm | 235g |
New ニンテンドー3DS | 3.88 / 3.33インチ | 142 × 80.6 × 21.6mm | 253g |
New ニンテンドー3DS LL | 4.88 / 4.18インチ | 160 × 93.5 × 21.5mm | 329g |
総合的なビルドクオリティは『高い』と評価します。
中華ゲーム機として初めて、2色成形の ABXYボタンや押し込みボタン(L3 / R3)付きのスライドパッドを採用したモデルです。
本体の質感はややザラつきがある表面加工が施されており、指紋や皮脂が目立ちにくいです。また、クリアカラーのウォーターメロンは、本体内部の基板が確認でき、外装シェルの内部造形も目立ちません。
インターフェース

インターフェースは、前面に電源ボタン、イヤホンジャックを備え、背面に microHDMI、USB Type-Cポートがあります。また、マイクやバイブレーション機能を搭載しています。
また、充電や給電、スリープモードなどの状態がわかるインジケーターランプはありません。

本体左側には microSDカードスロットがあり、右側面には音量ボタンがあります。
ワイヤレス通信機能として Wi-Fi 2.4GHz / 5GHz、Bluetooth 5.0 をサポートしています。

裏面の正面側にはステレオスピーカー、背面側には内蔵ファンの排気口を用意しています。
スピーカーの設置位置のせいか、スピーカーの音質はそれほど良くなく、音量も小さめです。
内蔵ファンの回転数を最大にすると、風切り音がかなり目立ちます。
排気口からの風はほとんど出ないため、アクティブ冷却として正常に機能しているかは不明です。また、重めのゲームアプリを使用すると内部温度は80度以上、表面温度が 45度ほどになるため放熱能力は低めです。

ディスプレイの開く角度の最大値は 130度(画面傾度は 55度)です。
破損しやすいヒンジ(蝶番)は、ニンテンドー3DS と比較するとやや堅く、しっかりと作られています。開閉テストを500回近く行っても、摩耗やへたりは見られませんでした。
摩耗しやすい部分と認識しましょう。

また、画面を閉じることでスリープモードに移行しますが、画面を開くか、開いてから電源ボタンを押すことでスリープモードを解除できます。
画面

液晶ディスプレイは鮮明と評価します。
4.7インチ液晶ディスプレイ(16:9)、解像度:1334 × 750、画素密度 326PPI です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。
ニンテンドー3DSシリーズよりも高さのある十字キーやボタンが画面に接触しないように、ややくぼみがあり奥まった画面デザインを採用しています。

ヒンジ部には突起があり、ディスプレイの開く角度を制限しています。
ヒンジ(蝶番)やディスプレイに過度な負荷がかからないように保護する目的で、開く角度を制限している可能性があります。
しかし、最大値に開いても視認性が悪く、ディスプレイの開く角度に不足感があります。自己責任にはなりますが、この問題はヒンジ部の突起を削除することで解決できます。

ディスプレイの色味については、システム側(設定→ディスプレイ→色温度と画面の最適化)で、お好みに応じて調整することができます。
解像度・アスペクト比に関しては賛否両論です。
エミュレーターやゲームタイトルによっては、画面端切れ・ベゼルが気になります。
操作性

操作性や押し心地、持ちやすさは良好と評価します。
ABXYボタンは 7.4mm、ストロークは 1.3mm で誘導性ゴムスイッチ、十字キーはドームスイッチを採用しています。Retroid Pocketシリーズとしては、十字キーや ABXYボタンのサイズが大きくて押しやすいことが特徴です。
クラムシェル型に適したスライドパッド(Hall効果)を採用しています。
押し込むことで機能する L3 / R3ボタンは、ニュートラルな位置であれば浅めの押し込み感はあるものの、それ以外の場所では押し込み感はありません。そのため、操作に若干の慣れが必要です。

また、L1 / R2ボタンはマイクロスイッチで、L2 / R2 ボタンはアナログトリガーを採用しています。角がなく丸みがあるデザインで、手のひらにフィットして持ちやすいのも特徴です。
背面にある M1 / M2ボタンは、通常では Aボタンと同じ機能が割り当てられています。
リマッピング機能(ボタンアダプテーション)を有効化することで変更可能です。

タッチ操作を物理ボタンに割り当てられるリマッピング機能は便利です。
ホバーアイコンを有効化することで、画面右からスワイプ操作で表示されるメニューの「ボタンアダプテーション」から設定します。
オーバーレイ表示されるボタンを好みの位置に合わせて、対象となるボタンを押すだけで設定完了です。ゲーム途中であっても何度も設定変更が可能で、専用アプリを必要としません。

スライドパッドの動きは、デッドゾーンがほぼなく優秀です。
ニンテンドー3DSシリーズの操作に慣れている人は、スライドパッドの動きのかたさ、十字キーや ABXYボタンの高さに違和感を覚えるかもしれません。これらの操作性については、個人の好みが分かれるところです。
システム

システムは Android 11 を搭載し、Google Playストアに対応しています。
初期セットアップ時に、自動で各種エミュレーターアプリや UI(ゲームフロントエンド)が導入できます。
また、OTAアップデートにも対応しているのは評価ポイントです。
日本語ロケールも選択できるので、初期セットアップ後に設定から「日本語」を選択できます。

画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」で、明るさの調整やアクティブ冷却の内蔵ファンパフォーマンス、ホバーアイコン(キーマッピングなど)の切り替えが可能です。

初期ロットのシステムバージョンは「1.0.0.183」で、セカンドロットのシステムバージョンは「1.0.0.196」と異なります。本体内部の温度や内蔵ファンのオン・オフに限らず、不定期にシステムダウンする場合は初期不良の可能性が高いです。
その場合、OTAシステムアップデートで改善する見込みはありません。
サポートに連絡して交換または返金手続きを進めてください。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は ANBERNIC 353シリーズよりも優れており、ANBERNIC RG405M や Retroid Pocket 3+ と同等です。Antutuベンチマークスコアは 21万点台です。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、プレイステーション、ニンテンドーDS、NINTENDO64、PSP、ドリームキャスト、セガサターンが快適に動作します。ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2 については、一部ゲームタイトルが動作します。

現時点では、同スペックの Retroid Pocket 3+ よりも動作は不安定です。
システムのチューニングが甘いせいか、直近でシステムアップデートが実施された Retroid Pocket 3+ と比較すると、ゲーム動作が厳しめ・不安定となるシチュエーションが確認できました。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、システムレベルでわずかに物理ボタンの入力遅延があります。繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
ゲームタイトルの動作確認などについては、こちらを参考にすると良いでしょう。
有志によりゲームリスト、エミュレーターの設定方法が日々更新されています。
ゲームアプリ

ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「最低~低」で動作します。
若干のカクつきは見られるものの、ゲームプレイ自体は可能なレベルです。
ただし、原神などの重めのスマホゲームを遊ぶことを想定している方にはおすすめしません。
ライト・ミドルで遊べるようなスマホゲームアプリを遊ぶのに適しています。

また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も遊べます。ただし、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
ただし、画面サイズは中華ゲーム機としては大きなサイズですが、4.7インチと小さく・文字などの視認性も悪いため、遊べるゲームタイトルを選ぶ必要があります。また、ホームボタン、バックボタンがないため、タッチ操作をあわせて使う必要があります。
初期設定・使い方

基本的な使い方・設定方法は Retroid Pocket 2+ から大きく変わりません。
詳しい手順については、こちらの記事を参考に進めてください。
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まとめ

Retroid Pocket Flip は、ニンテンドー3DS風のクラムシェル型を採用したモデルです。
Retroid Pocket 3+ と同スペックを搭載しつつ、多彩なカラーバリエーションとデザインにマッチしたコントローラーを採用したモデルです。
総合評価としては「期待値以上・買い」と評価します。
Newニンテンドー3DS LL より小型でありながら、重さは PS Vita とほぼ同じで、デザイン性に優れたクラムシェル型というのは最大の特徴です。本体サイズにマッチしたスライドパッド、アナログトリガーを採用したコントローラーは評価ポイントです。
Unisoc Tiger T618 を搭載機としては、チューニングされたシステム・エミュレーターを採用しているため、過信は禁物ですが、ゲームキューブや PS2 などのゲームタイトルの動作が体感的にも比較的良好なものが多いです。
一方で、アクティブ冷却機能については、バッテリーに熱を逃がす構造となっており、正常に機能しているかは不明です。不定期にシステムダウンが頻繁に発生する場合は、初期不良の可能性が高いので注意しましょう。
ただし、総合的なビルドクオリティは高く、所有欲を満たす中華ゲーム機と評価します。
画面サイズに対して本体サイズが小さく、汎用性やポータビリティに優れており、Retroid Pocket 3+ よりもバッテリー持ちが向上しているのはポイントです。
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Retroid Pocket Flip
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