8.8インチUMPC「GPD Pocket 4」は、リフレッシュレート 144Hz の 8.8インチ液晶ディスプレイ(解像度 2560 × 1600)を搭載し、AMD Ryzen 7 8840U(下位モデル)と AI 9 HX 370プロセッサを採用した 2in1モデルです。
GPD Pocket 4 の価格、スペック、特徴、使用感、ベンチマークテスト結果についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
GPD Pocket 4 について
GPD Pocket 4 に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売サイト
GPD Pocket 4 の国内正規版は、国内の通販サイトで予約販売中です。
発売日は 2025年2月初旬を予定しています。
保証・サポートなどを重視する人には、国内代理店での購入がおすすめです。
以下は国内正規販売店 デントオンラインショップでの販売価格です。
・8840U / 16GB / 1TBモデル
販売価格:142,700円
・AI9 HX370 / 32GB / 1TBモデル
販売価格:195,700円
・AI9 HX370 / 64GB / 2TBモデル
販売価格:243,900円
\国内保証・延長保証付き/
製品仕様とスペック
GPD Pocket 4 のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | GPD Pocket 4 | |
ディスプレイ | 8.8インチ 解像度 2560 ×1600 10点マルチタッチ リフレッシュレート 144Hz | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
グラフィクス | AMD Radeon 780M | AMD Radeon 890M |
メモリ | 16GB / 32GB / 64GB LPDDR5x 7500 | |
ストレージ | 1TB / 2TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) | |
インターフェース | USB4ポート(40Gbps) USB 3.2 Gen2 Type-Cポート USB 3.2 Gen2 Type-Aポート USB 2.0 Type-Aポート HDMI 2.1ポート RJ45(LAN)ポート イヤホンジャック | |
センサー・その他 | ステレオスピーカー カメラ、マイク トラックパッド バックライト付きキーボード アクティブ冷却 指紋認証一体型電源ボタン | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | |
バッテリー | 45Wh | |
大きさ | 206.8 × 144.5 × 22.2mm | |
重さ | 770g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GPD Pocket 4 のレビュー
GPD Pocket 4 をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、ベンチマークテスト、評価すべき点や欠点について解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 206.8 × 144.5 × 22.2mm、重さは 786g(実測値)
アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂素材に折りたたみスタンドを取り付けた筐体デザインを採用しています。
本体カラーはブラックで、シンプルで洗練された仕上がりです。
重量バランスに優れているため、重さは思ったよりも感じにくいです。また、マットな質感のため、指紋や皮脂がやや目立ちやすいものの、高剛性で高品質な作りとなっています。
サイズ感
参考として、広げた状態の GPD Pocket 4 と iPhone 15 Pro を並べてみました。
片手で楽に持ち運ぶことができるコンパクトな設計となっています。
また、同社の GPD WIN Mini を一回り大きくしたサイズ感で、従来モデルの GPD Pocket 3 や GPD WIN Max 2シリーズに近いサイズ感です。そのため、GPD Pocket 3 から GPD Pocket 4 への買い替えでも、違和感なく使用できそうです。
インターフェース
小型なサイズ感ながら、インターフェースは充実しています。
背面には、LAN(RJ45)ポート、USB 3.2 Gen2 Type-Cポート、USB4ポート(40Gbps)、microSDカードスロット(拡張モジュール)が備わっています。
前面には、セキュアな指紋認証一体型電源ボタンが備わっています。ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3 に対応しています。また、本体左右にはスピーカーが搭載されています。
左側には、リセットボタン、HDMI 2.1ポート、USB 3.2 Gen2 Type-Aポートが配置されています。右側には、USB 2.0 Type-Aポート、イヤホンジャックが備えられています。
交換モジュールは、標準で microSDカードモジュールが装着されています。
別売りのオプションとして、従来の RS-232、KVM に加え、新たに 4G LTEモジュールが追加され、合計4種類が用意されています。
正面にはバックライト付きのキーボード(US配置、キーストローク 1.3mm、キーピッチ 16.5mm)のほか、左上にはマウス3ボタン、右上にはタッチパッド(36 × 62mm)、マイク、落下防止用のストラップホールが用意されています。
画面左側には 500万画素カメラ(広角カメラ)が搭載されています。
中央に配置されていないため、やや左寄りに移動するか、画面を斜めに回転させる必要があります。
背面左側には内蔵ファンの吸気口があり、熱を上部の排気口へ放熱します。
静音タイプのシングル冷却ファンが搭載されています。ファン回転は Fnキー+=ボタンで制御可能です。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm 離れた位置での騒音レベルは 30dB~46dB で、一般的な範囲内に収まっています。実測した限りでは、標準的なゲーミングノートPC よりやや静かといえるでしょう。
画面
180度回転・折りたたみが可能なヒンジも継続採用されています。
画面サイズは 8.8インチ(16:10)で、解像度は 2560 × 1600 、10点マルチタッチスクリーンで、従来モデルよりも大幅に視認性が向上しています。
標準では表示スケールが 200%(推奨)に設定されていますが、個人的には 150% で使用するのが最適だと感じました。コンセプトどおり、ビジネスライクな作業に適した液晶ディスプレイと解像度が採用されています。
画面は反時計回りに 180度回転し、最大開度も 180度となっています。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは最大144Hz です。
また、可変リフレッシュレート(VRR と AMD FreeSync)には未対応です。
画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大518nit を記録しました。
屋内で十分に視認できる明るさですが、屋外ではやや見にくい基準値です。
ノートPCライクな使い方だけでなく、タブレットモードとして使える 2in1構造です。
画面回転機能(加速度センサー)を備えており、縦画面・横画面のどちらにも対応します。ただし、スタイラスペンは非対応です。
気になるヒンジ部の強度については、周囲には ABS素材が採用されていますが、ヒンジそのものはステンレス鋼を使用した粉末冶金で作られており、簡単に折れるような強度ではないと発表されています。
専用アプリ
TDP(Thermal Design Power)の変更は、アプリ『MotionAssistant』を使います。
簡単に設定できる専用アプリの提供はなく、ユーザーフレンドリーではありません。
ユーザー自身で自由に変更や設定が可能ですが、熟知している人向けの仕様といえそうです。
Webカメラやマイクのオン・オフ、ナンバーキーを表示するショートカットキーを統合したアプリは提供されておらず、すべてキーボードでの操作に限定されています。
使用感
従来モデル GPD Pocket 3 と比較して、主要スペックが大幅に向上しています。
画面についても、リフレッシュレート 144Hz、8.8インチのサイズを採用し、解像度は 2560 × 1600 に引き上げられており、視認性が大きく向上したことを実感できます。
本体サイズや重さは若干増したものの、サイズ感がほぼそのままであるのはポイントです。
また、賛否両論だった赤みがかった本体カラーが『ブラック』に変更され、さらに電源ボタンの位置が移動したことで、より使いやすくなりました。
キーボードやタッチパッド、3ボタンマウスの使い勝手は大きく変わりません。
一般的ではない、やや特殊な配置やレイアウトとなっているため、操作やファンクションキーの使い勝手には若干の慣れが必要です。この点はこれまでのモデルと変わりません。
通常のスタイルでの操作に加え、画面回転や開度、両手で持ち上げたまま操作できる利便性もそのまま維持されています。また、交換モジュールを追加することで、汎用性をさらに高められる点もポイントです。
本体の重量バランスに優れており、小さなカバンにも収納できる持ち運びに適したサイズ感は評価できます。しかし、閉じた状態から画面を広げる際に、ヒンジがやや硬めで片手で開けない点は残念に感じました。
ゲームプレイに関しては、高性能なゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』ですが、最低・推奨システム要件を満たすことが前提です。ただし、AMD Ryzen AI 9 HX 370 のパフォーマンスは高く、最新の AAAゲームタイトルでも 60FPS以上を達成できます。
ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できる機能に加え、低レイテンシーでフレーム生成を可能とする『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』や、最大75%を VRAM に割り当てて使用できる『VGM(Variable Graphics Memory)』といった機能も活用できます。
VRAM(最大16GB)やメモリー周波数(7500MT/s)、TDP なども BIOS でユーザーが自由に変更可能です。正常に動作するかは試していませんが、TDP は 54W まで設定変更が可能(最大28W推奨)です。
TDPについては、標準設定のままでもパフォーマンスを発揮しやすいですが、負荷がかかるシチュエーションでは CPUの最高温度が 90度以上に達することが確認されました。個人的には、低消費電力の 15W~18W での運用でも十分にパフォーマンスを発揮していると感じました。
一般的なノートパソコンと比較すると、操作感に慣れが必要な部分はありますが、それに引けを取らない高性能な小型PC を、かさばることなく手軽に持ち運べる点が最大のメリットです。
ストレージ状態
GPD Pocket 4 のストレージ容量は 1TB / 2TB です。
パーティションは分割されており、専用アプリと AMD Software: Adrenalin Editon がプリインストールされていました。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- Tabキーを長押し
- Boot メニューが表示されたら「Start」をタッチ
- Restartボタンが表示された場合は押す
- しばらく待つと完了
GPD Pocket 4 のベンチマーク
GPD Pocket 4 のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
TDPが 15W以上では、最大温度は 90度以上に達しましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
負荷がかかるシチュエーションでも、本体の表面温度は気になりませんでした。
ただし、内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかるゲームプレイ時には気になるかもしれません。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
KXG70ZNV1T02 KIOXIA を採用しています。
ストレージ速度(microSDカード)
SDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定『15W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
GPD Pocket 4 の TDP は最大28W が推奨されています。
ベンチマークテスト | 15W | 28W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 5829 | 5908 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 4473 | 4477 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 3201 | 3261 |
PCMARK 10 | 6985 | 7089 |
3DMARK Time SPY | 3664 | 3711 |
3DMARK Fire Strike | 7842 | 8086 |
3DMARK Night Raid | 29400 | 30596 |
3DMARK Wild Life | 20242 | 20810 |
3DMARK Port Royal | 1775 | 1791 |
3DMARK Steel Nomad | 567 | 579 |
3DMARK Speed Way | 545 | 558 |
CINEBENCH Release23 | 15979 | 16851 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1985 | 2004 |
ベンチマークテストの結果からわかるとおり、TDPを上げても性能にはほとんど変化がありません。そのため、TDP は 15W程度での運用が最適と考えられます。
TDP 15W での連続稼働時間は、ゲームプレイで 1時間50分ほどでした。
画面の明るさと音量ボリュームは 50%、電源プラン「バランス」での結果です。
まとめ
GPD Pocket 4 は、歴代シリーズ最高のスペックとインターフェースを搭載しています。
リフレッシュレート 144Hz の 8.8インチ液晶ディスプレイ(解像度 2560 × 1600)を搭載し、AMD Ryzen 7 8840U(下位モデル)と AI 9 HX 370プロセッサを採用した 2in1モデルです。
従来モデルと比較すると、180度回転・折りたたみが可能なヒンジが引き続き採用されており、内蔵カメラの画素数やUSBポート規格、交換モジュールの追加など、拡張性の高いインターフェースがさらに強化されている点も特徴です。
一方で、タブレットモードで活用されていたスタイラスペンに非対応であること、最大音量にした際にスピーカーの音割れが発生すること、GPD Pocket 3 の交換モジュールとの互換性がないなど、いくつかの点で改善が望まれます。また、重さやサイズがやや増した点については、賛否が分かれる可能性があります。
AMD Ryzen AI 9 HX 370 のパフォーマンスは高く、最新の AAAゲームタイトルでも 60FPS以上を達成できます。最大性能やリフレッシュレートを活かせるシチュエーションは限られるものの、コンパクトながら幅広い用途で活用できるデバイスとなっています。
初代GPD Pocket や Pocket 2 のような価格の安さや軽量・コンパクトさは失われていますが、従来モデルである GPD Pocket 3 を超える歴代最高のスペックとインターフェースを搭載した GPD Pocket 4 は、競合他社にはない唯一無二の存在と評価できるでしょう。
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・GPD Pocket 4 商品紹介ページ|デントオンラインショップ
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