修理をしていないゲームギアは、奇跡的に動作することはあっても、いずれ動かなくなります。その理由は、本体基板をはじめとするサウンド基板、電源基板が経年劣化による不具合に悩まされているためです。
一般的にアルミ電解コンデンサの寿命は 10年~15年程度といわれており、ゲームギアを延命するためにも、基板の「コンデンサ交換」は必須条件です。この記事では、初心者がつまづきやすい本体タイプの違いから、コンデンサの選び方・交換方法までを詳しくご紹介していきます。
壊れたゲームギアを修理しよう!
経年劣化により正常に動作しなくなったゲームギアを修理していきます。
「この記事の通りやれば修理できる」というレベルで、わかりやすい画像で解説していきます。
壊れたゲームギアのほとんどの問題は、コンデンサ交換で解決できます。
ただし、コンデンサ交換しても必ず修理できるものではない点には注意してください。
- 液晶ディスプレイの明るさを最大にしても暗い
- 液晶ディスプレイが乱れる
- 音声がまったく出力されない
- 音声が小さい、ブツブツと途切れる
- 電源を入れてもすぐに切れてしまう
経年劣化によるコンデンサの液漏れによる基板の腐食、液晶画面がダメになっているもの、チップコンデンサやトランジスタなどの不良が原因の場合は、この修理方法では直らないことがあります。
修理に必要なツールを用意しよう
ゲームギア本体を修理するのに必要なツールは下記のとおりです。
工具の基本的な使い方は、商品付属の取扱説明書などを参考に進めていきましょう。
- はんだこてセット
- はんだ吸取り線
- 特殊ドライバー(DTC-27)
- 特殊ドライバーセット
- ニッパー
- 無水エタノール(あれば便利)
- フラックス(あれば便利)
- テスター(あれば便利)
ゲームギアの本体タイプ
ゲームギア本体は大きく2つのタイプが存在します。
ひとつは「1ASIC(VA1)」で、もう一つは「2ASIC(VA0)」です。
画像でもわかるように、本体に搭載されているチップ数などに違いが見られます。
ゲームギアを修理するのに必要なコンデンサ数、取り付け位置も変わってきます。
本体を分解してみて、どちらの本体タイプなのかをしっかりと確認してください。
コンデンサの選び方
ゲームギアの修理に使う一般的なコンデンサは、「アルミ電解コンデンサ」です。
積層セラミックチップコンデンサでも代用ができますが、著名カスタマイザーからはゲームギアには適さないと報告されています。ただし、個人的にはメーカー・品質が明確であれば使っても問題はないと考えています。
アルミ電解コンデンサは、千石電商、共立電子産業、秋月電子通商などのネット通販で購入できます。アマゾンなどで販売されている海外製コンデンサは安いだけがメリットで、品質が悪いものが多くおすすめできません。
ゲームギアのコンデンサを購入したくても、「どれを買ったらいいのかわからない」という初心者も多いはず。注目すべきはコンデンサの容量 μF(マイクロファラド)と、電圧 V(ボルト)です。
コンデンサの容量は同じもの・ちょっと大きいもの、電圧は同じもの~大きいものであれば使えます。ゲームギアのコンデンサを購入するのであれば、下記のようになります。(上画像を参考に見るとわかりやすいです)
すべてのコンデンサ交換をするのであれば、10種類のコンデンサが必要です。
本体基板だけのコンデンサ交換であれば6種類だけで大丈夫です。
電源基板のコンデンサ交換をするのであれば、100μF は 25V で統一した方が良さそうです。
種類豊富で悩んでしまいますが、容量 μF と 電圧 V をおさえておけば大丈夫です。
ただし、同じ容量・電圧でもコンデンサの種類によっては大きさが異なります。
販売サイトの仕様などを見てコンデンサの大きさを確認してから購入すると良いでしょう。
コンデンサの購入数については、後ほどの解説を参考に必要数量を購入してください。
コンデンサ取り付けの注意点
アルミ電解コンデンサには、プラス・マイナスが決まっています。
上画像でもわかるように、プラス側のリード線が長く、マイナス側のリード線は短く・コンデンサケースにも帯状の「-(マイナス)」が印字されています。
ゲームギアの基板から古くなったコンデンサを取り除くと、コンデンサ取り付け位置に「+(プラス)」と書かれています。基板のプラス端子には、コンデンサのプラスをはんだ付けし、もう片方の端子にマイナスをはんだ付けします。
コンデンサを取り付ける際は、リード線の長さを切り揃えて、うまく基板に収まるようにリード線を曲げて調整しましょう。
ゲームギア本体を分解する
ゲームギア本体の分解方法は、こちらの記事を参考に進めてください。
オリジナルよりも高品質・長寿命なカスタムパーツ(サウンド基板・電源基板)についても書かれています。
2020年後半からゲームギアのカスタムパーツが続々と登場しています。メイン基板を除く、外装シェル、ガラスレンズ、ボタン、ラバーパッド、メタルパーツ、スピーカー、サウンド基板、電源基板、LCD/TFT液晶交換キットなどが販売されてい[…]
コンデンサの取り外し・取り付け
ゲームギアの古いコンデンサは、下記の要領で取り外してください。
古いコンデンサを無理やり取り外すと、基板にダメージを与えてしまう恐れがあるので注意しましょう。
- 古いコンデンサの足をニッパーで切る
- 接着されている古いコンデンサの頭を端子側に起こす
- 端子部に、はんだ吸取り線を当てる
- はんだ吸取り線の上に、はんだごてを当て温める
- はんだを吸取ったら、はんだ吸取り線を離す
- 古いコンデンサを完全に取り除く(必要に応じて洗浄&フラックス塗る)
- 新しいコンデンサを取り付ける
サウンド基板・電源基板のコンデンサ交換
サウンド基板・電源基板のコンデンサ交換を進めていきます。
丸印のコンデンサを取り除き、対象となるコンデンサを取り付けます。
コンデンサの種類によって、取り付け位置がわかりやすいように色分けしています。
サウンド基板は、1ASIC(VA1)と 2ASIC(VA0)で異なっていることが見受けられます。
左側上部が 1ASIC(VA1)に搭載されていることが多いサウンド基板で、下部が 2ASIC(VA0)に搭載されていることが多いサウンド基板です。コンデンサの種類・数はどちらも同じです。
ゲームギア本体基板のコンデンサ交換
ゲームギアの本体タイプ2つ(1ASIC(VA1)、2ASIC(VA0))のコンデンサ交換を進めていきます。丸印のコンデンサを取り除き、対象となるコンデンサを取り付けます。
コンデンサの種類によって、取り付け位置がわかりやすいように色分けしています。
1ASIC(VA1)のコンデンサ交換
1ASIC(VA1)本体基板のコンデンサ交換位置は下記のとおりです。
本体基板をよく見ると、同じ文字が印字されているはずです。
本体基板の印字を左側の上から下方向へ、続いて右側の上から下方向へ順番に記載すると次のようになります。全12個のコンデンサを交換してください。
2ASIC(VA0)のコンデンサ交換
2ASIC(VA0)本体基板のコンデンサ交換位置は下記のとおりです。
本体基板をよく見ると、同じ文字が印字されているはずです。
本体基板の印字を左側の上から下方向へ、続いて右側の上から下方向へ順番に記載すると次のようになります。全11個のコンデンサを交換してください。
ゲームギアの修理が完了したら
ゲームギアの修理が完了したら、電源ON にして動作確認を行います。
ほとんどのゲームギアがコンデンサ交換することで修理できます。
ただし、コンデンサ交換をしても一切反応しない場合は、原因を特定するのは困難です。
問題が無さそうに見えても、コンデンサの液漏れによる基板の腐食、チップコンデンサが故障していることがあります。100%修理できるわけではないので、あきらめも肝心です。
電源が入り・音声は鳴っているのに映像が映らないときは、液晶ディスプレイが故障している可能性が高いです。中・上級者向けの追加カスタムである液晶交換キットを導入することで修理できる可能性があります。経験を積んで是非ともチャレンジしてみてください。
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