中華ゲーム機「GameForce ACE」は、これまでの中華ゲーム機とは異なる特徴を持つモデルです。幅広い対応システムとインターフェースが特徴で、SoC に RockChip RK3588S を搭載し、システムに Android 13 を採用した Androidゲーム機です。
GameForce ACE の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
GameForce ACE の価格・販売ストア
GameForce ACE は、公式ストアで販売しています。
カラーバリエーションは、ブラックのみです。(記事執筆時点)
スペックが異なる2モデルを販売しています。
・GameForce ACE 8GB+256GB
販売価格:229.99ドル(別途送料)
・GameForce ACE 12GB+256GB
販売価格:269.99ドル(別途送料)
GameForce ACE のスペック
GameForce ACE のスペックを詳しく見ていきます。
発表時の仕様から、ストレージ容量とバッテリー容量が向上しました。
製品名 | GameForce ACE |
システム | Android 13(Lineage OS) |
サポート | OpenGL ES3.2 / OpenCL 2.2 / Vulkan1.1 |
画面 | 5.5インチ、16:9、タッチスクリーン 1920 × 1080、画素密度 400ppi |
SoC | RockChip RK3588S |
GPU | Mail G610 600MHz |
RAM | 8GB / 12GB LPDDR4 2166MHz |
ストレージ | 256GB eMMC microSDカード M.2 2242 NVMe SSD(拡張可能) |
バッテリー容量 | 7400mAh |
インターフェース | USB Type-Cポート MicroHDMI イヤホンジャック アクティブ冷却ファン microSDカードスロット M.2 2242 NVMe SSDスロット ステレオスピーカー マイク、バイブレーション |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2BLE |
その他 | アナログスティック(ホールセンサー) アナログトリガー |
大きさ | 212 × 91 × 16mm |
重さ | 350g |
素材 | ABS樹脂素材 |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
GameForce ACE のレビュー
公式ストアで購入した GameForce ACE をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
付属品
Nintendo Switch Lite 用の収納ケースが付属します。
本体サイズとカバーのフィット感が非常にタイトです。
大きさ・重さ
大きさは 212 × 91 × 16mm、重さは 350g です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)で、重さは『標準』です。
Nintendo Switch Lite に近い大きさで、重さも気になりません。
ただし、成形精度や組み立て精度には個体差があり、注意が必要です。
サイズ感
参考として、PS Vita(PCH-2000)、Nintendo Switch を比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
GameForce ACE | 5.5インチ | 212 × 91 × 16mm | 350g |
Nintendo Switch | 6.2インチ | 239 × 102 × 13.9mm | 398g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。この基準を GameForce ACE は満たしています。
競合他社の Androidゲーム機である Retroid Pocket 4 Pro より大きく、ANBERNIC RG556 とほぼ同サイズで、ポケットサイズとはいえないサイズ感です。
インターフェース
インターフェースは、本体上部に MicroHDMI、音量調整ボタン、電源ボタン。下部には USB Type-Cポート、イヤホンジャック、microSDカードスロットです。また、ステレオスピーカーは逆相接続(Out of Phase)されているため、原音よりも変で、音量調整の最小値も大きめです。
位相チェックをして、入れ替えるスピーカーを判断してください。
ホームボタン、タスクボタン、SELECT / STARTボタンは本体正面に設置しています。
その他に、マイク、バイブレーション機能、ジャイロセンサー、ワイヤレス通信(Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2BLE)を備えています。
背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部に放熱します。
静音タイプのアクティブ冷却ファンが搭載されています。
冷却ファンを制御するファンモードは用意されておらず、騒音レベルのベンチマークを測定することが困難なため、騒音レベルは不明(静か)です。
本体内部には M.2 2242 NVMe SSD拡張スロットを用意しています。
Samsung 512GB 2242 PM991 や INLAND 2TB 2242 TN325 などで動作確認ができているようです。なお、ストレージ容量は 512GB を推奨しています。
認識した場合 FAT32 でフォーマットされてしまうので、事前に NTFS でフォーマットしておくのが良さそうです。幅広いシステムに対応するためには必須のインターフェースです。
画面
アスペクト比は 16:9 で、解像度 1920×1080、画素密度 400PPI、マルチタッチスクリーンです。ネイティブがポートレート(縦長)な液晶で、リフレッシュレートは 55Hz です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。また、ガラスレンズはロゴなし、ベゼル幅はやや太めのものを採用しています。
液晶ディスプレイの輝度が明るすぎます。
一般的なIPS液晶パネルを使用しているようですが、システムの輝度レベルを最低にしても、画面が明るく感じられます。明るさを上げていくと、白飛びしているような色合いになります。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 94Hz、呼び出しレートは平均 53Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などはありません。
操作性
操作性は難あり・良くないと評価します。
ABXYボタンサイズは 8.3mm と大きめ、ストロークは 1.5mm で、L1/R1ボタンはタクトスイッチで、それ以外のボタンはすべてメンブレン方式を採用しています。
すべてのボタンは表面にコーティングがなく、マットな質感で持ちやすいです。
キーマッピング機能はないため、画面操作を物理ボタンに割り当てることはできません。この部分については将来的なシステムアップデートを期待したいところです。
左側には ジョイスティック、方向ボタン、タスクボタン、ホームボタンが配置されています。右側には ABXYボタン、アナログスティック、SELECTボタン、STARTボタンが配置されています。
アナログスティックはホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。また、L2/R2ボタンはアナログトリガーです。
AボタンとBボタン、XボタンとYボタンの位置と挙動が逆になっており、エミュレーターアプリによってはコントローラー設定を見直す必要性があります。また、何もボタンを入力していないのに入力されてしまう現象も確認されています。(ボタンデッドゾーン設定が必要)
また、L2/R2ボタンの押し込み、アナログスティックを大きく動かす際に、本体と擦れることによる削れを確認できました。方向ボタンについては、指先の定位がキープしにく、滑りやすさが気になります。
左右のアナログスティックの可動域が、測定結果上ではそれぞれ1カ所の方向を除き狭くなっています。また、アナログトリガー(L2/R2ボタン)には、左右に差があるデッドゾーンがあり均一ではありません。
Androidゲーム機全般にいえることですが、エミュレーターアプリの充実・出来が良いという利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があります。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はありません。
システム
システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに未対応です。
ホームアプリは Nova Launcher が標準で、エミュレーター(RetroArch G)、フロントエンド(Pegasus G)がプリインストールされています。
システムは現時点では未完成で、実装されている機能が限定的です。
ナビゲーションバーは表示されないために、正しく操作できないシチュエーションがあります。また、バックボタンが実装されていないため、必要に応じてシステムナビゲーションを切り替える必要があります。
microSDカードは exFAT を認識しませんが、NTFS であれば 4GB以上のファイルを認識します。さらに、内蔵ファンモードやキーマッピング機能が未実装であり、M.2 2242 NVMe SSD の拡張スロットも認識しません。ボタン操作の不良などを含めて見直しが必要です。
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エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Retroid Pocket 4 Pro 相当です。
実測したところ、Antutu のベンチマークスコアは 60~62万点台です。
スペックシート上では、動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii が快適動作。3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルがそこそこ動作するといった感じです。
しかし、実際にはセガサターンや PS Vita の動作はそこそこ快適ですが、PSP や PS2 の動作は設定しだいですが、液晶ディスプレイのリフレッシュレート(55Hz)も影響して、通常よりもややもたつく・重ためな印象です。
また、ArtherSX2(NetherSX2)のボタン操作では、ボタンを押していないのに常に入力されてしまう現象が発生します。コントローラー設定のデッドゾーン(Button Deadzone)を 30% に設定することで通常操作が可能です。
現時点では、 RockChip RK3588S のポテンシャルを十分に発揮できるシステムではありません。あくまでも使うエミュレーターの種類や設定を変更できる玄人向けです。
ゲームアプリ
ゲームアプリ『原神』は、グラフィック画質は「低~中」で動作します。
本体の熱を感じることから、アクティブ冷却ファンの効果は限定的です。
リマッピング機能が未実装のため、画面操作をコントローラー操作に割り当てることはできません。そのため、現時点ではゲームアプリを遊ぶことは厳しいと評価します。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
画面サイズは 5.5インチで、解像度は 1920 × 1080 です。これにより、視認性は劣りますが、一般的なポータブルゲーミングPC と同様のゲーム体験を楽しめます。コントローラー操作も正常に動作するため、まともに遊ぶことが可能です。
まとめ
GameForce ACE は、RockChip RK3588S を搭載した Androidゲーム機です。
Retroid Pocket 4 Pro と同等のゲームパフォーマンスに加えて、高い操作性と幅広い対応システムおよび M.2 2242 NVMe SSD拡張といったインターフェースが特徴です。
総合評価としては『買うべきではない・待ち』と評価します。
期待値が高かったこともあり、スピーカーの逆相接続やボタン入力操作の挙動など、システムで改善すべき点がまだまだ残っており、現時点ではおすすめできません。
実装するスペックやシステムアップデート、部品調達などを目的として、予定された出荷時期(2023年10月末)を超過しての到着でした。実際に届いたものは『プロトタイプ(試作機)』と見なすのが適切です。将来的なシステムアップデートに期待しつつも、問題解決が難しいと考えられます。
個体差により不具合が含まれている可能性もありますが、購入を検討している方は公式サイトのアップデート内容や Discord を確認してから購入することをおすすめします。あくまでも GameForceプロダクトを楽しめる玄人向けの商品です。
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GameForce ACE
一般販売価格:229.99ドル~269.99ドル(送料別途)
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・GameForce ACE|GameForce公式ストア
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