「Evercade EXP Black Limited Edition」は、イギリスの Blaze Entertainment社が開発した縦画面・横画面のゲームプレイに対応し、カプコンをはじめとする大手ゲームパブリッシャーも参加する専用カートリッジ式を採用した携帯型ゲーム機です。
限定モデル Evercade EXP Black Limited Edition の価格、スペック、限定特典、特徴、システムについてご紹介します。また、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックしていきます。
Evercade EXP の価格・販売ストア
Evercade EXP は、正規販売ストアで販売しています。
カラーバリエーションは、全2色(ホワイト、ブラック)です。
・Evercade EXP White Edition With Exclusive Keyring
販売価格 129.99ポンド(送料別途)
・Evercade EXP White Edition Bundle
販売価格 149.99ポンド(送料別途)
・Evercade EXP Black Limited Edition(完売済み)
販売価格 179.99ポンド(送料別途)
また、日本国内ストアや販売予約などの提携店は存在しません。
Evercade EXP のスペック
Evercade EXP のスペックを詳しく見ていきます。
通常モデルと限定モデルのスペックは同じです。
- ディスプレイ:4.3インチ IPS液晶ディスプレイ
- 解像度:800 × 480、縦画面・横画面対応
- SoC:1.5GHzプロセッサー
- 内蔵メモリ:4GB
- バッテリー容量:3000mAh(4~5時間駆動)
- ワイヤレス通信:Wi-Fi
- インターフェース:USB Type-C、イヤホンジャック、miniHDMI
ステレオスピーカー、専用カートリッジスロット - 大きさ:192.7 × 78.5 × 20.7mm
- 重さ:未公開
- 素材:ABS樹脂素材
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
Evercade EXP のレビュー
Evercade EXP Black Limited Edition をレビューします。
限定特典や付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
2022年6月に予約注文し、同年12月に無事に出荷されたものの、輸送中に強盗被害があり、EU諸国以外の限定モデルはすべて補償・再生産となりました。数奇な運命を持った携帯型ゲーム機です。
限定特典・付属品
1. 専用ハード収納ケース
2. USB TYpe-Cケーブル
3. 簡易マニュアル
4. 限定キーリング
5. 限定版の認証証明書
6. 限定アートカード2枚
7. Funstock 20%オフコード(盗難補償)
8. ボーナスコンテンツ(マニュアル、A3ポスター)
9. A3ポスター(R-TYPE)
10. Toaplan Arcade 1 Collection
11. IREM Arcade 1 Collection
12. スクリーンプロテクター(盗難補償)
大きさ・重さ
本体の大きさは 192.7 × 78.5 × 20.7mm で、重さは 275g(実測値)です。
筐体には ABS樹脂素材が使用されており、サイズに対して重量感があります。
似たような形状の製品と比較します。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
PS Vita(PCH-2000) | 5インチ | 183.6 × 85.1 × 15mm | 219g |
Evercade EXP | 4.3インチ | 192.7 × 78.5 × 20.7mm | 275g |
Nintendo Switch Lite | 5.5インチ | 208 × 91.1 × 13.9mm | 275g |
総合的なビルドクオリティは『ややチープ』と評価します。
しっかりと作られた筐体ですが、ポート周りや背面側には粗削りな部分が見受けられます。
本体と画面サイズは Nintendo Switch Lite より小さいですが、本体の重さは同じくらいです。ただ、重量バランスが悪いせいか Nintendo Switch Lite よりも気持ち重く感じられます。
インターフェース
インターフェースは、上部に専用カートリッジ差し込み口、miniHDMIポート。下部にイヤホンジャック、USB Type-Cポート、インジケーターランプを備えています。
そのほかに左右にステレオスピーカーやワイヤレス通信機能(Wi-Fi)を用意しています。
ただし、バイブレーション機能などは非搭載です。
背面には放熱用の排気口が設けられています。また、カートリッジスロットはぐらつきもなく、しっかりと専用カートリッジを固定できる形状となっています。
画面
画面については『刷新が必要』と評価します。
限定モデルには『LIMITED EDITION』表示がある専用レンズを採用しています。
4.3インチ液晶ディスプレイで、解像度は 800 × 480 ですが、タッチスクリーン機能は非搭載です。
液晶ディスプレイとガラスレンズの隙間があるため、反射面があり視認性が悪くなっています。そのため、輝度やコントラストに優れた IPS液晶ディスプレイが活かされていません。
スマートフォンや Nintendo Switch、中華ゲーム機などでは、フルラミネーションディスプレイを採用した製品が多いです。その中で、あえて一昔前のディスプレイ構造を採用したのは、コンセプトに合わせたものなのかもしれません。
画面が小さくて見づらいという場合は、映像出力(miniHDMIポート)を用意しているので、モニターやテレビに映像を表示してゲームプレイすることも可能です。ただし、映像出力は音声や画面表示が不安低になることがあり、本体の再起動が必要となることがあります。
操作性
操作性については『概ね良好』と評価します。
横画面メインの ABXYボタンサイズは 8.3mm で、縦画面メインの ABボタンサイズは 8.5mm です。どちらもストロークは 1mm で、ボタンの押し心地は PS3コントローラーに近い感じです。
ボタンを押す角度によっての引っ掛かりや摩耗による削れもありません。
L1/R2ボタン、L2/R2ボタンは、縦並びでアナログトリガーではなく、マイクロスイッチを採用しています。
セガサターンパッドに似た方向ボタンが採用されていますが、比較してみるとボタンに厚さはなく、柔らかさはあるものの多くのパブリッシャーが参加するゲームタイトルにマッチした使いやすいものを採用しています。
本体下部にある Tボタンを押すことで、TATEモード(縦画面)に変更できます。
ただし、縦画面でのゲームプレイに期待は禁物であり、縦画面にすることで重心バランスと持ち心地、操作性も悪化します。せめて、連射機能があれば、ストレスが軽減されそうです。
また、アーケードゲームからの移植作が多いゲームラインナップを考えると、ABXYボタンと L1/R2ボタン、L2/R2ボタンの構成については賛否両論です。携帯型ゲーム機を主体として考えた場合、慣れは必要となりますが、最適化されたコントローラーと評価します。
システム
内蔵されている独自システムは直感的に使いやすく洗練されています。
システムは大きく3つに分類されています。
- カートリッジメニュー
- EXPメニュー
- 設定メニュー
カートリッジメニューでは、挿し込まれているカートリッジ情報を表示します。
ゲームタイトルを選択することで、ゲームのプレイ時間や回数、セーブとロードの回数、操作方法などが表示されます。ゲーム中はいつでもセーブやロード、キーマッピング、画面設定(簡易版)の変更が可能です。
EXPメニューでは、プリインストールされているカプコンのアーカード・家庭用ゲームが18本収録されています。収録されているゲームタイトル(いずれも海外版)は下記のとおりです。
CAPCOM COLLECTION 収録ゲームタイトル | |
1942(アーケード版) | Legendary Wings(アーケード版) |
1943(アーケード版) | MERCS(アーケード版) |
1944 : The Loop Master(アーケード版) | Street Fighter II’: Hyper Fighting(アーケード版) |
Bionic Commando(アーケード版) | Strider(アーケード版) |
Captain Commando(アーケード版) | Vulgus(アーケード版) |
Commando(アーケード版) | Mega Man(8ビット) |
Final Fight(アーケード版) | Mega Man 2(8ビット) |
Forgotten Worlds(アーケード版) | Mega Man X(16ビット) |
Ghouls ‘n Ghosts(アーケード版) | Breath of Fire(16ビット) |
そのほかにも『GAME OF THE MONTH』として1カ月単位に新しいゲームタイトルが遊べます。ここで配信されたゲームタイトルはプロモーション目的で1カ月単位で入れ替わり、専用カートリッジとして発売されます。
最後に設定メニューでは、アスペクト比(オリジナル、ピクセルパーフェクト、全画面)や、シェーダーやスキャンラインの変更、ベゼル表示の選択、テーマの変更に加え、音量調整(BGM、SFX)、システムアップデートの実行などを可能としています。
アンロックとシークレット
EXPメニューには『HIDDEN GAMES』という項目があります。
下記の方法で5つのゲームタイトルすべてのアンロックが可能です。
ゲームタイトル | アンロック方法 |
KUBO | 設定メニュー Secret で『SEIJIWASHERE』を入力 |
Gribbly’s Day Out | 設定メニュー Secret で『GRIBBLYGROBBLY』を入力 |
GOTRIS | カートリッジメニューで「L2+R2+SELECT」同時押し |
NNNNNN | カートリッジを抜き「L1+R1+UP」同時押し |
Spacey McRacey | カートリッジを抜き「L1+R1+Down」同時押し |
その他のシークレットについては、下記のとおりです。
効果 | アンロック方法 |
本体と基板の写真 | 設定メニュー Secret で『CIRCUIT』を入力 |
じゃがいもの写真 | 設定メニュー Secret で『DEADLOCK』を入力 |
ベンからのメッセージ | 設定メニュー Secret で『GUEST』を入力 |
コントローラー診断 | カートリッジを抜き「X+Y+L1+R1」同時押し |
??? | 設定メニュー Credits でずっと下を押す |
ゲームプレイ
ゲームプレイは『快適に動作する』と評価します。
ただし、操作性に関してはアーケードゲームからの移植作が多いゲームラインナップなので、オリジナルのゲームを体験したことがある人ほど『慣れ』が必要になってきます。
また、ほとんどのゲームタイトルが海外版からの移植作なので、日本語表示できるゲームタイトルは限定的です。そのため、英語が苦手な人はストーリー性があるゲームタイトルを十分に楽しむことが難しいといえるでしょう。
ゲームプレイ中は、ステートセーブ・ロードが自由で連続してクレジットを追加することもできるため、高難易度のアーケードゲームをクリアするのに役立ちます。画面表示も横画面・縦画面の切り替えだけでなく、シェーダー変更などオリジナルそのままの雰囲気に近づかせる工夫がされているのもポイントです。
サウンドクオリティについては、高音質とはいえませんが、レトロゲームにマッチした音質のスピーカーが採用されています。人によっては賛否両論となりえますが、個人的には高評価です。
専用カートリッジがなくても、ストリート ファイター II を含む、カプコンの名作ゲームタイトル18本が遊べます。将来的には 30以上の専用カートリッジをリリースし、380以上のゲームタイトルをプレイできます。(記事執筆時点で、41本の専用カートリッジがリリースされています)
まとめ
Evercade EXP の最大の魅力は、カプコンをはじめとする大手ゲームパブリッシャーも参加する昔ながらの専用カートリッジ式を採用し、1カ月単位で新しいゲームタイトルが遊べる『GAME OF THE MONTH』などのコンテンツを提供していることです。
総合評価としては『期待値以上』と評価します。
専用カートリッジは『コレクション』として販売されており、複数のゲームタイトルが収録されています。これまでに遊んだことがないゲームタイトルとの出会いはもちろん、ゲームカートリッジを収集する楽しみもあります。
デメリットとしては、海外版のアーケードゲームからの移植作ばかりである点や、操作性に慣れが必要となるシチュエーションがある点が挙げられます。ただ、それ以上にゲーム体験を楽しめるコンテンツが用意されていることや、ユーザーフレンドリーなサポート対応があることはメリットです。
また、すでにアナウンスされていた 30以上の専用カートリッジのリリースを達成し、レトロゲームだけでなく最新のインディーゲームも継続してリリースされることが予定されています。
パブリッシャー側の版権などの問題があり、日本での販売・リリースは厳しいのかもしれませんが、将来的に日本国内向けのパッケージを展開してくれることを期待したいです。
関連ページリンク
・Evercade EXP 販売ストア|Funstock
・Evercade 公式ウェブサイト
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