手持ち無沙汰やイライラを解消するデスクトイとして出資募集が開始された「Fidget Cube(フィジィットキューブ)」は、出資者数154,926人、$6,465,690を集め大成功したプロジェクトです。
既に出資者には2017年初めに出荷が始まりましたが、すべての出資者への出荷は完了していない状態となっています。そんなクラウドファンディング商品がまさかの価格で販売されています。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、その名の通り「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。日本国内でクラウドファンディングに出資をした経験があるという方は、少数派であると考えられますが、現在では国内外を問わず多くのクラウドファンディングサイトが誕生しています。
クラウドファンディングには、大きく「寄付型」、「金融型」、「購入型」の3つに分類できますが、当記事ではリターンとして商品やサービスを得ることができる「購入型」についてを書いています。
ちなみに、よく勘違いされている方がいるようですが、「購入型」であってもクラウドファンディングであることから「購入」ではなく「出資」であるという認識が必要です。
Fidget Cube(フィジィットキューブ)」とは
クラウドファンディングサイト「Kickstarter」のキャンペーンとして、Fidget Cubeは早期出資コースが$14、通常出資コースが$19で出資募集を開始し、出資者数154,926人、$6,465,690を集め大成功したプロジェクトです。
現在では、既にキャンペーンは終わっていて、一般向け販売として$22でプレオーダーを開始しています。
しかし、中国の海外通販サイトでは$3程度で販売されていることが確認できました。
また、Amazon.co.jpのマーケットプレイスを中心に日本でも販売されていることが確認できています。
この「Fidget Cube(フィジィットキューブ)」は、6面すべてに手持ち無沙汰やイライラを解消するギミックがある、今までになかったデスクトイです。
正規品ではない
通販サイトで安価に販売されている商品は、プロジェクト創設者が関わっている正規品ではありません。しかし、偽物とはわからないほど完成度、品質に仕上がっている商品もあるようです。
通常クラウドファンディングは、早期に出資をした出資者から順番に商品の出荷をしていることがほとんどなので、遅くにキャンペーンに参加をした出資者よりも確実に早く、安価に手に入れることができます。
しかし、「Fidget Cube(フィジィットキューブ)」の海賊版・コピー商品の場合、正規品にはあるギミックが不完全であるという報告がされています。
クラウドファンディング商品は最高の「商材」
「世界の工場」として知られる中国は、その生産体制は特殊であることが知られています。あるヒット商品があれば発売前に海賊版・コピー商品が出回ったり、特許を無視したキャラクター・ブランド商品の販売がされていることは周知の事実となっています。
製品版と海賊版の工場が同じだったという例もあるほどです。
クラウドファンディング商品にいたっては、キャンペーンを通してその商品のアイデア・詳細が公開されているので、そのような特殊な生産体制をもつ中国工場にとっては、キャンペーンで多くの出資者・金額を集めている商品は最高の「商材」として考えられています。
また、製造から出荷のラインを中国工場に任せているクラウドファンディング商品もあるので、プロジェクト創設者側の管理ができていないために、そのような事態になっているとも考えられます。
創設者・出資者にとっては新たなリスク
一般的にクラウドファンディングでキャンペーンを開始した創設者は、皆さんがよく知るような企業ではなく、個人やグループだったり、製品を一度も完成させたことがないような実績もないスタートアップ企業であることがほとんどです。なので、このような海賊版・コピー商品が出回ることにより、一般向けとして発売された商品が売れないことにつながります。
また、出資者側からすれば出資した金額よりも安価に販売されていて、なおかつ早く出荷されるようなことがあれば、今後の出資をためらうことになるので、クラウドファンディング全体が下火となるリスクが考えられます。
今後のクラウドファンディング
クラウドファンディングは、出資をした製品が予定された計画どおりに必ず手に入るわけでもなく、出資したお金が戻ってくるとはかぎりません。今回のように先行して海賊版・コピー商品が安価に販売されてしまうということがあると、そのようなクラウドファンディング商品に新規に参加した出資者の多くは離れていってしまうと考えられます。
なので、そういったクラウドファンディングのリスクを理解できても、そのプロジェクトに夢をもち「出資」をしたいと思える製品かどうかを考えることが重要になってきます。
最近のクラウドファンディング商品の多くは、一般販売と比較してみて目立つようなメリットは何もなくなってしまったように感じられるので、プロジェクト創設者は出資者に対して一般販売では得ることができないようなメリットを提案する必要であると考えられます。