
Androidゲーム機「AYN Thor」は、AYN Technologies が発表した2画面クラムシェル型モデルです。Qualcomm Snapdragon 865 または Snapdragon 8 Gen 2 プロセッサを搭載し、上下2つのタッチスクリーンを備えた構造は、ニンテンドー3DS を彷彿とさせます。
AYN Thor の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYN Thor について
AYN Thor に関する情報をまとめたページです。
AYN公式ストアで購入した実機(8Gen2 16GB+1TBモデル)です。
提供品の有無にかかわらず、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア

AYN Thor は、公式ストアや海外通販サイトで販売されています。
カラーラインナップはブラック、ホワイト、レインボー、クリアパープルの全4色です。
AYN Technologies 初の2画面クラムシェル型モデルということもあり、注目度は抜群。
海外通販サイト AliExpress でもリリースが予定されています。
・AYN Thor
販売価格:249ドル~429ドル(送料別)
製品仕様とスペック
AYN Thor のスペックについて詳しく見ていきます。
| 製品名 | AYN Thor | |
| メイン画面 | 6インチ、AMOLED | |
| サブ画面 | 3.92インチ、AMOLED | |
| OS | Android 13 | |
| SoC | Snapdragon 865 | Snapdragon 8 Gen2 |
| RAM | 8GB LPDDR4x | 8GB / 12GB / 16GB LPDDR5x |
| ストレージ | 128GB UFS3.1 | 128GB / 256GB / 1TB UFS4.0 |
| インターフェース | USB Type-Cポート (DP 1080P Alt Mode) microSDカードスロット | USB Type-Cポート (DP 4Kp60 Alt Mode) microSDカードスロット |
| その他 | ゲームコントローラー ステレオスピーカー 6軸ジャイロセンサー 振動モーター アクティブ冷却ファン イヤホンジャック ストラップホール | |
| ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.1 | Wi-Fi 7 Bluetooth 5.3 |
| バッテリー | 6000mAh | |
| 大きさ | 150 × 94 × 25.6mm | |
| 重さ | 380g | |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYN Thor のレビュー
AYN Thor(8Gen2 16GB+1TBモデル)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1. マニュアル
2. 検査合格証
3. USB Type-Cケーブル

別売りで専用アクセサリーも用意されています。
グリップや本体保護を重視したい方は、あわせて購入することをおすすめします。
大きさ・重さ

大きさは 150 × 94 × 25.6mm、重さは 366g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)を採用し、標準的な重さとなっています。
ニンテンドー3DS を彷彿とさせるデザインで、所有欲を満たす仕上がりです。
コントローラー面にはオールガラスを採用しており、光沢のある高品質な印象を与えます。
さらりとしたマットな質感も特徴で、成形精度や組み立て精度も高い水準です。
一方で、カラーによっては皮脂や汚れが目立つかもしれません。
サイズ感

参考として、Newニンテンドー3DS LL と並べてみました。
横幅は AYN Thor の方がやや小さく、縦幅はほぼ同じくらいのサイズ感です。
体感的には Newニンテンドー3DS LL(329g)よりも軽く感じられます。

続いて、ONEXSUGAR SUGAR1 と並べてみました。
平置きすると SUGAR1 とほぼ同じ大きさに見えますが、実際には厚みや重さに大きな差があります。手軽に遊べるゲーム機という点で携帯性を考えると、AYN Thor の方が優れています。
インターフェース

インターフェースは正面に集中的に配置されています。
音量調整ボタン、電源ボタン、USB Type-Cポート、イヤホンジャック、microSDカードスロットが並んでいます。また、左右にストラップホールも用意されています。
デュアルスピーカーはコントローラー面の左右に搭載されています。
標準設定での最大音量はやや控えめで、外部アプリなどで改善できます。

ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 7 および Bluetooth 5.3 を搭載しています。
また、バイブレーション機能やマイクもサポートしています。

特定の位置に固定されるヒンジ構造を採用しています。
ディスプレイの開度は 3段階式で、開く角度の最大値は 180度です。

スティック周りには RGBライトエフェクトが搭載されています。
設定から LED のオン・オフ、輝度、RGBカラーの変更が可能です。

天板にはメーカーロゴなどがないシンプルな仕上がりです。
飽きがこないデザインで、長く使える印象を受けます。

背面には内蔵ファンの吸気口があり、背面側の排気口から熱を放出します。
アクティブ冷却ファンを搭載しており、長時間のゲームプレイでも快適に楽しめます。
騒音計で計測したところ、デバイスから50cm離れた位置での騒音レベルは、最小で測定不能、最大で38dBでした。風切り音は全体的に標準的なレベルです。
画面

デュアルスクリーン(メイン画面 6インチ+サブ画面3.92インチ)を搭載しています。
鮮明で色彩豊かな発色と高いコントラストが特徴の AMOLED(有機EL)で、メイン画面(1920 × 1080、16:9)・サブ画面(1240 × 1080、31:27)です。
どちらもネイティブでポートレート(縦長)表示に対応したディスプレイを採用しています。
メイン画面は 10点マルチタッチ、最大リフレッシュレートは 120Hz で、サブ画面は 5点マルチタッチ、最大リフレッシュレートは 60Hzです。
明るさと輝度(cd/m²)を測定したところ、メインは最大787nit、サブは最大629nitを記録しました。タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は、メイン106Hz、サブ60Hz。また、履歴全体の平均移動速度はメイン95Hz、サブ116Hzでした。

メイン画面とサブ画面の輝度調整は、それぞれ独立して行うことが可能です。
それ以外にも上下のタッチスクリーンの有効・無効、上下の画面表示の音量調整なども可能で、ユーザーの好みに合わせた細かなカスタマイズが実現しています。
ゲームアプリやエミュレーターに合わせて画面を選択できるため、画面サイズやアスペクト比こそ異なるものの、用途に応じて柔軟に使い分けることができます。汎用性の高さも大きな特徴といえます。
操作感

基本的な操作感は良好ですが、スティックの軸ズレが気になる印象です。
ABXYボタンサイズは 7.7mm で、ストロークは 1.1mm で、メンブレン方式を採用しています。また、方向ボタンはドームスイッチが使用されています。
アナログスティックにホールセンサーが搭載されているかは不明ですが、スティックを離した際に軸ズレが見られました。この現象は、今後のシステムアップデートによって改善される可能性があります。

ABXYボタンはパチパチとした音がやや大きめで気になる一方、方向ボタンはしっかりと底打ち感がある押し心地です。さらに、L1 / L2ボタンはどの方向からも押せる設計で、L2 / R2ボタンにはアナログトリガーが採用されています。
Newニンテンドー3DS LL よりも十字キーが大きく、ABXYボタンも同サイズのため操作性は良好です。下画面とボタンレイアウトがシームレスに設計されていますが、操作中に誤って下画面に触れてしまうこともありませんでした。

本体サイドを手のひらにフィットさせて持つと、L1 / R1ボタンはまだしも、L2 / R2ボタンはその形状のせいか、突起部分が指に当たる感触があります。
また、本体を閉じると自動でスリープモードに入り、開くとスリープモードが解除されます。
状態がわかるように、外側にインジケーターランプがあるとより便利だと感じました。

底面はグリップのないフラットなデザインで、Newニンテンドー3DS LL のように角を含め全体的に丸みを帯びた形状です。そのため、専用グリップを装着しなくても持ち心地は良好に感じられます。
クラムシェル型の特性上、操作感や持ち心地、本体の厚みといった点では、ある程度のトレードオフが求められます。気になる部分はあるものの、総合的な操作感は期待以上の仕上がりです。

アナログスティックのデッドゾーンもほとんど感じられず、可動域も広めです。
可動域に顕著に気になるところはありませんが、スティックを離した際のテストでは軸ズレが確認できました。
Androidゲーム機全般として、エミュレーターアプリの種類が豊富という利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があるようです。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はないでしょう。
システム

システムは Android 13 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
プリインストールされているアプリは必要最小限で、エミュレーターアプリの導入や設定を自身で行う必要があります。
画面下部の AYNボタンを押すことで、新機能『Thor Control Center』を呼び出せます。
画面表示の変更や明るさ、音量調整、タスク管理、フレームレートの変更(60 or 120)、タッチスクリーンのオン・オフ、パススルー充電などを簡単に設定できます。

ホームアプリは標準の『Quickstep』と独自UIの『Odin Launcher』を選択できます。
Odin Launcher では、表示するアプリやクイック設定パネルの機能を左右のスワイプ操作で変更できます。
従来どおり、画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスや内蔵ファンモードの切り替え、ホバーアイコンのオン/オフなどの切り替えが可能です。

ホバーアイコンをオンにすると、ゲーム起動後に画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。リマッピング機能である「ボタンアダプテーション」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。
2画面に最適化されたシステムが採用されており、使い勝手はかなり満足できます。
OTAアップデートに対応しており、継続的なシステムの改善が期待できます。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は、AYN Odin2シリーズと同クラスです。
Snapdragon 8 Gen 2 プロセッサを搭載しており、Antutuベンチマークスコア(V11)では 177万点台を記録しています。
動作するエミュレーターは幅広く、一般的なレトロゲームに加え、セガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita のタイトルを高解像度かつフルスピードで実行可能です。また、Wii U や Switch、PS3 向けタイトルも一部動作します。

競合他社である AYANEO Pocket S2 Pro よりもわずかに劣るパフォーマンスではあるものの、その差はごく僅かです。むしろ、2画面構成という特徴を最大限に活かし、独自のエミュレーター体験を楽しめる点が大きな魅力といえるでしょう。
ただし、一部のエミュレーター(DS、3DS、Wii U など)では動作遅延や不安定さが見られることもあり、2画面構成に最適化されたエミュレーターやバージョンを導入する必要がある点には注意が必要です。
必ずご自身で吸い出したものを使用してください。
ゲームアプリ

デバイス負荷の高いゲームアプリ『原神』や『鳴潮』なども、グラフィック設定を「最高」にして快適に動作します。美麗なグラフィック表現とスムーズな描画を存分に楽しむことができます。

また、Steam Link や Xbox Game Pass を利用したリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しめますが、画面サイズが 7インチ未満であるため、文字の視認性や操作性についてはある程度のトレードオフが必要です。
2画面モードにすれば、2つの異なるアプリを同時に起動できるため、攻略サイトや動画などを参考にしながらゲームを進めることが可能です。
まとめ

AYN Thor は、Qualcomm Snapdragon 865 または Snapdragon 8 Gen 2 を搭載した Androidゲーム機です。最大の特徴は、メイン画面(6インチ)とサブ画面(3.92インチ)によるデュアルスクリーン構成を採用している点で、2画面を活かした最適化されたシステムや機能を実装しています。
現行の Androidゲーム機の中でも完成度が高く、デザイン性やビルドクオリティの高さはもちろん、実用性や操作性の面でも優れたパフォーマンスを発揮します。実際のエミュレーターに合わせた最適なシステムが実現されており、細部までしっかり作り込まれている印象です。
本体サイズは Newニンテンドー3DS LL よりも横幅が狭く、体感的にも軽く感じられるため、2画面でも携帯性は損なわれていません。さらに、色ムラのない AMOLEDディスプレイが深みのある黒と鮮やかな発色を実現しており、画面の美しさも魅力のひとつです。
気になる点を挙げるとすれば、スピーカーの最大音量とスティックの軸ズレが気になる程度で、全体的な使用感は非常に良好です。携帯性・操作性・デザイン性のすべてに優れ、2画面構造ならではの新しい体験を楽しめる一台と評価します。
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