Androidゲーム機「AYANEO Pocket EVO」は、システムに Android 13、SoC に Snapdragon G3x Gen2プロセッサ、世界初となるリフレッシュレート 165Hz の 7インチ有機ELディスプレイを搭載したフラッグシップモデルです。
AYANEO Pocket EVO の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能やパフォーマンスについてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYANEO Pocket EVO について
AYANEO Pocket EVO に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア
AYANEO Pocket EVO は、国内正規版が販売されています。
カラーラインナップは、スカイホワイト、スターリーブラックの全2色。
2024年2月7日に発送予定です。
以下は国内代理店 ハイビームでの販売価格です。
・8GB / 128GBモデル
販売価格:89,800円
・12GB / 256GBモデル
販売価格:104,800円
・16GB / 512GBモデル
販売価格:119,800円
製品仕様とスペック
AYANEO Pocket EVO 国内正規版のスペックについて詳しく見ていきます。
製品名 | AYANEO Pocket EVO |
画面 | 7インチ、有機EL(OLED) |
OS | Android 13 |
SoC | Snapdragon G3x Gen2 |
RAM | 8GB~16GB |
ストレージ | 128GB~512GB |
インターフェース | USB Type-Cポート microSDカードスロット |
その他 | Masterコントローラー 6軸ジャイロスコープ マイク、振動モーター ステレオスピーカー SoundTAPMagic アクティブ冷却ファン 指紋認証一体型電源ボタン |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3 |
バッテリー | 8600mAh |
大きさ | 264.5 × 105.5 × 17mm(最薄部) |
重さ | 478g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO Pocket EVO のレビュー
AYANEO Pocket EVO をレビューします。
基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
大きさ・重さ
大きさは 264.5 × 105.5 × 17mm~33.9、重さは 482g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)を採用し、重さは『普通』です。
表面はオールガラスが採用されており、手に馴染むオーバルデザインが特徴です。
さらりとしたマットな質感が特徴で、成形精度や組み立て精度も非常に高く、360度どこから見てもネジが見えない設計に仕上がっています。
また、24GB / 1TBモデルの国内販売もありません。
サイズ感
参考として、Nintendo Switch や Steam Deck を並べてみました。
AYANEO Pocket EVO のサイズ感がよくわかります。
実際に持ってみると重量バランスに優れているため思ったよりも軽く感じます。
ポータビリティには向いていないサイズと重さです。
AYANEO社の横型 Androidゲーム機を並べてみました。
上から Pocket MICRO、Pocket S、Pocket EVO です。
Pocketシリーズとしては、大画面・最大サイズの Androidゲーミングデバイスです。
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。この基準を AYANEO Pocket EVO は満たしています。
インターフェース
インターフェースは、上部にパフォーマンス切替ボタン、音量ボタン、指紋認証一体型の電源ボタンが配置されており、下部にはUSB 3.2 Gen2 Type-CポートとmicroSDカードスロット(特許取得済みのマグネット式カバー)があります。
パフォーマンス切替ボタンは、スライドするたびに Saving → Balance → Streaming → Game → Max の順にローテーションで切り替わります。また、この設定は AYA Quick Tool でも変更可能です。
本体下部の左右にはデュアルステレオスピーカーが搭載されており、十分なボリュームとクリアな音質を実現しています。ただし、イヤホンジャックは非搭載です。
セキュアなログインを可能にする指紋認証センサーを搭載しているのはポイントです。
また、オーディオ振動システム SoundTAPMagic(音声を自動解析して振動に変換)を採用しています。
左右のアナログスティック周りには RGBライトエフェクトが搭載されています。
LED のオン・オフや輝度調整、RGBカラーおよび照明効果の変更が可能です。
ワイヤレス通信機能として、Wi-Fi 7 および Bluetooth 5.3 に対応しています。
また、6軸ジャイロスコープやバイブレーション、マイクもサポートされています。
本体下部には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口を通じて効率的に放熱します。
静音性に優れたアクティブ空冷システムが搭載されていますが、モードによっては風切り音が目立つ場合があります。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~最大38dBと、一般的な範囲内に収まっています。ファンモードをオートに設定すると、風切り音はほとんど気にならない程度です。
画面
リフレッシュレート 165Hz の 7インチ有機ELディスプレイ(OLED)を搭載しています。
全面ガラス張り・ベゼルレスの液晶ディスプレイが特徴で、アスペクト比は 16:9 で、解像度は 1920 × 1080、画素密度は 315PPI です。マルチタッチスクリーンで、鮮明で色彩豊かな表示が可能です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは最大165Hz です。
液晶とガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。
明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大1030nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 60Hz、呼び出しレートは平均 102Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
Androidゲーム機としては、過去最高の輝度と最大リフレッシュレートが特徴です。
有機ELディスプレイ(AMOLED)と比較すると、黒み・色彩の描写にはやや劣りますが遜色がないレベルに高められています。
操作感
AYANEO独自のマスターコントローラーを搭載しています。
同社のポータブルゲーミングPC『AYANEO 2』をベースにしたコントローラーレイアウトを採用しており、感度や操作性についても優秀と評価します。
ABXYボタンのサイズは 7.7mm、ストロークは 1.5mm の2色成形ボタンを採用。
また、主要なボタンはすべてメンブレン方式を採用しています。ホールセンサーを搭載したフルサイズのアナログスティックとトリガーを採用し、精密な操作も可能です。
右側には ABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタンが配置されています。
AYAボタンは長押しで専用アプリ AYASpace画面、短押しで簡素な AYA Quick Tool表示に切り替わります。
左側には ホーム(メニュー)ボタン、アナログスティック、十字ボタン、ビューボタン(SELECT)、メニューボタン(START)が配置されています。
携帯ゲーム機でありながら、通常サイズのゲーミングコントローラーに匹敵する操作性を実現しています。そのため、スマホゲームやクラウドゲーミングにおいても操作性は良好です
しっかりと両手でホールドできるグリップは評価ポイントですが、表裏ともに滑りやすい質感については賛否が分かれるところです。特に手汗をかくと滑りやすくなるため、グリップテープなどで対策するのがおすすめです。
アナログスティックのデッドゾーンや可動域は最適化されています。
特に可動域に顕著に気になるところもなく、測定結果も良好です。
Androidゲーム機全般として、エミュレーターアプリの種類が豊富という利点はありますが、入力遅延を感じやすい傾向があるようです。ただし、繊細な操作・タイミングを必要としなければ特に気にする必要はないでしょう。
=ボタンと LC / RCボタンには、ナビゲーションバーの機能が割り当てられています。
以下の機能が割り当てられています。
- =ボタン・・・ホームに戻る
- LCボタン・・・マルチタスク
- RCボタン・・・戻る
システム
システムには Android 13 を搭載し、Google Playストアに対応しています。
ホームアプリには、独自インターフェースの『AYAHome』が標準で採用されていますが、AYASpace や Quickstep に変更することも可能です。
よく使用するアプリは、長押しまたは Yボタンを押して「Add to Homepage」を選択することで、AYAHome の最上部(クイックスタート)に表示させることができます。
AYAボタンを短押しすることで専用アプリ『AYASpace』が起動します。
AYA Quick Tool が表示され、直近に使用した最大4つのアプリが下部にタスク表示されます。
システムは日本語に設定しても、メニュー表示や項目は英語のままです。
そのため、こういった製品を初めて使用する方には分かりづらいかもしれません。
AYASpace では、ゲームパフォーマンスやインジケーター表示、各種コントローラー設定、RGBイルミネーション、ウィジェット機能などを手軽に変更できます。
コントローラーを使って操作することはできますが、ゲームアプリ起動時などは連動して誤操作する可能性があるため、タップ操作を行う方が良いでしょう。
AYAボタンを長押しすると、フロントエンドアプリとの連携、画像管理、テーマと言語などの設定が可能です。ただし、フロントエンドアプリとの連携は、Pegasus または Emulation Station の事前導入が必須であり、エミュレーターアプリを単体で使う方が手軽です。
連携をしなくても AYANEO Pocket EVO の内蔵ストレージ(PocketGamesフォルダ)に、BIOS と ROM の各種ファイルを保存することで表示させることができます。
専用アプリ『AYASetting』が用意されており、ユーザー登録、CPU や GPU のパフォーマンス、システムの OTAアップデートなどを行うことが可能です。AYA Space や既存の設定アプリと重複する項目があり、使い勝手には課題があります。
メリハリのある表示を最適化する「AYANEO Brightness」が標準でオンになっています。
ただし、この設定のままスクリーンショットを撮影すると、画像がワントーン暗くなってしまいます。スクリーンショットを撮影する際には、設定をオフにすることをおすすめします。
各種ボタンのキーマッピング機能も搭載しています。
ゲームアプリの画面操作を任意のコントローラーボタンに割り当てることができます。
いくつかのバグはシステムアップグレードで修正されています。
継続的に改善が進められており、頻繁に OTAアップデートが実施されています。
安定稼働させるために、システムを再起動することをおすすめします。
エミュレーター性能
エミュレーター性能は、Androidゲーム機としてはトップレベル(記事執筆時点)です。
Snapdragon G3x Gen2 を搭載しており、Antutuベンチマークスコア(V10)は 158万点台を記録しています。また、パフォーマンスモードの設定によりスコアに違いが見られます。
動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブ、Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルが高解像度かつフルスピードで実行可能です。
同社の AYANEO Pocket S や AYN Odin2シリーズとほぼ同等のパフォーマンスを発揮します。ただし、一部のエミュレーター(Wii U など)やゲームタイトルについては、動作が顕著に遅くなったり、操作が不安定になることが確認されています。
Linuxベースの中華ゲーム機とは一線を画していて、設定やフレームレートの調整に頼ることなく、圧倒的なスペックパワーで余裕を持って動作します。
ゲームアプリ
デバイス負荷が高めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』、『ゼンレスゾーンゼロ』などは、グラフィック設定を「最高」で動作します。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことができます。
パフォーマンスモードを Gaming 以上に設定すればフレームレート向上も期待できます。
アナログスティック操作も最適化されており、必要に応じて感度調整を行うことが可能です。ただし、特に調整をしなくてもスムーズに操作できます。
また、Steam Link や Xbox Game Pass によるリモートプレイやクラウドゲーム(PCゲーム)も楽しむことができますが、通信環境や回線速度が十分であることが前提となります。
ポータブルゲーミングPC と同等の画面サイズと操作性を実現しており、さらにリフレッシュレートは最大165Hz に対応しています。エミュレーターに加え、ゲームアプリやクラウドゲーム(PCゲーム)でも十分に活躍できます。
まとめ
AYANEO Pocket EVO は、Snapdragon G3x Gen2 を搭載した Androidゲーム機です。
AYANEO Pocket S と同じくフラッグシップモデルに分類されており、有機EL(OLED)の鮮やかな色彩と 165Hz のリフレッシュレートによる高速な応答速度が特徴です。
同社のポータブルゲーミングPC「AYANEO 2シリーズ」をベースに、丸みを帯びた全面ガラス張りのオーバルデザインを採用しています。7インチの画面、バッテリー容量の増加、冷却能力が強化されているのもポイントです。
一方で、Androidゲーム機としてはサイズ感が大きく、持ち運びにはあまり向いていません。また、画面のリフレッシュレート165Hz に関しては、現状ではオーバースペックと感じられる部分もあり、高速な応答速度をフルに活かせるシチュエーションは限られます。
セキュアな指紋認証、RGBライトエフェクト、フルサイズのマスターコントローラーを搭載することで、付加価値が高められています。こだわりの本格仕様で、ゲームアプリやクラウドゲーミング(PCゲーム)も楽しみたいというニーズに応えるモデルと評価します。
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