ポータブルゲーミングPC「AOKZOE A2」は、現行モデル(AOKZOE A1シリーズ)よりも一回り小型化したモデルで、ベゼルレス全面ガラス採用の 7インチ液晶ディスプレイを搭載した AMD Ryzen 7 7840U 搭載機です。
主要スペックは、Windows 11 Home、AMD Ryzen 7 6800U / 7840Uプロセッサ、7インチ(1920 × 1200)、メモリー 32GB LPDDR5X 7500MHz、ストレージ容量 512GB / 2TB を搭載しています。
AOKZOE A2 の価格・販売ストア
AOKZOE A2 は、Amazon、AOKZOE日本公式サイト、ハイビーム公式オンラインストア、およびハイビーム実店舗で取り扱いをしています。
スペックが異なる2モデルをリリースします。
国内正規版は 2024年4月18日に発売および即納です。
・6800U / 32GB / 512GBモデル
販売価格:89,800円
・7840U / 32GB / 2TBモデル
販売価格:139,800円
AOKZOE A2 のスペック
AOKZOE A2 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AOKZOE A2 | |
画面 | 7インチ、解像度 1920 × 1200 16:10、323PPI ベゼルレス全面ガラス張り マルチタッチ対応 | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 6800U | AMD Ryzen 7 7840U |
グラフィックス | AMD Radeon 680M | AMD Radeon 780M |
メモリ | 32GB LPDDR5X | 32GB LPDDR5X 7500Mhz |
ストレージ | 512GB | 2TB M.2 2280、PCI Express 4.0 x4 |
インターフェース | USB4 × 2、USB-A 3.0 microSDカードスロット イヤホンジャック | |
その他 | ゲームコントローラー | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 | |
バッテリー | 12600mAh(48.5Wh) | |
大きさ | 265 × 105 × 22mm | |
重さ | 約649g | |
カラー | ルナホワイト |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AOKZOE A2 のレビュー
ポータブルゲーミングPC「AOKZOE A2」をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、ゲーム動作確認、ベンチマークテスト、評価すべき点、欠点についても徹底解説します。
製品版では一部仕様や機能が変更される可能性があります。
付属品
1. マニュアルカード・保証書
2. 100W対応の電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 265 × 105 × 22mm、重さは 673g(実測値)
AMD Ryzen 7 7840U を搭載した 7インチモデルです。
正面は全面ガラス張りで、手に馴染みやすいオーバルデザインを採用しています。
AYANEO 2シリーズとほぼ同じサイズで、AOKZOEシリーズの通常モデルの中で、最も軽量なモデルです。
ボタン類の質感や塗装品質の高さは、見逃せないポイントです。
また、ジョイスティックのカラーは、クラウドファンディングで発表されていた当初のカラーとは異なっています。
サイズ感
わかりやすく Steam Deck、ROG Ally と比較してみました。
いずれも実測値ではなく、公式発表されているスペックです。
製品名 | 画面サイズ | 大きさ | 重さ |
ROG Ally | 7インチ | 280 × 111 × 21~32mm | 608g |
AOKZOE A2 | 7インチ | 265 × 105 × 22mm | 649g |
Steam Deck | 7インチ | 298 × 117 × 49mm | 669g |
任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準に考えると、重さは 500g未満がストレスなく使える印象を持ちます。人によっては短時間のゲームプレイでもストレス・負担に感じる重さです。
実測値(673g)に基づくと、SteamDeck や ROG Ally よりも小さくて重いため、実際に手に持つと重量バランスが優れていますが、重さを感じやすいです。
インターフェース
インターフェースは、上部に microSDカード、USB-A 3.0ポート、USB4 Type-Cポート、イヤホンジャック、音量ボタン、電源ボタン。下部に USB4 Type-Cポートを配置しています。
両側にデュアルステレオスピーカーを搭載しています。
また、6軸ジャイロセンサー、マイクも搭載しており、指紋認証機能は非搭載です。
左右にグリップがあり、バイブレーション機能も備えています。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.2 をサポートしています。
左右のアナログスティックに RGBエフェクトライトを搭載しています。
専用アプリを使用して、LED のオン・オフ、輝度調整、ライトカラー、照明効果などを変更できます。
背面中央には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
優れた放熱能力を持つ冷却システムが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~45dB とやや大きめです。TDP設定を低めにした場合、軽めのゲームであれば風切り音はほぼ気になりません。
画面
全面ガラス張りのベゼルレス液晶ディスプレイを搭載しています。
AOKZOEシリーズとしては初の試みで、ポータブルゲーミングPC としては、AYANEO2シリーズに続き2作目です。
7インチ液晶ディスプレイ(IPS、16:10)、解像度 1920 × 1200、画素密度 323PPI です。
マルチタッチスクリーン対応で、操作・感度、画面の明るさ・発色も良好です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、画面の向きは「横(反対向き)」表示です。
リフレッシュレートは 60Hz のみです。
同色のベゼルがあるように見えますが、これは保護フィルムです。
画面部分を覆うように標準で保護フィルムが貼られています。PS Vita(PCH-1000シリーズ)のように、表面全体を覆うタイプの保護フィルムが欲しいところです。
デフォルトの解像度は 1920 × 1200、スケーリングは 200% です。また、この設定だと正常に表示されないアプリがあるため、必要に応じてスケーリングの調整や、Steamビックピクチャーモードでの起動が必要です。
操作性
一般的なコントローラーのように、しっかりと持ちやすいです。
ABXYボタンサイズは 8.8mm、ストロークは 1.3mm で軽めです。各種ボタンはメンブレン、LT/RTボタンはアナログトリガー(8.5mm ストローク)を採用しています。
左側には バックキー、ジョイスティック、十字キー、ホームキーが用意されています。
ホームキーを押すと作業中の画面からデスクトップ画面に切り替わり、もう一度押すと作業中の画面に戻ります。試作機では十字キーは浅めのストロークで斜め入力はややシビア(製品版では調整済み)です。
右側にはスタートキー、ABXYキー、ジョイスティック、 Turboキー、Keyboardキーが配置されています。マウスモードへの切り替えは Keyboardボタンを長押しすることで可能です。
実測した結果、入力間の平均値は 8.6ms で、ポーリングレートは 117Hz です。
PC接続時の XBOX純正コントローラーとほぼ同等の性能を持っています。また、可動域やデッドゾーンについても問題はありませんでした。
アナログスティックとアナログトリガー(LT/RTボタン)にはホールセンサーが搭載されており、経年劣化や摩耗によるドリフト現象(触れていないのに入力操作が行われる不具合)が発生しにくいパーツを採用しています。LT/RTボタンの反発も適切で押し加減を調整しやすいです。
また、HOMEボタンはファンクションキーとしての機能も備えています。
下記の機能が割り当てられています。
- ホームキー短押し:デスクトップ画面切り替え
- ホームキー長押し:Xbox Game Bar表示
- ホームキー+Keyboardキー:Ctrl + Alt + DELキー
- ホームキー+TURBOキー:全画面スクリーンショット
AOKZOE は One-Netbook社の関連企業で、ONEXPLAYER ほぼそのままの操作性を実現しています。これまでの製品で培ってきた技術やユーザーフィードバックが活かされています。
専用アプリ
専用アプリ『OneXConsole』は、TURBOキーで起動します。
TDP(Thermal Design Power)設定、ファンの回転数、バイブレーションの強弱、解像度、RGB LEDライトエフェクトなどを設定・変更できます。
TDP のデフォルト設定は 15W で、最大30W まで変更可能です。
4W から 30W まで 1W刻みで調整が可能で、ユーザー自身で簡単に変更・設定ができます。
パフォーマンス表示は、初回起動時は RTSS(RivaTuner Statistics Server)、HWiNFO のダウンロード案内を表示します。インストール後に起動すると RTSS と HWiNFO を起動して各種モニタリング、フレームレート制限などを変更・設定できます。
ボタンカスタマイズ機能はゲームにあわせたプロファイルを作成することが可能で、各ボタンのマッピング、スティックやトリガーのデッドゾーンや感度の調整などを設定できます。
また、その他としてアップデートセンターではハンドルファームウェアや BIOS のアップデート、各種ゲームプラットフォームのソフトウェアのダウンロードをサポートしています。
ゲーム動作確認
高性能なデスクトップのゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』の商品です。
最新のゲームタイトルも動作しますが、最低・推奨システム要件ありきです。
ゲーム設定を見直すことで、60FPS で快適なゲームプレイが可能です。
『RSR(Radeon Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、特定のゲームでのフレームレート向上が期待できる『FSR(FidelityFX Super Resolution)』にも対応しています。
RSR(Radon Super Resolution)を有効化して、ディスプレイ解像度を高く設定し、ゲームを起動後にゲームの解像度を低く設定(ディスプレイの解像度より低く設定)することで RSR が機能します。
この機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
VRAM は標準で 6GB で、メモリークロック周波数は最大 7500MHz です。
TDP 28W 設定で、サイバーパンク2077 や Forza Horizon 5、Diablo 4、エルデンリング、Lies Of P は 60FPS で動作し、Starfield や ARMORED CORE VI についても 30FPS以上で快適に動作します。
競合他社から発売されているRyzen 7 7840U搭載機と大きな性能差はありません。また、すでに既存製品を所有している方にとって、特に買い替えを推奨するものではありません。
すべてのゲームタイトル・環境で正常に動作するものではありません。
ストレージ状態
AOKZOE A2 のストレージ状態です。
パーティションが分割されており、専用アプリ『OneXConsole』と、AMD製品向けソフトウェア『AMD Software: Adrenalin Editon』がプリインストールされています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しており、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせす…
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタン押す
- 「ホームキー」(左下ボタン)と「音量+ボタン」を同時押し
- Bootメニューが表示される
- Keyboardキーを長押し(ランプ点灯する)
- 十字キーで「UEFI OS」を選択
- 「スタートキー」で決定
- 「System Recovery」をタッチ(表示された場合)
- 「Start」をタッチ
- しばらく待つと完了
ただし、給電をしながらであれば実行可能です。
AOKZOE A2 のベンチマーク
AOKZOE A2 のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
最大温度は 90度近くに達しましたが、一定時間経過後には 40度台で安定します。
負荷がかかるベンチマークテスト中でも、内部温度に対して画面中央の表面温度が40~45度近くになるだけで、その他の部分については特に熱さを感じませんでした。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD(AOKZOE A2 SSD)のストレージ速度です。
高速な PCle4.0規格の SSD が搭載されています。
ストレージ容量(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SanDisk Extreme PRO A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定で『15W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 15W | 28W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 4066 | 5087 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3211 | 3926 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2444 | 2942 |
ブループロトコル 低画質 | 9821 | 13236 |
ブループロトコル 中画質 | 5331 | 7239 |
ブループロトコル 高画質 | 4805 | 6413 |
ブループロトコル 最高画質 | 3613 | 4807 |
PCMARK 10 | 6049 | 6959 |
3DMARK Time SPY | 2691 | 3267 |
3DMARK Fire Strike | 5980 | 7497 |
3DMARK Night Raid | 21786 | 28202 |
CINEBENCH Release23 | 9344 | 13182 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1726 | 1776 |
連続稼働時間
AOKZOE A2 の連続稼働時間の測定結果です。
測定にはベンチマークテスト BBench を使用しています。
- ディスプレイの明るさは 50%
- ボリューム 50%
- スリープしない
- 無線LAN / Bluetooth:ON
- 電源プラン「バランス」
- TDP設定 15W
- LEDイルミネーション:ON
上記の測定条件で、強制休止までの時間を計測したところ、計測結果は 5時間36分でした。
ゲーミング使用に限定した場合では、設定ありきで 1~4時間と見て良いでしょう。
まとめ
AOKZOE A2 は、現行モデル(AOKZOE A1シリーズ)よりも一回り小型化したモデルです。
ベゼルレス全面ガラスを採用したオーバルデザインのAMD Ryzen 7 7840U搭載機には、ユーザーフィードバックに基づいたエルゴノミクスに配慮した形状のコントローラーが採用されています。
後発製品であるため、競合他社製品と比較して大きな性能差はありませんが、高速な PCIe 4.0規格SSD や LPDDR5X 7500MHz規格メモリーなどの総合的に高いスペックとインターフェース、優れた冷却能力を備えています。また、本体カラーのバリエーションに『グリーン』があるのも特徴です。
これまでの AOKZOEシリーズというよりは、ONEXPLAYERをベースに AYANEO 2シリーズのエッセンスを取り入れたデザインが特徴です。AOKZOE A2 は販売価格にアドバンテージがある製品ですが、昨今の為替レートを考えると国内正規版の価格がバリュープライスとなるかは現時点では不明です。
また、競合他社の GPD や AYANEO は、AIエンジンを改善した Ryzen 7 8840U を搭載したモデルチェンジを計画しています。これまでに登場した AMD Ryzen 7 7840U搭載モデルの価格やスペック、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
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