
中華ゲーム機「Retroid Pocket Classic」は、ゲームボーイ風デザインの縦型モデルです。3.92インチの有機ELディスプレイ(AMOLED)を搭載しており、通常の ABXYボタンに加えて、サターンスタイルの 6ボタンを備えたバリエーションもある Androidゲーム機です。
Retroid Pocket Classic の価格、スペック、特徴、エミュレーター性能についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
Retroid Pocket Classic について
Retroid Pocket Classic に関する情報をまとめたページです。
プレセール開始日に公式ストアで購入した実機を使用しています。
提供品の有無にかかわらず、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア

Retroid Pocket Classic は、公式ストアで販売されています。
カラーラインナップは、Retro、Berry、Teal、Kiwi、PKM Yellow、Atomic Purple、Classic 6 の全7色。

Retroidシリーズの縦型モデルで、ボタン数とスペックの異なる 2モデルを販売中です。
海外通販サイト AliExpress でもリリース予定です。
・Retroid Pocket Classic
販売価格:119ドル~129ドル(送料別途)
製品仕様とスペック
Retroid Pocket Classic のスペックについて詳しく見ていきます。
製品名 | Retroid Pocket Classic | |
画面 | 3.92インチ、有機EL(AMOLED) 解像度 1240 × 1080、31:27 419PPI、タッチスクリーン | |
OS | Android 14 | |
SoC | Snapdragon G1 Gen 2 | |
RAM | 4GB LPDDR4X | 6GB LPDDR4X |
ストレージ | 64GB eMMC 5.1 | 128GB eMMC 5.1 |
バッテリー | 5000mAh | |
インターフェース | USB Type-Cポート | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1 | |
大きさ | 89.8 × 138 × 26mm | |
重さ | 223g | |
素材 | ABS樹脂素材 |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
Retroid Pocket Classic のレビュー
Retroid Pocket Classic(6+128GB、Classic 6)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作性、システム、エミュレーター性能に加え、評価すべき点や欠点についても徹底解説します。
付属品

1. ユーザーマニュアル(英語)
2. USB Type-Cケーブル
3. 合格証
大きさ・重さ

大きさは 89.8 × 138 × 26mm、227g(実測値)です。
プラスチック筐体(ABS樹脂素材)を採用し、電池なしの初代ゲームボーイに近い重さです。
さらりとしたマットな質感も特徴で、成形精度や組み立て精度も高く仕上がっています。
本体カラーの『Classic 6』は、サターンスタイルの 6ボタン配置を採用しています。
サイズ感

参考として、Trimui Brick と Analogue Pocket を並べてみました。
Retroid Pocket Classic は中間くらいのサイズ感です。
画面サイズは、この中でも Retroid Pocket Classic が最も大きいです。
本体サイズをコンパクトに抑えながらも、持ち運びにも適したバランスの良いモデルです。
インターフェース

上部に microSDカードスロット、イヤホンジャック、USB Type-Cポートが配置されています。
本体正面の左下にはシングルスピーカーが備わっており、ボリュームや音質も十分です。ただし、映像出力端子(HDMI や DP出力機能)は非搭載です。

左側には音量ボタンと電源ボタン、右側にはマイクが備わっています。
ワイヤレス通信は Wi-Fi 5 と Bluetooth 5.1 に対応しており、そのほかバイブレーション機能も搭載されています。

背面には内蔵ファンの吸気口があり、背面側の排気口へ熱を放出します。
アクティブ冷却ファンが搭載されており、長時間のゲームプレイでも快適に楽しめます。
騒音計で計測したところ、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは最大で 34dB です。風切り音自体は Retroid Pocket 5 と同程度と考えて問題ないでしょう。
画面

AYANEO Pocket DMG とほぼ同じディスプレイを搭載しています。
3.92インチ有機ELディスプレイ(31:27)、解像度は 1240 × 1080、画素密度は 419PPI です。
5点マルチタッチスクリーンで、鮮明で色彩豊かな表示が可能です。
ネイティブがポートレート(縦長)な液晶であり、リフレッシュレートは最大60Hz です。
液晶とガラスレンズの隙間がないフルラミネーションディスプレイを採用しています。

明るさと輝度(cd/m2)を測定したところ、最大616nit を記録しました。
タッチスクリーンの操作感度(シングルタッチ・マルチタッチ)の平均値は 63Hz、呼び出しレートは平均 115Hz です。また、タッチ操作の反応が鈍い画面位置などもありません。
縦型ゲーム機としては、アスペクト比がやや特徴的です。
そのため、使う人によっては賛否が分かれる可能性があります。また、有機ELディスプレイ(AMOLED)のため、黒の深みや色彩の描写が高いのが特徴です。
操作感

基本的な操作感は良好ですが、6ボタン配置は窮屈な印象です。
ABCボタンサイズは 8.8mm、XYZボタンサイズは 6.5mm、ストロークは 1.2mm で、メンブレン方式を採用しています。また、方向ボタンはドームスイッチを使用しています。
本来のボタン配置で、メガドライブやセガサターンのゲームを操作できます。
ただし、アナログスティックは非搭載で、ボタン配置も一般的なものとは異なるため、汎用性を求める場合には注意が必要です。

ボタンを押したときのポチポチとした音は、他社製品と比べるとやや大きめで気になります。方向ボタンはしっかりと底打ち感がある押し心地で、LRボタンもタクトスイッチならではのカチカチとした感触があり、指先のフィーリングも良好です。
ただし、セガサターンコントロールパッドと比べるとボタンは小さく、方向ボタンもフローティング構造ではありません。また、競合他社の ANBERNIC ARCシリーズよりも一回りコンパクトなため、ボタン間隔が狭く、指の腹で押すには窮屈で、指先での操作が求められます。

コントローラー面の溝があるデザインについては賛否が分かれそうです。
個人的には、ゴミが入りにくい溝なしのフラットなデザインのほうが好みでした。
背面にグリップこそありませんが、ゲームボーイカラーのような緩やかなカーブを描いた形状で、LRボタンの指がしっかりかかるため、持ち心地はそこそこ良好です。
システム

システムは Android 14 を搭載しており、Google Playストアに対応しています。
プリインストールアプリについては、初期設定時にエミュレーターアプリの選択を行い、各種設定は自身で行う必要があります。
設定画面で「日本語」に設定できます。また、ホームアプリは標準の『Androidデスクトップ』と独自UI の『ハンドヘルドデスクトップ』から選択可能です。

画面上部から引き出せるパネル「クイック設定パネル」では、画面の明るさ調整や自動回転のロック、パフォーマンスや内蔵ファンモードの切り替え、ホバーアイコンのオン/オフなどの切り替えが可能です。
エミュレーターを使用する際、ナビゲーションボトムバーが邪魔になることがあります。
そのような場合は、「システム」→「ジェスチャー」→「ジェスチャーナビゲーションの設定」からナビゲーションヒントをオフにすると良いでしょう。

ホバーアイコンをオンにすると、ゲーム起動後に画面右側からスワイプ操作でメニューを表示できます。リマッピング機能である「ボタンアダプテーション」を設定すれば、タッチ操作を物理ボタンに割り当てられます。
システムの使いやすさは、Retroid Pocketシリーズ共通です。
基本的なスマホ(Android)操作を知っていれば、特に問題なく操作できるでしょう。
エミュレーター性能

エミュレーター性能は、UNISOC Tiger T820 をやや上回るレベルです。
Snapdragon G1 Gen 2 を搭載しており ANBERNIC RG406シリーズに近い Antutuベンチマークスコア(V10)41万点台を記録しました。
スペックシート上では、動作するエミュレーターは一般的なレトロゲームをはじめ、動作が厳しいとされているセガサターン、PSP、ゲームキューブが快適動作。Wii、3DS、PS2、PS Vita のゲームタイトルがそこそこ動作するといった感じです。

ただし、画面の解像度は 1240 × 1080 でアスペクト比が 31:27 と独特であり、さらにアナログスティックが非搭載なことから、その性能を十分に活かせるエミュレーターは限られてきます。
汎用性を重視するなら 4ボタンモデルを、メガドライブやセガサターンを中心に遊びたい場合は 6ボタンモデルを選ぶのがおすすめです。
ゲームアプリ

デバイス負荷が高めのゲームアプリ『原神』や『鳴潮』、『ゼンレスゾーンゼロ』は、グラフィック設定を「低~中」に落とし込む必要があります。洗練されたグラフィックの美麗さや快適さを楽しむことはできませんが、基本的なゲームプレイは可能です。
画面サイズや解像度の関係で、表示される情報量が少ないという欠点もあります。
また、コントローラーでカバーしきれない操作面での制約もあり、本格的で快適なゲームプレイは厳しい印象です。
まとめ

Retroid Pocket Classic は、Snapdragon G1 Gen 2 を搭載した Androidゲーム機です。
Snapdragon Gシリーズのエントリークラスに位置付けられる新型SoC を採用したモデルで、その名のとおりクラッシックゲームに特化して設計されています。
競合他社の AYANEO Pocket DMG に相当する 3.95インチ有機ELディスプレイ(AMOLED)を採用し、汎用性の高い 4ボタンモデルに加え、6ボタンモデルもラインナップ。特定のエミュレーターに特化して楽しめるのが最大の特徴です。
一方で、画面のアスペクト比(31:27)に対応するエミュレーターが限られることや、アナログスティック非搭載の操作性については、評価が分かれる可能性があります。また、実際の使い勝手を考えると、性能を活かせる場面が限られてしまう点は気になるところです。
豊富なカラーラインナップに加え、メガドライブやセガサターン、アーケードを本来のボタン配置で楽しめる 6ボタンモデルが用意された意欲作です。数少ないセガ風のゲームコントローラーを採用した中華ゲーム機を求めている方にとっては、理想的な縦型モデルと評価します。