
ポータブルゲーミングPC「AOKZOE A1X」は、Ryzen 7 8840Uモデルと Ryzen AI 9 HX 370モデルの 2タイプを用意し、120Hzの可変リフレッシュレート(VRR)に対応した 8インチのネイティブランドスケープ液晶を採用したモデルです。
AOKZOE A1X の価格、スペック、特徴、使用感、ベンチマークテスト結果についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AOKZOE A1X について
AOKZOE A1X に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア

AOKZOE A1X は、Amazon、ハイビーム公式オンラインストア、およびハイビーム実店舗で取り扱われています。
スペックの異なる 3モデルをリリースしています。
発売日は 2025年7月10日です。
・8840U / 32GB / 1TBモデル
販売価格:158,000円
・HX 370 / 32GB / 1TBモデル
販売価格:198,000円
・HX 370 / 64GB / 2TBモデル
販売価格:238,000円
製品仕様とスペック
AOKZOE A1X 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AOKZOE A1X | |
ディスプレイ | 8インチ 解像度 1920 ×1200 10点マルチタッチ 可変リフレッシュレート(VRR) リフレッシュレート 120Hz | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
グラフィクス | AMD Radeon 780M | AMD Radeon 890M |
メモリ | 32GB LPDDR5x 7500 | 32GB / 64GB LPDDR5x 7500 |
ストレージ | 1TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) | 1TB / 2TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) |
インターフェース | USB4ポート × 2 USB 3.2 Gen2 Type-Cポート OcuLinkポート microSD 4.0 カードスロット イヤホンジャック | |
センサー・その他 | コントローラー(磁気センサー) RGBライトエフェクト ステレオスピーカー 6軸ジャイロスコープ 振動モーター、マイク アクティブ冷却 | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E Bluetooth 5.2 | |
バッテリー | 18880mAh | |
大きさ | 285 × 125 × 21mm | |
重さ | 748g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AOKZOE A1X をレビュー
AOKZOE A1X(HX370 / 32GB / 1TB)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、ベンチマークテスト、評価すべき点や欠点について解説します。
付属品

1. 電源アダプター
2. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ

大きさは 285 × 125 × 21mm、重さは 745g(実測値)
視認性に優れた 8インチの大画面を採用し、存在感のあるデザインが特徴です。
ポータブルゲーミングPC としては『重さを感じやすい』です。
サイズや重さを考えると携帯性はあまり高くありませんが、全体的にビルドクオリティはしっかりしており、ボタンの質感や塗装の仕上がりからも、丁寧に作られているのがわかります。
サイズ感

参考として、Steam Deck と Nintendo Switch を並べてみました。
サイズ感は Steam Deck に近い印象です。
ただし、Nintendo Switch を基準にすると、AOKZOE A1X の重さは 500g以上あるため、人によっては短時間のプレイでも少し負担に感じるかもしれません。
インターフェース

インターフェースは、上部に USB 3.2 Type-Aポート、USB4ポート、イヤホンジャック、音量ボタン、電源ボタンがあります。下部には USB4ポート、OcuLinkポート、microSDカードスロットを備えています。
本体正面下部の両側にはデュアル Hi-Fi ステレオスピーカーを備えています。
指紋認証機能は搭載されていませんが、インターフェースは充実しています。

ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.2 をサポートしています。
また、バッテリーの劣化を抑えるバイパス充電に対応するほか、6軸ジャイロスコープ、マイク、デュアルリニアモーター搭載のバイブレーション機能も備えています。

左右のグリップ下部には RGB LEDライトエフェクトを搭載しています。
専用アプリを使用して、LED のオン・オフ、RGBカラーや照明効果を変更可能です。

背面にキックスタンドが備わっており、最大で約60度まで開きます。
本体を立てて、テーブルモードでゲームや動画鑑賞を楽しむことができます。

背面中央には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
静音タイプの冷却ファンを採用し、回転数を自動制御または手動制御が可能です。
騒音計で実測したところ、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは最大47dB とやや気になります。ただし、標準的なゲーミングノートPC と比べると静かといえるでしょう。
画面

120Hzの可変リフレッシュレート(VRR)に対応した 8インチディスプレイです。
解像度は 1920 × 1200、アスペクト比は 16:10 で、10点マルチタッチスクリーンに対応。
ネイティブランドスケープ液晶を採用しており、画面の向きも正確に表示されます。
一般的なポータブルゲーミングPCに採用されている 7インチディスプレイよりも約30%広い画面サイズで、視認性の高さが大きな魅力です。

画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大429nit を記録しました。
屋内で十分に視認できる明るさですが、屋外ではやや見にくい明るさです。
デフォルトの解像度は 1920 × 1200、表示スケーリングは 200%(推奨)です。
また、この設定ではウィンドウごとの表示領域が広めになるため、アプリによってはレイアウトが崩れることがあります。必要に応じてスケーリングの設定を見直すとよいでしょう。
操作性

一般的なゲームコントローラーに迫る操作感を実現しています。
方向ボタンと ABXYボタンはマットな質感で、高品質な塗装の仕上がりもポイントです。
ABXYボタンサイズは 8.7mm、ストロークは 1.3mm で軽めです。各種ボタンはメンブレン、LT/RTボタンはアナログトリガーを採用しています。

ホールセンサー式のアナログスティックは操作感が良好です。
一方で、ABXYボタンやLB / RBボタンを押した際には、ややカチカチとした音があり、静音性を重視するユーザーは気になるかもしれません。
実測では、入力間の平均値は 0.88ms、ポーリングレートは 1123Hz を記録しました。これは、PC接続時の Xboxコントローラーや PS5コントローラーを上回る精度と反応速度です。

主要なボタンはいずれも滑りが良く、指先の摩耗を抑えてスムーズな操作が可能です。
ボタン配置にもゆとりがあり、指先の位置を意識しなくても素早く操作できます。
両手でしっかりとホールドできるグリップは魅力ですが、表面も裏面も滑りやすい質感なので、好みが分かれそうです。また、そこそこ重さがあるため、仰向けでのプレイは厳しく、長時間遊ぶと姿勢によっては疲れを感じやすいかもしれません。

カスタマイズ性に優れたコントローラーと、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインを採用しており、ポータブルゲーミングPC で快適な操作感を求めるユーザー向けです。
専用アプリ

専用アプリ『OneXConsole』は、本体の TURBOボタンで起動できます。
TDP(Thermal Design Power)設定、ファンの回転数、バイブレーションの強弱、解像度、RGBライトエフェクトなど、細かな調整が可能です。
TDP は初期設定が 15W で、最大30W まで 1W刻みで変更できます。
操作もシンプルで、ユーザー自身で手軽に調整できます。

新たに追加された『冷蔵庫』機能では、ゲームプレイ中にワンタッチで一時停止・再開が可能に。Nintendo Switch でスリープ&再開するような感覚に近く、快適にゲームを中断できます。
そのほか『Handy Kit』からは、デスクトップ操作の補助、音に反応するバイブレーション、Joy-Conの接続・設定なども行えます。

TURBOボタンを長押しすると、より詳細な設定画面に移動できます。
VRAM サイズの変更やドライバーのアップデート状況などを確認可能です。
ゲーム動作

ゲームプレイに関しては、高性能なゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』ですが、最低・推奨システム要件を満たすことが前提です。ただし、AMD Ryzen AI 9 HX 370 のパフォーマンスは高く、最新の AAAゲームタイトルでも 60FPS以上を達成できます。
『RSR(Radeon Super Resolution)』や『FSR(FidelityFX Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、低レイテンシーでフレーム生成を可能とする『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』といった機能も活用できます。

これらの機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
リフレッシュレートは 120Hz で、ネイティブランドスケープの可変リフレッシュレート(VRR)をサポートした液晶ディスプレイを採用しているためアドバンテージがあります。

VRAM は変更可能(標準設定 8GB)で、メモリークロック周波数は最大 7500MHz です。
TDPを15W に設定した場合でも、サイバーパンク2077 やエルデンリング、ARMORED CORE VI、Starfield、黒神話:悟空などの AAAゲームタイトルが十分に動作するパフォーマンスを発揮します。
外部グラフィックカード(外付けeGPU)を接続できる OCuLinkポートを備えているため、より高性能な環境を構築することも可能です。
ストレージ容量

AOKZOE A1X のストレージ状態です。
パーティションが分割されており、専用アプリ『OneXConsole』と、AMD製品向けソフトウェア『AMD Software: Adrenalin Edition』がプリインストールされています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しており、問題なく初期インストールを進められます。
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタン押す
- 「ホームボタン」(左下ボタン)と「音量+ボタン」を同時押し
- Bootメニューが表示される
- Keyboardキーを長押し(ランプ点灯する)
- 十字キーで「UEFI OS」を選択
- 「スタートボタン」で決定
- 「System Recovery」をタッチ(表示された場合)
- 「Start」をタッチ
- 数分待てば完了
ただし、給電をしながらであれば実行可能です。
AOKZOE A1X のベンチマーク

AOKZOE A1X(HX370 / 32GB / 1TB)のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、あくまでも参考程度にとどめてください。
冷却能力

ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
TDPは最大30Wでの動作に対応しており、冷却能力もそれに見合った設計となっています。(室温25度、30Wで90度超えを確認)
ベンチマークテスト中の負荷がかかった場面でも、人肌程度の熱を感じたのは画面中央付近だけで、それ以外の部分は特に気になりませんでした。
ストレージ速度(SSD)

AOKZOE A1X に標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
PCIe 4.0規格の SSD(Acer SSD N7000)が搭載されています。
ストレージ速度(microSDカード)

microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定は Extreme で『15W』、『30W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 15W | 30W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 4702 | 5977 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3848 | 4530 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2836 | 3272 |
PCMARK 10 | 5996 | 7286 |
3DMARK Time SPY | 3085 | 3788 |
3DMARK Fire Strike | 6363 | 8290 |
3DMARK Night Raid | 21649 | 31090 |
3DMARK Wild Life | 17365 | 21681 |
3DMARK Port Royal | 1477 | 1835 |
3DMARK Steel Nomad | 462 | 580 |
3DMARK Speed Way | 499 | 567 |
CINEBENCH Release23 | 10922 | 16763 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1920 | 1962 |
まとめ

AOKZOE A1X は、性能と画面サイズのバランスを重視したポータブルゲーミングPCです。
120Hzのリフレッシュレートと可変リフレッシュレート(VRR)に対応した 8インチのネイティブランドスケープ液晶を搭載しています。
一般的な 7インチディスプレイより約30%広い 8インチ画面を採用し、視認性に優れています。RGBエフェクトライトはさりげないアクセントとして映え、シンプルながらも存在感のあるデザインです。ボタンの配置にもゆとりがあり、ポーリングレート1000Hz以上で快適な操作感を実現しています。
一方で、シリーズ全体の課題として、指紋認証によるセキュアなログイン機能がないことや、携帯性にやや欠ける点が挙げられます。そのため、携帯ゲーム機としてだけでなく、キックスタンドで本体を立ててテーブルモードでゲームや動画を楽しみたいニーズに適したモデルです。
すでに GPD や AYANEO、One-Netbook などの競合メーカーからは、Ryzen AI 9 HX 370 搭載モデルが登場しています。後発となる AOKZOE A1X は、画面サイズや価格面でのアドバンテージがある製品といえるでしょう。
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