ポータブルゲーミングPC「OneXFly F1 Pro」は、リフレッシュレート144Hz の 7インチ有機ELディスプレイ(OLED)を搭載し、AMD Ryzen 7 8840U(下位モデル)と AI 9 365 / HX 370 を採用した次世代モデルです。
OneXFly F1 Pro の価格、スペック、特徴、使用感、ベンチマークテスト結果についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
OneXFly F1 Pro について
OneXFly F1 Pro に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア
OneXFly F1 Pro は、Amazon、One-Netbook公式ストア、ハイビーム公式オンラインストア、およびハイビーム実店舗で取り扱われています。
スペックの異なる4モデルをリリースします。
発売日は 2025年1月10日頃を予定しています。
・8840U / 32GB / 1TBモデル
販売価格:148,000円
・365 / 32GB / 1TBモデル
販売価格:188,000円
・HX 370 / 32GB / 2TBモデル
販売価格:218,000円
・HX 370 / 64GB / 4TBモデル
販売価格:268,000円
製品仕様とスペック
OneXFly F1 Pro 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | OneXFly F1 Pro | ||
ディスプレイ | 7インチ 有機EL(OLED) 解像度 1920 × 1080 16:9、マルチタッチ リフレッシュレート 144Hz | ||
OS | Windows 11 Home | ||
CPU | AMD Ryzen 7 8840U | AMD Ryzen AI 9 365 | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
グラフィックス | AMD Radeon 780M | AMD Radeon 880M | AMD Radeon 890M |
メモリ | 32GB LPDDR5X 7500MHz | 32GB / 64GB LPDDR5X 7500MHz | |
ストレージ | 1TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) | 2TB /4TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) | |
インターフェース | USB4ポート × 2 USB 3.0 Type-Aポート microSDカードスロット イヤホンジャック | ||
センサー・その他 | ゲームコントローラー RGBネームタグ ステレオスピーカー (HARMAN Audio EFX) 振動モーター 3軸ジャイロ+3軸加速度センサー マイク アクティブ冷却 | ||
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 | ||
バッテリー | 12600mAh | ||
大きさ | 263.6 × 98.2 × 22.6mm | ||
重さ | 599g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
OneXFly F1 Pro をレビュー
OneXFly F1 Pro(365 / 32GB / 1TBモデル)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、ベンチマークテスト、評価すべき点や欠点について解説します。
付属品
1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
大きさ・重さ
大きさは 263.6 × 98.2 × 22.6mm、重さは 592g(実測値)
従来モデルと大きさ・重さは変わらず、ポータブルゲーミングPC としては『軽量モデル』です。
ABS樹脂素材の筐体に、高級車にも採用されている『武蔵野塗料』の抗菌ペイントを使用しているのが特徴です。塗装品質や質感において、競合他社と差別化されています。
サイズ感
参考として、Steam Deck と Nintendo Switch を並べてみました。
サイズ感は中間的で、重量バランスも良好な設計といえます。
ただし、任天堂から発売された携帯型ゲーム機を基準にすると、OneXFly F1 Pro の重さは 500g以上あるため、サイズ感に比べて重さを感じることがあるかもしれません。
インターフェース
インターフェースは、上部に USB 3.2 Type-Aポート、USB4 Type-Cポート、イヤホンジャック、音量ボタン、電源ボタンを配置しています。
下部には USB4 Type-Cポート、microSDカードスロット、両側に HARMAN AudioEFX チューニングステレオスピーカーを搭載しています。セキュアなログインを可能とする指紋認証センサーは非搭載です。
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.2 をサポートしています。
また、バッテリーの劣化を抑えるバイパス充電に対応するほか、3軸ジャイロ+3軸加速度センサー、マイク、バイブレーション機能も備えています。
左右のアナログスティックとネームタグに RGBエフェクトライトを搭載しています。
LED のオン・オフや輝度調整、RGBカラーおよび照明効果の変更が可能です。
お借りしたサンプル機のネームタグは、左側:F1Pro、右側:ONEXFLY でした。
ネームタグの文字を変更する場合、物理的に変更する必要があります。
背面左側には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
優れた放熱能力を持つ冷却システムが搭載されています。
騒音計を使用して実測した結果、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは 30dB~43dB と普通です。実測した限りでは、標準的なゲーミングノートPC よりやや静かといえるでしょう。
画面
リフレッシュレート144Hz の有機ELディスプレイを採用しています。
画面サイズは 7インチ(16:9)で、解像度は 1920 × 1080、10点マルチタッチスクリーンで、従来モデルよりリフレッシュレートが向上し、有機EL(OLED)に変更されています。
ネイティブがポートレート(縦長)であり、リフレッシュレートは最大144Hz です。
一般的な IPS液晶パネルよりも、黒さがはっきりと美しい色彩で表現され、高速な応答速度を体感できます。ただし、可変リフレッシュレートには非対応です。
画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大842nit を記録しました。
屋内のみならず日光下でも十分な視認性を発揮します。
デフォルトの解像度は 1920×1080、スケーリングは 150% で、文字が小さく視認性はやや低めです。そのため、必要に応じてスケーリングの調整や、Steamビッグピクチャーモードでの起動が求められます。
操作感
一般的なコントローラーに近いホールド感と操作感を実現しています。
ABXYボタンサイズは 8.5mm、ストロークは 1.5mm。各種ボタンはメンブレン方式、LT / RTボタンはアナログトリガー(8.1mm ストローク)を採用しています。
左側には Backボタン、ジョイスティック、方向ボタン、Homeボタンが用意されています。
Homeボタンを押すと作業中の画面からデスクトップ画面に切り替わり、もう一度押すと作業中の画面に戻ります。
右側にはスタートボタン、ABXYボタン、ジョイスティック、 Turboボタン、Keyboardボタンが配置されています。マウスモードへの切り替えは Keyboardボタンを長押しすることで可能です。
アナログスティックの操作感は良好で、ABXYボタンはカチカチ音がほぼない静音仕様です。ただし、従来モデルと同様に方向ボタンのストロークが浅い点については、好みが分かれる可能性があります。
実測では、入力間の平均値は 3.61ms、ポーリングレートは 272Hzで、従来モデルの 2倍のポーリングレートを記録しています。これは、PC接続時の Xboxコントローラーや PS5コントローラーを上回る精度と反応速度を示しています。
背面ボタンがないシンプルな形状のため、FPS やアクションゲームで求められるボタンのカスタマイズ性や直感的な操作には対応していません。そのため、このような機能にこだわりがある人には物足りなく感じるかもしれません。
本体グリップは、Steam Deck より浅く、ROG Ally よりも深めの人間工学に基づいたエルゴノミクスデザインを採用しています。また、本体の重量バランスが良く、手に馴染む持ち心地が特徴です。
専用アプリ
Turboボタンは、専用アプリ『OneXConsole』の呼び出しボタンです。
性能(TDP)設定、ファン回転数(自動・手動)、バイブレーションの強弱、解像度の変更、FPS の固定、RGBライトエフェクトなどを設定・変更できます。
TDP のデフォルト設定は 15W で、最大30W まで変更可能です。
4W~30W まで 1W刻みで調整が可能で、ユーザー自身で簡単に変更・設定ができます。専用アプリを起動していない状態では、ターボボタンは単純に TDP を変更する機能(15W⇔28W)として動作します。
長押しすることで、ランチャー機能とボタンのカスタマイズ機能を呼び出せます。
特にランチャー機能は、Steam や Epic Games、EA などのマルチプラットフォームに対応しており、アップデートにより不具合も改善され、使い勝手が向上しています。
ボタンカスタマイズ機能はゲームにあわせたプロファイルを作成することが可能で、各ボタンのマッピング、スティックやトリガーのデッドゾーンや感度の調整などを設定できます。マクロ機能については、ゲーム内の利用規約によっては禁止されていることがあるため評価しません。
ゲーム動作
ゲームプレイに関しては、高性能なゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』に分類されますが、最低・推奨システム要件を満たすことが前提です。今回レビューしたのは AMD Ryzen AI 9 365 / 32GB / 1TBモデルですが、最上位モデルである HX 370モデルに及ばないものの、最新の AAAゲームタイトルでも 60FPS以上を達成できます。
ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できる機能に加え、低レイテンシーでフレーム生成を可能とする『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』や、最大75%を VRAM に割り当てて使用できる『VGM(Variable Graphics Memory)』といった機能も活用できます。
これらの機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
VRAM は最大16GB に変更可能(設定自体は最大24GB)で、メモリークロック周波数は最大 7500MHz です。TDPを 15W に設定した場合でも、サイバーパンク2077 やエルデンリング、ARMORED CORE VI、Starfield、黒神話:悟空などの AAAゲームタイトルが十分に動作するパフォーマンスを発揮します。
また、負荷がかかるシチュエーションでは、TDPを 28W に設定した場合、CPUの最高温度が 90度以上に達することが確認されましたが、本体を操作をしている際に表面温度が気になることはありませんでした。
ストレージ状態
OneXFly F1 Pro 国内正規版のストレージ容量は 1TB / 2TB / 4TB です。
パーティションが分割されており、専用アプリ『OneXConsole』と、AMD製品向けソフトウェア『AMD Software: Adrenalin Editon』がプリインストールされています。
大容量ゲームタイトルを複数インストールしたい場合は、よりストレージ容量が大きいモデル(2TB以上)を選択するのが良いでしょう。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しており、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記の手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 電源ボタンを押す
- 「Homeボタン+音量プラスボタン」を押す
- Bootメニューが表示される
- 「Keyboardボタン」を長押し(ランプ点灯)
- 十字キーで「UEFI OS」を選択
- 「スタートボタン」で決定
- 「Start」をタッチ
- しばらく待つと完了
ただし、給電をしながらであれば実行可能です
OneXFly F1 Pro のベンチマーク
OneXFly F1 Pro(365 / 32GB / 1TBモデル)のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、参考程度にとどめてください。
冷却能力
ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
TDPが 15W では 78度、28W では最大90度以上に達しましたが、一定時間が経過すると 40度台で安定しました。
負荷がかかるシチュエーションでも、本体の表面温度は気になりませんでした。
ただし、内蔵ファンの風切り音は、負荷がかかるゲームプレイ時には気になるかもしれません。
ストレージ速度(SSD)
標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
Acer SSD N7000 1TB を採用しています。
ストレージ速度(microSDカード)
microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定で『15W』、『28W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの VRAM は 8GB、解像度設定は 1920 × 1080 です。
ベンチマークテスト | 15W | 28W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 4569 | 5816 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3488 | 4331 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2610 | 3168 |
PCMARK 10 | 6056 | 6675 |
3DMARK Time SPY | 2920 | 3523 |
3DMARK Fire Strike | 6019 | 7741 |
3DMARK Night Raid | 22636 | 29145 |
3DMARK Wild Life | 15155 | 20162 |
3DMARK Port Royal | 1352 | 1672 |
3DMARK Steel Nomad | 473 | 556 |
3DMARK Speed Way | 496 | 559 |
CINEBENCH Release23 | 10339 | 14327 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1832 | 1904 |
ベンチマークテスト結果を見ると、TDP を上げることで性能が向上していることがわかります。従来モデル(7840Uモデル)と比較しても、性能は大幅に向上しています。
TDP 15W での連続稼働時間は、ゲームプレイで 2時間ほどでした。
画面の明るさと音量ボリュームは 50%、電源プラン「バランス」での結果です。
まとめ
OneXFly F1 Pro は、既存モデル(OneXFly)のマイナーバージョンアップ版です。
リフレッシュレート144Hz の 7インチ有機ELディスプレイ(OLED)を搭載し、AMD Ryzen 7 8840U(下位モデル)と AI 9 365 / HX 370 を採用した次世代モデルです。
従来モデルと比較すると、本体サイズや重量、ハイグレードな塗装品質はそのままに、リフレッシュレートが 144Hzに向上し、有機ELディスプレイ(OLED)に変更されています。また、コントローラーのポーリングレートやゲームパフォーマンスも大幅に強化されています。
一方、システムや専用アプリには改善が見られるものの、その完成度に関しては競合他社である Steam Deck や ROG Ally には及ばない部分があります。また、従来モデルと同様に、指紋認証や可変リフレッシュレートに非対応である点は、改善を期待したかったところです。
ただし、小型・軽量化にフォーカスした設計にアドバンテージがあり、価格と性能を抑えた 8840Uモデル、一歩先行したゲームパフォーマンスを体感できる AI 9 365 や HX 370 の選択肢が用意されているのは注目すべきポイントです。
今回レビューしたのは AI 9 365モデルでしたが、より高いゲームパフォーマンスを求める方には HX 370モデルをおすすめします。価格やスペック、重視するポイントを整理して、検討を進めてください。
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