
ポータブルゲーミングPC「AYANEO 3」は、Ryzen 7 8840Uモデルと Ryzen AI 9 HX 370モデル、7インチの LCD と OLED から選択可能で、モジュールコントローラー『Magic Module』を採用したフラッグシップモデルです。
AYANEO 3 の価格、スペック、特徴、使用感、ベンチマークテスト結果についてご紹介します。さらに、評価すべき点や欠点についても詳しくチェックします。
AYANEO 3 について
AYANEO 3 に関する情報をまとめたページです。
サンプル機を貸し出していただきましたが、コンテンツの内容には一切影響していません。
価格・販売ストア

AYANEO 3 は、Amazon、ハイビーム公式オンラインストア、およびハイビーム実店舗で取り扱われています。
スペックの異なる 4モデルをリリースしています。
発売日は 2025年7月上旬から中旬を予定しています。
・8840U / 32GB / 1TBモデル
販売価格:168,000円
・HX 370 / 32GB / 1TBモデル
販売価格:223,000円
・HX 370 / 64GB / 2TBモデル
販売価格:278,000円
・HX 370 / 64GB / 4TBモデル
販売価格:318,000円
LCDモデルは初回入荷分で完売しています。
製品仕様とスペック
AYANEO 3 国内正規版のスペックを詳しく見ていきます。
製品名 | AYANEO 3 国内正規版 | |
ディスプレイ | 7インチ IPS(LCD) 7インチ 有機EL(OLED) | |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
グラフィクス | AMD Radeon 780M | AMD Radeon 890M |
メモリ | 32GB LPDDR5X 7500MHz | 32GB / 64GB LPDDR5X 7500MHz |
ストレージ | 1TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) | 1TB / 2TB / 4TB M.2 2280 SSD (PCI Express 4.0 x4接続) |
インターフェース | USB4ポート × 2 OcuLinkポート microSDカードスロット イヤホンジャック | |
センサー・その他 | マスターコントローラー | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | |
バッテリー | 49Wh | |
大きさ | 289.9 × 115 × 22.4~34.8mm | |
重さ | 690g |
免責事項:スペック情報の正確性には細心の注意を払っていますが、保証はできません。
AYANEO 3 をレビュー
AYANEO 3(HX370 / 32GB / 1TB、LCDモデル)をレビューします。
付属品から基本的な特徴、インターフェース、操作感、ベンチマークテスト、評価すべき点や欠点について解説します。
付属品

1. マニュアル
2. 電源アダプター
3. USB Type-Cケーブル
4. 合格証
5. 変換アダプター(3種類)
6. USB Type-C変換アダプター
7. 交換用スティック
専用アクセサリー

別売りの専用アクセサリー『Magic Module』が用意されています。
AYANEO 3 の独自機能を最大限に活かすために欠かせないアクセサリーです。
本体と組み合わせることで、より快適で最適なゲーム体験を提供してくれます。
6つのモジュールと交換用スティック、収納ケース 2種が含まれます。
大きさ・重さ

大きさは 289.8 × 115 × 22.4mm、重さは 696g(実測値)
正面は全面ガラス張り、手に馴染みやすいオーバルデザインを採用しています。
ポータブルゲーミングPC としては『重たさを感じやすい』です。
実際に持ってみると、重量バランスが良いため想像していたより軽く感じます。
サイズや重さ的には携帯性に優れているとはいえませんが、全体的なビルドクオリティは高く、成形や組み立ての精度も良好です。
サイズ感

参考として、Steam Deck と Nintendo Switch を並べてみました。
サイズ感は Steam Deck に近い印象です。
ただし、Nintendo Switch を基準にすると、AYANEO 3 の重さは 500g以上あるため、サイズのわりに重さを感じやすいです。
インターフェース

インターフェースは、上部に USB4 Type-Cポート、OcuLinkポート、音量ボタン、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを配置しています。下部には コントロールモードスイッチボタン、USB4 Type-Cポート、microSDカードスロット、イヤホンジャックを備えています。
本体正面の両側には HyperSound 2.0 パノラマサウンド ラージキャビティデュアルスピーカーを搭載しています。

ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3 をサポートしています。
また、バッテリーの劣化を抑えるバイパス充電に対応するほか、デュアル6軸ジャイロスコープ、マイク、磁気サスペンションモーター搭載のバイブレーション機能も備えています。

左右のアナログスティックには、RGBエフェクトライトを搭載しています。
専用アプリ AYA Space でオン・オフ、RGBカラー・照明効果を変更可能です。

着脱式のモジュールコントローラーを採用しています。
専用アプリの操作やコントロールモードスイッチボタンの長押しでモジュールを着脱でき、別売りの『Magic Module』を自由に組み合わせて使うことが可能です。

背面には内蔵ファンの吸気口があり、上部の排気口へ放熱します。
優れた放熱能力を持つ冷却システムが搭載されています。
騒音計で実測したところ、デバイスから 50cm離れた位置での騒音レベルは最大49dB とやや気になります。ただし、標準的なゲーミングノートPC と比べると静かといえるでしょう。
画面

AYANEO 3 の 7インチディスプレイは、『LCD』と『OLED』から選択可能です。
解像度は 1920 × 1080、アスペクト比は 16:9 で、10点マルチタッチスクリーンに対応。可変リフレッシュレートに対応した LCDモデルと、有機ELディスプレイの OLEDモデルのいずれかを選択できます。
レビューしている LCDモデルは、ネイティブランドスケープ液晶を搭載しています。
LCDモデルの最大リフレッシュレートは 120Hz で、可変リフレッシュレート(VRR、AMD FreeSync Premium)に対応しています。

画面の輝度(cd/m2)を測定したところ、最大403nit を記録しました。
屋内で十分に視認できる明るさですが、屋外ではやや見にくい明るさです。
標準では表示スケールが 175%(推奨)で、文字が小さく視認性はやや低めです。
そのため、必要に応じてスケーリングの調整や、Steam Big Pictureモードでの起動が求められます。
LCDモデル も OLEDモデルも鮮明な画質ですが、より高画質や明るさを重視するなら OLEDモデルがおすすめです。逆に、ポータブルゲーミングPCらしい使い勝手を求めるなら LCDモデルを選ぶのが良いでしょう。
操作感

AYANEO最高水準の『マスターコントローラー 2.0』を搭載しています。
ポータブルゲーミングPC初の着脱式モジュールコントローラーを採用しており、既存モデルである AYANEO 2 / 2S と比べて、ボタンの押し心地や操作性が向上しています。
標準モジュールの ABXYボタンサイズは 8.3mm、ストロークは 1mmほど。各種ボタンはメンブレン方式で、LT / RTボタンはアジャイルホールトリガー(7.5mm ストローク)を採用しています。

ホールセンサーアナログスティックの操作感は良好で、ABXYボタンはカチカチ音がほぼない静音仕様です。ただし、LB / RBボタンはやや硬めでカチカチ音があり、ストロークも含めて好みが分かれそうです。
実測では、入力間の平均値は 5.21ms、ポーリングレートは 191Hz を記録しました。これは、PC接続時の Xboxコントローラーを上回る精度と反応速度ですが、もう少し高いポーリングレートを期待したいところです。

別売りの『Magic Module』は、AYANEO 3 の特徴を最大限に活かすためには欠かせません。
標準モジュールのマイクロスイッチ版のほか、タッチパッドモジュールや 8方向入力+6ボタンモジュールも用意されており、プレイスタイルに合わせて自由に組み合わせることができます。

上下左右の切り替えのほか、ボタン位置の入れ替え(6ボタンモジュールは除く)、スティックの交換など、カスタマイズ性が非常に高いです。
一部、左側モジュールを左右に付け替えるなど対応できない組み合わせもありますが、最大56通りの組み合わせが可能です。

背面にはカスタマイズボタン(LC1 / RC1ボタン)のほか、トリガーストップも備えています。
LT / RTボタンの押し込みを浅めに調整でき、ストロークを 7.5mmから 3mmに変更して反応させることが可能です。
トリガーストップを初めて搭載したポータブルゲーミングPC で、深めのストロークが好まれるレースゲームから、素早い反応が求められる FPS まで、幅広いジャンルに対応できます。

両手でしっかりとホールドできるグリップは魅力ですが、表面も裏面も滑りやすい質感なので、好みが分かれそうです。また、そこそこ重さがあるため、仰向けでのプレイは厳しく、長時間遊ぶと姿勢によっては疲れを感じやすいかもしれません。
カスタマイズ性に優れたコントローラーと、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインを採用しており、ポータブルゲーミングPC で本格的な操作感を求めるユーザー向けです。

LC / RCボタン には短押し・長押しの機能を割り当てることが可能です。
標準設定では、下記の機能が割り当てられています。
- LC短押し・・・オンスクリーンキーボード
- LC長押し・・・タスクマネージャー
- RC短押し・・・ESC
- RC長押し・・・タスクビュー
=ボタン同様に、専用アプリ AYA Space で割り当て・変更が可能です。
専用アプリ

AYAボタンは、専用アプリ『AYASpace』の呼び出しボタンです。
スタートアップ起動が採用されており、マウス操作・短押し・長押し機能を動作させるうえで必須のアプリです。
AYASpaceは、ゲームランチャー機能に加えて、TDP(Thermal Design Power)設定、バイブレーション機能、下画面のオン・オフなどの設定を一元管理できます。

AYAボタンを短押しすることで、画面右側に簡素な AYA Quick Tool が表示されます。
ここでは、ゲームランチャー機能を除くすべての機能の設定・変更ができます。

長押しすることで、さらに詳細な設定画面に移動できます。
コントローラーやデバイスの設定(VRAM のサイズ変更)、各種ドライバーのアップデート状況などを確認できます。
ゲーム動作

ゲームプレイに関しては、高性能なゲーミングPC とは異なる『別ジャンル』ですが、最低・推奨システム要件を満たすことが前提です。ただし、AMD Ryzen AI 9 HX 370 のパフォーマンスは高く、最新の AAAゲームタイトルでも 60FPS以上を達成できます。
『RSR(Radeon Super Resolution)』や『FSR(FidelityFX Super Resolution)』という機能を使用することで、ゲーム解像度を下げつつも高画質なスケーリングを実現できます。また、低レイテンシーでフレーム生成を可能とする『AFMF(AMD Fluid Motion Frames)』といった機能も活用できます。

これらの機能は、小型のポータブルゲーミングPC向けに最適で、ゲームの解像度や処理負荷を下げつつ、高画質やスケールアップを行い、FPS を向上させることが可能です。また、処理負荷をわずかに上げてリアルで鮮明な映像を楽しむこともできます。
AYANEO 3 の LCDモデルは、ネイティブランドスケープの可変リフレッシュレート(VRR および AMD FreeSync Premium)をサポートした液晶ディスプレイを採用しているためアドバンテージがあります。

VRAM は変更可能(標準設定 4GB)で、メモリークロック周波数は最大 7500MHz です。TDPを 15W に設定した場合でも、サイバーパンク2077 やエルデンリング、ARMORED CORE VI、Starfield、黒神話:悟空などの AAAゲームタイトルが十分に動作するパフォーマンスを発揮します。
また、負荷がかかるシチュエーションでは、TDP を 28W以上に設定した場合、CPU の最高温度が 90度以上に達することが確認されました。ゲーム動作の安定を考えと 28W以下の設定をおすすめすます。
ストレージ状態

AYANEO 3 のストレージ容量は 1TB です。
パーティションはそのまま、専用アプリ AYA Space、AMD製品向けソフトウェア AMD Software: Adrenalin Edition がプリインストールされています。
搭載されている OS は「Windows 11 Home」です。
日本語に対応しているので、問題なく初期インストールを進められます。
GPD製品(GPD WIN 2)で何度もSSD の換装をしていたところ、ライセンス認証ができなくなりました。問い合わせするのも時間がかかり面倒、新しい OS を購入するのは高すぎる。ローリスクハイリターンな格安ライセンスを手に入れろ![…]
本体の初期化
万が一のトラブルがあっても、初期化ユーティリティで解決できます。
下記手順を参考に進めてください。
- 電源オフを確認
- 「音量+ボタン」と「RCボタン」を押したまま電源ボタンを押す
- しばらく待つと、初期化ユーティリティが起動
- 「チェックマーク」をタッチ
- 数分待てば完了
電源をオンにしてから「F9キー」を押すと初期化ユーティリティが起動します。
AYANEO 3 のベンチマーク

AYANEO 3(HX370 / 32GB / 1TB、LCDモデル)のベンチマーク結果を確認します。
設定・環境によっては変わることがあるので、参考程度にとどめてください。
冷却能力

ベンチマークテストで負荷をかけた状態の温度を計測しました。
TDPは最大35Wでの動作に対応していますが、冷却性能を考慮すると28Wで運用するのが現実的だと思います。(室温25度で、28W以上だと90度超えを確認)
負荷がかかる状況でも、操作などで手が触れる部分に限って見ると、画面中央下部の表面温度は 41度、それ以外は人肌程度でした。
ストレージ速度(SSD)

AYANEO 3 に標準搭載されている M.2 2280 SSD のストレージ速度です。
PCIe 4.0規格の SSD(Lexar SSD NM7A1)が搭載されています。
ストレージ速度(microSDカード)

microSDカードのストレージ速度です。
SAMSUNG EVO Plus A2 V30 microSDXC UHS-Iカードを使用して測定しています。
ベンチマークテスト結果
TDP設定は Extreme で『15W』、『35W』のベンチマークスコアを比較しています。
ベンチマークテストの解像度設定は、いずれも 1920 × 1080 です。
解像度と拡大/縮小率は、各ベンチマークテストの設定値と一致させています。
ベンチマークテスト | 15W | 35W |
ファイナルファンタジーXV 軽量品質 | 4903 | 5880 |
ファイナルファンタジーXV 標準品質 | 3959 | 4550 |
ファイナルファンタジーXV 高品質 | 2788 | 3237 |
PCMARK 10 | 6484 | 7567 |
3DMARK Time SPY | 3175 | 3754 |
3DMARK Fire Strike | 6585 | 8432 |
3DMARK Night Raid | 25110 | 31515 |
3DMARK Wild Life | 17972 | 22299 |
3DMARK Port Royal | 1547 | 1814 |
3DMARK Steel Nomad | 491 | 567 |
3DMARK Speed Way | 493 | 558 |
CINEBENCH Release23 | 10556 | 17948 |
CINEBENCH Release23(Single Core) | 1872 | 1998 |
TDP を 28W以上に設定しても、冷却性能の限界からかベンチマークスコアは伸び悩む傾向があります。電力効率などを考えると、28W以下で運用するのがおすすめです。
まとめ

AYANEO 3 は、AYANEOシリーズの『フラッグシップモデル』です。
高画質と最大輝度が魅力の OLEDモデル(有機ELディスプレイ)と、ネイティブランドスケープで可変リフレッシュレートに対応した LCDモデルを用意しています。
全面ガラス張りのオーバルデザインを採用し、高リフレッシュレートの液晶ディスプレイを搭載。さらに、ポータブルゲーミングPCとしては初となる着脱可能なモジュールコントローラー『Magic Module』や、最高水準の『マスターコントローラー 2.0』も備えています。
一般的なポータブルゲーミングPC と比べてもビルドクオリティや付加価値が高く、本格的な操作性や欲しい機能がしっかり詰まった『こだわりの一台』です。ただし、その分価格は高めなので、購入するにはそれなりの割り切りが必要になるかもしれません。
唯一無二のモジュールコントローラーは魅力的なギミックで、サウンドや振動といった細かい部分までしっかり作り込まれています。ポータブルゲーミングPC の新たな可能性やロマンを求めるユーザー向けと評価します。
競合他社からも AMD Ryzen AI 9 HX 370 を搭載したモデルが続々とリリースされています。
価格やスペック、重要視するポイントを整理して検討を進めてください。
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